別れを切り出したのは、シュミットからだった。
「私はお前に相応しくない」
そう告げた時のエーリッヒの、驚き傷ついた顔は今でも夢に見る。
「お前には、幸せになって欲しい」
自分が極度に我儘なことも、優しい彼を振り回していることも、自覚していた。
だから、身を引くことにした。
「本気で言ってるんですか?あなたなしに僕の幸せなんて…」
「エーリッヒには、もっと淑やかな、可愛らしい女の子の方が似合う」
「何言って…」
「今までありがとう。……もう幼なじみに戻ろう」
「シュミット!嫌です、どうして急にそんなことを?」
「幼なじみにも戻れないなら、さよならだエーリッヒ」
「……どうしても、僕はあなたの隣に居られないんですか」
「ああ。私はもう、お前の隣には居られないよ」
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