嬰
kurono_666
Траурこの前の逆転if忘羨の続きを書いたので、供養させてください。色事は手を繋いだり触れあうだけのちゅーくらいしか知らない魏嬰と教えたい藍湛。非常にぬるい微エロ。
#忘羨 #魔道祖師
階−きざはし− ②蔵書閣で雅正集の書き取りをしなさいと、昨晩の飲酒の罰として言い渡された。
戒尺で打たれるのもやむ無しと思っていた魏無羨は、ほっと胸を撫で下ろしながら蔵書閣に向かっている。
(でも、酒って存外美味いんだなぁ)
意識を失う前に口に含んだ酒の味はなんとなく覚えていた。ふくよかな香りと、わずかに喉を焼く旨み。確か姑蘇の銘酒、天子笑と言っていたか。
(そういえば彩衣鎮でたくさん売っているのを見たな)
ぺろりと無意識に唇を舐める。
雲深不知処内ではご法度だが、飲酒自体は禁じられていないはずだ。
(予定のない日に町に飲みに行ってもいいか師兄に相談してみよう)
駄目だと言われたら大人しく諦めればいい。けれど、次期宗主である藍曦臣は意外に話の分かる人だった。もしかしたら許可してくれるかもしれない。それに、今回の罰が思ったより軽いのも、彼が何かしら口添えしてくれたからだろう。にこにこと自分を送り出してくれた姿を思い出して、魏無羨は心の中で感謝した。
5891戒尺で打たれるのもやむ無しと思っていた魏無羨は、ほっと胸を撫で下ろしながら蔵書閣に向かっている。
(でも、酒って存外美味いんだなぁ)
意識を失う前に口に含んだ酒の味はなんとなく覚えていた。ふくよかな香りと、わずかに喉を焼く旨み。確か姑蘇の銘酒、天子笑と言っていたか。
(そういえば彩衣鎮でたくさん売っているのを見たな)
ぺろりと無意識に唇を舐める。
雲深不知処内ではご法度だが、飲酒自体は禁じられていないはずだ。
(予定のない日に町に飲みに行ってもいいか師兄に相談してみよう)
駄目だと言われたら大人しく諦めればいい。けれど、次期宗主である藍曦臣は意外に話の分かる人だった。もしかしたら許可してくれるかもしれない。それに、今回の罰が思ったより軽いのも、彼が何かしら口添えしてくれたからだろう。にこにこと自分を送り出してくれた姿を思い出して、魏無羨は心の中で感謝した。
Iz_Mas_x
СДЕЛАНО纏まった時間が取れないため、魏嬰ちゃん番外篇となります。今回は江澄視点でお送りいたします。
もう少し掘り下げたかったのですが、時間切れで残念無念。
献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 番外篇 江晩吟の憂鬱 大梵山で十三年振りに魏無羨に会った。奪舎してまで蘇り何をする積もりなのだと、怒りに駆られて紫電で打ち付けたが何も起こらなかった。奪舎ではないということは、まさか献舎なのだろうか。誰が何の目的で魏無羨を蘇らせたというのだ。
目の前の魏無羨は、江晩吟が知っていた前世の彼よりも五寸(約十五センチメートル)程背が低く、身体付きも随分と華奢になっている。彼が蓮花塢に連れて来られた頃を彷彿させる痩せぎす振りだ。纏っている[[rb:襤褸 > ボロ]]も、何処の世家のものか判別が付かない程酷いものだ。
恐らく虐待された怨みを晴らすべく、無上邪尊、あるいは魔道祖師と悪名高い魏無羨を献舎の相手に選んだのだろう。選りに選って何故、と江晩吟は忌々しげに舌打ちをした。誰よりも慈悲深い男だ、困っている者を助けない筈がない。
3068目の前の魏無羨は、江晩吟が知っていた前世の彼よりも五寸(約十五センチメートル)程背が低く、身体付きも随分と華奢になっている。彼が蓮花塢に連れて来られた頃を彷彿させる痩せぎす振りだ。纏っている[[rb:襤褸 > ボロ]]も、何処の世家のものか判別が付かない程酷いものだ。
恐らく虐待された怨みを晴らすべく、無上邪尊、あるいは魔道祖師と悪名高い魏無羨を献舎の相手に選んだのだろう。選りに選って何故、と江晩吟は忌々しげに舌打ちをした。誰よりも慈悲深い男だ、困っている者を助けない筈がない。
yukibana_21
СДЕЛАНОMDZSごはんを食べる🍴企画Webオンリーの展示作品な(まだ付き合ってない)忘羨マンガで、藍湛がハスの花托を魏嬰にプレゼントするところから始まるお話。腱鞘炎と闘いながら描いたので線も着色も荒いですが見て貰えると嬉しいです😊等身大の忘羨は描く余裕がありませんでした……(無念)
