村人A
DONEハグの日小説。一時間クオリティ・読み直しなしです(言い訳)
閣下は割と好奇心旺盛にあれこれ実践するタイプだと思ってる。
共に記念日へ「フェンリッヒよ!俺とハグをしてみようではないか!」
唐突に、ヴァルバトーゼがキラキラとした目でそう言い放った。
確実に誰かに何かを吹き込まれた。
フェンリッヒは直感でそう感じる。
「…閣下、それは如何なる理由で?それと、誰から何を言われましたか?」
「む…?ハグというものには、絆を深める効果があるのではないのか?小娘も、今日はハグの日だとか言っていたぞ」
「わかりました、小娘の入れ知恵ですね。後で殺しておきますので、閣下は何もお気になさらず」
「…?何故殺す必要がある?別に今は必要なかろう…というか、仲間を殺す必要も無いだろう」
8月9日。語呂合わせでハグの日。また、人間の下らない遊びに主が巻き込まれ、その軌道修正を自分がしなければならない。
2131唐突に、ヴァルバトーゼがキラキラとした目でそう言い放った。
確実に誰かに何かを吹き込まれた。
フェンリッヒは直感でそう感じる。
「…閣下、それは如何なる理由で?それと、誰から何を言われましたか?」
「む…?ハグというものには、絆を深める効果があるのではないのか?小娘も、今日はハグの日だとか言っていたぞ」
「わかりました、小娘の入れ知恵ですね。後で殺しておきますので、閣下は何もお気になさらず」
「…?何故殺す必要がある?別に今は必要なかろう…というか、仲間を殺す必要も無いだろう」
8月9日。語呂合わせでハグの日。また、人間の下らない遊びに主が巻き込まれ、その軌道修正を自分がしなければならない。
村人A
DONE執事閣下が書きたすぎて書き殴った小説です。30分クオリティなので、その辺はご容赦ください。余裕がありそうでない攻め大好き。
あなたと、深まる夜を共にひとつの部屋、ひとつのベッドの上に腰掛けるふたり。
今宵は満月。“そういう”行為をしようという約束の日。
主であるヴァルバトーゼは、約束というものを絶対に守るという信条がある。
だが関係を結んでから然程時が経っていないためか、ヴァルバトーゼは緊張の面持ちで俯いており、相手でありシモベのフェンリッヒを見ようともしない。
いざ部屋にふたりきりになったとて、中々そういう方面に持っていけなかった。
元々ヴァルバトーゼは欲が薄い。尚且つ受け入れるどころか、そういう行為すら経験があまりない。
だがフェンリッヒは、そうも待っていられない。これだけで夜が明けてしまうし、そもそもは主の魔力の足しになるであろう、と始めたことだ。
1581今宵は満月。“そういう”行為をしようという約束の日。
主であるヴァルバトーゼは、約束というものを絶対に守るという信条がある。
だが関係を結んでから然程時が経っていないためか、ヴァルバトーゼは緊張の面持ちで俯いており、相手でありシモベのフェンリッヒを見ようともしない。
いざ部屋にふたりきりになったとて、中々そういう方面に持っていけなかった。
元々ヴァルバトーゼは欲が薄い。尚且つ受け入れるどころか、そういう行為すら経験があまりない。
だがフェンリッヒは、そうも待っていられない。これだけで夜が明けてしまうし、そもそもは主の魔力の足しになるであろう、と始めたことだ。
村人A
PASTキスの日小説加筆修正版!!キスする場所に意味があるというものを見つけて書いたものです!
口付ける場所の、その意味は5月23日。
仕事で共に来たフェンリッヒとエミーゼルは、目の前で色めき立っていた者たちが目に入る。
「今日ってキスの日よね!!」
「まぁ、そうなんですの?初めて聞きましたわ」
「おねえさまは乙女のイベントには詳しいデスね!」
きゃあきゃあと響く三人娘の会話を、たまたま耳に挟んでしまう。
エミーゼルは少し眉間に皺を寄せて、軽くため息混じりに口を開く。
「またなんか言ってる…どこから来るんだ、その情報」
「知らん。どうでもいい」
「あ、フェンリっちとエミーゼルじゃん!ふたりが一緒って珍しいね」
ふたりに気付いたフーカが手を振る。
面倒臭いのに絡まれた、とフェンリッヒは苛立ちを隠すことなく舌打ちをした。
当然、そんなのに臆するフーカではない。
2838仕事で共に来たフェンリッヒとエミーゼルは、目の前で色めき立っていた者たちが目に入る。
「今日ってキスの日よね!!」
「まぁ、そうなんですの?初めて聞きましたわ」
「おねえさまは乙女のイベントには詳しいデスね!」
きゃあきゃあと響く三人娘の会話を、たまたま耳に挟んでしまう。
エミーゼルは少し眉間に皺を寄せて、軽くため息混じりに口を開く。
「またなんか言ってる…どこから来るんだ、その情報」
「知らん。どうでもいい」
「あ、フェンリっちとエミーゼルじゃん!ふたりが一緒って珍しいね」
ふたりに気付いたフーカが手を振る。
面倒臭いのに絡まれた、とフェンリッヒは苛立ちを隠すことなく舌打ちをした。
当然、そんなのに臆するフーカではない。
last_of_QED
DONEフェンヴァル🐺🦇【装備品をあなたへ】これは、ただの装備品。【装備品をあなたへ】 命乞いの悲鳴があがる。しかし赦しの言葉が返ることはない。剣で骨肉を貫く鈍い音、続いて断末魔が響くとやがて周辺には静寂が訪れた。
「口ほどにもなかったな」
「さすがは我が主。鮮やかな剣捌きでございました」
誰もいなくなった毒の湿地帯。吸血鬼ヴァルバトーゼとそのシモベである狼男フェンリッヒは目配せをするとようやく警戒をといた。
構えていた剣、或いは拳をおさめた二人の悪魔の元にはご褒美のアイテムがふわり舞い降りて来る。邪神の慈悲、或いは超常現象か。魔界では「そういうものとして在る」ボーナスゲージの報酬にもはや両名が疑問を呈することはない。フェンリッヒは宙へ手を伸ばすといくつかのアイテム、HLをグローブの手中に収めた。日頃、装備品の管理を任されている彼はそれらのアイテムを携行するものと倉庫へ送るものとに手早く仕分けていく。
1944「口ほどにもなかったな」
「さすがは我が主。鮮やかな剣捌きでございました」
誰もいなくなった毒の湿地帯。吸血鬼ヴァルバトーゼとそのシモベである狼男フェンリッヒは目配せをするとようやく警戒をといた。
