chisaorito
DONE月イチヴェランに参加しました💛💙借りたお題は③小悪魔です😈
2025/3/31 up
【ヴェラン】噂の悪魔 ヴェインが騎士団長執務室の前に行くと、ちょうど中から扉が開かれて、ひとりの団員が部屋を後にするところだった。
「うおっと、あぶねー。ゴメンな〜……って、大丈夫か?」
危うくぶつかるところだったので、身体を仰け反らせたが、団員はヴェインの声が聞こえていないようだった。
ふらつく足取りで、視線を彷徨わせながら去っていく。
「やられた……、……あく……がいる……」
「へ?」
「噂は……、本当だったんだ……」
まだ若い団員の小さな声がかろうじて耳に届いた。
(今、悪魔って言ったか? 悪魔? またなんかヤバイのがフェードラッヘに現れたのか?)
ヴェインの脳裏を掠めたのは、以前とある村にアンデッドが現れた出来事だ。それはかつての騎士団長、ジークフリートを陥れる罠だったけれど、報告に来た村人が今の団員のように怯えきっていた。
6927「うおっと、あぶねー。ゴメンな〜……って、大丈夫か?」
危うくぶつかるところだったので、身体を仰け反らせたが、団員はヴェインの声が聞こえていないようだった。
ふらつく足取りで、視線を彷徨わせながら去っていく。
「やられた……、……あく……がいる……」
「へ?」
「噂は……、本当だったんだ……」
まだ若い団員の小さな声がかろうじて耳に届いた。
(今、悪魔って言ったか? 悪魔? またなんかヤバイのがフェードラッヘに現れたのか?)
ヴェインの脳裏を掠めたのは、以前とある村にアンデッドが現れた出来事だ。それはかつての騎士団長、ジークフリートを陥れる罠だったけれど、報告に来た村人が今の団員のように怯えきっていた。
chisaorito
DONE月イチヴェラン第31回に参加しました!借りたお題は交換日記です💛💙
2025/2/28 up
【ヴェラン】Austauschtagebuch ランスロットは自身の執務室で、一冊のノートを前に「うぅ〜ん……」と呻き声を出していた。
というのも、ノートに記す内容に困っているからだ。
澄みわたる空の蒼さを写しとったような、綺麗な色の表紙だ。心が穏やかになる色。
けれど、うらはらにランスロットの心は乱された。
このノートは、ある日ヴェインが「ランちゃん、『交換日記』しよう!」と持ってきたものだった。
「交換日記?」
その日、ヴェインが淹れてくれたお茶をひと口飲み、聞き返した。ランスロットにとっては馴染みのない単語だったから。
「そう! 巷で流行ってるんだってさ〜! 俺、ばあちゃんたちに誘われて〜」
どうやら、一冊の日記帳をふたり以上で共有するものらしい。手紙のやり取りとは違うのだろうか。
4729というのも、ノートに記す内容に困っているからだ。
澄みわたる空の蒼さを写しとったような、綺麗な色の表紙だ。心が穏やかになる色。
けれど、うらはらにランスロットの心は乱された。
このノートは、ある日ヴェインが「ランちゃん、『交換日記』しよう!」と持ってきたものだった。
「交換日記?」
その日、ヴェインが淹れてくれたお茶をひと口飲み、聞き返した。ランスロットにとっては馴染みのない単語だったから。
「そう! 巷で流行ってるんだってさ〜! 俺、ばあちゃんたちに誘われて〜」
どうやら、一冊の日記帳をふたり以上で共有するものらしい。手紙のやり取りとは違うのだろうか。
chisaorito
DONE小さいヴェインくん味のあるポストカードを手に入れて、幼少期が書きたくなったネタです。幼少期好きだよね〜!幼馴染みの醍醐味だからね〜!!
2025/1/10up
【ヴェラン】「ランちゃん、ご本読んで」「ランちゃん、このごほん、よんで〜」
ヴェインはお家から一冊の本を手に持って、お隣のランスロットの元へ行った。白い手すりの階段をのぼり、部屋の扉を開くと、碧い瞳をまっすぐこちらへ向けているランスロットが笑顔で迎えてくれた。
「いいよ、ヴェイン」
ランスロットはベッドに腰掛け、分厚い本を読んでいたらしい。閉じた本を後ろへやると、隣をポンポンと叩いて、ここに座れと合図をくれた。
両腕にしっかり本を抱えて、床に散らかった物を避けながら走り寄る。
ランスロットの部屋は、いつも床に物が溢れていて、避けるのも大変だった。木剣を踏みそうになり、バランスを崩した拍子に、本を落としそうになってしまう。
「あぶない……!」
4472ヴェインはお家から一冊の本を手に持って、お隣のランスロットの元へ行った。白い手すりの階段をのぼり、部屋の扉を開くと、碧い瞳をまっすぐこちらへ向けているランスロットが笑顔で迎えてくれた。
「いいよ、ヴェイン」
ランスロットはベッドに腰掛け、分厚い本を読んでいたらしい。閉じた本を後ろへやると、隣をポンポンと叩いて、ここに座れと合図をくれた。
両腕にしっかり本を抱えて、床に散らかった物を避けながら走り寄る。
ランスロットの部屋は、いつも床に物が溢れていて、避けるのも大変だった。木剣を踏みそうになり、バランスを崩した拍子に、本を落としそうになってしまう。
「あぶない……!」
chisaorito
DOODLEかいてるものができなくて息抜き!!ヴェランを書く息抜きにヴェランを書く人…
楽しかった〜〜〜!!!