Iz_Mas_x
ПРОГРЕСС魏嬰ちゃん♀第9話の藍湛視点の続きです。酔っぱ藍湛パートに入り、だいぶ言動がおかしくなって参りました。
献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 第九.五話 後篇 魏無羨と連れ立って賑やかな街並みから遠ざかるにつれ、藍忘機は何とか心身を落ち着けようと試みる。だが、少し前を歩く彼の髪を風が攫い、馨しい香りが鼻腔を擽る。心臓がやけに騒がしく、落ち着く為に深く息を吸い込めば、彼の香りが肺腑に染み渡る。悪循環だ。
渋い顔で魏無羨の後を歩いていると、人通りの少なくなったところで彼が振り返った。櫟陽常氏のことを訊ねたいのだろうと直ぐに思ったが、それにしては彼の表情は冴えない。何か心配事があるのだろうか。
あの魏無羨が言い難そうに逡巡しているのだ、余程のことなのだろう。藍忘機は彼の心が落ち着くまで、いつまでも待つ積もりだった。だが、彼は心の中でけりを付けたのだろう。
「その……常家の事件は、俺がやったんじゃない……よな?」
4474渋い顔で魏無羨の後を歩いていると、人通りの少なくなったところで彼が振り返った。櫟陽常氏のことを訊ねたいのだろうと直ぐに思ったが、それにしては彼の表情は冴えない。何か心配事があるのだろうか。
あの魏無羨が言い難そうに逡巡しているのだ、余程のことなのだろう。藍忘機は彼の心が落ち着くまで、いつまでも待つ積もりだった。だが、彼は心の中でけりを付けたのだろう。
「その……常家の事件は、俺がやったんじゃない……よな?」
Iz_Mas_x
ПРОГРЕСС女体化魏嬰ちゃん第八話の藍湛視点です。途中までですが、続きは書き上がり次第、支部にアップします。
0時には間に合わないと思いますが頑張ります💦
献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 第九.五話 中篇 翌朝、藍忘機は魏無羨と共に行路嶺へと向かった。
石室に到着すると、魏無羨が金如蘭を掘り出した所に新たな死体を埋め終わり、壁を修復している最中だった。門弟たちの作業を見守りながら一息入れようとした聶懐桑だったが、藍忘機たちの訪れに顔色を失い気失せしそうになっていた。
それでも、魏無羨のことを「お隣の方」とすっ[[rb:惚 > とぼ]]ける様に、藍忘機は大した者だと舌を巻く。だが、魏無羨は決まりが悪そうに再び修復が必要になると告げると、我が物顔で避塵を引き抜き修復された壁を壊し始めたものだから、聶懐桑は涙を滲ませている。
藍忘機が居る為に、流石に文句を言えないのであろう。仕方なく簡潔に状況を説明すれば、彼は天に誓って此処には四肢の欠けた死体などないと訴え掛けてきた。
2317石室に到着すると、魏無羨が金如蘭を掘り出した所に新たな死体を埋め終わり、壁を修復している最中だった。門弟たちの作業を見守りながら一息入れようとした聶懐桑だったが、藍忘機たちの訪れに顔色を失い気失せしそうになっていた。
それでも、魏無羨のことを「お隣の方」とすっ[[rb:惚 > とぼ]]ける様に、藍忘機は大した者だと舌を巻く。だが、魏無羨は決まりが悪そうに再び修復が必要になると告げると、我が物顔で避塵を引き抜き修復された壁を壊し始めたものだから、聶懐桑は涙を滲ませている。
藍忘機が居る為に、流石に文句を言えないのであろう。仕方なく簡潔に状況を説明すれば、彼は天に誓って此処には四肢の欠けた死体などないと訴え掛けてきた。
pene
ПРОГРЕСС櫻という漢字は、貝の首飾りをつけた美人のような木、ということだったので。美人というか、子ども、特に若い女の子を表すみたい。
嬰って名前つけたのお母さんかなー
蔵色散人「魏の子どもだから、嬰がいいんじゃないかな!」
魏長澤「それはいいね!」
陽キャ夫婦😊
…魏嬰のネーミングセンスも遺伝だよ、きっと。
自分の手癖好きくなくて、フィルターで弄って消すことを覚えました。あと、ダルトーンが好きで… 3
Iz_Mas_x
СДЕЛАНО女体化魏嬰ちゃん第八話です。小悪魔魏嬰ちゃん、完全復活しました!!
