肴飯のポイ箱
DONEお題『映画』※チャンプ時代
※無自覚矢印
これからタイトルが付く二人のお話です。
エンドロールはまだ遠く 初夏の日差しが容赦無く差し込む広場も、日が翳ってくれば気温がグッと下がってくる。足元を過ぎていく涼しい風に、少しだけ肌を泡立たせながら、キバナとダンデは臨時で張られたイベントテントの下で帰り支度を進めていく。
キルクスタウンで行われた小さな子ども向けイベントは、チャンピオンダンデとそのライバルのキバナが揃って登場した事で、それはもう大盛況だった。ほぼ一日がかりのイベントは夕方になって漸く終わり、明日はそのままオフ。ここからはリーグから手配されたホテルに二人揃って泊まることになっていた。
「キミも明日オフだろ、部屋遊びに行って良いか?」
「オッケー。だけどお前は動くな、オレさまが行くから」
ジムチャレンジ時代から交流のある二人は、時間が合えばオフで遊ぶことも多い。泊まりで同じホテルであれば、どちらかの部屋で夜更かしをすることもよくある事だった。
2528キルクスタウンで行われた小さな子ども向けイベントは、チャンピオンダンデとそのライバルのキバナが揃って登場した事で、それはもう大盛況だった。ほぼ一日がかりのイベントは夕方になって漸く終わり、明日はそのままオフ。ここからはリーグから手配されたホテルに二人揃って泊まることになっていた。
「キミも明日オフだろ、部屋遊びに行って良いか?」
「オッケー。だけどお前は動くな、オレさまが行くから」
ジムチャレンジ時代から交流のある二人は、時間が合えばオフで遊ぶことも多い。泊まりで同じホテルであれば、どちらかの部屋で夜更かしをすることもよくある事だった。
肴飯のポイ箱
DONEお題『雨の日』※is over後🗼
どうしてもあの夜がこびりついているお話。
あと15センチ 朝方から分厚い雲が占拠していた外の景色も、午後に入るといよいよ大粒の雨が降り始め、今やもうバタバタと執務室の窓ガラスを叩き続けている。タワーは構造上ガラス部分が多いため、天気の変化がよく分かる。バトルタワーの来場者数は、屋内バトル施設という事もあり寧ろいつもより多いくらいの数であったが、今日はダンデの所まで登ってくるトレーナーはまだ居ないらしい。そうなると事務仕事が増えてくるわけで。ダンデは朝から山のように積まれた書類達をせっせと捌いていた。
「オーナー、時間ですよ」
「ああ、もうそんな時間か。通してくれ」
「実は、もう来ちゃってたりしてな」
「おお。ビックリしたぜ」
「全然してない顔じゃん!」
悪戯な顔でドアの後ろから顔を出す来客、もといキバナは想像と違う反応に少し不貞腐れた顔をする。その気安いやりとりに、クスリと笑みを浮かべた秘書は応接テーブルの上に手早くティーセットを置く。
1314「オーナー、時間ですよ」
「ああ、もうそんな時間か。通してくれ」
「実は、もう来ちゃってたりしてな」
「おお。ビックリしたぜ」
「全然してない顔じゃん!」
悪戯な顔でドアの後ろから顔を出す来客、もといキバナは想像と違う反応に少し不貞腐れた顔をする。その気安いやりとりに、クスリと笑みを浮かべた秘書は応接テーブルの上に手早くティーセットを置く。
肴飯のポイ箱
DONEお題「相棒」変わらないものと、変えたいものについて。これからキダになる。そんなお話。
変わらない、変わりたい 夜の帳が下りてから大分時間も経ち、今や空の天辺には艶やかに月が光り輝いている。月明かりによって漸く足元が見えるような部屋のさらに奥。窓も無い物置部屋は橙色の小さな室内灯によって照らされている。
「あれ…やっぱりねえな」
物置部屋からあちこち物を引っ張り出しては首を捻る長身の男は、最後に諦めきれないようにザッと散らかった部屋の中を見回す。が、お目当てのものは見つけられなかったのだろう。心なしかガックリと肩を落としながら部屋の電気を落とす。
パチリ、と音を響かせてスイッチを押せば部屋の中はたちまち薄白い光が差し込むだけとなる。
「ゴーキン」
「おっジュラルドン。どうした?月光浴はもう良いのか?」
ベランダに通じるガラス戸を器用に開けて、のっしのっしと音を立てながら自分の方へと歩いてくる白銀の相棒に、長身の男の正体であるキバナは、優しく笑いながら話しかける。いつもならもう少し月夜を浴びて楽しんでいる筈なのに、体調でも悪いのだろうか。そう、少し心配になってじっとこちらを見つめてきているジュラルドンのボディをチェックしようとした瞬間。
4496「あれ…やっぱりねえな」
物置部屋からあちこち物を引っ張り出しては首を捻る長身の男は、最後に諦めきれないようにザッと散らかった部屋の中を見回す。が、お目当てのものは見つけられなかったのだろう。心なしかガックリと肩を落としながら部屋の電気を落とす。
パチリ、と音を響かせてスイッチを押せば部屋の中はたちまち薄白い光が差し込むだけとなる。
「ゴーキン」
「おっジュラルドン。どうした?月光浴はもう良いのか?」
ベランダに通じるガラス戸を器用に開けて、のっしのっしと音を立てながら自分の方へと歩いてくる白銀の相棒に、長身の男の正体であるキバナは、優しく笑いながら話しかける。いつもならもう少し月夜を浴びて楽しんでいる筈なのに、体調でも悪いのだろうか。そう、少し心配になってじっとこちらを見つめてきているジュラルドンのボディをチェックしようとした瞬間。
肴飯のポイ箱
DONEお題『掃除』溢れ出る物が沢山あるのが嬉しいっていう話です。
⏳🐈に妨害されながらの二日
明日、写真を撮ろうか シュートシティを見下ろすマンションの最上階。大型のポケモン達が悠々と寛げる程の広さがあるその家の一室は今、大量の本達によって埋まっていた。
「自分達で言うのもなんだけど、すげぇ溜め込んだよな」
「ヨクバリスも真っ青な溜め込み方だぜ」
家主の一人であるキバナが、艶のある濡鴉色の髪を指で掻き混ぜながら唸る。応えるダンデも琥珀色の瞳を曇らせて、眉間に皺を寄せながら腕を組んで唸る。
