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    Hyiot_kbuch

    @Hyiot_kbuch

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    Hyiot_kbuch

    MOURNINGシンプルに吐かせたかったヤツ
    『壺を嘔吐物で満たさないと出られない部屋』
     気が付けば壁にそう書かれた部屋に南方はただ一人閉じ込められていた。

     一体ここは何処なんだととりあえず部屋を見渡す。扉が二つ、片方の扉の隣には不自然に人間の頭が収まりそうなサイズの壺が置いてある。これが満たすべき壺なのだろう。念の為ドアノブを捻るも鍵がかかっている。
     壺を持ち上げてみようとするも固定されている。それならばと中を調べるとなにやら上部に金属が貼ってあった。片方は銅と思われる光沢、もう一方は銀白色のもので恐らくは亜鉛だろう。どうやらボルタ電池と同じ仕組みで胃酸により電気を発生させドアを解錠するようだ。
     もうひとつの扉は自動ドアであった。近づけばすんなり開いた扉の向こうには壁際にビュッフェスタイルで置いてある食事と飲み物。ご丁寧にアルコールまでもが置いてある。 これだけの物があるのであれば、壺に満たすものは嘔吐物ではなく他に酸性の液体でも良いのではないか。アルコールというものは大抵酸性だ。吐かずに済むのであればそれに越したことはない。そう思った南方はとりあえず試しに近くのジョッキにビールを注ぎ片手に持ち隣の部屋に戻ろうとする。だが先程すんなりと開いた自動ドアはピクリとも動かない。
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