献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 第八話 翌朝、二人は連れ立って行路嶺に向かったのだった。
石室の中では、魏無羨が金如蘭を掘り起こした壁に、聶懐桑が門弟たちを使って新たな死体を埋葬している最中だった。もう一度修復する必要があると伝えると、彼は酷く慌てふためき止めようとしたが手遅れだった。
魏無羨が手にした避塵に修復したばかりの壁を切り刻まれる様を、涙が滲む[[rb:眼 > まなこ]]で見るより他なかった。好き勝手する魏無羨の隣に佇んでいた藍忘機から説明を受けると、聶懐桑は此処は先祖の墓であること、埋葬した死体に四肢が欠損したものは無いことを必死で訴えた。
だが、彼の言い分に耳を貸さずに死体を検分していた魏無羨が、藍忘機の「脚だ」という言葉に慌てて下衣を脱がせるよう命じたものだから、聶懐桑は魏無羨の恥知らずな言動を[[rb:窘 > たしな]]めた。
5021石室の中では、魏無羨が金如蘭を掘り起こした壁に、聶懐桑が門弟たちを使って新たな死体を埋葬している最中だった。もう一度修復する必要があると伝えると、彼は酷く慌てふためき止めようとしたが手遅れだった。
魏無羨が手にした避塵に修復したばかりの壁を切り刻まれる様を、涙が滲む[[rb:眼 > まなこ]]で見るより他なかった。好き勝手する魏無羨の隣に佇んでいた藍忘機から説明を受けると、聶懐桑は此処は先祖の墓であること、埋葬した死体に四肢が欠損したものは無いことを必死で訴えた。
だが、彼の言い分に耳を貸さずに死体を検分していた魏無羨が、藍忘機の「脚だ」という言葉に慌てて下衣を脱がせるよう命じたものだから、聶懐桑は魏無羨の恥知らずな言動を[[rb:窘 > たしな]]めた。
yuu_k1321
СДЕЛАНОcql忘羨(知己)と原作忘羨(道侶)のクロスオーバー④-1あまり進展がないけどキリがいいところまで。
魏無羨の疑問とか誤解とかは今後ちゃんと解けていくので大丈夫です。
cql藍湛もだけれど、彼ら原作未読()なので・・・
原作藍湛もちゃんとたくさん考えてます。
原作魏嬰はもっといろいろ考えてます。 6
Iz_Mas_x
ПРОГРЕСС女体化魏嬰ちゃん、第六話の藍湛視点の途中経過です。隙あらば年齢制限の壁を超えようとする藍湛、恐ろしい子(白目)
献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 第六.五話 後篇 もう大丈夫だと我を張る魏無羨に根負けした藍忘機は、左腕に導かれる旅を渋々再開したのだった。出立は譲ったのだからと道中の移動には藍忘機が我を張り、彼を抱き抱えるか[[rb:驢馬 > ロバ]]に乗せることが殆どだった。
身体が鈍るから少しは歩かせろと主張する魏無羨に、藍忘機が首肯することは殆どなかった。だが、その日宿泊する町に辿り着くと、渋々歩かせてやることもなくはなかった。藍忘機としては、それが最大限の譲歩だった。
自分でも驚きだったが、自らの手で美しく着飾った魏無羨を誰の目にも触れさせたくないと思う気持ちに負けない程、この美しい人が自分のものなのだと周りに振れ回りたく思うのだ。
心は得られていないけれど、強引とはいえ許婚として関係性を結んだのだ。この旅で彼の気持ちを少しでも惹けたらと、藍忘機は隙あらば魏無羨を甘やかした。
10705身体が鈍るから少しは歩かせろと主張する魏無羨に、藍忘機が首肯することは殆どなかった。だが、その日宿泊する町に辿り着くと、渋々歩かせてやることもなくはなかった。藍忘機としては、それが最大限の譲歩だった。
自分でも驚きだったが、自らの手で美しく着飾った魏無羨を誰の目にも触れさせたくないと思う気持ちに負けない程、この美しい人が自分のものなのだと周りに振れ回りたく思うのだ。
