忍れど 色に出にけり わが恋は/グルアオ今日お客様として訪れたのはジムリーダー会議の時以外、雪山にこもられているから滅多にお会いすることのない人物だった。
あらあら、彼がお菓子を買いに来るだなんて珍しいこともあるんですね〜。
「いらっしゃいませ、グルーシャさん。パティスリー ムクロジへようこそ」
にこやかに挨拶を告げると、こんにちはと頭を下げながら彼は挨拶を返してくれた。
そしてじっとショーウィンドウ内に陳列された様々なお菓子達を眺めていたかと思えば、眉を中央に寄せながら小さな唸り声を上げ始める。
会議の度に差し入れとしていくつか持って行ってはいるけれど、確か彼はそれらに手をつけているところを一切見たことがないことを思い出す。
その様子を見てこの方は甘いものが苦手なのね…と察したからあまり勧めることはしなかったのだけれど、今日は一体どうしたのかしら〜?
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