構えていた剣、或いは拳をおさめた二人の悪魔の元にはご褒美のアイテムがふわり舞い降りて来る。邪神の慈悲、或いは超常現象か。魔界では「そういうものとして在る」ボーナスゲージの報酬にもはや両名が疑問を呈することはない。フェンリッヒは宙へ手を伸ばすといくつかのアイテム、HLをグローブの手中に収めた。日頃、装備品の管理を任されている彼はそれらのアイテムを携行するものと倉庫へ送るものとに手早く仕分けていく。
村人A
DONE両想いだと分かるふたりの話が見たくて書きました。多分、心の奥の気持ちを言えるのは閣下の方だと思う。仕舞い込んだ、この想いは暴君ヴァルバトーゼと月光の牙フェンリッヒ。
そのふたりがいつの間にか手を組み、更には主従関係までも結んでいた。
魔界でも震撼されたその出来事は、いつしか過去のことにされていった。
主のヴァルバトーゼが魔力を失ったという噂が流れたからだ。
最初は血眼になってその首を獲ってやろうと、捜していた悪魔たちも、姿が見えなければ次から次へと興味をなくしていく。
ふたりの結んだ覚悟の下、共に地獄へ堕ちたことなど誰も知らぬまま。
そんな魔界での栄光も、すでに数百年前になった頃。
現在、ふたりは閑職でもあるプリニー教育係となって暮らしていた。
多忙ながらも日々確実に邁進している。そう思っていたのは、どうやら主の方だけだったようで。
2718そのふたりがいつの間にか手を組み、更には主従関係までも結んでいた。
魔界でも震撼されたその出来事は、いつしか過去のことにされていった。
主のヴァルバトーゼが魔力を失ったという噂が流れたからだ。
最初は血眼になってその首を獲ってやろうと、捜していた悪魔たちも、姿が見えなければ次から次へと興味をなくしていく。
ふたりの結んだ覚悟の下、共に地獄へ堕ちたことなど誰も知らぬまま。
そんな魔界での栄光も、すでに数百年前になった頃。
現在、ふたりは閑職でもあるプリニー教育係となって暮らしていた。
多忙ながらも日々確実に邁進している。そう思っていたのは、どうやら主の方だけだったようで。
村人A
PAST過去小説修正版第二弾。これは確か、閣下に「浮気者」というセリフを言わせたいがために書き始めた話でした。モブ女出ますので注意。
こうして時折、閣下はリッヒの地雷を踏みます。
シモベを煽るものはそれは珍しく、主従が共にいなかった日。
フェンリッヒは他の魔界へ出張のようなものへ行っていて、ヴァルバトーゼは普段の仕事をこなしていた。
出張と言っても、向こうの悪魔と化かし合いのようなことになることも少なくない。その点で言えば、話術に優れるフェンリッヒ以上の適役はいないのだ。だが、優秀なシモベがいないと言うのは、それだけで負担な訳で。
(……あいつが居ないだけで、こんなに疲れるとは…いつも無理をさせているのか…涼しい顔をして…)
普段は休憩をあまりしないヴァルバトーゼも、人目につかない所で少し休んでいた。
目を閉じていた彼の意識を浮上させたのは、女性たちの声。
最初は見つからなければいいか、と考えるヴァルバトーゼだったが、ひとりの言葉で目が冴えることになる。
3537フェンリッヒは他の魔界へ出張のようなものへ行っていて、ヴァルバトーゼは普段の仕事をこなしていた。
出張と言っても、向こうの悪魔と化かし合いのようなことになることも少なくない。その点で言えば、話術に優れるフェンリッヒ以上の適役はいないのだ。だが、優秀なシモベがいないと言うのは、それだけで負担な訳で。
(……あいつが居ないだけで、こんなに疲れるとは…いつも無理をさせているのか…涼しい顔をして…)
普段は休憩をあまりしないヴァルバトーゼも、人目につかない所で少し休んでいた。
目を閉じていた彼の意識を浮上させたのは、女性たちの声。
最初は見つからなければいいか、と考えるヴァルバトーゼだったが、ひとりの言葉で目が冴えることになる。
村人A
PAST年齢制限いるかいらないかギリギリの話…?多分いらなさそう。1回戦と2回戦の間くらい。ピロートーク。閣下ならこんな感じで煽るかなぁって書きました
月夜の戯れカチャリと鍵が開き、隙間の空いた窓から少し冷たい風が入り込んできた。
さっきまで行われていたコトの途中は暑くて火照っていたのに、それが冷えていくようだった。
「…夜風が、心地いいな」
「ヴァル様、起きてらっしゃったんですか」
「ああ。…お前が加減したからかもしれんな」
「主に無体を強いたくはありませんから」
「このような関係になって、今更か?」
窓際に立つシモベは、白銀の髪が月夜を受けてキラキラと光り、まるで雪のようだ。
「フェンリッヒ、寒くないか」
布団に寝転がり、包まった状態でヴァルバトーゼがフェンリッヒに問う。
フェンリッヒは上半身に何も着ていない状態で、下だけ着ていた。対してヴァルバトーゼは下着だけの状態。
1751さっきまで行われていたコトの途中は暑くて火照っていたのに、それが冷えていくようだった。
「…夜風が、心地いいな」
「ヴァル様、起きてらっしゃったんですか」
「ああ。…お前が加減したからかもしれんな」
「主に無体を強いたくはありませんから」
「このような関係になって、今更か?」
窓際に立つシモベは、白銀の髪が月夜を受けてキラキラと光り、まるで雪のようだ。
「フェンリッヒ、寒くないか」
布団に寝転がり、包まった状態でヴァルバトーゼがフェンリッヒに問う。
フェンリッヒは上半身に何も着ていない状態で、下だけ着ていた。対してヴァルバトーゼは下着だけの状態。
村人A
DONE甘える閣下が見たくて書きました。多分こういう風に甘えるのかな、と。タイトルが過去一と言っていいほど気に入っています。まだ付き合ってないけど、多分時間の問題かもしれない。
夢を見るなら貴方がいい「フェンリッヒ、頼みがあるんだが」
神妙な面持ちで部屋に入ってきた主がそう言ったのは、つい今しがた。
自室で休もうとしていたフェンリッヒは、少し固まった。
頼みなどと、まさかシモベの自室にまで足を運ばねばならないほどの重大な出来事でもあったのか、それとも自分がなにか知らぬ間に至らぬことをしてしまったのか。
あれこれと思考を巡らせた一瞬、フェンリッヒはただ一言返した。
「…なんでしょう、閣下。何なりとお申し付けを」
「うむ。お前ならそう言ってくれると思っていた。…すまぬが、座って腕を広げてくれぬか」
「……?こう、ですか?」
全く意図が読み取れない。
だが主の言葉なので、フェンリッヒは近くにあった椅子に腰かけ、手を広げた。
3056神妙な面持ちで部屋に入ってきた主がそう言ったのは、つい今しがた。
自室で休もうとしていたフェンリッヒは、少し固まった。