心は得られていないけれど、強引とはいえ許婚として関係性を結んだのだ。この旅で彼の気持ちを少しでも惹けたらと、藍忘機は隙あらば魏無羨を甘やかした。
sakura__cha
СДЕЛАНО甘やかされてるように見えて実は甘やかしてる包容力の高い魏嬰が見たいなって思いで書いた初めての忘羨です。【忘羨】甘えたがりの甘やかしたがり「なあ藍湛~。思うんだけどさ、お前ってあんまりにもいい子すぎないか?」
今夜も道侶の晩酌に付き合っていた藍湛は、突然そんなことを言われて茶に伸ばしかけていた手をふと止める。
目の前に座る魏嬰は片方の肘を卓につき、もう片方の手で飲みかけの天子笑を持ったままじっとこちらを見つめている。その顔はいつもより少し赤みが差しているから、彼には珍しく酔っているのだろうか。そういえばと周囲に視線を向ければ、先ほどからご機嫌で飲んでいた空の酒瓶がいつも以上の数で床に並んでいる。
「魏嬰、飲み過ぎだ。そろそろ止めなさい」
「えー? 大丈夫だよこのくらい、まだまだ飲んでも問題ないって。それより、さっき俺が言ったこと聞いてたか?」
3942今夜も道侶の晩酌に付き合っていた藍湛は、突然そんなことを言われて茶に伸ばしかけていた手をふと止める。
目の前に座る魏嬰は片方の肘を卓につき、もう片方の手で飲みかけの天子笑を持ったままじっとこちらを見つめている。その顔はいつもより少し赤みが差しているから、彼には珍しく酔っているのだろうか。そういえばと周囲に視線を向ければ、先ほどからご機嫌で飲んでいた空の酒瓶がいつも以上の数で床に並んでいる。
「魏嬰、飲み過ぎだ。そろそろ止めなさい」
「えー? 大丈夫だよこのくらい、まだまだ飲んでも問題ないって。それより、さっき俺が言ったこと聞いてたか?」
Iz_Mas_x
ПРОГРЕСС女体化魏嬰ちゃん、藍湛視点の途中経過です。【ワンクッション】
魏無羨が女体化しています。
女体化に合わせて色々と捏造しています。
苦手な方はご注意ください。
献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 第六.五話 中篇 今日もまた、宿全体に結界を施す。離れている間に彼の身に災いが起こらぬように。妖術で操られた者や邪祟が、彼に近付くことが出来ぬように。
今の彼の魂は非常に不安定だ。前世で乱葬崗に落とされ、邪なものに蝕まれた彼の魂は、随分と傷付いている。そして、献舎により現世に蘇って尚、彼の魂は陰気に蝕まれたままなのだ。
その陰気に引き寄せられるように、大小様々な妖魔鬼怪の類が彼に近付いて来る。勿論、彼ほどの腕ならば脅威にはならないことは藍忘機も解っている。それでも、心配なのだ。彼に害をもたらす可能性があるならば、全て排除したい。
もう二度と、何者にも彼を毛筋ほども傷付けることのないように、一番近くで守る存在で在りたい。その想いから、せめて自分が宿を離れている間は、こうして結界を張ることで体調の優れない彼が、少しでも安らかに過ごせれば良いと願わずにはいられなかった。
8946今の彼の魂は非常に不安定だ。前世で乱葬崗に落とされ、邪なものに蝕まれた彼の魂は、随分と傷付いている。そして、献舎により現世に蘇って尚、彼の魂は陰気に蝕まれたままなのだ。
その陰気に引き寄せられるように、大小様々な妖魔鬼怪の類が彼に近付いて来る。勿論、彼ほどの腕ならば脅威にはならないことは藍忘機も解っている。それでも、心配なのだ。彼に害をもたらす可能性があるならば、全て排除したい。
もう二度と、何者にも彼を毛筋ほども傷付けることのないように、一番近くで守る存在で在りたい。その想いから、せめて自分が宿を離れている間は、こうして結界を張ることで体調の優れない彼が、少しでも安らかに過ごせれば良いと願わずにはいられなかった。