二人が結婚し早片手の指を超える年数が立っている。このマンションを購入してからは、主に家具家電をキバナが主導して揃えてきた。ポケモンに関する物はダンデも考えて意見を出し、二人とポケモン達の居心地の良い場所を作っていけば、次第に物が増えていくのも自然な流れ。まあ、目の前の惨状は一緒に暮らしてきた軌跡の結果だといえば聞こえはいいが、結局の所怠慢による本の洪水だ。
2975「自分達で言うのもなんだけど、すげぇ溜め込んだよな」
「ヨクバリスも真っ青な溜め込み方だぜ」
家主の一人であるキバナが、艶のある濡鴉色の髪を指で掻き混ぜながら唸る。応えるダンデも琥珀色の瞳を曇らせて、眉間に皺を寄せながら腕を組んで唸る。
二人が結婚し早片手の指を超える年数が立っている。このマンションを購入してからは、主に家具家電をキバナが主導して揃えてきた。ポケモンに関する物はダンデも考えて意見を出し、二人とポケモン達の居心地の良い場所を作っていけば、次第に物が増えていくのも自然な流れ。まあ、目の前の惨状は一緒に暮らしてきた軌跡の結果だといえば聞こえはいいが、結局の所怠慢による本の洪水だ。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「キャンプ」灯台下暗しな1人と、灯台の下でのんびりと焚き火しながら待つ1人の話。
※👑時代
それこそシンプル ワイルドエリアの一角で、こじんまりとしたテントと簡易椅子を一つ。長いライラック色の髪を揺らしながら、慣れた手つきであっという間に設営したダンデは、風に飛ばされそうになるキャップを片手で抑えながら空を見上げる。昨日は雨マークが付いていた場所も、今日は見違えるような青空だ。少し前にボールから出した手持ち達は今横にいるリザードンを残してみんな自由に寛いでいる。
「久しぶりにこうした時間を過ごすなぁ」
チャンピオンという立ち位置について数年。毎日が目まぐるしく過ぎる中で、今日は漸く取れた休日だった。肺に思い切り息を吸い込むと鮮やかな草の香り。風に揺れる草花の音と一緒にあちこちからポケモン達の生きる音が聞こえてくる。そんな音に耳を傾けながら、ダンデは草原に思い切り大の字になって寝そべり、目を閉じる。
2885「久しぶりにこうした時間を過ごすなぁ」
チャンピオンという立ち位置について数年。毎日が目まぐるしく過ぎる中で、今日は漸く取れた休日だった。肺に思い切り息を吸い込むと鮮やかな草の香り。風に揺れる草花の音と一緒にあちこちからポケモン達の生きる音が聞こえてくる。そんな音に耳を傾けながら、ダンデは草原に思い切り大の字になって寝そべり、目を閉じる。
肴飯のポイ箱
DONEお題『会いたい』を拝借しました!⏳1h +30
煙の香りってびっくりするほど残るよねって話です。
※恋人になって少し経った二人
そこにいてくれ パチリと時折思い出したかのように跳ねる火の粉が夜空に飛び上がってフッと闇に紛れていく。薄茶色だった丸太型のトーチに置かれた小さな火種から、ゆっくりと煙が上がっていたのはだいぶ前のことだ。今は風が吹く度にその体の隙間から拍動するような赤を見せながらダンデ達を温めてくれている。
ワイルドエリアでのキャンプは、二人が子どもの頃から何度もしてきた。ライバルという関係に恋人という肩書きが追加されてからもそれは変わらず。忙しい時期であっても一月に一度はキャンプをして昼間にポケモン達と遊び、夜にはこうしてゆったりと二人静かに火を囲む。言葉に出して約束をしている訳では無いが、普段の慌ただしい日常から切り離されるこの時間は二人にとっても、一緒に過ごしてくれるポケモン達にとっても大切な時間となっている。
2445ワイルドエリアでのキャンプは、二人が子どもの頃から何度もしてきた。ライバルという関係に恋人という肩書きが追加されてからもそれは変わらず。忙しい時期であっても一月に一度はキャンプをして昼間にポケモン達と遊び、夜にはこうしてゆったりと二人静かに火を囲む。言葉に出して約束をしている訳では無いが、普段の慌ただしい日常から切り離されるこの時間は二人にとっても、一緒に過ごしてくれるポケモン達にとっても大切な時間となっている。
肴飯のポイ箱
DONEお題「寒がりor温まる」⏳1h+15
少年期の2人。無自覚な2人に、何かが芽吹く時の話。副題kbさんへの無垢な流れ弾がぶち当たる話。
ぽっかぽか ダンデが王冠を被り、真紅のマントを纏って過ごす2年目。雪がチラつくことも増え始めた時期に今年のジムチャレンジも無事終わり、ポケモンバトルのお祭り騒ぎが少しずつ、年を越すための騒ぎへと緩やかに変化していく中で、シュートスタジアムの一角では、来年度用のリーグカードの撮影が行われていた。
スタジアムの端の方に設置された簡易テントとテーブルで作られた休憩スペースには、大型のヒーターが設置され、ドリンクや菓子類も揃えられており、パイプ椅子には暖かそうなブランケットも掛けられていて、待ち時間を少しでも快適にというスタッフの心遣いが感じられる。その簡易テントの横で、ヒーターに両手を当てながら暖を取っているキバナへと、足音を忍ばせながらゆっくりと近寄ってきたダンデが、勢い良くフードと背中の隙間に両手を突っ込んでくる。
1734スタジアムの端の方に設置された簡易テントとテーブルで作られた休憩スペースには、大型のヒーターが設置され、ドリンクや菓子類も揃えられており、パイプ椅子には暖かそうなブランケットも掛けられていて、待ち時間を少しでも快適にというスタッフの心遣いが感じられる。その簡易テントの横で、ヒーターに両手を当てながら暖を取っているキバナへと、足音を忍ばせながらゆっくりと近寄ってきたダンデが、勢い良くフードと背中の隙間に両手を突っ込んでくる。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「ふわふわ、もこもこ」
⏳1h +10
ふわふわでもこもこなあれが生えて、キバナさんがダイマックス(比喩)する話。
※そういう描写は無いですが、少し如何わしい言葉がチラホラ出るので注意です!!