頼みなどと、まさかシモベの自室にまで足を運ばねばならないほどの重大な出来事でもあったのか、それとも自分がなにか知らぬ間に至らぬことをしてしまったのか。
あれこれと思考を巡らせた一瞬、フェンリッヒはただ一言返した。
「…なんでしょう、閣下。何なりとお申し付けを」
「うむ。お前ならそう言ってくれると思っていた。…すまぬが、座って腕を広げてくれぬか」
「……?こう、ですか?」
全く意図が読み取れない。
だが主の言葉なので、フェンリッヒは近くにあった椅子に腰かけ、手を広げた。
last_of_QED
DOODLE夏のフェンヴァル🐺🦇※Cuffing season…人肌恋しい季節のこと。
【Cuffing Seasons】「ヴァル様? いかがされましたか」
吸血鬼のマントから複数匹の蝙蝠が飛び出し、キーキーと狼男を威嚇している。主の眷属にやつ当たることが憚られるのか、フェンリッヒは小さな生き物に道を阻まれ、噛み付かれても、ただされるがままだ。
「どうもこうもな」
ヴァルバトーゼの不機嫌そうな赤い瞳にギロリと睨まれ、フェンリッヒはたじろいだ。
朝食のイワシのつみれ汁に血を仕込んだせいだろうか? それとも傷を負った泥棒天使にケムシ団子を食わせようとしたことが原因か? ……ひとつ、ふたつ、フェンリッヒの頭にはよぎるものがあったが、しかしその行いはいずれも仲間を想ってのこと。しかも、今更それしきのことで機嫌を悪くする主ではあるまいと首を傾げる。
1297吸血鬼のマントから複数匹の蝙蝠が飛び出し、キーキーと狼男を威嚇している。主の眷属にやつ当たることが憚られるのか、フェンリッヒは小さな生き物に道を阻まれ、噛み付かれても、ただされるがままだ。
「どうもこうもな」
ヴァルバトーゼの不機嫌そうな赤い瞳にギロリと睨まれ、フェンリッヒはたじろいだ。
朝食のイワシのつみれ汁に血を仕込んだせいだろうか? それとも傷を負った泥棒天使にケムシ団子を食わせようとしたことが原因か? ……ひとつ、ふたつ、フェンリッヒの頭にはよぎるものがあったが、しかしその行いはいずれも仲間を想ってのこと。しかも、今更それしきのことで機嫌を悪くする主ではあるまいと首を傾げる。
last_of_QED
REHABILI全部、風邪のせいにして。【Bless you.】ほんのり(?)フェンヴァル🐺🦇。風邪ひきフェンリッヒは可愛い。リハビリ。
【Bless you.】「……しかしだな、フェンリッヒ」
訝しげな顔がこちらを覗き込む。どんなに胡散臭い話でも大抵のことはそのままに聞き入れるこの人が、よりにもよってこのオレを疑うというのか。
細くなるガーネットの瞳に見入られ、小さく身震いする。この人は時折、何を考えているのか皆目検討がつかなくなるのだった。
「申し訳、ございません」
確かにオレの管理不足ではある。厳しい叱責を覚悟して反射的に謝罪する。頭を下げても主からの返事はなく、体の内側で脈の速くなるのを感じる。恐る恐る顔を上げれば、そこには予期していたものとは全く異なる光景が広がっていた。吸血鬼は好奇心に満ちた幼な子の顔でオレを見、しかし周囲に配慮するかのように楽しげに耳打ちするのだった。
2990訝しげな顔がこちらを覗き込む。どんなに胡散臭い話でも大抵のことはそのままに聞き入れるこの人が、よりにもよってこのオレを疑うというのか。
細くなるガーネットの瞳に見入られ、小さく身震いする。この人は時折、何を考えているのか皆目検討がつかなくなるのだった。
「申し訳、ございません」
確かにオレの管理不足ではある。厳しい叱責を覚悟して反射的に謝罪する。頭を下げても主からの返事はなく、体の内側で脈の速くなるのを感じる。恐る恐る顔を上げれば、そこには予期していたものとは全く異なる光景が広がっていた。吸血鬼は好奇心に満ちた幼な子の顔でオレを見、しかし周囲に配慮するかのように楽しげに耳打ちするのだった。
last_of_QED
DOODLEフェンヴァル🐺🦇【1031】お菓子が欲しい、悪戯もしたい。それじゃ、ダメ?【1031】 体内の空気を一新させるように、ふう、と息を吐く。ただ深呼吸をするはずが思っていたよりも遥かに大きな溜息となって出て、人知れず苦笑いする。疲労感に苛まれるだけならまだしも、仕事の進みが芳しくなかったのは教育係としていただけない。進捗が今ひとつだった理由は明確で、日中執務室を訪れる者が多く、都度デスクワークに水を差されたためだと分かっていた。
仕事はまだ片付きそうにない。せめて伸びのひとつでもしようかとおもむろにデスクから視線を上げる。そこにはいつの間にか仕事の手を止め、手の平を差し出し、何らかを要求する執事の姿があった。今日幾度も見た光景。その仕草に心当たりはあったが一応とぼけて首を傾げて見せる。
1732仕事はまだ片付きそうにない。せめて伸びのひとつでもしようかとおもむろにデスクから視線を上げる。そこにはいつの間にか仕事の手を止め、手の平を差し出し、何らかを要求する執事の姿があった。今日幾度も見た光景。その仕草に心当たりはあったが一応とぼけて首を傾げて見せる。
last_of_QED
DONE6/29新月🌑【満ち 欠ける】月の見えない夜、絆は一層深くなる。次の更新で私のお月さま創作は最後です。拙い文を、それでも読んでくださって嬉しかった。あと一回、宜しくお願いします。
※人を選びそうと思いワンクッションにしました。BAD ENDと表現したくはないのですが、多分これは世に言うBAD ENDです。 4066
last_of_QED
DOODLE5/23 🐺🦇キスの日らくがき。「キスしたい/してほしい」の一言が言えない悪魔たち、たまらなく可愛いですね。
噛み付くようにキスをして【噛み付くようにキスをして】
戦闘の終わり。くすぶっているのは鈍色に光る天羽々斬だけではない。込み上げる高揚感はこれでは到底おさまらない、物足りない。けれど迎え撃つべき相手はもう此処にはいない。奇襲をかけて来た悪魔たちは今しがた倒し切ってしまった。手持ち無沙汰に剣で空(くう)を裂けば赤い魔力が稲妻のように走り、尾を引いて消えた。息を吸い、鋭く吐く。
最近はといえば、どうにも張り合いのない者ばかり。断罪者ネモの一件以来、やはり魔界全土の悪魔たちの質が落ちてしまったのではないか、そんな不安とも不満とも表現される気持ちが込み上げたが、それは魔力を失い弱体化した自身にも当てはまることで、あえて口にすることはしなかった。