yamagawa_ma2o
ПРИСОЕДИНЯЙТЕ МЕНЯ何でも修理屋さん魏嬰がアンドロイド藍湛を拾う忘羨近未来なんちゃってSFAU④。藍湛の記憶を呼び覚ます編。次回で最後です(R18)
忘記星霜④ 魏嬰が次に目を覚ました時、藍湛がじっと魏嬰を見ていた。
「……ああ、おはよう藍湛」
「魏嬰、昨日いつ眠った?」
「何時だったっけな……ハハ、昨日じゃなかったのは確かだ」
「朝食を温める」
藍湛は台所の方に行くと、コンロに火をつけた。魏嬰は台所の蛇口をひねって、そこで洗面と歯磨きをした。
「お前は何時に起きたんだ?」
「五時だ」
魏嬰が机の上に置いている時計を見ると、既に時刻は十時を過ぎていた。魏嬰は、長い時間自分が眠ったままでも藍湛は大丈夫だったのだろうかと思った。
「……俺が寝ている間、大丈夫だったか?」
魏嬰は、自分が藍湛の記憶を知っているとばれない方法で、藍湛にそれとなく尋ねた。もし藍湛が魏嬰の前世を覚えていたら、魏嬰がいつまで経っても起きないことは、藍湛に潜在的な恐怖を駆り立てるだろうと思ったのである。
4356「……ああ、おはよう藍湛」
「魏嬰、昨日いつ眠った?」
「何時だったっけな……ハハ、昨日じゃなかったのは確かだ」
「朝食を温める」
藍湛は台所の方に行くと、コンロに火をつけた。魏嬰は台所の蛇口をひねって、そこで洗面と歯磨きをした。
「お前は何時に起きたんだ?」
「五時だ」
魏嬰が机の上に置いている時計を見ると、既に時刻は十時を過ぎていた。魏嬰は、長い時間自分が眠ったままでも藍湛は大丈夫だったのだろうかと思った。
「……俺が寝ている間、大丈夫だったか?」
魏嬰は、自分が藍湛の記憶を知っているとばれない方法で、藍湛にそれとなく尋ねた。もし藍湛が魏嬰の前世を覚えていたら、魏嬰がいつまで経っても起きないことは、藍湛に潜在的な恐怖を駆り立てるだろうと思ったのである。
yamagawa_ma2o
ПРИСОЕДИНЯЙТЕ МЕНЯ何でも修理屋さん魏嬰がアンドロイド藍湛を拾う忘羨近未来なんちゃってSFAU③。藍湛の過去編です。
忘記星霜③ 藍湛はどういう訳か毎日規則正しい時間に眠るため、魏嬰は彼が寝たのを確認すると、部屋に置いていたあのデータの入ったノートパソコンを開いた。
よく考えると人の記憶の再生なんてものすごく時間がかかるのではないかと思ったが、どうやら人間の記憶に基づいておおよその年代ごとにファイルが整理されているらしい。あまりにも幼い頃のものはそもそも存在しないため、直近十年ほどと推定されているものを見ることにした。
魏嬰がアイコンをクリックすると、それは映画の回想シーンのように再生された。これを発明した人は、すごい才能がある人だと魏嬰は素直に思ったが、人の記憶を電子媒体に記録することは現在では研究も含め禁止されている。藍湛がどのような過去を持っているのか、魏嬰は再生が始まった映像を見つめた。
6991よく考えると人の記憶の再生なんてものすごく時間がかかるのではないかと思ったが、どうやら人間の記憶に基づいておおよその年代ごとにファイルが整理されているらしい。あまりにも幼い頃のものはそもそも存在しないため、直近十年ほどと推定されているものを見ることにした。
魏嬰がアイコンをクリックすると、それは映画の回想シーンのように再生された。これを発明した人は、すごい才能がある人だと魏嬰は素直に思ったが、人の記憶を電子媒体に記録することは現在では研究も含め禁止されている。藍湛がどのような過去を持っているのか、魏嬰は再生が始まった映像を見つめた。
yamagawa_ma2o
ПРИСОЕДИНЯЙТЕ МЕНЯ何でも修理屋さん魏嬰がアンドロイド藍湛を拾う忘羨近未来なんちゃってSFAU②。注意:藍湛が途中までアンドロイドです。今回雑な手術描写が入ります。