2024/10/15 up
【ヴェラン】Betrunkene Vorschläge.「ランちゃん〜! ランスロットさん〜! 結婚しよ〜!」
酒気を帯びたヴェインが俺を羽交い締めにして、大きな声で言う。悔しいが、俺の倍はある腕を回されると、もう俺の力では外せない。
明日はふたり揃って休みだから、ヴェインが酔っても問題ない。ここは俺の家で、他に誰もいないから、醜態を晒しても目撃するのは俺だけだ。
それに俺は飲まないから……こほん、ちょっとアルコールの分解が苦手なだけで、弱いとかではないぞ。まあともかく、騎士団の方で何か問題があっても、俺が素面でいれば、対処できるしな。
ヴェインには好きなだけアルコールを摂取して欲しいと思っている。心に溜まったアレコレを、適度に発散するのは大事だからな。
4314酒気を帯びたヴェインが俺を羽交い締めにして、大きな声で言う。悔しいが、俺の倍はある腕を回されると、もう俺の力では外せない。
明日はふたり揃って休みだから、ヴェインが酔っても問題ない。ここは俺の家で、他に誰もいないから、醜態を晒しても目撃するのは俺だけだ。
それに俺は飲まないから……こほん、ちょっとアルコールの分解が苦手なだけで、弱いとかではないぞ。まあともかく、騎士団の方で何か問題があっても、俺が素面でいれば、対処できるしな。
ヴェインには好きなだけアルコールを摂取して欲しいと思っている。心に溜まったアレコレを、適度に発散するのは大事だからな。
fullblossom
INFOうっすみません今回の本冬コミに持って行くと言ったのに冬コミの日程が合わず不参加です…至らなすぎて恐縮です…代わりと言ってはなんですが10月の東京スパークに申し込みました。ご都合合えばよろしくお願いいたします〜
fullblossom
MENU夏コミの本ですが、ちょっと間に合わなさそうなので夏コミでは表紙絵のポストカードと中身のサンプル告知ペーパーを配布します!応援いただいたのにすみません…本自体はこの夏に出したいので、イベント後に書店先行で発行します。また告知しますのでよろしくお願いします!既刊は全部ヴェランです。
8/11、u-11a「黒猫大和」にてお待ちしてます! 2
chisaorito
DONE暑い夜のヴェランちゃん。ツイッターで呟いたネタです!
2024/07/10up
【ヴェラン】熱帯夜「ランちゃーん!」
バーンという大きな音がして扉が開いたかと思えば、そこには枕を持ったヴェインが立っていた。
正確には左の脇に枕を抱え、右手にピッチャーとグラスを載せたトレーを持っている。
ここは俺の部屋で、時刻は夜中。俺はベッドの中で本を読んでいた。当然、ヴェインもパジャマ姿だ。
真夏の夜は暑苦しく、短パンにシャツで寝ていたけれど、ヴェインは長ズボンのパジャマを着ている。子供の頃、薄着で寝ていると腹の調子を崩していたからだろう。
彼は扉の立てた音の大きさに自分で驚くと、人差し指を唇に当て、「しー、しー! 静かに!」なんてドアに向かって言うものだから、吹き出してしまった。
大丈夫だ、ここは一軒家で、隣家はずっと離れている。多少うるさくした所で、誰に咎められるわけでもない。
3524バーンという大きな音がして扉が開いたかと思えば、そこには枕を持ったヴェインが立っていた。
正確には左の脇に枕を抱え、右手にピッチャーとグラスを載せたトレーを持っている。
ここは俺の部屋で、時刻は夜中。俺はベッドの中で本を読んでいた。当然、ヴェインもパジャマ姿だ。
真夏の夜は暑苦しく、短パンにシャツで寝ていたけれど、ヴェインは長ズボンのパジャマを着ている。子供の頃、薄着で寝ていると腹の調子を崩していたからだろう。
彼は扉の立てた音の大きさに自分で驚くと、人差し指を唇に当て、「しー、しー! 静かに!」なんてドアに向かって言うものだから、吹き出してしまった。
大丈夫だ、ここは一軒家で、隣家はずっと離れている。多少うるさくした所で、誰に咎められるわけでもない。
chisaorito
DONE月イチヴェラン第23回に参加しました!お借りしたお題は②土砂降りです!
晴れの日も雨の日もヴェランは良いね☺
【ヴェラン】瞳に広がる蒼色は君の色 夏の蒼い空が好きだ。
どの季節よりも高く見え、それでいて上空まで吸い込まれ、手を伸ばせば簡単に届いてしまう――そんな錯覚を抱かせてくれる。
幼い頃、何度も蒼い空を見上げた。橙色に染まってくると家に帰らなければならない。夏の間は蒼い空の時間が長く、ランスロットと遊べる時間が長かったから、夏の蒼い空が好きなのかもしれない。
ヴェインはそんなことを考えながら、木々の合間から見える蒼色を眺めていた。
子供の頃に見た蒼色と変わらない色だ。
ランスロットは隣に住んでいたふたつ年上の幼馴染み。毎日ヴェインを迎えに来てくれて、日が暮れるまで一緒に外で遊んでいた。
クローバー探しも、虫取りも、雪遊びも、近くの廃村へ肝試しに行くのだって、ランスロットと一緒なら楽しかった。
5401どの季節よりも高く見え、それでいて上空まで吸い込まれ、手を伸ばせば簡単に届いてしまう――そんな錯覚を抱かせてくれる。
幼い頃、何度も蒼い空を見上げた。橙色に染まってくると家に帰らなければならない。夏の間は蒼い空の時間が長く、ランスロットと遊べる時間が長かったから、夏の蒼い空が好きなのかもしれない。
ヴェインはそんなことを考えながら、木々の合間から見える蒼色を眺めていた。