1845戦闘の終わり。くすぶっているのは鈍色に光る天羽々斬だけではない。込み上げる高揚感はこれでは到底おさまらない、物足りない。けれど迎え撃つべき相手はもう此処にはいない。奇襲をかけて来た悪魔たちは今しがた倒し切ってしまった。手持ち無沙汰に剣で空(くう)を裂けば赤い魔力が稲妻のように走り、尾を引いて消えた。息を吸い、鋭く吐く。
最近はといえば、どうにも張り合いのない者ばかり。断罪者ネモの一件以来、やはり魔界全土の悪魔たちの質が落ちてしまったのではないか、そんな不安とも不満とも表現される気持ちが込み上げたが、それは魔力を失い弱体化した自身にも当てはまることで、あえて口にすることはしなかった。
last_of_QED
DONE5/1新月🌑執事閣下🐺🦇「本編第1話で閣下がプリニーたちを取り戻せなかったら…」という暗い妄想に取り憑かれて書きました。バッドエンドのお好きな方だけどうぞ。タイトルは「きぼうのつき」と読みます。きぼうなんかない。 3786
last_of_QED
DONE2/1新月🌑執事閣下🐺🦇【マボロシコレクター】さようなら、マボロシ。※モブ悪魔が登場します。また、本作は1/3にupしたものの全編となります。既に前編をお読みの方は中盤◆◆◆以降からご覧ください。
マボロシコレクター【マボロシコレクター】
足元のジオパネルは「一撃死」を示している。いかに強大な力があれど、ジオエフェクトは何者にも等しく、絶対だ。アイテム界では最悪「詰み」も有り得る、この地に宿る魔法の力。その力を味方につけた敵は一枚も二枚も上手だったのだろう。俺たちは然るべくしてパネル上に誘い込まれたのだと思い知る。
ハメられた。小賢しい。それでも、どうしようもなく腹立たしいのは──弓を構え、あろうことか主人へと矢の先を向けている、自分自身。
「閣下! お逃げください!」
まさに絶叫と言って良いだろう。喉が枯れるのも厭わずに、叫ぶ。それでも、視線の先にいるその人は微動たりともしない。
「お願いです! このままでは私は、貴方を」
9960足元のジオパネルは「一撃死」を示している。いかに強大な力があれど、ジオエフェクトは何者にも等しく、絶対だ。アイテム界では最悪「詰み」も有り得る、この地に宿る魔法の力。その力を味方につけた敵は一枚も二枚も上手だったのだろう。俺たちは然るべくしてパネル上に誘い込まれたのだと思い知る。
ハメられた。小賢しい。それでも、どうしようもなく腹立たしいのは──弓を構え、あろうことか主人へと矢の先を向けている、自分自身。
「閣下! お逃げください!」
まさに絶叫と言って良いだろう。喉が枯れるのも厭わずに、叫ぶ。それでも、視線の先にいるその人は微動たりともしない。
「お願いです! このままでは私は、貴方を」
last_of_QED
DONER18 執事閣下🐺🦇【愛なんかなくていい】貴方が身体を繋げる理由。きっと私はそれを知って、諦めてしまいたいのです。⚠︎閣下執事も好きな人間が書いているのでかなりアヤシイ表現があります。癖(へき)には抗えなかった。 2776
last_of_QED
MOURNING1/3新月🌑執事閣下🐺🦇【マボロシコレクター(前編)】貴方が望んだIFを見せて。※後編に続きます。
マボロシコレクター【マボロシコレクター】
足元のジオパネルは「一撃死」を示している。いかに強大な力があれど、ジオエフェクトは何者にも等しく、絶対だ。アイテム界では最悪「詰み」も有り得る、この地に宿る魔法の力。その力を味方につけた敵は一枚も二枚も上手だったのだろう。俺たちは然るべくしてパネル上に誘い込まれたのだと思い知る。
ハメられた。小賢しい。それでも、どうしようもなく腹立たしいのは──弓を構え、あろうことか主人へと矢の先を向けている、自分自身。
「閣下! お逃げください!」
まさに絶叫と言って良いだろう。喉が枯れるのも厭わずに、叫ぶ。それでも、視線の先にいるその人は微動たりともしない。
「お願いです! このままでは私は、貴方を」
4655足元のジオパネルは「一撃死」を示している。いかに強大な力があれど、ジオエフェクトは何者にも等しく、絶対だ。アイテム界では最悪「詰み」も有り得る、この地に宿る魔法の力。その力を味方につけた敵は一枚も二枚も上手だったのだろう。俺たちは然るべくしてパネル上に誘い込まれたのだと思い知る。
ハメられた。小賢しい。それでも、どうしようもなく腹立たしいのは──弓を構え、あろうことか主人へと矢の先を向けている、自分自身。
「閣下! お逃げください!」
まさに絶叫と言って良いだろう。喉が枯れるのも厭わずに、叫ぶ。それでも、視線の先にいるその人は微動たりともしない。
「お願いです! このままでは私は、貴方を」
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DOODLE微エロ🔞執事閣下🐺🦇【君と微睡む】寝正月も致し方ない。君と微睡む【君と微睡む】
魔界の果て。そこは罪を犯した魂、或いは帰る場所の無い流れ悪魔(もの)たちが最後に行き着くところ。そんな地の底、地獄にも新たなる年は訪れる。そして意外にも「新年らしい」様相を見せるのだから珍妙だ。
しかしそれは年の始まりを厳かに祝う……という趣きでは決してなく、何かにかこつけてお祭り騒ぎをしたい適当な悪魔が多く居るだけのこと。
そしてそれを知って、優れた地獄の統率者はささやかに今日という日の準備を進めていた。年に一度ぐらいは、罪人も、ろくでなしも、多少呆けても良かろうと。
◆
飾られた鏡餅の丸いシルエットを見つめ首を傾げている少女。デスコ、という呼び声に振り向けばその姉が少女に向けて手を差し伸べた。
4602魔界の果て。そこは罪を犯した魂、或いは帰る場所の無い流れ悪魔(もの)たちが最後に行き着くところ。そんな地の底、地獄にも新たなる年は訪れる。そして意外にも「新年らしい」様相を見せるのだから珍妙だ。
しかしそれは年の始まりを厳かに祝う……という趣きでは決してなく、何かにかこつけてお祭り騒ぎをしたい適当な悪魔が多く居るだけのこと。
そしてそれを知って、優れた地獄の統率者はささやかに今日という日の準備を進めていた。年に一度ぐらいは、罪人も、ろくでなしも、多少呆けても良かろうと。
◆
飾られた鏡餅の丸いシルエットを見つめ首を傾げている少女。デスコ、という呼び声に振り向けばその姉が少女に向けて手を差し伸べた。
last_of_QED