嘘つき!! それは何でもない、何でもないいつもの日になるはずだった夕方に突然起こったのだった。
「驚かないで聞いて…いや、見てほしいんだが」
同棲している家の玄関扉を開けて、帰宅した事を告げるダンデをキバナが出迎えた際、藪から棒にダンデが急にキバナの前で自分の帽子へと手を伸ばした。スルリと頭から外された帽子の下からは、ダンデの髪色と同じ毛色のチョロネコみたいな耳が二つ、行儀良く頭の上にピンッと立っていた。
「えっ何これ?!!」
「耳元で大声はやめてくれ!この耳もの凄い音を拾うんだぜ」
「あっごめん」
キバナが確かめる為に恐る恐る触れると、ふわふわとして温かかく、キバナが触れるのが擽ったいのか、時折ぴくっと身じろぎするように動く。これはどう見ても本物だ。
2298「驚かないで聞いて…いや、見てほしいんだが」
同棲している家の玄関扉を開けて、帰宅した事を告げるダンデをキバナが出迎えた際、藪から棒にダンデが急にキバナの前で自分の帽子へと手を伸ばした。スルリと頭から外された帽子の下からは、ダンデの髪色と同じ毛色のチョロネコみたいな耳が二つ、行儀良く頭の上にピンッと立っていた。
「えっ何これ?!!」
「耳元で大声はやめてくれ!この耳もの凄い音を拾うんだぜ」
「あっごめん」
キバナが確かめる為に恐る恐る触れると、ふわふわとして温かかく、キバナが触れるのが擽ったいのか、時折ぴくっと身じろぎするように動く。これはどう見ても本物だ。
pimankoubo
DONE #kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_168お題ニット・セーター
今日から始まる
いいふうふの日めでたい
今日から始まる 暖かい部屋の中
リビングのソファから長い足がひょっこりと飛び出している。
仕事を終え帰ってきた大好きな我が家に帰ってきて一番最初に飛び込んだ景色がそれだった。
静かに静かに近づいて、そっと後ろから覗き込めば、長い腕を身体にうまいこと巻き付けてすやすやと眠るキバナがいた。
「キバナ……キーバーナー。ただいま。帰ってきたぜ」
頬をつついても、お揃いのセーターの裾を引っ張ってもキバナは安らかな夢の中にいる。
あまりに反応がないからだんだん面白くなってきたダンデが、冷たい手をセーターの裾から突っ込んでキバナの腹筋に指を這わせても
「んー…………」
と一度唸って器用にソファの上で寝返りをうったきりまた静かに寝息をたて始めてしまった。
1797リビングのソファから長い足がひょっこりと飛び出している。
仕事を終え帰ってきた大好きな我が家に帰ってきて一番最初に飛び込んだ景色がそれだった。
静かに静かに近づいて、そっと後ろから覗き込めば、長い腕を身体にうまいこと巻き付けてすやすやと眠るキバナがいた。
「キバナ……キーバーナー。ただいま。帰ってきたぜ」
頬をつついても、お揃いのセーターの裾を引っ張ってもキバナは安らかな夢の中にいる。
あまりに反応がないからだんだん面白くなってきたダンデが、冷たい手をセーターの裾から突っ込んでキバナの腹筋に指を這わせても
「んー…………」
と一度唸って器用にソファの上で寝返りをうったきりまた静かに寝息をたて始めてしまった。
pimankoubo
DONE #kbdnワンドロ#kbdnワンドロ_166
お題「文化・文化的」
人間「なぁ、キバナ。人間と言うやつはポケモンや、他の生き物と違って文化的らしいぜ」
けらけらと笑いながら言うダンデの手には、ワイン好きが見たらよだれを垂らしてしまうような代物が握られており、まるでそれを安酒のようにダンデがボトルに口をつけ煽る。
喉を鳴らしながらワインを胃の中に流し込み、口の端から溢れたワインがダンデの首筋を伝いシャツに染みを作る。
「ったく……おまえ飲み過ぎ明日起きれなくなるぜ」
「構わないさ、どうせ明日は休みだ。好きなだけ寝て、好きな時間に起きるさ……」
「お前見てると文化的って言葉の意味が分からなくなるな」
「ははっ確かに」
そういってふらついたダンデに肩を貸そうと近寄ればバシャリと頭からダンデがキバナの頭に持っていたワインをぶちまけた。
2259けらけらと笑いながら言うダンデの手には、ワイン好きが見たらよだれを垂らしてしまうような代物が握られており、まるでそれを安酒のようにダンデがボトルに口をつけ煽る。
喉を鳴らしながらワインを胃の中に流し込み、口の端から溢れたワインがダンデの首筋を伝いシャツに染みを作る。
「ったく……おまえ飲み過ぎ明日起きれなくなるぜ」
「構わないさ、どうせ明日は休みだ。好きなだけ寝て、好きな時間に起きるさ……」
「お前見てると文化的って言葉の意味が分からなくなるな」
「ははっ確かに」
そういってふらついたダンデに肩を貸そうと近寄ればバシャリと頭からダンデがキバナの頭に持っていたワインをぶちまけた。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「コスプレ、仮装、変装」恥ずかしいとそういうことしちゃう1人と、それに気付いちゃた1人の話。🎃楽しい。
それはそれ、これはこれ ガラル地方では、ハロウィンの時期になると街中がゴーストポケモンモチーフの飾りや色とりどりのお菓子を模した飾りで彩られ、ショップを覗けばポップな音楽に合わせてお菓子を寄越せと可愛らしく歌う店内ミュージックが繰り返し流れているのが定番だ。目にも耳にも賑やかなこの時期、キバナは例年よりも浮かれている自信があった。
「(一昨年は狼男、去年はヴァンパイア…今年は何の仮装すんのかな?ちょっと路線変えてチョロネコとか、ワンパチとかやってくんないかなぁ…)」
なにせ今年は恋人になって初めてのハロウィン。プライベートだと鈍くて、大変恥ずかしがりやの恋人の。仕事とはいえ、いつもは見れない姿にちょっと位期待したって良いじゃない。あわよくば、それをお家デートの時に着てもらえたら万々歳だ。なんて浮かれてシュートシティまでやってきて、手を振ってくれるファンへと軽く握手やバトルポーズをしながら、いつもより賑わっているタワーの入り口へと足を踏み出した。ダンデがいるであろう場所へと視線を巡らせると、仮装をしている恋人の姿が見えた。いや、訂正すると恋人なのか信じたくないけどきっとそうだろうなっていう姿が見えた。
2181「(一昨年は狼男、去年はヴァンパイア…今年は何の仮装すんのかな?ちょっと路線変えてチョロネコとか、ワンパチとかやってくんないかなぁ…)」
なにせ今年は恋人になって初めてのハロウィン。プライベートだと鈍くて、大変恥ずかしがりやの恋人の。仕事とはいえ、いつもは見れない姿にちょっと位期待したって良いじゃない。あわよくば、それをお家デートの時に着てもらえたら万々歳だ。なんて浮かれてシュートシティまでやってきて、手を振ってくれるファンへと軽く握手やバトルポーズをしながら、いつもより賑わっているタワーの入り口へと足を踏み出した。ダンデがいるであろう場所へと視線を巡らせると、仮装をしている恋人の姿が見えた。いや、訂正すると恋人なのか信じたくないけどきっとそうだろうなっていう姿が見えた。
