狭山くん
MOURNING2021-12-07/COBA2の後日談。うっかりしてたら本編書いた3年後に本編にも登場した男二人がデキてた。デキてるとは思わなかった。望むべくは、「連翹」
ひどく広く古風な造りをした日本家屋の奥、ひっそりと造られた離れにその声は静かに響いた。
低くぶっきら棒に吐き出されたその言葉は、盛りの頃を過ぎた春に花を付ける樹の名で。夏の終わりに耳にするには、少しアンバランスだと離れに置かれた文机の前に座る男は小さく笑う。まるで自分のようだと。盛りの頃を過ぎても、今が盛りであると勘違いしていた男には似合いの名だ、なんて春に花咲く木の名をそのまま付けられた男はゆっくりと振り返る。
振りからずとも、盛りの過ぎた花の名を――滅多に呼ばれることは無くなっていた自身の名を呼ぶ男が誰かは知っていた。桐生連翹は両腕でその体の向きを変え、離れの入り口に立つ男を確かめるように視線を向けた。
4560ひどく広く古風な造りをした日本家屋の奥、ひっそりと造られた離れにその声は静かに響いた。
低くぶっきら棒に吐き出されたその言葉は、盛りの頃を過ぎた春に花を付ける樹の名で。夏の終わりに耳にするには、少しアンバランスだと離れに置かれた文机の前に座る男は小さく笑う。まるで自分のようだと。盛りの頃を過ぎても、今が盛りであると勘違いしていた男には似合いの名だ、なんて春に花咲く木の名をそのまま付けられた男はゆっくりと振り返る。
振りからずとも、盛りの過ぎた花の名を――滅多に呼ばれることは無くなっていた自身の名を呼ぶ男が誰かは知っていた。桐生連翹は両腕でその体の向きを変え、離れの入り口に立つ男を確かめるように視線を向けた。
狭山くん
MOURNING2015-07-13/トキがササハラを迎えに行くだけの話似てない兄弟・似たもの同士「それじゃぁ、浩介さんの仕事が終わる位の時間に迎えに行きますね」
国際電話の通話相手がそう言いだした所で、こうなる可能性について気付くべきだった。
遅くまで部活に勤しんでいた生徒達が帰る頃に、俺も職場である学校の玄関を抜け出して、パタパタと俺を抜き去って帰る彼らの背中に「気をつけて帰るんだぞー」と気の抜けた声をかけていた時にその異変に気付かされた。
何か、人だかりが出来ているんだけど。
心の中でだけそう呟いてその人だかりをチラリと見遣ればスカート姿の女子集団の中心で多少慌てているらしい男の姿。その男の隣には高級車。そしてだめ押しのごとく、男が助かったとでも言うように上げた「浩介さん!」の声。
「まじかよ……」
1435国際電話の通話相手がそう言いだした所で、こうなる可能性について気付くべきだった。
遅くまで部活に勤しんでいた生徒達が帰る頃に、俺も職場である学校の玄関を抜け出して、パタパタと俺を抜き去って帰る彼らの背中に「気をつけて帰るんだぞー」と気の抜けた声をかけていた時にその異変に気付かされた。
何か、人だかりが出来ているんだけど。
心の中でだけそう呟いてその人だかりをチラリと見遣ればスカート姿の女子集団の中心で多少慌てているらしい男の姿。その男の隣には高級車。そしてだめ押しのごとく、男が助かったとでも言うように上げた「浩介さん!」の声。
「まじかよ……」
狭山くん
MOURNING2015-07-08/弟の彼氏(ハナさん)と彼氏の姉(笹野)。きまずい来訪「あ、ハナさんどーもーぉ」
俺が向かおうとしていたアパートで二階の窓に腰掛け、タバコ片手に半身を乗り出しながら呼びかける女性の姿を発見し、思わず叫ぶ選択肢しか見つけることができなかったのは多分きっと、俺の落ち度では無いはずだ。
「わー! 葎花さん落ちる落ちる!!」
「いや、大丈夫だっての」
そんな俺の叫びをサラリとスルーした彼女は玄関口を開けて慌ててアパートの階段を駆け上がった俺を迎える。
「そんなに慌てなくたって落ちないんだけど」
俺よりも一回り程年下の筈である彼女がこんな口調で俺に接するのには何とも言い難い訳がある。
「格臣、バイト長引いてるんだと、何か飲む?」
「お……オキニナサラズ……」
1757俺が向かおうとしていたアパートで二階の窓に腰掛け、タバコ片手に半身を乗り出しながら呼びかける女性の姿を発見し、思わず叫ぶ選択肢しか見つけることができなかったのは多分きっと、俺の落ち度では無いはずだ。
「わー! 葎花さん落ちる落ちる!!」
「いや、大丈夫だっての」