DOODLE執事閣下🐺🦇【1225】クリスマス、悪魔が街にやってくる!クリスマスと畏れの話。全年齢です。1225【1225】
「クックック……浮かれているな」
人間界。イルミネーションが街中を煌びやかに彩り、年末特有の浮き足だった気配に満ちている。人々の様子は常以上に忙しない。ただその足取りは軽く、どこか希望に溢れている。
今日は12月25日。人間の言うところのクリスマス。日暮れ時ではあるが、街並みのそこかしこから光が溢れ、夜の気配を感じさせない。電飾の施された街路樹の中には一等目立つものがある。背の高いもみの木が今日という日のアイコンとして飾られており、天辺にはベツレヘムの星。そして木の元には黒いコートに身を包んだ男が一人佇んでいる。その足元を良く見れば、人々の映す影よりも昏い何かを纏っていたが、行き交う人々の誰一人、そのことには気付かない。
2353「クックック……浮かれているな」
人間界。イルミネーションが街中を煌びやかに彩り、年末特有の浮き足だった気配に満ちている。人々の様子は常以上に忙しない。ただその足取りは軽く、どこか希望に溢れている。
今日は12月25日。人間の言うところのクリスマス。日暮れ時ではあるが、街並みのそこかしこから光が溢れ、夜の気配を感じさせない。電飾の施された街路樹の中には一等目立つものがある。背の高いもみの木が今日という日のアイコンとして飾られており、天辺にはベツレヘムの星。そして木の元には黒いコートに身を包んだ男が一人佇んでいる。その足元を良く見れば、人々の映す影よりも昏い何かを纏っていたが、行き交う人々の誰一人、そのことには気付かない。
last_of_QED
CAN’T MAKE11/5新月🌑執事閣下🐺🦇【俺の名を、呼んで】今、貴方を否定する。「呼んで、俺の名を」の後日談。お時間が許せば前作から是非どうぞ→https://poipiku.com/1651141/5443404.html
俺の名を、呼んで【俺の名を、呼んで】
教会には、足音だけが響いている。祭壇の上部、天井近くのステンドグラスから柔い光が射し込んで、聖女の肌の上ではじけた。神の教えを広め、天と民とを繋ごうとする者、聖職者。その足元にも、ささやかな光を受けて影は伸びる。
しんと凍えそうな静寂の中、彼女はひとり祭壇へと向き合っていた。燭台に火を分け、使い古しの聖書を広げるが、これは決してルーチンなどではない。毎日新しい気持ちで、彼女は祈る。故に天も、祝福を与えるのだろう。穢れない彼女はいつか天使にだってなるかもしれない。真っ直ぐな姿勢にはそんな予感すら覚える眩しさがあった。
静けさを乱す、木の軋む音。聖女ははたと振り返る。開け放っていた出入口の扉がひとりでに閉まるのを彼女は遠目に見つめた。風のせいだろうかと首を傾げれば、手元で灯したばかりの蝋燭の火が揺らめき、何者かの息によって吹き消える。不可思議な現象に、彼女の動作と思考、双方が同時に止まる。奏者不在のパイプオルガンがゆっくりと讃美歌を奏でればいよいよ不穏な気配が立ち込める。神聖なはずの教会が、邪悪に染まっていく。
6012教会には、足音だけが響いている。祭壇の上部、天井近くのステンドグラスから柔い光が射し込んで、聖女の肌の上ではじけた。神の教えを広め、天と民とを繋ごうとする者、聖職者。その足元にも、ささやかな光を受けて影は伸びる。
しんと凍えそうな静寂の中、彼女はひとり祭壇へと向き合っていた。燭台に火を分け、使い古しの聖書を広げるが、これは決してルーチンなどではない。毎日新しい気持ちで、彼女は祈る。故に天も、祝福を与えるのだろう。穢れない彼女はいつか天使にだってなるかもしれない。真っ直ぐな姿勢にはそんな予感すら覚える眩しさがあった。
静けさを乱す、木の軋む音。聖女ははたと振り返る。開け放っていた出入口の扉がひとりでに閉まるのを彼女は遠目に見つめた。風のせいだろうかと首を傾げれば、手元で灯したばかりの蝋燭の火が揺らめき、何者かの息によって吹き消える。不可思議な現象に、彼女の動作と思考、双方が同時に止まる。奏者不在のパイプオルガンがゆっくりと讃美歌を奏でればいよいよ不穏な気配が立ち込める。神聖なはずの教会が、邪悪に染まっていく。
last_of_QED
DONER18 執事閣下🐺🦇「うっかり相手の名前を間違えてお仕置きプレイされる主従ください🐺🦇」という有難いご命令に恐れ多くもお応えしました。謹んでお詫び申し上げます。後日談はこちら→ https://poipiku.com/1651141/5571351.html呼んで、俺の名を【呼んで、俺の名を】
抱き抱えた主人を起こさぬよう、寝床の棺へとそっと降ろしてやる。その身はやはり成人男性としては異常に軽く、精神的にこたえるものがある。
深夜の地獄はしんと暗く、冷たい。人間共の思い描く地獄そのものを思わせるほど熱気に溢れ、皮膚が爛れてしまうような日中の灼熱とは打って変わって、夜は凍えるような寒さが襲う。悪魔であれ、地獄の夜は心細い。此処は一人寝には寒過ぎる。
棺桶の中で寝息を立てるのは、我が主ヴァルバトーゼ様。俺が仕えるのは唯一、このお方だけ。それを心に決めた美しい満月の夜からつゆも変わらず、いつ何時も付き従った。
あれから、早四百年が経とうとしている。その間、語り切れぬほどの出来事が俺たちには降り注いだが、こうして何とか魔界の片隅で生きながらえている。生きてさえいれば、幾らでも挽回の余地はある。俺と主は、その時を既に見据えていた。堕落し切った政腐を乗っ取ってやろうというのだ。
2926抱き抱えた主人を起こさぬよう、寝床の棺へとそっと降ろしてやる。その身はやはり成人男性としては異常に軽く、精神的にこたえるものがある。
深夜の地獄はしんと暗く、冷たい。人間共の思い描く地獄そのものを思わせるほど熱気に溢れ、皮膚が爛れてしまうような日中の灼熱とは打って変わって、夜は凍えるような寒さが襲う。悪魔であれ、地獄の夜は心細い。此処は一人寝には寒過ぎる。
棺桶の中で寝息を立てるのは、我が主ヴァルバトーゼ様。俺が仕えるのは唯一、このお方だけ。それを心に決めた美しい満月の夜からつゆも変わらず、いつ何時も付き従った。
あれから、早四百年が経とうとしている。その間、語り切れぬほどの出来事が俺たちには降り注いだが、こうして何とか魔界の片隅で生きながらえている。生きてさえいれば、幾らでも挽回の余地はある。俺と主は、その時を既に見据えていた。堕落し切った政腐を乗っ取ってやろうというのだ。