mimi_ruru_241
DONEお題【お絵描き・絵画・美術】#kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_163
※遅刻+2h
値札のつかない絵を描くdndと、色鉛筆をプレゼントするkbnの話。価値の基準はゼロの数だけじゃない。
キャンバスから眺める風景 そのこどもの手帳に刻まれた分刻みの縦線は、まるで檻のようだった。
たった数ヶ月前までは、ウールーとともに風を追い、草原を駆けるひとりの牧童だったダンデ。たった一枚の紹介状を握りしめ、のどかなふるさとから踏み出したその先で、彼は真価を発揮した。
流星のように現れ、ポケモンリーグという地に降り立ってもなお眩いその子の輝きに、ガラルの全てが熱狂した。ちいさな頭に王冠を戴いた彼の、一挙手一投足に無数の目が追って回る。
決勝戦の前に食べたサンドイッチ、寝る前に読み聞かせられた絵本、お気に入りのキャップ。ダンデという子どもを構成している、ただそれだけで、田舎町のパン屋は人が溢れるほどに繁盛した。絵本はどこの本屋でも品切れになった。キャップは「ダンデモデル」という名前で復刻されることになった。彼が何気なく口にした言葉は、彼の知らないところで金貨や銀貨に変わっていく。
3283たった数ヶ月前までは、ウールーとともに風を追い、草原を駆けるひとりの牧童だったダンデ。たった一枚の紹介状を握りしめ、のどかなふるさとから踏み出したその先で、彼は真価を発揮した。
流星のように現れ、ポケモンリーグという地に降り立ってもなお眩いその子の輝きに、ガラルの全てが熱狂した。ちいさな頭に王冠を戴いた彼の、一挙手一投足に無数の目が追って回る。
決勝戦の前に食べたサンドイッチ、寝る前に読み聞かせられた絵本、お気に入りのキャップ。ダンデという子どもを構成している、ただそれだけで、田舎町のパン屋は人が溢れるほどに繁盛した。絵本はどこの本屋でも品切れになった。キャップは「ダンデモデル」という名前で復刻されることになった。彼が何気なく口にした言葉は、彼の知らないところで金貨や銀貨に変わっていく。
肴飯のポイ箱
DONEお題『お絵かき・絵画・美術』絵心と、リベンジと、ちょっとした日常の話。
https://poipiku.com/6450412/7832908.html
と繋がっています。
よく見てみよう「どした?」
「……」
「えっ…本当になに?」
休日の朝。一通りのトレーニングを終えたキバナは、のんびりとカウチに座りながら数日前に発売されたポケモン雑誌を読んでいた。気になっていたコラムの続きを読もうと、ペラペラとページをめくっていたが、同居人がどうにもこうにも凄く熱い視線をずっと無言のまま向けてくること、三十分。最初は気のせいかと思っていたが、パチリと音が出そうなくらい目線がかち合った後も、何故かダンデは、座っているキバナを真正面から直立不動で見つめてくる。しかも、焦れたキバナがあれこれ話しかけても全く反応は無く、只々この謎な状態が続いている。
ダンデは、口で説明するよりも行動で示す方が速いと思うと、時々突拍子もない行動に出ることがある。後から理由を聞くと、なるほど。という内容も多いが、理由を聞いても首を傾げる内容の時もある。今はどちらだろうか。そう考えながら、キバナはつやりと輝きながらこちらを見つめてくる琥珀色をぼんやりと眺めたのだった。
2011「……」
「えっ…本当になに?」
休日の朝。一通りのトレーニングを終えたキバナは、のんびりとカウチに座りながら数日前に発売されたポケモン雑誌を読んでいた。気になっていたコラムの続きを読もうと、ペラペラとページをめくっていたが、同居人がどうにもこうにも凄く熱い視線をずっと無言のまま向けてくること、三十分。最初は気のせいかと思っていたが、パチリと音が出そうなくらい目線がかち合った後も、何故かダンデは、座っているキバナを真正面から直立不動で見つめてくる。しかも、焦れたキバナがあれこれ話しかけても全く反応は無く、只々この謎な状態が続いている。
ダンデは、口で説明するよりも行動で示す方が速いと思うと、時々突拍子もない行動に出ることがある。後から理由を聞くと、なるほど。という内容も多いが、理由を聞いても首を傾げる内容の時もある。今はどちらだろうか。そう考えながら、キバナはつやりと輝きながらこちらを見つめてくる琥珀色をぼんやりと眺めたのだった。
pimankoubo
DONEワンドロお題『お絵かき・絵画・美術』
#kbdnワンドロ
#kbdnワンドロ_163
お借りしました
キョダイゲンカク。
死ねたです
惜別のひ惜別の火
ゆらゆらと炎が瞬く。
だんだん細く、弱々しくなるそれをダンデは何も言わずただじっと見つめていた。
炎に照らされたその顔は20年前チャンピオンだった頃と比べ張りがなくなり、歳相応に目元には皺が浮かんでいる。
ゆらゆら、ゆらゆら
いつでも自分の行く先を照らしてくれた炎が、だんだん、だんだん細く小さくなっていく。
ゆら……ゆら……ゆらゆら
消えかけては、少しだけ持ち直す。
これをどれだけ繰り返したのだろうか。
炎が小さくなる度にひゅっと息をのみその様子を見守る。
もういい、もう無理しなくていい。
そういってやりたいのになかなかそういってはやれなくて、情けなく眉を下げれば、そんな顔をするなと言うかのように炎に力が戻る。
7024ゆらゆらと炎が瞬く。
だんだん細く、弱々しくなるそれをダンデは何も言わずただじっと見つめていた。
炎に照らされたその顔は20年前チャンピオンだった頃と比べ張りがなくなり、歳相応に目元には皺が浮かんでいる。
ゆらゆら、ゆらゆら
いつでも自分の行く先を照らしてくれた炎が、だんだん、だんだん細く小さくなっていく。
ゆら……ゆら……ゆらゆら
消えかけては、少しだけ持ち直す。
これをどれだけ繰り返したのだろうか。
炎が小さくなる度にひゅっと息をのみその様子を見守る。
もういい、もう無理しなくていい。
そういってやりたいのになかなかそういってはやれなくて、情けなく眉を下げれば、そんな顔をするなと言うかのように炎に力が戻る。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「寝坊」
油断した1人と、それを見てニンマリする1人の話。
※自我強いお馴染み秘書さんいます
※ナチュラル同棲
愛の切れ端 腹に絡まる温い体温に、瞼に刺さる太陽の熱。やけに煩いココガラの声、鳴り止まぬアラーム音。それらが薄い膜一枚巻いたような心地で感じたダンデは、暫くはぼんやりとシーツに懐いていたが、やがてそれらの意味を正しく理解した。
「…っやばいぜこれは!!」
今までに何度も経験してきた中でも特段アウトな予感のフルコンボに、内心冷や汗を掻いて、ベッドから背筋を使って勢いよく起き上がる。一緒に寝床へと潜り込んだチョコレート色の肌をしたドラゴンが、未だに横で呑気にスヤスヤと眠り込んでいた。休日ならずっと眺めていたいその顔も、今のこの原因を作った一因でもあるので只々憎らしい。
