年末年始 タイトル:(無題)
本文:帰れるのは4日の夜になる。すまん。
それだけの短いメールが門倉に届いたのは十二月三十日の昼頃だった。宛名は同棲する恋人で立会人で警官の南方恭次。年末年始は本業が去年休んだことと元より忙しいこともあり、帰れるか怪しいと漏らしていた。
門倉は届いたメールに返信もせず、携帯を閉じるとソファーに投げ捨てた。どのみち自分も立会いでずっと暇な訳ではないのだが、何となく気に食わない。
先ほど投げたものと別の携帯を手に取ると通話履歴から舎弟の一人に電話をかけた。
「四日の夜、暇な奴と場所を確保しとけ。新年会やるぞ」
ようやく年末年始の忙しい業務が終わり、自宅へと帰ってきた南方が見たのは、電気も付いておらず寒々しい様子の我が家だった。
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