子供の頃に見た蒼色と変わらない色だ。
ランスロットは隣に住んでいたふたつ年上の幼馴染み。毎日ヴェインを迎えに来てくれて、日が暮れるまで一緒に外で遊んでいた。
クローバー探しも、虫取りも、雪遊びも、近くの廃村へ肝試しに行くのだって、ランスロットと一緒なら楽しかった。
chisaorito
DONE月イチヴェラン第22回に参加しました!お借りしたお題は②「ご機嫌ナナメ」です。
18 歳未満の方にも企画を楽しんで欲しく、R18 部分を抜いています。
pixivにR18部分を追加したものがありますので、大人の方はそちらへどうぞ〜☺
【ヴェラン】キミの機嫌はボク次第「機嫌を損ねる」という言葉では済まないほど、ヴェインを怒らせてしまった。
ヴェインは素直で、感情が分かり易く顔にでるけれど、いつも明るくて前向きだから、あまり不機嫌にはならないのに。
俺が揶揄って拗ねたことはあるかもしれない。
子供の頃から「ランちゃん、ランちゃん!」と俺を慕ってくれていたヴェイン。
その想いがいつしか恋に変わっていて、俺にも伝染した。
今では幼馴染みで、相棒で、親友で、恋人で、人生のパートナーでもある俺たちは、長い付き合いで一度も喧嘩をしたことがない。それほど仲がいい。
それはヴェインの優しさの賜物だと思う。本当に負の感情を持たないヴェインとは、喧嘩にならないんだ。
ヴェインが、あからさまに負の感情を他人へ向けたのは、俺の友人であるパーシヴァルに対してだろう。
9810ヴェインは素直で、感情が分かり易く顔にでるけれど、いつも明るくて前向きだから、あまり不機嫌にはならないのに。
俺が揶揄って拗ねたことはあるかもしれない。
子供の頃から「ランちゃん、ランちゃん!」と俺を慕ってくれていたヴェイン。
その想いがいつしか恋に変わっていて、俺にも伝染した。
今では幼馴染みで、相棒で、親友で、恋人で、人生のパートナーでもある俺たちは、長い付き合いで一度も喧嘩をしたことがない。それほど仲がいい。
それはヴェインの優しさの賜物だと思う。本当に負の感情を持たないヴェインとは、喧嘩にならないんだ。
ヴェインが、あからさまに負の感情を他人へ向けたのは、俺の友人であるパーシヴァルに対してだろう。
chisaorito
DONE今日がキスの日かと…笑2024/5/24up
【ヴェラン】甘い約束 午前零時。日付を跨ぐ前に帰宅したかったけど、大通りでいきつけのレストランのおじちゃんに掴まって、無理だった。
色々夜食を持たせてくれたから、滅茶苦茶ありがたいけど!
恋人のランちゃんと愛猫のムートが待つ家に、俺はいつでも、一刻も早く帰りたいからな~。
駆け足で帰宅すると、ムートが軽い足取りで玄関へ出迎えに来てくれた。ピンと伸ばした尻尾をぷるぷる細かく震わせて、熱烈歓迎してくれる。
「わはは! ただいまー、ムート! いい子にしてたか? って、いつも仕事熱心でいい子かー!」
「ニャー」
玄関でしゃがみ込み、両手でムートの頬を撫でくりまわした。気持ちよさそうに目を細め、喉をゴロゴロ鳴らしている。
城内パトロールがムートに与えられた仕事だ。特に書庫は熱心に。
3516色々夜食を持たせてくれたから、滅茶苦茶ありがたいけど!
恋人のランちゃんと愛猫のムートが待つ家に、俺はいつでも、一刻も早く帰りたいからな~。
駆け足で帰宅すると、ムートが軽い足取りで玄関へ出迎えに来てくれた。ピンと伸ばした尻尾をぷるぷる細かく震わせて、熱烈歓迎してくれる。
「わはは! ただいまー、ムート! いい子にしてたか? って、いつも仕事熱心でいい子かー!」
「ニャー」
玄関でしゃがみ込み、両手でムートの頬を撫でくりまわした。気持ちよさそうに目を細め、喉をゴロゴロ鳴らしている。
城内パトロールがムートに与えられた仕事だ。特に書庫は熱心に。
chisaorito
DONE第21回月イチヴェランに参加しました!借りたお題は「②どっちにする?」です!
2024/4/30up
お望みのまま【ヴェラン】 「……さて、じゃあ、ジャンケンでもするか?」
ランちゃんに聞かれ、俺の喉がゴクリと音を立てた。緊張で喉はカラカラなのにな!
いや、緊張とは違うか〜? 期待? 大いに期待して、ソワソワして落ち着かない。
反対にランちゃんは俺の目前で嫣然と微笑んでいる。余裕だなあ。さすがランちゃん!
幼馴染みで、親友で、上官で、兄のような存在のランスロットは、つい最近、俺の、恋人になった。
誰よりも大切な存在であるランちゃんが、俺の恋人になってくれるなんて!
まだ夢を見てるみたい。
ふたつ年上のランちゃんに恋心を抱いたのは、うんと子供の頃だ。想いが恋だと忘れるくらい長い間、片想いってやつをしていた。
ランちゃんへの気持ちは、俺の中で当然のものだったから、恋をしているのも当然で、日常で、片恋も日常で、この想いが成就するなんて考えてもいなかったんだよな。
7426ランちゃんに聞かれ、俺の喉がゴクリと音を立てた。緊張で喉はカラカラなのにな!
いや、緊張とは違うか〜? 期待? 大いに期待して、ソワソワして落ち着かない。
反対にランちゃんは俺の目前で嫣然と微笑んでいる。余裕だなあ。さすがランちゃん!
幼馴染みで、親友で、上官で、兄のような存在のランスロットは、つい最近、俺の、恋人になった。
誰よりも大切な存在であるランちゃんが、俺の恋人になってくれるなんて!
