ランプの灯灯を消した後の真っ暗な部屋、ベッドの中。
ジークフリートは横で寝るランスロットに向かって腕を伸ばす。
「え…っ」
そのまま抱き寄せるようにしながら、身体をずらしてランスロットの胸へ顔を寄せてみる。いつぞやの仕返しと言わんばかりに回した腕に力を入れ、抵抗させないよう固定すれば、上の方から困惑した声が聞こえた。
「ジークフリートさ…ん?」
トクトクと確かに聞こえる心臓の音と、服越しにじわりと伝わる体温が己の肌を通して中に浸透していくのがわかる。
俺、この音聞くの好きなんです。
前の夜、同じように抱きつきながら、同じベッドの上でランスロットはそう言った。幸せそうに微睡むランスロットの頭を、甘えた小動物にするように撫でてやれば、ゆっくりと首元にキスを落とされた。かと思えば、そのまま顔を埋めてこの男は眠りについた。
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