「っこの!起きろっ!!」
これくらいしないと起きないし。なんてちょっとだけ恨みを晴らす言い訳をしながら、鬱血痕と噛み跡だらけの右足で、背中に爪痕が残る大男の背中を思い切り蹴り飛ばした。
2944「…っやばいぜこれは!!」
今までに何度も経験してきた中でも特段アウトな予感のフルコンボに、内心冷や汗を掻いて、ベッドから背筋を使って勢いよく起き上がる。一緒に寝床へと潜り込んだチョコレート色の肌をしたドラゴンが、未だに横で呑気にスヤスヤと眠り込んでいた。休日ならずっと眺めていたいその顔も、今のこの原因を作った一因でもあるので只々憎らしい。
「っこの!起きろっ!!」
これくらいしないと起きないし。なんてちょっとだけ恨みを晴らす言い訳をしながら、鬱血痕と噛み跡だらけの右足で、背中に爪痕が残る大男の背中を思い切り蹴り飛ばした。
pimankoubo
DONEワンドロお題お題『スーパー・コンビニ・買い出し』
#kbdnワンドロ
#kbdnワンドロ_162
とあるモブの話 私はモブ。
どこにでもいる至って普通のモブである。
私はナックルシティのコンビニで働くフリーター。
あのブラックナイトよりさらにブラックなこのコンビニに勤め始めて早3年、本当はかの名門ナックルジムのジムトレーナーを目指して田舎から出てきた筈だった。
しかしはじめて採用試験を受けたとき最初は順調にいけたのに最終の試験でポカをやらかした。
その次も、さらにその次も……3度目の正直になったかもしれない今年はまたポカをやらかすのが怖くて応募さえしていない。
これはもう、潔く諦めた方が良いかもしれない。
諦めて田舎でりんご農家を継いだほうが将来は楽かもしれない。
そんな事を考えながら今日も今日とて連勤記録を伸ばし続けている。
2444どこにでもいる至って普通のモブである。
私はナックルシティのコンビニで働くフリーター。
あのブラックナイトよりさらにブラックなこのコンビニに勤め始めて早3年、本当はかの名門ナックルジムのジムトレーナーを目指して田舎から出てきた筈だった。
しかしはじめて採用試験を受けたとき最初は順調にいけたのに最終の試験でポカをやらかした。
その次も、さらにその次も……3度目の正直になったかもしれない今年はまたポカをやらかすのが怖くて応募さえしていない。
これはもう、潔く諦めた方が良いかもしれない。
諦めて田舎でりんご農家を継いだほうが将来は楽かもしれない。
そんな事を考えながら今日も今日とて連勤記録を伸ばし続けている。
MHrfch
DONEキダ お題『ベッド・寝床』#kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_159 +2h
ぱたたた、と遠くからマメパトの羽音がする。
差し込む日差し。爽やかな朝の目覚め。
「ん……」
キバナはゆっくりと瞼を持ち上げた。まず音もなく回る天井のファンが目に入り、ついで掃き出し窓越しの朝の。自室だ。シーツの海から身を起こす。ふぁ、と伸びをしようとして、ずきりと痛んだ額を押さえた。顔を顰める。
何だっけ。昨晩はそう、ダチと飲んでて。勢い余って少し飲みすぎてしまったのだった。頭痛は二日酔いの賜物だろう。帰路に着いた記憶すらなかったが、こうしてラフな格好の寝間着に着替えて、自室で寝ていたということは、オレさまは無事家に帰れたらしい。
いくら自棄な気分だったとはいえ、飲みすぎるものじゃない、と反省しながらベッドから降り、皺の寄ったシーツを整えようとして——キバナはそこに、異変を見つけてしまった。
4768差し込む日差し。爽やかな朝の目覚め。
「ん……」
キバナはゆっくりと瞼を持ち上げた。まず音もなく回る天井のファンが目に入り、ついで掃き出し窓越しの朝の。自室だ。シーツの海から身を起こす。ふぁ、と伸びをしようとして、ずきりと痛んだ額を押さえた。顔を顰める。
何だっけ。昨晩はそう、ダチと飲んでて。勢い余って少し飲みすぎてしまったのだった。頭痛は二日酔いの賜物だろう。帰路に着いた記憶すらなかったが、こうしてラフな格好の寝間着に着替えて、自室で寝ていたということは、オレさまは無事家に帰れたらしい。
いくら自棄な気分だったとはいえ、飲みすぎるものじゃない、と反省しながらベッドから降り、皺の寄ったシーツを整えようとして——キバナはそこに、異変を見つけてしまった。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題『ベッド・寝床』⌛️1h +40分
力いっぱい抱きしめたいなって思いながら眠る話。ちいちゃい生き物が寝てる姿って何時間でも眺めてられる気がします。
※ポメガバ
※同棲恋人設定
言っていいよ 数時間前迄は煌々と輝いていた街の明かりも寂しくなってきた時間。数ヶ月に一度行う大規模なワイルドエリアの巡回作業を終えたキバナは、ヘトヘトになりつつも我が家までの道のりを、タクシー乗り場から重くなった足を引き摺りながら歩いていた。最後の難関(と勝手に思っている)坂道を越えて辿り着いた玄関は、ドアライトも、リビングに続く廊下の電気も点いたままになっていた。もしかして、という期待がムクリと顔を上げてくる。
「ダンデ、ただいまー」
しかし、どんなに遅い時間になってもキバナが帰宅すると、顔を見にもぞもぞと玄関までやってくることが多いダンデの姿が無いことに少しだけ肩を落とす。まあ、流石にこんな時間だ。今日は寝ているのだろうと思いながらリビングへと入る。リビングの中も、廊下と同じくすべての電気が点けられていた。 そしてその明かりの下、キバナは散々たる光景を目にすることになった。
2035「ダンデ、ただいまー」
しかし、どんなに遅い時間になってもキバナが帰宅すると、顔を見にもぞもぞと玄関までやってくることが多いダンデの姿が無いことに少しだけ肩を落とす。まあ、流石にこんな時間だ。今日は寝ているのだろうと思いながらリビングへと入る。リビングの中も、廊下と同じくすべての電気が点けられていた。 そしてその明かりの下、キバナは散々たる光景を目にすることになった。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロ開催ありがとうございます!お題『手紙 ラブレター』
⌛️遅刻+1時間
自覚は、時にいきなりくるよねっていう話
根こそぎ全部 明かりをつけても少し薄暗く感じてしまう室内に、ダンデとキバナは立っていた。
視線を巡らせる先全てには、本と雑誌、そしてまた本。積み上がったそれらは不思議なバランスを保って、奇跡的に雪崩を起こさずに鎮座している。その隙間を縫うように小さな木製の丸椅子が一つ、申し訳程度に壁際へと置かれている。よく見ると、低めの棚かと思っていたものは本を限界まで積まれているベッドのようだった。