そんな俺の叫びをサラリとスルーした彼女は玄関口を開けて慌ててアパートの階段を駆け上がった俺を迎える。
「そんなに慌てなくたって落ちないんだけど」
俺よりも一回り程年下の筈である彼女がこんな口調で俺に接するのには何とも言い難い訳がある。
「格臣、バイト長引いてるんだと、何か飲む?」
「お……オキニナサラズ……」
狭山くん
MOURNING2015-03-04/最初期の笹野弟とハナさんバイト君と会社員 その人は、俺がシフトに入っている時間帯によく来る人だった。レジ越しに対応する事も多く、ちょっとした世間話をする程度の常連客。仕事帰りに寄るのか、それともまた仕事に戻るのかは知らないが、いつも弁当とデザート、そして栄養ドリンクを買っていく。薬指に光るシンプルな指輪に、結婚してるのにコンビニ弁当とか寂しすぎるだろ。と心の中で何度か突っ込んだこともあるけれど、それが日常と化せば突っ込む事もなくなる。
そう、名前も知らないその人が、雨の中傘もささずに公園のベンチで身体を縮こませているのだ。
急病か、それともその身体に打ち付けられる雨の冷たさなのか、彼は小さく震えている。こんな状態で放置していれば今は急病で無かったとしても、いずれは風邪をひいてしまうだろう。そう思った俺は通り過ぎる事も出来ず、彼の居るベンチへと足を向ける。そして、聞こえてくるのは、嗚咽。泣いているのだ、彼は。
1457そう、名前も知らないその人が、雨の中傘もささずに公園のベンチで身体を縮こませているのだ。
急病か、それともその身体に打ち付けられる雨の冷たさなのか、彼は小さく震えている。こんな状態で放置していれば今は急病で無かったとしても、いずれは風邪をひいてしまうだろう。そう思った俺は通り過ぎる事も出来ず、彼の居るベンチへと足を向ける。そして、聞こえてくるのは、嗚咽。泣いているのだ、彼は。
狭山くん
MOURNING2014-10-11/女装ネタは遍くカプで何度でもやりたい。セーラー服と大学生「タクミ、折り入って相談があるんだ……」
珍しく真剣な顔で切り出した歳上の友人に、一体どんな深刻な悩みがあるのかと親身に話を聞こうとした俺が馬鹿だった。
話は遡ること数時間前、昼休みのカフェテリアで始まった。昼前の授業で一緒になった友人と後輩の三人で飯を食っていれば、友人が深刻そうに話を切り出したのだ。一体どんな深刻な悩みなのかと思って続きを促せば、「セーラー服を着てみたいんだけど、何処で手に入れれば良いと思う?」という馬鹿馬鹿しくとんでもない話だった。その手の店に行けばいくらでも売ってるだろ馬鹿じゃねぇの。外人の考える事は良くわからねぇ。イヤ、こいつと一括りに外国人を語らない方が良いような気がする。テーブルの向かいに座る友人ーーヴィンツェンツ・フェルマーは「パチもん臭いのじゃダメなの!」と拳を握り力説する。隣に座る後輩である瑞原をチラリと見れば黙々とうどんを食っている。聞いたれよ。そもそも馬鹿馬鹿しくてどっから突っ込めば良いのかわからない。とりあえずヴィン、お前はもうちょっと落ち着けよ。
1865珍しく真剣な顔で切り出した歳上の友人に、一体どんな深刻な悩みがあるのかと親身に話を聞こうとした俺が馬鹿だった。
話は遡ること数時間前、昼休みのカフェテリアで始まった。昼前の授業で一緒になった友人と後輩の三人で飯を食っていれば、友人が深刻そうに話を切り出したのだ。一体どんな深刻な悩みなのかと思って続きを促せば、「セーラー服を着てみたいんだけど、何処で手に入れれば良いと思う?」という馬鹿馬鹿しくとんでもない話だった。その手の店に行けばいくらでも売ってるだろ馬鹿じゃねぇの。外人の考える事は良くわからねぇ。イヤ、こいつと一括りに外国人を語らない方が良いような気がする。テーブルの向かいに座る友人ーーヴィンツェンツ・フェルマーは「パチもん臭いのじゃダメなの!」と拳を握り力説する。隣に座る後輩である瑞原をチラリと見れば黙々とうどんを食っている。聞いたれよ。そもそも馬鹿馬鹿しくてどっから突っ込めば良いのかわからない。とりあえずヴィン、お前はもうちょっと落ち着けよ。
狭山くん
MOURNING2014-10-11/青嗣くんと宇宙さんの最初期。仕事嫌いと脳内麻薬「俺さー、基本的に仕事嫌いなんだわ」
