A Small, Good Thing 「ぱんかぱーん、ぱんかぱーん、ぱんぱかぱんぱーかぱんぱんぱーん♪」
高らかに口ずさまれるファンファーレの音色とともに、ロゴ入りのリボンが結ばれた紙袋が向かい側から差し出される。
「遠野くん、はいどうぞ」
「あぁ、うん……ありがとう。僕も」
満面の笑みに迎え入れられ、どこか照れくさい気持ちを隠せずにいながら、こちらもまた、同じ包みをそろりとテーブルの下の荷物かごから差し出すようにする。
「わぁ、ありがとう! 嬉しいなぁ、すっごく。よかったよね、いいのが買えて。ね、これって開けちゃっても平気?」
「あぁ、いいけど……」
曖昧な相槌で答えながら、受け取ったばかりのこちらの紙袋の中身を思わずちらりと覗き見る。
「じゃあ僕も開けさせてもらうね、いい?」
1632