先程通されたリビング兼ダイニングの部屋は、モデルルームみたいに最低限の物しか置かれていなかったので、その分目の前に広がる本の洪水のような光景に驚きを隠せない。隣で悪戯が見つかった子どものように気まずそうな顔で笑っているダンデに、言いたい事を色々と飲み込んでキバナは深いため息を吐いた。
3069視線を巡らせる先全てには、本と雑誌、そしてまた本。積み上がったそれらは不思議なバランスを保って、奇跡的に雪崩を起こさずに鎮座している。その隙間を縫うように小さな木製の丸椅子が一つ、申し訳程度に壁際へと置かれている。よく見ると、低めの棚かと思っていたものは本を限界まで積まれているベッドのようだった。
先程通されたリビング兼ダイニングの部屋は、モデルルームみたいに最低限の物しか置かれていなかったので、その分目の前に広がる本の洪水のような光景に驚きを隠せない。隣で悪戯が見つかった子どものように気まずそうな顔で笑っているダンデに、言いたい事を色々と飲み込んでキバナは深いため息を吐いた。
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DONEキダ お題『手紙 ラブレター』#kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_158 +0.5h
「すまない、掛けて待っててくれないか。すぐ終わらせるから」
そう言ってダンデは執務室のソファを指し示し、自分は再びデスクのパソコンへと向き直った。オレは軽く片手で応えて言われた通りにする。約束の時間の十分前は、早すぎることもないが結果的には急かすことになってしまった。扉を開けて入ってきたオレの顔を見た瞬間、リザードンが上着を持ってダンデの肩にかけてやっていたので、この後出かける準備は万全、あとは作業が終わるのを待つばかりだ。
と、整然としたデスクの脇に、一片の紙が落ちている。
サイズからしてそれは封筒のようだった。遠目で見れば縁に水ポケモンの波乗りの様子がローティーン向けの絵柄であしらわれていて、ビジネスじゃあそんな封筒は使われないからきっとファンレターなのだと見て取れる。丁寧に一片にペーパーナイフを走らせた跡があって、中身は既に目を通した後のようだ。手紙の山から滑り落ちてしまったのだろうか。ダンデの元に、チャンピオンを退いた今でも大量の手紙が届いているだろうことは想像に難くない。
2719そう言ってダンデは執務室のソファを指し示し、自分は再びデスクのパソコンへと向き直った。オレは軽く片手で応えて言われた通りにする。約束の時間の十分前は、早すぎることもないが結果的には急かすことになってしまった。扉を開けて入ってきたオレの顔を見た瞬間、リザードンが上着を持ってダンデの肩にかけてやっていたので、この後出かける準備は万全、あとは作業が終わるのを待つばかりだ。
と、整然としたデスクの脇に、一片の紙が落ちている。
サイズからしてそれは封筒のようだった。遠目で見れば縁に水ポケモンの波乗りの様子がローティーン向けの絵柄であしらわれていて、ビジネスじゃあそんな封筒は使われないからきっとファンレターなのだと見て取れる。丁寧に一片にペーパーナイフを走らせた跡があって、中身は既に目を通した後のようだ。手紙の山から滑り落ちてしまったのだろうか。ダンデの元に、チャンピオンを退いた今でも大量の手紙が届いているだろうことは想像に難くない。
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DOODLEワンドロ開催ありがとうございます!お題「ポーズ」
自覚と無自覚の境目についての話。
※幼少期
※捏造カメラマンがいる
※kbnさんほぼ出てこない
キミだけに見せていた 黒々としたコード類と、名前が分からない背の高い機器達に囲まれて、ダンデは試合前ですら感じたことの無い緊張感で足がすくむ。ポケモン関係の雑誌へ掲載する特集記事に向けた撮影だと、事前に聞いていたが、ここまで大掛かりな撮影は初めてだ。
ダンデにとって、写真を撮るといえば家にある年代物のカメラのタイマー機能でハイポーズ。位しか経験していなかったし、ジムチャレンジ中はポケモンバトルに夢中になり過ぎて、母親から渡されたスマホは、図鑑を見ることくらいにしか使っていなかった。第一、写真を撮る時には「みんなで集まって」とか、いつ撮られるのかよく分からないままじっとさせられるのがダンデは苦手だったのだ。
そんな、写真に対して殆ど知識も経験も無い子どもが、まさかこんな本格的なスタジオで写真を撮るなんて想像していなかった。
1761ダンデにとって、写真を撮るといえば家にある年代物のカメラのタイマー機能でハイポーズ。位しか経験していなかったし、ジムチャレンジ中はポケモンバトルに夢中になり過ぎて、母親から渡されたスマホは、図鑑を見ることくらいにしか使っていなかった。第一、写真を撮る時には「みんなで集まって」とか、いつ撮られるのかよく分からないままじっとさせられるのがダンデは苦手だったのだ。
そんな、写真に対して殆ど知識も経験も無い子どもが、まさかこんな本格的なスタジオで写真を撮るなんて想像していなかった。
肴飯のポイ箱
DONEワンドロお題「水」
⌛️遅刻+40分くらい!
※isオーバー後
※ナチュラル結婚後
想像よりも「良い」ってなる話。
水も滴るなんとやらナックルシティにある閑静な住宅街。綺麗に整えられた庭木に囲まれた中庭では、大きめの滑り台までついたビニールプールが二つ。一つには並々と水が張られ、もう片方には赤褐色の砂が同じように盛られていた。
「大きいプール、買って良かったな。即席の砂場も、簡易的だが結構楽しんでくれていて安心した」
「ほんと、買って良かったわ」
今年のガラルの夏は、例年以上の気温を日々叩き出しており、日差しがキツい日は暑さを好むコータスですら少しへばっている様子があった。ジュラルドンに至っては、熱によって体の表面温度が上がりすぎてしまい、下手に触れると火傷の危険があるレベルだった。そのせいか、生まれたばかりのまだ幼いポケモン達は、日中あまりボールから出たがらなくなる子が増えてしまった。
1111「大きいプール、買って良かったな。即席の砂場も、簡易的だが結構楽しんでくれていて安心した」
「ほんと、買って良かったわ」
今年のガラルの夏は、例年以上の気温を日々叩き出しており、日差しがキツい日は暑さを好むコータスですら少しへばっている様子があった。ジュラルドンに至っては、熱によって体の表面温度が上がりすぎてしまい、下手に触れると火傷の危険があるレベルだった。そのせいか、生まれたばかりのまだ幼いポケモン達は、日中あまりボールから出たがらなくなる子が増えてしまった。
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DONEワンドロお題「アルコール」
湖畔に石を投げ込むか悩む1人と、確信が欲しくて湖畔で待ち構えている1人の話
拙者!これからキダになるっていうのが好き侍と申す!!!