ソファを背もたれにして、ローテーブルの前に座る俺の足の間に座り、俺にもたれかかったままの体勢でタバコを吸う先輩はそんな事を口にする。ローテーブルの上では、先輩が気に入っている球体型の加湿器の中で液体がぐるぐると回っていた。
「知ってますよ、今更何スか」
そう返せば先輩は煙を吐きながらそっか、と呟き言葉を続ける。
「でもさー、何かな、クソ忙しくなるとスイッチ入るらしくてテンション上がってくるんだよな。その後すげえ疲れるんだけど」
ソレ、脳内麻薬ってヤツじゃないですか。凍死する前とか気持ち良くなるやつ。と心の中で突っ込みながら、更に言葉を続けそうな先輩の言葉を待つ。普段無口な先輩が饒舌になるのはあまり無いことだから、先輩の言葉を遮らないように。
1024ソファを背もたれにして、ローテーブルの前に座る俺の足の間に座り、俺にもたれかかったままの体勢でタバコを吸う先輩はそんな事を口にする。ローテーブルの上では、先輩が気に入っている球体型の加湿器の中で液体がぐるぐると回っていた。
「知ってますよ、今更何スか」
そう返せば先輩は煙を吐きながらそっか、と呟き言葉を続ける。
「でもさー、何かな、クソ忙しくなるとスイッチ入るらしくてテンション上がってくるんだよな。その後すげえ疲れるんだけど」
ソレ、脳内麻薬ってヤツじゃないですか。凍死する前とか気持ち良くなるやつ。と心の中で突っ込みながら、更に言葉を続けそうな先輩の言葉を待つ。普段無口な先輩が饒舌になるのはあまり無いことだから、先輩の言葉を遮らないように。
穂山野
DONE寝付きの悪い荒北と洋南大学の面々(金城、荒北、待宮が洋南にいる設定)の話初出:2014.11.04 Pixiv
2015.6.16 本文をスパコミで出した本の内容に変更。
2022.5.30 pixivより移動
尻尾俺は寝付きが悪い。
今になって始まったことじゃないから、最近は悩むこともあまりない。
外灯が部屋を薄ぼんやりと照らす。通り沿いの部屋はうるさい分安い。
ベッドに入ってしばらく経つ。酔っ払って通りを歩く賑やかな人波は少しずつ途切れていく。
朝練があった頃は「なんでこんなに疲れてんのに寝れねえンだ、チクショウ」と思ったこともあったけど、今はただ眠りの尻尾が見えたらゆらゆらと揺れるそれを上手く掴むことだけを考える。
通りが少しずつ静かになっていく。仰向けになって天井を見ながら、こうやって昔も天井を見てたなァ、と、そんなことを思い出したのは大学進学のためにひとり暮らしを始めてからだった。
静かな部屋は生き物の気配がなく、高校時代のいつもうるさかった寮生活からの反動も大きいのかもしれない。
8113今になって始まったことじゃないから、最近は悩むこともあまりない。
外灯が部屋を薄ぼんやりと照らす。通り沿いの部屋はうるさい分安い。
ベッドに入ってしばらく経つ。酔っ払って通りを歩く賑やかな人波は少しずつ途切れていく。
朝練があった頃は「なんでこんなに疲れてんのに寝れねえンだ、チクショウ」と思ったこともあったけど、今はただ眠りの尻尾が見えたらゆらゆらと揺れるそれを上手く掴むことだけを考える。
通りが少しずつ静かになっていく。仰向けになって天井を見ながら、こうやって昔も天井を見てたなァ、と、そんなことを思い出したのは大学進学のためにひとり暮らしを始めてからだった。
静かな部屋は生き物の気配がなく、高校時代のいつもうるさかった寮生活からの反動も大きいのかもしれない。
祷治の恥さらし。
DONE腐女子フィルターが搭載されていると、こう見えるんですね。今回のイベントもう新彰推してる人が作ったとしか思えない…終始、彰人は新のこと気にしてチラチラ見てたし、新はちょっと弱い部分を彰人(と冬弥もいたけどw)にさらけ出して距離がグッと近付いたという…新たなカプにどハマリするのでしたm(_ _)mありす(元うさ実、マネキネコ)
DOODLE僕たちに触れないでドアが開いても、閉じ込められたままでいる2人…
立入禁止のイメージで描きました🚪
いつもと系統が違うのでちょっと心配…😥
ゴシックも好きです。。☦️
nyao_n22
REHABILI有黒と嶺のうちよそ小説(BL)ですふがしから頂いた小説に歓喜したあまりに書いた嶺の独白小説となってますので、先にそちらを読んでもらった方がわかりやすいです
1枚目に注意書きがあるのでそちらをよく読んで理解した方のみどうぞ
#有黒と嶺 #オリキャラ 27
ありす(元うさ実、マネキネコ)