まだ夢を見てるみたい。
ふたつ年上のランちゃんに恋心を抱いたのは、うんと子供の頃だ。想いが恋だと忘れるくらい長い間、片想いってやつをしていた。
ランちゃんへの気持ちは、俺の中で当然のものだったから、恋をしているのも当然で、日常で、片恋も日常で、この想いが成就するなんて考えてもいなかったんだよな。
chisaorito
DONE第18回月イチヴェランに参加しました!お借りしたお題は①「ひとりにしないで」です☺
若干えっち…なような、そうでないような笑
2024/01/31 up
夜の向こう側【ヴェラン】「――はっ、はあ……っ」
悦楽の滲んだ乱れた呼吸がシーツに吸い込まれていく。
抱き込んだ腕の中で、ランちゃんの背中は汗でしっとりと濡れていた。俺も汗だくだけど。
俺たちは全身汗と他の体液で汚れている。
滑ったランちゃんの背中と俺の腹が重なって、熱い体温が伝わってきた。乱れた呼吸と同様に激しく上下するランちゃんの肩。
脱力した身体の重みでランちゃんを押し潰さないように、俺はランちゃんを抱きしめたままゴロリとベッドへ横たわった。ぎしりと軋む音が耳に響く。
「んん……っ」
「うー……、ごめん、抜いてなかった」
「はっ、あ……、うん……」
まだ熱の抜けない甘い声が返される。鼻にかかった声は、普段のランちゃんからは考えられない甘さが滲んでいて、俺の下半身はそれだけで元気を取り戻しちまうぜ!
5552悦楽の滲んだ乱れた呼吸がシーツに吸い込まれていく。
抱き込んだ腕の中で、ランちゃんの背中は汗でしっとりと濡れていた。俺も汗だくだけど。
俺たちは全身汗と他の体液で汚れている。
滑ったランちゃんの背中と俺の腹が重なって、熱い体温が伝わってきた。乱れた呼吸と同様に激しく上下するランちゃんの肩。
脱力した身体の重みでランちゃんを押し潰さないように、俺はランちゃんを抱きしめたままゴロリとベッドへ横たわった。ぎしりと軋む音が耳に響く。
「んん……っ」
「うー……、ごめん、抜いてなかった」
「はっ、あ……、うん……」
まだ熱の抜けない甘い声が返される。鼻にかかった声は、普段のランちゃんからは考えられない甘さが滲んでいて、俺の下半身はそれだけで元気を取り戻しちまうぜ!
chisaorito
DONE月イチヴェランに参加しました!遅刻遅刻〜!第16回お題①微睡みをお借りしています。
2023/12/10up
【ヴェラン】微睡みは腕の中「ヴェイン! ヴェイン、ほら、これカッコイイだろ? ねえ、寝るなってば」
「うん……、ランちゃ……、ねむい〜……」
小さな頭をゆらゆらと揺らし、目を擦りながらヴェインが言うのを、ランスロットは取り合わなかった。
だって、パパが新しく買ってくれた図鑑に載っているムシがカッコイイのだ。昨日からヴェインに見せたくて仕方なかったのに、ヴェインは今にも眠りそうで、ランスロットは頬を膨らませる。
リビングのソファーの上で、厚い図鑑を持ち上げ、該当のページを見せつけた。
「こんなにカッコイイのに、ヴェインは見たくないのか」
つい、強めの口調で言うと、ヴェインの瞳に涙が浮かんでくる。
「うぅ……、ぐすっ、ランちゃん……」
6189「うん……、ランちゃ……、ねむい〜……」
小さな頭をゆらゆらと揺らし、目を擦りながらヴェインが言うのを、ランスロットは取り合わなかった。
だって、パパが新しく買ってくれた図鑑に載っているムシがカッコイイのだ。昨日からヴェインに見せたくて仕方なかったのに、ヴェインは今にも眠りそうで、ランスロットは頬を膨らませる。
リビングのソファーの上で、厚い図鑑を持ち上げ、該当のページを見せつけた。
「こんなにカッコイイのに、ヴェインは見たくないのか」
つい、強めの口調で言うと、ヴェインの瞳に涙が浮かんでくる。
「うぅ……、ぐすっ、ランちゃん……」
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DONE現パロヴェランちゃん💛💙先日拾った迷子が可愛かったので息を吸うようにヴェラン変換笑
2023/11/19 up
【ヴェラン】「運命は迷子を連れて」「ランちゃん、いなくなっちゃった……!」
ランスロットが商品の陳列を整えていると、金髪の男の子が真っ直ぐに走って来て、こちらを見上げながら訴えてきた。エメラルドグリーンの瞳が心なしか潤んでいるが、どうやら泣かずに頑張っているらしい。
休日のショッピング街は朝から賑わっていて、迷子も必ず出る。ランスロットは困った様子で走ってくる子供を受け止めると、視線を合わせて微笑んだ。
(自分から迷子を名乗れて偉いぞ!)
「得意は迷子」という幼馴染みのヴェインを思い浮かべながら、心の中で思う。
子供の頃のヴェインは気付くと迷子になっていて、「俺とはぐれたら、すぐに大人を頼ること」と何度も言い聞かせていた。そのお陰かこの男の子のように、ヴェインもすぐに大人を頼って最悪の事態を避けてきた。
4011ランスロットが商品の陳列を整えていると、金髪の男の子が真っ直ぐに走って来て、こちらを見上げながら訴えてきた。エメラルドグリーンの瞳が心なしか潤んでいるが、どうやら泣かずに頑張っているらしい。
休日のショッピング街は朝から賑わっていて、迷子も必ず出る。ランスロットは困った様子で走ってくる子供を受け止めると、視線を合わせて微笑んだ。
(自分から迷子を名乗れて偉いぞ!)