忘記星霜② 魏嬰が藍湛と暮らし始めて数日が経った。村人たちははじめこそ新たな住人におっかなびっくり接していたが、そのうちすっかり馴染んでいた。いつも魏嬰が着るとぶかぶかに見える服をちょうどいい大きさで着ている藍湛は、何を着せても見栄えがするのでとても目立つ。
「こんな男前がいるような村じゃないんだけどねえ」
「おいおい奥さん。ちょっと、俺も男前だろ?」
「魏さんは藍さんとはちょっと違うのよ。ねえあなた?」
「わしに聞くか? ――まあ分からなくもないが」
「ちぇっ」
魏嬰は口を動かしてばかりいるが、この日二人は近所の村人の家に来て、この村人の生活の足であるバイクの修理に励んでいた。軍手どころか腕まで油まみれにし、顔もところどころ黒くしながら、二人はバイクの部品を外して一つずつ検分した。
5598「こんな男前がいるような村じゃないんだけどねえ」
「おいおい奥さん。ちょっと、俺も男前だろ?」
「魏さんは藍さんとはちょっと違うのよ。ねえあなた?」
「わしに聞くか? ――まあ分からなくもないが」
「ちぇっ」
魏嬰は口を動かしてばかりいるが、この日二人は近所の村人の家に来て、この村人の生活の足であるバイクの修理に励んでいた。軍手どころか腕まで油まみれにし、顔もところどころ黒くしながら、二人はバイクの部品を外して一つずつ検分した。
guchiko
СДЕЛАНО藍湛と魏嬰♀の出会い~告白までの話。藍湛視点で話が進みます。
「ひめはじめ」の番外編話!!
「ひめはじめ」は↓ここから読めます。
ポイぴく:https://poipiku.com/2398218/5911112.html
pixiv :https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16993599
※設定
忘羨は互いに様々な事情で日本の学校に通います。
告白彼女と最初に会ったのは、中学の入学式の日だった。新入生は入学式の前に一度、発表された自分のクラスに集まることになっていた。私は自分のクラスに向かい、そこで彼女を見たのだ。
クラスに入ると既にクラスに集まっていた生徒が、一斉に私の方を見てくる。彼女も私に視線を向けていたが、その時は別段気にも留めてなかった。みんなが一斉に見てくる理由は分かっていた。それは私の容姿だ。私自身はどうとも思っていないが、世間が言うには100年だか、1000年だかに一度の美人らしい。そのせいで皆、見てくるのだ。皆から注視される中、黒板に書かれている自分の席に着く。周りはどう話していいのか分からず、誰一人として話しかけてこなかった。ただ、ひそひそと遠巻きに話しているだけだった。そんな中、彼女の声が耳に入ってきた。
7290クラスに入ると既にクラスに集まっていた生徒が、一斉に私の方を見てくる。彼女も私に視線を向けていたが、その時は別段気にも留めてなかった。みんなが一斉に見てくる理由は分かっていた。それは私の容姿だ。私自身はどうとも思っていないが、世間が言うには100年だか、1000年だかに一度の美人らしい。そのせいで皆、見てくるのだ。皆から注視される中、黒板に書かれている自分の席に着く。周りはどう話していいのか分からず、誰一人として話しかけてこなかった。ただ、ひそひそと遠巻きに話しているだけだった。そんな中、彼女の声が耳に入ってきた。
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СДЕЛАНОネコチャン死にます、死ネタです。魏嬰献舎前捏造妄想です。死ネタです。ねこ弟子たちが集まっていた。
「なにをしている!」
「宗主!」
その声に少年たちは顔色を変えこちらを振り返る。その中で一番幼い弟子がなにかを隠すように抱え込んでいた。が、うごうごと小さな腕から這い出てくる。
「あっ、だめだよ!」