今、君を想う「マスター、いつもの。」
「かしこまりました。」
バーカウンターの端へ座り、いつの頃からか名前を言わなくとも伝わるようになってしまった注文をしてから、ホッと一息吐く。
閉店間際とはいかないまでも、大分夜も遅い時間帯。元々カウンターと、数箇所の丸テーブルが置かれている駅からも離れたこじんまりとした店だ。店内にはダンデ以外人影もない。それを分かっているので、変装として被っていた帽子を取り、後ろで一纏めにしていた髪を解く。そのタイミングを待っていたかのように、シェイカーの音が止む。
「ブルーラグーン、お待たせ致しました。」
「ありがとう。」
トンっと、鏡のように丹念に磨き込まれたカウンターテーブルに置かれた空とも海とも言えないような色のカクテルを前に、ダンデは片肘をついて思考を巡らす。
2022「かしこまりました。」
バーカウンターの端へ座り、いつの頃からか名前を言わなくとも伝わるようになってしまった注文をしてから、ホッと一息吐く。
閉店間際とはいかないまでも、大分夜も遅い時間帯。元々カウンターと、数箇所の丸テーブルが置かれている駅からも離れたこじんまりとした店だ。店内にはダンデ以外人影もない。それを分かっているので、変装として被っていた帽子を取り、後ろで一纏めにしていた髪を解く。そのタイミングを待っていたかのように、シェイカーの音が止む。
「ブルーラグーン、お待たせ致しました。」
「ありがとう。」
トンっと、鏡のように丹念に磨き込まれたカウンターテーブルに置かれた空とも海とも言えないような色のカクテルを前に、ダンデは片肘をついて思考を巡らす。
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DOODLEワンドロお題「ハネムーン」
⌛️もう半日以上書いてた…ハネムーンに対して熱い思いが止められなかった。
2人はなんだかんだで似てるねって話です。
ちょろっと🔥💧🌱の3人出ます。
その流れ星さえも欲しい ハネムーン。その言葉を聞いて、ガラルに住んでいる人ならば大抵はアローラ、パルデア…少し遠いけれどジョウト辺りなどを候補に挙げてくる事が多い。キバナも例に漏れず、ダンデとの待ちに待ったハネムーン休暇をどこで過ごそうかと、こっそり雑誌やネットで情報を見ながら考えていたのだが。
『キミとワイルドエリアを一緒に冒険してみたい。』
なんて、ハネムーンの場所の打診をした時に、愛しいパートナーからキラキラとした顔で言われてしまえば、キバナはそれまで読んでいた雑誌なんて即座にリサイクルポスト用のボックスに放り込んだし、スマホのブックマークも消去し、首を縦に振っていた。休暇申請をジムに提出した際、リョウタは眼鏡がズレるくらい驚いていたし、ダンデの秘書からは「本当にこの申請場所で合ってます?」という確認の電話が来たが、「合ってるんだなこれが。」としか返せなかった。
5483『キミとワイルドエリアを一緒に冒険してみたい。』
なんて、ハネムーンの場所の打診をした時に、愛しいパートナーからキラキラとした顔で言われてしまえば、キバナはそれまで読んでいた雑誌なんて即座にリサイクルポスト用のボックスに放り込んだし、スマホのブックマークも消去し、首を縦に振っていた。休暇申請をジムに提出した際、リョウタは眼鏡がズレるくらい驚いていたし、ダンデの秘書からは「本当にこの申請場所で合ってます?」という確認の電話が来たが、「合ってるんだなこれが。」としか返せなかった。
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DONEワンドロ「雨音」⏳1時間半位
ちょっとした事が雨のように降り積もると、幸せになるねって言う話です。
幸せの足音 パラパラと窓ガラスに雨粒が当たる音がし始め、冷えた空気が急速に湿っぽい香りを届けにくる。
「やっぱり降ってきたか」
「ロロ!ロトムの言う通り、洗濯物しまってて良かったロ〜!」
「そうだな。ロトム、いつも助かってるぜ」
ふわふわと浮かびながら飛び回るスマホロトムを指先で撫でてやると、それだけで小さな電気の光を飛び散らせながら喜ぶ。その可愛らしい姿に、ダンデは笑いながら雨が降る前に引っ張り込んできた、洗濯物がたっぷり入った籠を抱えて同じように笑う。雨音に気付いたヌメルゴンが、最近生まれたばかりのまだ小さなヌメラを腕に抱えてウッドデッキに繋がるガラス戸の前へとやってくる。大好きな水の気配と、窓やウッドデッキの床を叩く雨音が楽しいのか、まだ幼いヌメラはヌメルゴンの腕の中で興奮気味に「んめっ!めっ!めら〜」と体を揺らし、雨音に合わせて鳴いていた。それとは逆に、あまり雨が好きではないコータスやジュラルドンは自分からリビングにあるボールホルダーの所へ行き、ボールの中に入っていく。リザードンに至ってはロトムから雨が降ることを聞いて早々にボールに入っている。
2020「やっぱり降ってきたか」
「ロロ!ロトムの言う通り、洗濯物しまってて良かったロ〜!」
「そうだな。ロトム、いつも助かってるぜ」
ふわふわと浮かびながら飛び回るスマホロトムを指先で撫でてやると、それだけで小さな電気の光を飛び散らせながら喜ぶ。その可愛らしい姿に、ダンデは笑いながら雨が降る前に引っ張り込んできた、洗濯物がたっぷり入った籠を抱えて同じように笑う。雨音に気付いたヌメルゴンが、最近生まれたばかりのまだ小さなヌメラを腕に抱えてウッドデッキに繋がるガラス戸の前へとやってくる。大好きな水の気配と、窓やウッドデッキの床を叩く雨音が楽しいのか、まだ幼いヌメラはヌメルゴンの腕の中で興奮気味に「んめっ!めっ!めら〜」と体を揺らし、雨音に合わせて鳴いていた。それとは逆に、あまり雨が好きではないコータスやジュラルドンは自分からリビングにあるボールホルダーの所へ行き、ボールの中に入っていく。リザードンに至ってはロトムから雨が降ることを聞いて早々にボールに入っている。
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DONEキダ お題『寝癖』#kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_145 +1.5h
人を待つ時間は実際に流れている秒数よりずっと長く感じられて、キバナは後頭部で手を組みながら、焦れたようにスタジアムの地面につま先で半円を描いた。一番そわそわしているのはホップだ。ダブルバトルの相方が到着しないとなれば、棄権するか、一対二でバトルするかを選ばなければならない。だが先程運営の方に入った、もうすぐ着く、という連絡に偽りがなければ、彼はどちらの選択肢も選ばなくて済むはずだった。
ダンデは腕組みをして空を見上げたまま微動だにしない。けれど周囲に纏っていたピリピリとした空気は数分前より和らいでいる。どんだけバトルしたいんだよ、と内心思うが、キバナだって似たようなものかもしれない。このまま相手が揃わなければ多分、おーおーホップ、オレさまたちだけでやろうぜ、と持ちかけていた。
3805ダンデは腕組みをして空を見上げたまま微動だにしない。けれど周囲に纏っていたピリピリとした空気は数分前より和らいでいる。どんだけバトルしたいんだよ、と内心思うが、キバナだって似たようなものかもしれない。このまま相手が揃わなければ多分、おーおーホップ、オレさまたちだけでやろうぜ、と持ちかけていた。