「得意は迷子」という幼馴染みのヴェインを思い浮かべながら、心の中で思う。
子供の頃のヴェインは気付くと迷子になっていて、「俺とはぐれたら、すぐに大人を頼ること」と何度も言い聞かせていた。そのお陰かこの男の子のように、ヴェインもすぐに大人を頼って最悪の事態を避けてきた。
chisaorito
DONE予約特典のヴェランちゃんが結婚してましたけどー⁉️記念です。2023/8/24 up
てぶくろ越しの熱 乾杯をした後、グラスを手にしたランスロットとヴェインは、白竜騎士団を代表して来賓のテーブルをまわっていた。
交流のある騎士団を招いての合同演習と会議が開催され、最終日の今夜は開催地であるフェードラッヘ国王主催のパーティーだった。
顔馴染みのメンバーばかりが集まり、ランスロットはリラックスした気分でスパークリングワインを少量口に含む。すると、隣に立っていたヴェインが「ランちゃん、こっちな」と殆ど空になったグラスを手渡してきて、代わりにランスロットのグラスを奪った。
「……むう……」
ひと口、ふた口で酔ったりしないと抗議したかったが、自身の酒の弱さを自覚しているので、口を閉ざすしかない。言葉を飲み込んだ代わりに出たのは、少し子供っぽい唸り声だった。
5723交流のある騎士団を招いての合同演習と会議が開催され、最終日の今夜は開催地であるフェードラッヘ国王主催のパーティーだった。
顔馴染みのメンバーばかりが集まり、ランスロットはリラックスした気分でスパークリングワインを少量口に含む。すると、隣に立っていたヴェインが「ランちゃん、こっちな」と殆ど空になったグラスを手渡してきて、代わりにランスロットのグラスを奪った。
「……むう……」
ひと口、ふた口で酔ったりしないと抗議したかったが、自身の酒の弱さを自覚しているので、口を閉ざすしかない。言葉を飲み込んだ代わりに出たのは、少し子供っぽい唸り声だった。
chisaorito
DONEフェスでのリミランちゃんのマントの裾をお世話するヴェインくんが良過ぎて……2023/07/10up
白い鎧と赤い頬「ランちゃーん!」
俺が帰城し、陛下への報告を済ませてから騎士団長室へ向かい階段を上っていると、ヴェインの足音が背後で響く。歩幅の大きな重量を感じさせる音。金属の触れ合う音が賑やかだ。
振り返ると、階段のいちばん下でヴェインが目と口を大きく開けていた。
感動に打ち震えている時によくする顔だ。子供の頃から瞳をキラキラさせて、俺を見つめてくる。
「うおおぉ〜! 本当に白い鎧だー!」
新しい鎧は、王国フェードラッへを守護する妖精――まだ確証は得ていないけれど――の試練を受け、授かったものだ。
一緒にカムランへ調査に出掛けた団員から「ランスロット団長が新しい鎧と剣を手に入れた」とでも聞いたのだろう。
俺は素晴らしい双剣を早くヴェインにも見せたくて、階段を一段下りた。
3743俺が帰城し、陛下への報告を済ませてから騎士団長室へ向かい階段を上っていると、ヴェインの足音が背後で響く。歩幅の大きな重量を感じさせる音。金属の触れ合う音が賑やかだ。
振り返ると、階段のいちばん下でヴェインが目と口を大きく開けていた。
感動に打ち震えている時によくする顔だ。子供の頃から瞳をキラキラさせて、俺を見つめてくる。
「うおおぉ〜! 本当に白い鎧だー!」
新しい鎧は、王国フェードラッへを守護する妖精――まだ確証は得ていないけれど――の試練を受け、授かったものだ。
一緒にカムランへ調査に出掛けた団員から「ランスロット団長が新しい鎧と剣を手に入れた」とでも聞いたのだろう。
俺は素晴らしい双剣を早くヴェインにも見せたくて、階段を一段下りた。
chisaorito
DOODLE寝起きのヴェランちゃん💛💙2023/6/2 up
腕の中「……おい、ヴェイン。起きろ」
ランちゃんの声が間近で聞こえる。
世界でいちばん聞いている声だ。
だって、ランちゃんは俺の幼馴染みだから。聞いた話によると、生まれた時から傍にいるらしい。
俺が生まれた時、ランちゃんは二歳で、おばさんに連れられて生まれて間もない赤子を見に来たんだって。
もちろん、それはランちゃんの記憶では無い。流石の神童も、二歳の頃の記憶は無いって言ってた。
でも「俺の最初の記憶は、ヴェインが掴まり立ちした瞬間だな」なんて言っていたから、二、三歳の頃の記憶だよな。さすがランちゃん!
ランちゃんの最初の記憶が俺っていうのは、なんだか特別な感じがして、好きなエピソードだ。
「おい、ヴェインって」
2579ランちゃんの声が間近で聞こえる。
世界でいちばん聞いている声だ。
だって、ランちゃんは俺の幼馴染みだから。聞いた話によると、生まれた時から傍にいるらしい。
俺が生まれた時、ランちゃんは二歳で、おばさんに連れられて生まれて間もない赤子を見に来たんだって。
もちろん、それはランちゃんの記憶では無い。流石の神童も、二歳の頃の記憶は無いって言ってた。
でも「俺の最初の記憶は、ヴェインが掴まり立ちした瞬間だな」なんて言っていたから、二、三歳の頃の記憶だよな。さすがランちゃん!
ランちゃんの最初の記憶が俺っていうのは、なんだか特別な感じがして、好きなエピソードだ。
「おい、ヴェインって」
chisaorito
DONEちょっと遅れた2023年猫の日のヴェラン💛💙2023/2/23
【ヴェラン】「Was Kätzchen nicht können」Was Kätzchen nicht können
ランちゃんに「急ぎで頼みたい」と任された書類を持って、騎士団長の執務室を訪れる。
いつも通りの回数をノックして、「入ってくれ!」と親しみのある返事を聞いてから、扉を開くと、白いものが柔らかい感触をすり寄せて通り抜けていく。
「おっ、ムート! 出勤ごくろうさまー!」
声をかけるとムートは「ニャー」と返事をして、尻尾をひと振り、書庫へ向かって軽やかに歩いて行った。
ムートは俺とランちゃんが面倒をみている白猫。俺たちが仕事中は、ムートも「書庫番」という立派な仕事をしてるんだぜ!
午前中はランちゃんの執務室で日向ぼっこをしている時が多いけど。
「ムートが移動したってことは、そろそろ昼か」
6058ランちゃんに「急ぎで頼みたい」と任された書類を持って、騎士団長の執務室を訪れる。
いつも通りの回数をノックして、「入ってくれ!」と親しみのある返事を聞いてから、扉を開くと、白いものが柔らかい感触をすり寄せて通り抜けていく。
「おっ、ムート! 出勤ごくろうさまー!」
声をかけるとムートは「ニャー」と返事をして、尻尾をひと振り、書庫へ向かって軽やかに歩いて行った。
ムートは俺とランちゃんが面倒をみている白猫。俺たちが仕事中は、ムートも「書庫番」という立派な仕事をしてるんだぜ!