地面に降りたのは黒い猫だった。
なるほど、彼らはこいつと遊んでいたのか。
子供たちは怒れることを怖れてびくびくとしているのに対して、猫はじっとまん丸の瞳でこちらを見つめたまま逃げない。
「たっぷりとさぼったんだ、さっさと戻って鍛練を続けろ」
そう叱られた弟子たちは一目散に修練場に行った。その様子にため息をつき黒猫を一瞥すると俺も執務を片付けるべくそこから離れた。
それから黒猫は蓮花塢で姿を見るようになった。度々弟子たちに撫で回されたりたまに埠頭で商人たちから餌を貰ったりして過ごしているようだ。
1130「なにをしている!」
「宗主!」
その声に少年たちは顔色を変えこちらを振り返る。その中で一番幼い弟子がなにかを隠すように抱え込んでいた。が、うごうごと小さな腕から這い出てくる。
「あっ、だめだよ!」
地面に降りたのは黒い猫だった。
なるほど、彼らはこいつと遊んでいたのか。
子供たちは怒れることを怖れてびくびくとしているのに対して、猫はじっとまん丸の瞳でこちらを見つめたまま逃げない。
「たっぷりとさぼったんだ、さっさと戻って鍛練を続けろ」
そう叱られた弟子たちは一目散に修練場に行った。その様子にため息をつき黒猫を一瞥すると俺も執務を片付けるべくそこから離れた。
それから黒猫は蓮花塢で姿を見るようになった。度々弟子たちに撫で回されたりたまに埠頭で商人たちから餌を貰ったりして過ごしているようだ。
usg_us
СДЕЛАНОらおず時代の夢の話。日頃の夢はおそらく怨霊たちが沢山出てくるんだろうけど、1回くらいは藍湛は夢に出てきたんじゃないかなって思った。
自分で書いてて可哀想になった、ごめんね魏嬰
夢「魏嬰」
陽だまりのような、暖かくて優しい声が俺の名前を呼ぶ。その声にはっとして振り向けば、俺の事を慈しむような目で見つめる藍湛の姿があった。
あぁ、お前に会いたかったんだ。話したいことが沢山あるんだ。藍湛、お前に聞いて欲しい。
そう言葉を紡ごうと口を開くが、俺の口からは音にならない息だけが漏れ出た。話せない、何故だ。お前に言いたいことが山ほどあるんだ。なのに、何故。
声が出ないのなら俺が藍湛の方へ行けばいい。そう思って、俺は藍湛の方へと走り出す。なのに、その距離は一向に縮まらない。手を伸ばせば届きそうだった距離が少しずつ少しずつ、離れてゆく。
「…っ藍湛!」
喉から蚊の鳴くような声を絞り出した。目線の先にいる藍湛は、微笑んでいる。その笑顔に救われた気がしたのも束の間、あいつの背後から陰でできた大きな真っ黒い手が、いくつも藍湛に迫っていることに気付いた。
1045陽だまりのような、暖かくて優しい声が俺の名前を呼ぶ。その声にはっとして振り向けば、俺の事を慈しむような目で見つめる藍湛の姿があった。
あぁ、お前に会いたかったんだ。話したいことが沢山あるんだ。藍湛、お前に聞いて欲しい。
そう言葉を紡ごうと口を開くが、俺の口からは音にならない息だけが漏れ出た。話せない、何故だ。お前に言いたいことが山ほどあるんだ。なのに、何故。
声が出ないのなら俺が藍湛の方へ行けばいい。そう思って、俺は藍湛の方へと走り出す。なのに、その距離は一向に縮まらない。手を伸ばせば届きそうだった距離が少しずつ少しずつ、離れてゆく。
「…っ藍湛!」
喉から蚊の鳴くような声を絞り出した。目線の先にいる藍湛は、微笑んでいる。その笑顔に救われた気がしたのも束の間、あいつの背後から陰でできた大きな真っ黒い手が、いくつも藍湛に迫っていることに気付いた。
usg_us
СДЕЛАНО顔のいい魏嬰に藍湛が嫉妬する話#忘羨
藍湛が嫉妬する話
私と魏嬰は物資を補充するため、彩衣鎮へと足を運んでいた。筆や紙類を無事手に入れ、少し町を見てから帰ろうかとしていたところ、私たちは婦人たちに呼び止められた。
