宝石の雨 白く霞んだ視界に、真吾は溜め息を吐いた。
「参ったなぁ」
強い風と雨に、公園の木々はその枝を大きく揺さぶられている。降り始めてたった数分で水浸しになった地面には、小さな川ができていた。
こんな雨では、たとえ傘を用意していたとしても、きっと役に立たなかっただろう。
筒型に丸めて手に持っていた画用紙を広げ、もう一度念入りに濡れていないか確かめる。雨が当たりふやけた所があるが、なんとか庇い切れたようだ。
途中で止まっている鉛筆の下描きに、真吾はあともう少しだったのになぁ、と残念そうに呟いた。
画用紙には、川沿いに煉瓦を敷き詰めた遊歩道が描かれていた。最近作られたのだろうか、置かれたベンチや足元を照らす照明が新しかった。
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