午前中はランちゃんの執務室で日向ぼっこをしている時が多いけど。
「ムートが移動したってことは、そろそろ昼か」
chisaorito
DONEアーサーくんのクリスマスメッセージに出てくるヴェインくんの話が可愛すぎたので🎄✨2022/12/19 up
クリスマスのラブレター「――ああ、本当だ。ヴェインだって丸分かりの文字だな」
自室へ向う途中、ランスロットは楽しげに話すアーサーとグランの姿を見掛けた。年齢が近い彼らは、いつの間にか意気投合したのだなと微笑ましく見ていたけれど、ヴェインの名前が聞こえ、つい近づいてしまった。
アーサーの手には見覚えのある便箋。
どうやら、ヴェインがサンタクロースになりきって書いた手紙が、偽物だとバレたようだ。
そっと近づいて覗き込んだ手紙には、元気な文字がクリーム色の便箋の上で踊っていた。
紛れもなくヴェインの筆跡だ。
(あいつ、少しは筆跡を誤魔化せばいいのに)
彼らしいといえば彼らしいが。
手紙をしたためていたヴェインの姿を思い出し、口元に微笑みが浮かんでしまった。
3600自室へ向う途中、ランスロットは楽しげに話すアーサーとグランの姿を見掛けた。年齢が近い彼らは、いつの間にか意気投合したのだなと微笑ましく見ていたけれど、ヴェインの名前が聞こえ、つい近づいてしまった。
アーサーの手には見覚えのある便箋。
どうやら、ヴェインがサンタクロースになりきって書いた手紙が、偽物だとバレたようだ。
そっと近づいて覗き込んだ手紙には、元気な文字がクリーム色の便箋の上で踊っていた。
紛れもなくヴェインの筆跡だ。
(あいつ、少しは筆跡を誤魔化せばいいのに)
彼らしいといえば彼らしいが。
手紙をしたためていたヴェインの姿を思い出し、口元に微笑みが浮かんでしまった。
chisaorito
DONE迷子の迷子の駄犬ちゃん〜♪タイトルに駄犬と入れたくないので子犬ですけど、ヴェインくんは大型犬🐶あとヴェインくんは駄犬ではないんだなあ〜
2022/12/6
迷子の子犬ちゃん 馴染みの騎空艇グランサイファーで世話になり、一週間が経過した頃。
艇は物資の調達の為、商業が盛んなある島に係留していた。騎空団の団員たちは、手分けをしてあちこちへ買い物に出ている。
ランスロットは武器収集が趣味なこともあり、武器の調達に駆り出されていた。
一緒に世話になっているヴェインは、料理を手伝っているので、食材の調達へ出掛けて行った。食材は購入する量も多いので、何班かに分かれるようだ。
「ランちゃんに何か甘いものも買ってくるな〜!」と言って、「俺、甘味担当だからさ!」と笑いながら、騎空団団長のグランたちと連れだって、元気に艇を下りて行くヴェインの背中を見送った。
賑やかなヴェインが居なくなると、少し物足りなくなる。子供の頃から隣にいるのが当然だった。
5620艇は物資の調達の為、商業が盛んなある島に係留していた。騎空団の団員たちは、手分けをしてあちこちへ買い物に出ている。
ランスロットは武器収集が趣味なこともあり、武器の調達に駆り出されていた。
一緒に世話になっているヴェインは、料理を手伝っているので、食材の調達へ出掛けて行った。食材は購入する量も多いので、何班かに分かれるようだ。
「ランちゃんに何か甘いものも買ってくるな〜!」と言って、「俺、甘味担当だからさ!」と笑いながら、騎空団団長のグランたちと連れだって、元気に艇を下りて行くヴェインの背中を見送った。
賑やかなヴェインが居なくなると、少し物足りなくなる。子供の頃から隣にいるのが当然だった。
chisaorito
DONE月イチヴェランのお題③「お付き合い初日」をお借りしています💛💙2022/12/4 up
お付き合い初日「ランちゃん、好きです」
「ああ、俺も好きだぞ」
「その、俺と付き合ってください!」
「うん」
頷いて、いつもと同じ零れるような笑顔を見せてくれたから、その瞬間から俺はランちゃんと恋人同士になったんだ。
――と、思ったけど。
「ヴェイン、皿出しておくぞ」
そう言って大皿をテーブルの上に置いてくれたランちゃんは、全くいつも通りの顔をしている。いつも通り、綺麗で可愛くて、カッコいい。
鼻歌を歌いながら、洗っておいたレタスを大皿の上に敷き詰めてくれた。
幼馴染みのランちゃんとは、色々都合がいいだろうと合意して、数年前から同居をしている。
休みの日は朝から一緒にキッチンに立って、こうやって朝食の準備をするんだ。休日の午前中はふたりで家のことをやろうって決めている。朝食後は、シーツや毛布の洗濯、家中の窓拭き。
3584「ああ、俺も好きだぞ」
「その、俺と付き合ってください!」
「うん」
頷いて、いつもと同じ零れるような笑顔を見せてくれたから、その瞬間から俺はランちゃんと恋人同士になったんだ。
――と、思ったけど。
「ヴェイン、皿出しておくぞ」
そう言って大皿をテーブルの上に置いてくれたランちゃんは、全くいつも通りの顔をしている。いつも通り、綺麗で可愛くて、カッコいい。
鼻歌を歌いながら、洗っておいたレタスを大皿の上に敷き詰めてくれた。
幼馴染みのランちゃんとは、色々都合がいいだろうと合意して、数年前から同居をしている。
休みの日は朝から一緒にキッチンに立って、こうやって朝食の準備をするんだ。休日の午前中はふたりで家のことをやろうって決めている。朝食後は、シーツや毛布の洗濯、家中の窓拭き。
chisaorito
DONE今日は風が強かったのでモブ視点ヴェラン💛💙2022/11/29 up