DOODLEこんなことしちゃいけない、でも…キスする2人。。💞
求め合う気持ちは止められない、そんな2人です。。🌹
なかなか自分で納得できるものが描けず頻度が少なくて恐縮です🙏
ご覧いただき、ありがとうございました☺️🌸
0w0_Luna
PAST2017お題箱:最近聴く曲で俺シリーズトレース リクエスト
-OZONE-(遊戯王5D's ED)でトレース
緋田信長|前木慶次|徳川真琴|近藤凜|一条唯|茨城眠
完成とベース塗り 2
rinngo6363
DONEお題ガチャで解釈一致過ぎて先汁垂らしながら書いたヤツです。いろいろと脳死してます。好きな人の話がしたいロイドと自分しか知らない好きな人の姿を話したくないランディ。お題ガチャ
「他の誰かと居る時についランディの話をしてしまうロイド。自分しか知らないロイドのことを誰にも話したくないランディ。」
「でねその時にランディが」
「じー…」
「あ、ご、ごめん。またしちゃった…」
シュンと縮こまるロイド。
エリィとティオの視線はひどく痛い。ランディとお付き合いをして1ヶ月…根気強くランディに好きだと伝え、たとえ逃げられようとも必死に手を掴み告白したのだ。
ついに根気負けしたランディにOKの返事を貰い舞い上がった心は今でも強く、好きな人の話になるとつい熱く語ってしまう。
「お熱いことで…ねぇランディさん」
「こっ恥ずかしいから見るな…」
頬を赤らめ手で顔を隠すランディ。自分に尻尾を振り撒くロイドの姿は愛らしく且つ前からロイドが自身の事を好いていた事は知っていた。だから距離を離れようとしても酷く扱った事もあった。でもそんな事があってもロイドは自分の事を好きだと伝えてきた。強く真っ直ぐな瞳に今にも泣きそうな顔で…揺れていた心は堕ち、自身もロイドの事が好きだと赤裸々に伝えたのだ。
1009「他の誰かと居る時についランディの話をしてしまうロイド。自分しか知らないロイドのことを誰にも話したくないランディ。」
「でねその時にランディが」
「じー…」
「あ、ご、ごめん。またしちゃった…」
シュンと縮こまるロイド。
エリィとティオの視線はひどく痛い。ランディとお付き合いをして1ヶ月…根気強くランディに好きだと伝え、たとえ逃げられようとも必死に手を掴み告白したのだ。
ついに根気負けしたランディにOKの返事を貰い舞い上がった心は今でも強く、好きな人の話になるとつい熱く語ってしまう。
「お熱いことで…ねぇランディさん」
「こっ恥ずかしいから見るな…」
頬を赤らめ手で顔を隠すランディ。自分に尻尾を振り撒くロイドの姿は愛らしく且つ前からロイドが自身の事を好いていた事は知っていた。だから距離を離れようとしても酷く扱った事もあった。でもそんな事があってもロイドは自分の事を好きだと伝えてきた。強く真っ直ぐな瞳に今にも泣きそうな顔で…揺れていた心は堕ち、自身もロイドの事が好きだと赤裸々に伝えたのだ。
囚われRabbits
TRAINING2号の中ではそれぞれに対して「三途の川」をテーマに色々と解釈があるのですが、幸真には生前に是非この話をして欲しいという願望がある。珍しく幸真です。
背負わずに抱えていて夏、蝉の声がジンジンと耳に木霊する。汗で張り付く布と肌、照らしつける鋭い太陽の光。身を焦がす、灼熱の地獄――。ラケットがブンブンと唸り、タンタンタンとテニスボールが跳ねる音がする、蝉が懸命に恋焦がれる叫び声を上げる中で、いつもの怒声が飛び交う音は親しみ慣れた日常だった、すくなくともあの日迄は。涼しい部屋、微かに聴こえる蝉の声だけが静寂を凌いでくれる。夕刻の音が響くまで幸村精市の夏は来ない。
ガラガラと病室の扉が開いて、真田弦一郎がそこには立っていた。幸村にとっての旧知の仲……幼なじみであり、同じ志を持ち、そして常に共にあった相手であり、幸村の想い人。約束した未来は、今は未だ果たせないけど……果たすことも難しいのかも知れないけど。他の誰かには見せられない弱気な心は、真田にだけは晒すことが出来る。
2059ガラガラと病室の扉が開いて、真田弦一郎がそこには立っていた。幸村にとっての旧知の仲……幼なじみであり、同じ志を持ち、そして常に共にあった相手であり、幸村の想い人。約束した未来は、今は未だ果たせないけど……果たすことも難しいのかも知れないけど。他の誰かには見せられない弱気な心は、真田にだけは晒すことが出来る。