「あら、そこの別嬪さんたち。これ見ていかない?良い匂いがするのよ」
どうやら彼女たちは香炉を販売しているようだった。私は人付き合いがあまり得意ではない為、この場は魏嬰に任せることにした。
魏嬰が婦人たちに囲まれ、楽しく談笑している。そんな姿を見て、私の心は靄がかかったかのように渦巻いた。自分で魏嬰にこの場を任せたはずなのに、私以外の人と話して笑ってほしくない。このまま婦人たちから魏嬰を取り戻し、静室に隠したい。そして、私しか知らない場所をじっくりと暴いて彼を啼かせたい。そんな邪な思いが私を取り舞く。だが魏嬰が楽しそうに話しているため、私が間に入ってはいけないだろう。彼には幸せでいてほしい。こんなところで私は彼の幸せを奪ってはいけない。
1189私と魏嬰は物資を補充するため、彩衣鎮へと足を運んでいた。筆や紙類を無事手に入れ、少し町を見てから帰ろうかとしていたところ、私たちは婦人たちに呼び止められた。
「あら、そこの別嬪さんたち。これ見ていかない?良い匂いがするのよ」
どうやら彼女たちは香炉を販売しているようだった。私は人付き合いがあまり得意ではない為、この場は魏嬰に任せることにした。
魏嬰が婦人たちに囲まれ、楽しく談笑している。そんな姿を見て、私の心は靄がかかったかのように渦巻いた。自分で魏嬰にこの場を任せたはずなのに、私以外の人と話して笑ってほしくない。このまま婦人たちから魏嬰を取り戻し、静室に隠したい。そして、私しか知らない場所をじっくりと暴いて彼を啼かせたい。そんな邪な思いが私を取り舞く。だが魏嬰が楽しそうに話しているため、私が間に入ってはいけないだろう。彼には幸せでいてほしい。こんなところで私は彼の幸せを奪ってはいけない。
yamagawa_ma2o
ПРИСОЕДИНЯЙТЕ МЕНЯ何でも修理屋さん魏嬰がアンドロイド藍湛を拾う忘羨近未来AU①。注意:藍湛が途中までアンドロイドです。くっつく話なので最終話のみR18でお届けします。
完結済みまとめ: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17171805
忘記星霜①「魏さん、いるか?」
「どうした、何かあったのか?」
貧しい山間の村。魏嬰は住んでいる小屋で作業をしていたところ、村人の中年男性に呼ばれて、散らかった机の上をそのままに玄関へ駆け寄った。尤も、駆けるまでもなくほんの二、三歩で近くに来れる距離である。
「また夜中に不法投棄の連中が来たみたいだ。魏さんがめぼしい物もあるかもしれないからと思ってな。役人にはそれから連絡する」
「分かった! ありがとう、すぐ行くよ」
魏嬰は元々地域医療の拡充のためにこの村にやってきた医者であったが、いざ村に辿り着くと、そこには凄腕の医者が既にいて故郷の医療に尽くしていた。本来であればすぐに都会に帰るべきところを、この山村をすぐに気に入った彼は、仕事を放りだし、見つけた空き家に住みついて、機械修理や便利な道具を作ってその日暮らしをしている。
5130「どうした、何かあったのか?」
貧しい山間の村。魏嬰は住んでいる小屋で作業をしていたところ、村人の中年男性に呼ばれて、散らかった机の上をそのままに玄関へ駆け寄った。尤も、駆けるまでもなくほんの二、三歩で近くに来れる距離である。
「また夜中に不法投棄の連中が来たみたいだ。魏さんがめぼしい物もあるかもしれないからと思ってな。役人にはそれから連絡する」
「分かった! ありがとう、すぐ行くよ」
魏嬰は元々地域医療の拡充のためにこの村にやってきた医者であったが、いざ村に辿り着くと、そこには凄腕の医者が既にいて故郷の医療に尽くしていた。本来であればすぐに都会に帰るべきところを、この山村をすぐに気に入った彼は、仕事を放りだし、見つけた空き家に住みついて、機械修理や便利な道具を作ってその日暮らしをしている。