嵐に負けず その日は、鮮やかに色づいたばかりの葉を全て削ぎ落とすような勢いで強風が吹き荒れ、我らが自慢の美しい白竜の騎士団長が柳眉を寄せていた。
柳眉ってのが女性に対する言葉だって言うのは勿論承知しているが、思わず使いたくなるくらいランスロット団長は美人だ。
恐らくこの国一番の。
ランスロット団長ファンクラブの一員である俺はそう思っている。勿論、全会員一致の意見だろう。
濡れたような黒髪、透き通った宝石のように綺麗な瞳、スッと高い鼻梁に薄い唇はいつも濡れていて艷やかだ。
「ヴェイン副団長がランスロット団長の唇にリップクリームを塗っていた」という噂は聞かなかったことにした。
風が一際強く吹き、ランスロット団長の髪が乱れる。普段は隠されている形のいい耳が見えてしまった。
2535柳眉ってのが女性に対する言葉だって言うのは勿論承知しているが、思わず使いたくなるくらいランスロット団長は美人だ。
恐らくこの国一番の。
ランスロット団長ファンクラブの一員である俺はそう思っている。勿論、全会員一致の意見だろう。
濡れたような黒髪、透き通った宝石のように綺麗な瞳、スッと高い鼻梁に薄い唇はいつも濡れていて艷やかだ。
「ヴェイン副団長がランスロット団長の唇にリップクリームを塗っていた」という噂は聞かなかったことにした。
風が一際強く吹き、ランスロット団長の髪が乱れる。普段は隠されている形のいい耳が見えてしまった。
chisaorito
DONEいい夫婦の日のヴェランちゃん💛💙2022/11/22 up
黄色い薔薇のプロポーズ「ただいま、ヴェイン」
「おかえりー! ランちゃん!」
日が暮れた後、ヴェインが副団長執務室で書類仕事を片付けていると、朝から視察に出ていたランスロットが訪ねてきた。
「視察どうだった?」
「うん、順調に復興してたな」
昨年、魔物の襲撃にあった村は、人の命こそ守られたが、建物や治水、畑の損傷が酷く、騎士団を派遣して復興に力を入れていたのだ。
順調に復興しているのなら良かったと胸を撫で下ろすと、ランスロットが手にしている花に目が留まる。
黄色い秋薔薇の花束だ。
(ランちゃん、人気者だからなあ〜)
きっと、道中で渡されたか、視察先で渡されたのだろうと思っていると、その花束をランスロットが差し出してくる。
「綺麗な花だな〜! 今、活けてやるからちょっと待っててくれ! ランちゃんの執務室に飾って……」
2491「おかえりー! ランちゃん!」
日が暮れた後、ヴェインが副団長執務室で書類仕事を片付けていると、朝から視察に出ていたランスロットが訪ねてきた。
「視察どうだった?」
「うん、順調に復興してたな」
昨年、魔物の襲撃にあった村は、人の命こそ守られたが、建物や治水、畑の損傷が酷く、騎士団を派遣して復興に力を入れていたのだ。
順調に復興しているのなら良かったと胸を撫で下ろすと、ランスロットが手にしている花に目が留まる。
黄色い秋薔薇の花束だ。
(ランちゃん、人気者だからなあ〜)
きっと、道中で渡されたか、視察先で渡されたのだろうと思っていると、その花束をランスロットが差し出してくる。
「綺麗な花だな〜! 今、活けてやるからちょっと待っててくれ! ランちゃんの執務室に飾って……」
chisaorito
DONEバカップルヴェランが書きたいな〜の名残り…笑2022/11/21up
バカップルごっこ「よし、ヴェイン! 『バカップル』ごっこするぞ!」
「なに、バカップルって? ランちゃん、酔ってる?」
同居している家のリビングでお茶の準備をしていたら、唐突にランちゃんが言い出して、俺は目を瞬いた。
ランちゃんの思考回路は、流石、神童と言われていただけあるぜ、凡人には考えが読めない――と、言いたいところだけど、俺はランちゃんの考えていることは大抵理解出来る。
ランちゃんが突拍子もない内容を話し出すのは、イタズラを思いついた時。だって瞳がキラキラしちゃってる。
騎士団長の時に瞳が輝くのは、手合わせする時だけど、プライベートの時は違うんだ。
イタズラを思いついたのは分かるけど、内容までは流石の俺も分からなかった。うん、子供の頃から、イタズラに関しては、いつもランちゃんがひとりで考えてたもんな。
4144「なに、バカップルって? ランちゃん、酔ってる?」
同居している家のリビングでお茶の準備をしていたら、唐突にランちゃんが言い出して、俺は目を瞬いた。
ランちゃんの思考回路は、流石、神童と言われていただけあるぜ、凡人には考えが読めない――と、言いたいところだけど、俺はランちゃんの考えていることは大抵理解出来る。
ランちゃんが突拍子もない内容を話し出すのは、イタズラを思いついた時。だって瞳がキラキラしちゃってる。
騎士団長の時に瞳が輝くのは、手合わせする時だけど、プライベートの時は違うんだ。
イタズラを思いついたのは分かるけど、内容までは流石の俺も分からなかった。うん、子供の頃から、イタズラに関しては、いつもランちゃんがひとりで考えてたもんな。
chisaorito
MOURNINGこれもヴェランを書き始めた頃に書いていたもの。タイトルも決められない笑
2022/11/19 up
噂話を聞いたランちゃんの話 ランスロットがその噂を聞いたのは、一ヶ月間の遊学から戻り、その足で国王陛下へ報告する為、玉座に向かっている時だった。
数人の騎士団団員たちとすれ違い、挨拶を交わしながら歩いていると、まだ声変わり前だと思われる少し高い少年の声が聞こえたのだ。
「――団長と副団長が?」
「ああ、あのお二人、所謂そーゆー関係なんだってさ!」
