放課後 校内を案内してくれる男性教師に、三人の女子生徒が通り過ぎざま「さようなら」と挨拶した。その一瞬で巧みに二人の情報を可能な限り集めると、興奮で口元を緩ませて友達同士で目配せし合った。
彼女らの目線は主に一郎に向けられている。
顔を寄せ合い囁き合う三人の後ろ姿をメフィスト三世が呆れながら振り返ると、油断して振り返った一人と目が合った。
生徒は気まずそうにさっと向き直り、友達に何やら報告してクスクスと笑った。
何を言われているのかは大体想像がつく。
「すみません騒がしくて。何にでも興味を持つ年齢なんですよ。」
「いえ気にしてません。」
そう謝る生徒指導担当と名乗る教師自身も、二人への興味でずっとそわそわしていた。
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