中には入れないので、東京ドームに沿って歩いていく。半年前にこの場で行われた試合の話は尽きない。互いのプレーのダメ出しやそれでも良かった点、それを交互に語っている中で、その存在に気付いたのは花房が先だった。
「あ、野球殿堂博物館」
「寄ってく?」
「うん。ここにレリーフ飾られるくらいの結果、出したいよね」
「だな」
入口で入館料を払って中に入る。流石にこの施設のスタッフは今年のドラフトでプロ入りが決まった選手の顔に見覚えがあるのか少し驚いた顔をされたが、特に何か触れられることはなくゆっくりご覧くださいとだけ言われた。
「気づかれてたねー」
入口から離れて殿堂入り選手のレリーフが飾られているところまで来ると、花房は少し声を潜めて隣を歩く瀬田に伝える。
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