「そ、『そーゆー関係』って……、男同士で?」
柱の影に騎士見習いの制服を着た少年達の姿が見える。彼らは声を顰めているつもりらしいが、大広間に続く天井の高い通路に声が反響していた。
手には掃除用具を持っている。どうやら掃除をサボって無駄話に興じているようだ。人が近づいているのにも気付かない程、夢中らしい。
3704数人の騎士団団員たちとすれ違い、挨拶を交わしながら歩いていると、まだ声変わり前だと思われる少し高い少年の声が聞こえたのだ。
「――団長と副団長が?」
「ああ、あのお二人、所謂そーゆー関係なんだってさ!」
「そ、『そーゆー関係』って……、男同士で?」
柱の影に騎士見習いの制服を着た少年達の姿が見える。彼らは声を顰めているつもりらしいが、大広間に続く天井の高い通路に声が反響していた。
手には掃除用具を持っている。どうやら掃除をサボって無駄話に興じているようだ。人が近づいているのにも気付かない程、夢中らしい。
chisaorito
MOURNINGこれもヴェランを書き始めた頃に書いていたものです。2022/11/18 up
ランちゃんを眠らせる話 ヴェインが三日間の視察から戻ると、騎士団の面々に、「ランスロット団長の様子を見てきて下さい!」と懇願された。
普段なら遠征や視察から戻れば、「ゆっくり休んで下さい」と言ってくれる団員達に休む間を与えられず、ヴェインは眉根を寄せながら、まっすぐに城の厨房へ向かった。
「ただいまー! リタさん、いるか〜?」
厨房を覗き声を掛けると、作業をしていた炊事婦たちが手を止め、次々に労いの言葉を掛けてくれる。よく厨房を借りているヴェインは、城の炊事婦達に人気があった。
「これ、視察に行った街で大人気の菓子。よかったら皆で食べてくれよな~!」
「ありがとうございます!」
「ヴェイン様が選ぶお菓子って、いつも美味しいわよね!」
4759普段なら遠征や視察から戻れば、「ゆっくり休んで下さい」と言ってくれる団員達に休む間を与えられず、ヴェインは眉根を寄せながら、まっすぐに城の厨房へ向かった。
「ただいまー! リタさん、いるか〜?」
厨房を覗き声を掛けると、作業をしていた炊事婦たちが手を止め、次々に労いの言葉を掛けてくれる。よく厨房を借りているヴェインは、城の炊事婦達に人気があった。
「これ、視察に行った街で大人気の菓子。よかったら皆で食べてくれよな~!」
「ありがとうございます!」
「ヴェイン様が選ぶお菓子って、いつも美味しいわよね!」
chisaorito
MOURNINGヴェランを書き始めた頃に途中まで書いていた、酔っ払ランのヴェランちゃん。書き上がらないかな、と思ったので区切りのいいところで。
2022/11/16 up
俺だけにして ランちゃんってば、普段は背筋をピンと伸ばして、騎士団長としてまったく隙のない姿を見せているのに、一滴でもアルコールが入ると豹変してしまう。
キリッとした騎士団長はどこにもいなくなる。
そこにいるのは、ただの二十七歳に見えないとびきりキレイな男だ。
――しかも、フニャフニャで可愛さがプラスされた。
そんな姿、誰にも見せたくないんだけどな。
「じーくふりーとさん!」
今夜もランちゃんはフニャフニャしてる。
師であるジークフリートさんと、見習い時代を共に過ごしたパーシヴァルに久々に会えて嬉しかったんだ。
普段、ランちゃんはアルコールを口にしないのに、今夜は飲んでいるのがその証拠。
口調が舌足らずで、口元も目元もふにゃんと緩んでいて、可愛らしい。
6762キリッとした騎士団長はどこにもいなくなる。
そこにいるのは、ただの二十七歳に見えないとびきりキレイな男だ。
――しかも、フニャフニャで可愛さがプラスされた。
そんな姿、誰にも見せたくないんだけどな。
「じーくふりーとさん!」
今夜もランちゃんはフニャフニャしてる。
師であるジークフリートさんと、見習い時代を共に過ごしたパーシヴァルに久々に会えて嬉しかったんだ。
普段、ランちゃんはアルコールを口にしないのに、今夜は飲んでいるのがその証拠。
口調が舌足らずで、口元も目元もふにゃんと緩んでいて、可愛らしい。
ゆゆしきゆく
MOURNINGヴェラン気味だから怒られてんだよ!ってのを自己肯定感が低すぎる故にわかってないヴェの話
途中あんまりしっくりきてないからそのうち書き直したいランちゃんは、かっこいい
かっこいいし、強いし、賢いし、俺みたいな泣き虫じゃない
「ランちゃん!!!」
体、動いてくれ
良かった、間に合った
そう思うと同時に体に衝撃が走る
口から声にならない音が出た
「ヴェイン!!!!!!」
後ろからランちゃんの声が聞こえる
今どんな顔してんだろ
でも間に合って良かった…
ごぷと口の中に熱くて鉄臭いものが迫り上がってくるのを感じる
あ、これやばいかも
体に力が入らなくて立ってられない
もう上向いてるのか下向いてるのかどうなってるのかすらわからない
ごめん、ランちゃん
俺…もう、ダメかも…
崩れ落ちる視界の横で黒と青が明滅して消えた
「…ってぇ…」
めちゃくちゃ痛い
起きあがろうとしたけど腕あがんない
何これ、何でこんな痛いの?
そうだ俺、ランちゃんを庇って…ってあれ?俺、生きてる?
めっちゃ痛いけど
うわー俺ってめっちゃ頑丈…
そんなことを思っていたら聞き覚えのある声がした
「ヴェイン!!!」
「ラン…ちゃ…」
痛む顔をどうにか動かして声のする方向を見ると見慣れた黒い髪が見えた
でも、あれ?もしかしてランちゃん怒ってる?
親の顔より見た幼馴染の 1325