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DONER18 執事閣下🐺🦇いけないことだ。ずるいことだ。でも、悪魔なのだから、良いのだろうか。二次創作のド定番、媚薬ネタを書きました。R指定するほどではないですが、まだお縄につきたくないので念のため。
悪いこと、いけないこと、その全部【悪いこと、いけないこと、その全部】
手を、離す。風を纏い宙を駆ける。剣を振りかぶり、弓使いを上空から穿てば刃がその存在を魂ごと切り裂いて、悪魔は何事もなかったかのよう時空ゲート上へと着地する。彼を持ち上げ、宙へと投げた狼男が「お見事です」と後方から恭しく頭を下げた。
「アイテム界は癖になっていかんな」
「少々深入りし過ぎたかもしれませんね」
魔界政腐の堕落を憂い、再教育を企む二人は既に魔界下層区、中層区を制圧し終えていた。支持者を得、仲間も増えたことで大所帯になった地獄だが、今アイテム界を行くのは吸血鬼と人狼の二人だけである。志を同じくする仲間たちと言えど所詮は悪魔。何処に行くにも仲良く一緒、などということはない。アイテム界は趣味の世界ではある。攻略については各々が打倒政腐の戦略に差し支えない範囲で行うことが暗黙の了解となっていた。
5624手を、離す。風を纏い宙を駆ける。剣を振りかぶり、弓使いを上空から穿てば刃がその存在を魂ごと切り裂いて、悪魔は何事もなかったかのよう時空ゲート上へと着地する。彼を持ち上げ、宙へと投げた狼男が「お見事です」と後方から恭しく頭を下げた。
「アイテム界は癖になっていかんな」
「少々深入りし過ぎたかもしれませんね」
魔界政腐の堕落を憂い、再教育を企む二人は既に魔界下層区、中層区を制圧し終えていた。支持者を得、仲間も増えたことで大所帯になった地獄だが、今アイテム界を行くのは吸血鬼と人狼の二人だけである。志を同じくする仲間たちと言えど所詮は悪魔。何処に行くにも仲良く一緒、などということはない。アイテム界は趣味の世界ではある。攻略については各々が打倒政腐の戦略に差し支えない範囲で行うことが暗黙の了解となっていた。
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DONE10/6新月🌑執事閣下🐺🦇【つきよみのきみと】月の出を、知らない君と待つ。つきよみのきみと【つきよみのきみと】
忘れてはならなかったはずの記憶は、泡(あぶく)のように弾け消えた。オレは風に魔力を編み込む術(すべ)は愚か、此処に立っている理由を、頭の中にあったはずの悉くを何処かに置き忘れて来てしまったらしい。在るのは記憶の抜け殻としてのこの身体だけ。……「忘れてはならなかった」? はて、オレのような根無し草が何をそのように想うだろう。
ところで、オレに降り注ぐ妖霊族の呪文の嵐を弾き返し、しなやかに槍を振るうこの男は、一体何者であったか。
「おい、大丈夫かフェンリッヒ!?」
フェンリッヒ? ああ、オレのことか。目の先で振るわれた槍が防いで散らした青い魔力。それが頬ギリギリを掠めていく。堆(うずたか)く積み上がったジオブロックの上から、魔物が此方を見下ろし、笑う。
3622忘れてはならなかったはずの記憶は、泡(あぶく)のように弾け消えた。オレは風に魔力を編み込む術(すべ)は愚か、此処に立っている理由を、頭の中にあったはずの悉くを何処かに置き忘れて来てしまったらしい。在るのは記憶の抜け殻としてのこの身体だけ。……「忘れてはならなかった」? はて、オレのような根無し草が何をそのように想うだろう。
ところで、オレに降り注ぐ妖霊族の呪文の嵐を弾き返し、しなやかに槍を振るうこの男は、一体何者であったか。
「おい、大丈夫かフェンリッヒ!?」
フェンリッヒ? ああ、オレのことか。目の先で振るわれた槍が防いで散らした青い魔力。それが頬ギリギリを掠めていく。堆(うずたか)く積み上がったジオブロックの上から、魔物が此方を見下ろし、笑う。
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DOODLER18 執事閣下🐺🦇【甘く、酸っぱく、癖になる】人間界のお祭りに学ぶつもりが、ホテルでソープランドみたいなプレイをしてしまうどうしようもない話。甘く、酸っぱく、癖になる【甘く、酸っぱく、癖になる】
ベルベットのマントをはためかせ、吸血鬼は高らかに宣言した。その良く通る声に誰も彼もが息を呑み、振り返る。
……と言っても、聴衆の大半はプリニーであるのだが。
「お前たちの尽力に感謝する! 甲斐あってイワシ夏祭りの準備もいよいよ大詰めだ! そこで……仕上げとして人間界の夏祭りを偵察しに行くこととした!」
彼奴らは楽しむ才能に長けているからな、行けば今構想しているイワシ夏祭りに足りないものが見つかるやもしれん。プリニーたちに語り掛ける閣下はうきうきと愉しげだ。
一方、俺はと言えば。主人から発された「人間界」の一言で脳内にトラウマが蘇る。肌が粟立つ。「いってらっしゃいませッス〜」だの「お土産よろしくッス!」だのと呑気なプリニーたちが酷く恨めしい。そも、罪人の癖に閣下に対して馴れ馴れし過ぎるだろう。土産を強請ったプリニーは後でみっちり再教育だ。
7095ベルベットのマントをはためかせ、吸血鬼は高らかに宣言した。その良く通る声に誰も彼もが息を呑み、振り返る。
……と言っても、聴衆の大半はプリニーであるのだが。
「お前たちの尽力に感謝する! 甲斐あってイワシ夏祭りの準備もいよいよ大詰めだ! そこで……仕上げとして人間界の夏祭りを偵察しに行くこととした!」
彼奴らは楽しむ才能に長けているからな、行けば今構想しているイワシ夏祭りに足りないものが見つかるやもしれん。プリニーたちに語り掛ける閣下はうきうきと愉しげだ。
一方、俺はと言えば。主人から発された「人間界」の一言で脳内にトラウマが蘇る。肌が粟立つ。「いってらっしゃいませッス〜」だの「お土産よろしくッス!」だのと呑気なプリニーたちが酷く恨めしい。そも、罪人の癖に閣下に対して馴れ馴れし過ぎるだろう。土産を強請ったプリニーは後でみっちり再教育だ。
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DONEあなたに欲望(ねがい)はありますか。ほんのり執事閣下🐺🦇これは愚か者たちのねがいの話。(極悪LV9999開催おめでとうございます!)