元気がない
DONE【ワンドロ】お題『イメージカラー、推しカラー』
#kbdnワンドロ
#kbdnワンドロ_143
気づくと買っちゃうんだぜ
※既婚済みのキダさんです
※前回の続きです
25分オーバーでした〜😕
元気がない
DONE【ワンドロ】お題『幻想、幻、イリュージョン』
#kbdnワンドロ
#kbdnワンドロ_142
それぞれの幻想茶番
※既婚済みのキダさんです
※前回の続きです
フライングで30分オーバーでした〜😅💦
MHrfch
DONEキダ お題『寂しい、寂しい時』#kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_110 +1h
スタジアムに吹き荒れ始めた砂嵐に視界が完全に遮られた。舌打ちしようにも口を僅かにでも開けばすぐさま砂利が入り込んで唾液を砂まみれにされてしまうことは目に見えていたため、なんとか目だけを眇めて様子を伺う。こちらは視界不良で仕掛けられない、けれど確実に相手は砂嵐の向こうから迫ってきている——その気配がある。
「——っインテレオン! 避け……」
「ジュラルドン、ドラゴンクロー!」
鋭い一声が飛ぶ。瞬間、砂嵐を切り裂いて、鋼鉄の爪がインテレオンの胴体に食い込む。
一瞬の攻防だった。無防備な体勢で一撃を喰らった水トカゲの体が吹き飛び、マサルの足元にどうと倒れる。
「インテレオン!」
『マサル選手のインテレオン、ダウン——ッ! 勝者キバナ選手! 果たしてこのナックルわくわくふれあいフェスティバルで彼に勝てるトレーナーは現れるのか——!?』
3197「——っインテレオン! 避け……」
「ジュラルドン、ドラゴンクロー!」
鋭い一声が飛ぶ。瞬間、砂嵐を切り裂いて、鋼鉄の爪がインテレオンの胴体に食い込む。
一瞬の攻防だった。無防備な体勢で一撃を喰らった水トカゲの体が吹き飛び、マサルの足元にどうと倒れる。
「インテレオン!」
『マサル選手のインテレオン、ダウン——ッ! 勝者キバナ選手! 果たしてこのナックルわくわくふれあいフェスティバルで彼に勝てるトレーナーは現れるのか——!?』
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DONEキダ お題『月』#kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_106 +2h
月の石はきっと、今日みたいな夜を閉じ込めてできているに違いない、とダンデは月影を踏み締めながらぼんやり考えていた。頭上では、さあっと雲のヴェールを取り払ったような空に、煌々とまるく光る月が浮いている。残念ながらその表面にはピッピの姿は見当たらなかったが、代わりに海に落ちた写し身の上でテッポウオがぽちゃんと跳ねた。今夜は特に月が綺麗に見える日らしい、とは昼間に月見の計画を立てていた子どもたちからの情報だ。
それを聞いたから、というわけでもなかったが、ダンデはなんとはなしにふらりと部屋を出て、当て所もなく歩を進めていた。隣には、バディであるムゲンダイナがいる。外皮の奥の内臓部が、うっすら光を滲ませ脈打っている。ずるずる、と長い尾を砂浜の上に引きずる音が、波の合間に響く。
3125それを聞いたから、というわけでもなかったが、ダンデはなんとはなしにふらりと部屋を出て、当て所もなく歩を進めていた。隣には、バディであるムゲンダイナがいる。外皮の奥の内臓部が、うっすら光を滲ませ脈打っている。ずるずる、と長い尾を砂浜の上に引きずる音が、波の合間に響く。
mimi_ruru_241
DONEお題【お酒or酔っぱらい】#kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_72
酔っていても手先が器用なkbnと、お酒で記憶をなくしがちなdndのお話。浮かれているのは、お互い様。
よっぱらいの贈り物 ひどい頭痛で目をさます。ぐわんぐわんと世界が揺れているような感覚に、体を起こすことすらできない。やがて胃のあたりで不愉快な感覚が渦を巻いたので、ダンデは水を求めてしぶしぶベッドから背中を離す。中途半端に引かれたカーテンからは、いっそ攻撃的なまでの陽光が差し込んでいる。既に真昼。昨日の夜は飲み過ぎた。
まず何をすべきかといえば、アルコールのにおいをぷんぷんと纏った体をなんとかしたいところだ。胸元が大きくはだけたしわくちゃのシャツを脱ぎ捨てて、スラックスへ手をかけたとき、ポケットのわずかな膨らみに気がついた。あくびを噛み殺しながら緩慢な動きで探ると、中から妙なものが出てきた。手のひらへ転がしてみると、それはストローの袋をねじって輪っかにしたものだった。
3282まず何をすべきかといえば、アルコールのにおいをぷんぷんと纏った体をなんとかしたいところだ。胸元が大きくはだけたしわくちゃのシャツを脱ぎ捨てて、スラックスへ手をかけたとき、ポケットのわずかな膨らみに気がついた。あくびを噛み殺しながら緩慢な動きで探ると、中から妙なものが出てきた。手のひらへ転がしてみると、それはストローの袋をねじって輪っかにしたものだった。
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DONEお題「怪我」遅刻+3.5hすみません…#kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_57
【kbnおにいさんとdndくん】
とっておきのおまじないのお話。dndくんは十歳くらい。
その子を導く全ての魔法「あ」
小さな声にキバナは顔を上げた。さっきまでつまらなさそうに資料をめくっていたダンデが、その指をじいっと見つめているので「どうしたの」と尋ねてみる。
「ゆび、きった」
ん、と差し出された親指には、赤い血の玉がひとつぶ浮き上がっている。己の身を顧みないバトルスタイルで、いつも生傷が絶えないダンデにとって、これくらい大したことがないのだろう。子どもはなんでもないようにその血を舐めとっていたが、突然はっとしたような顔をして、キバナのことを上目づかいで見上げてきた。
なにか企んでるな、と思う間もなく、ダンデは甘えるような声で「いたいなあ」と体をよじった。
「そうか、それはかわいそうになー」
「キバナ、おれはとっても痛いぜ」
5931小さな声にキバナは顔を上げた。さっきまでつまらなさそうに資料をめくっていたダンデが、その指をじいっと見つめているので「どうしたの」と尋ねてみる。
「ゆび、きった」
ん、と差し出された親指には、赤い血の玉がひとつぶ浮き上がっている。己の身を顧みないバトルスタイルで、いつも生傷が絶えないダンデにとって、これくらい大したことがないのだろう。子どもはなんでもないようにその血を舐めとっていたが、突然はっとしたような顔をして、キバナのことを上目づかいで見上げてきた。
なにか企んでるな、と思う間もなく、ダンデは甘えるような声で「いたいなあ」と体をよじった。
「そうか、それはかわいそうになー」
「キバナ、おれはとっても痛いぜ」