欲望(ねがい)と毒一滴【欲望(ねがい)と毒一滴】
欲しいものほど手に入らない。得られぬと思うと一層欲しくなる。それが人間という生き物の性(さが)であるのだろう。人の求めるもの。それは例えば富、例えば地位。あるいは難攻不落の誰かであったりする。
手に入れたい、そんな強い想いはか弱きはずの人間を突き動かし、時として驚くようなことまでさせてのける。そのパワーは俺たち悪魔の想像を遥か超えていく。絆だとか信頼だとか……そんなものにまで可能性を見出している我が主人はさておき、俺も人間の貪欲さにはある種の可能性を感じなくもない。
ところでお前は知っているか。人の欲望を叶える「悪魔」の存在を。どうせ縋るならばお祈り聞き流しの神様よりも、是非とも悪魔にするが良い。それなりの対価を支払うことにはなるだろうが、きっちりと契約履行を果たすと保証しよう。
3478欲しいものほど手に入らない。得られぬと思うと一層欲しくなる。それが人間という生き物の性(さが)であるのだろう。人の求めるもの。それは例えば富、例えば地位。あるいは難攻不落の誰かであったりする。
手に入れたい、そんな強い想いはか弱きはずの人間を突き動かし、時として驚くようなことまでさせてのける。そのパワーは俺たち悪魔の想像を遥か超えていく。絆だとか信頼だとか……そんなものにまで可能性を見出している我が主人はさておき、俺も人間の貪欲さにはある種の可能性を感じなくもない。
ところでお前は知っているか。人の欲望を叶える「悪魔」の存在を。どうせ縋るならばお祈り聞き流しの神様よりも、是非とも悪魔にするが良い。それなりの対価を支払うことにはなるだろうが、きっちりと契約履行を果たすと保証しよう。
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BLANK診断メーカーよりお題『「いっそ消えてしまえばよかった」で始まり、「もう会えないかもしれないと思った」で終わる物語』エロなしネタバレなしギャグ100%(本当にごめんなさい)ディスガイアプレイヤー全員考えたことあると思います。
それは、二度美味しい【それは、二度美味しい】
いっそ消えてしまえば良かったのだ。そうすればこんな葛藤も、くだらない自問自答も、その一切は必要がなかった。
周囲を入念に見渡し、人影がないのを確認すると、俺は改めて自身の手元を見た。回復アイテム「かんだガム」がそこにはあった。それもただのガムではない。「閣下のかんだガム」なのだ。
誰がどうして噛んだガムをもう一度噛もうなどと思いついたのか。消費アイテムが一度使っても消えないなんて、そんなことがあって良いものか。何者かが味わい尽くし、吐き出したガムを後でもう一度味わわされるなどと……想像するだけでゾッとする。とてもじゃないが正気ではない。そもそも何故噛んだ後のガムに微量ながらもHP回復効果があるのか。しかもレベルが低い内はガムよりも噛んだガムの方がむしろ良い塩梅であることも多々あるのが憎い。
670いっそ消えてしまえば良かったのだ。そうすればこんな葛藤も、くだらない自問自答も、その一切は必要がなかった。
周囲を入念に見渡し、人影がないのを確認すると、俺は改めて自身の手元を見た。回復アイテム「かんだガム」がそこにはあった。それもただのガムではない。「閣下のかんだガム」なのだ。
誰がどうして噛んだガムをもう一度噛もうなどと思いついたのか。消費アイテムが一度使っても消えないなんて、そんなことがあって良いものか。何者かが味わい尽くし、吐き出したガムを後でもう一度味わわされるなどと……想像するだけでゾッとする。とてもじゃないが正気ではない。そもそも何故噛んだ後のガムに微量ながらもHP回復効果があるのか。しかもレベルが低い内はガムよりも噛んだガムの方がむしろ良い塩梅であることも多々あるのが憎い。
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DOODLE溺れた先の水底で貴方と呼吸を分け合って。執事閣下🐺🦇全年齢ですが事後描写あります
その水底で呼吸を分けて【その水底で呼吸を分けて】
満ちる光の気配で意識が鮮明になっていく。俺は此処に堕ちて来るまで、地獄という場所を誤解していたらしい。
魔界の最底辺。そこは朝と夜の区別などなく、陰鬱と、居心地の悪さに満ちた空間だと長らく思い込んでいた。
身体が鉛のように重い。理由ぐらい、言われずとも分かっている。視線を隣の枕へ向けると確かにいたはずの人がもぬけの殻で心臓が止まる。慌てて上半身を起こし目をこすれば、窓際に人影を見て胸を撫で下ろす。
そこには揺れるカーテンの隙間から薄日を浴びる主人の姿があった。光を自ら浴びる吸血鬼などこの人以外にいるのだろうか。羽織っただけのシャツからのぞく素肌は魅惑的と言うよりも、柔い光に包まれ、神秘的なものに思えた。血を吸わなくなったために縮んでしまったその体格には今なお不安を覚え、肉のない肋骨を直視出来ない。腕を掴んでも腰を掴んでも、その華奢な体つきに力を込めるのを躊躇ってしまう。
3363満ちる光の気配で意識が鮮明になっていく。俺は此処に堕ちて来るまで、地獄という場所を誤解していたらしい。
魔界の最底辺。そこは朝と夜の区別などなく、陰鬱と、居心地の悪さに満ちた空間だと長らく思い込んでいた。
身体が鉛のように重い。理由ぐらい、言われずとも分かっている。視線を隣の枕へ向けると確かにいたはずの人がもぬけの殻で心臓が止まる。慌てて上半身を起こし目をこすれば、窓際に人影を見て胸を撫で下ろす。
そこには揺れるカーテンの隙間から薄日を浴びる主人の姿があった。光を自ら浴びる吸血鬼などこの人以外にいるのだろうか。羽織っただけのシャツからのぞく素肌は魅惑的と言うよりも、柔い光に包まれ、神秘的なものに思えた。血を吸わなくなったために縮んでしまったその体格には今なお不安を覚え、肉のない肋骨を直視出来ない。腕を掴んでも腰を掴んでも、その華奢な体つきに力を込めるのを躊躇ってしまう。
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DONE魔界の転生システムについて。執事閣下🐺🦇はじめまして、私の想い人。
はじめましてを何度でも【はじめましてを何度でも】
転生。悪魔がより強大な力を得ることを目的として、代々魔界に伝わる禁忌術。現代となってはそのシステムは仔細解明され、下級悪魔ですら当然のように享受し、利用することの出来る術式となっている。最早確立されたこの仕組みを疑う者は魔界広しといえど、いないだろう。
しかし、どんなシステムにも瑕疵(バグ)は付き物。転生して、本当にまた"自分として生まれ変われるか"……そんな不安が時折よぎると言ったら、貴方は笑うだろうか。
此処は魔界、暗黒議会前。間も無く議会は閉会となり、重々しい扉が開くその時を迎えようとしている。曲がりなりにも暗黒議会を通すのだ。友好的だった議員の裏切り等の一定の不確定要素はあれど、力で捻じ伏せることがない限り、議会による決定は絶対。再び同じ者として転生出来ることは頭では分かっている、分かっているのだが。
2432転生。悪魔がより強大な力を得ることを目的として、代々魔界に伝わる禁忌術。現代となってはそのシステムは仔細解明され、下級悪魔ですら当然のように享受し、利用することの出来る術式となっている。最早確立されたこの仕組みを疑う者は魔界広しといえど、いないだろう。
しかし、どんなシステムにも瑕疵(バグ)は付き物。転生して、本当にまた"自分として生まれ変われるか"……そんな不安が時折よぎると言ったら、貴方は笑うだろうか。
此処は魔界、暗黒議会前。間も無く議会は閉会となり、重々しい扉が開くその時を迎えようとしている。曲がりなりにも暗黒議会を通すのだ。友好的だった議員の裏切り等の一定の不確定要素はあれど、力で捻じ伏せることがない限り、議会による決定は絶対。再び同じ者として転生出来ることは頭では分かっている、分かっているのだが。
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CAN’T MAKE皿の上の鰯、それは愛する主人のために。執事閣下🐺🦇御馳走とはなにか。
御馳走の作り方【御馳走の作り方】
「また鰯かよ! ボクは魚は嫌いだって言ってるだろ!」
「お前らの分はついでだ。ヴァル様が『同じ釜の飯を食わせたい』と仰るから作ってやっているが……まさかそのご厚意を無下にする訳ではないだろうな?」
「いや美味しいのよ? 美味しいんだけどこう鰯続きで喜ぶのはアンタのご主人様ぐらい……って……うん?」
隣の席から此方を見やり、プリニー帽の少女は首を傾げた。此処は泣く子も黙る魔界のどん底、地獄。仲間たちとの賑やかな食卓に、にわかに静寂が訪れる。
「なんかヴァルっち……具合悪い?」
「……お口に合いませんでしたか?」
「なっ、なんのことだ。美味いぞイワシは。味付けも申し分ない」
そう言った割に、皿の上の鰯ソテーはほとんど減っていなかった。誤魔化すように一口、その身を口に運ぶ。バターの香ばしさは勿論のこと、香草が鼻を抜け、臭みは消えている。安価な魚は良い料理人により工夫され、風味豊かに調理されていた。
6212「また鰯かよ! ボクは魚は嫌いだって言ってるだろ!」
「お前らの分はついでだ。ヴァル様が『同じ釜の飯を食わせたい』と仰るから作ってやっているが……まさかそのご厚意を無下にする訳ではないだろうな?」
「いや美味しいのよ? 美味しいんだけどこう鰯続きで喜ぶのはアンタのご主人様ぐらい……って……うん?」
隣の席から此方を見やり、プリニー帽の少女は首を傾げた。此処は泣く子も黙る魔界のどん底、地獄。仲間たちとの賑やかな食卓に、にわかに静寂が訪れる。
「なんかヴァルっち……具合悪い?」
「……お口に合いませんでしたか?」
「なっ、なんのことだ。美味いぞイワシは。味付けも申し分ない」
そう言った割に、皿の上の鰯ソテーはほとんど減っていなかった。誤魔化すように一口、その身を口に運ぶ。バターの香ばしさは勿論のこと、香草が鼻を抜け、臭みは消えている。安価な魚は良い料理人により工夫され、風味豊かに調理されていた。
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BLANK【5/24 キスを超える日】ほんのり執事閣下【524】かつてキスをせがまれたことがあった。驚くべきことに、吸血対象の人間の女からだ。勿論、そんなものに応えてやる義理はなかったが、その時の俺は気まぐれに問うたのだ。悪魔にそれを求めるにあたり、対価にお前は何を差し出すのだと。
女は恍惚の表情で、「この身を」だの「あなたに快楽を」だのと宣った。この人間には畏れが足りぬと、胸元に下がる宝石の飾りで首を絞めたが尚も女は欲に滲んだ瞳で俺を見、苦しそうに笑っていた。女が気を失ったのを確認すると、今しがた吸った血を吐き出して、別の人間の血を求め街の闇夜に身を隠したのを良く覚えている。
気持ちが悪い。そう、思っていたのだが。
──今ならあの濡れた瞳の意味がほんの少しは分かるような気がする。
「閣下、私とのキスはそんなに退屈ですか」
「すまん、少しばかり昔のことを思い出していた」
「……そうですか」
それ以上は聞きたくないと言うようにフェンリッヒの手が俺の口を塞ぐ。存外にごつく、大きい手だと思う。その指で確かめるよう唇をなぞり、そして再び俺に口付けた。ただ触れるだけのキスは不思議と心地が良かった。体液を交わすような魔力供給をし 749
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DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
「そうか、俺が出よう」
「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
「フム、仕方あるまいな」
何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。
これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。
そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025
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MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。
そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。
あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。
「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
「ええ、おかしくなってください、閣下」
甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007