リュート
DONE現パロで銀博♂前提小説。家庭教師としてドクターが向かった先は、とある一人の少女──アーミヤの家。そこで彼女にせがまれ、ドクターは自分と『彼』──シルバーアッシュの馴れ初めを語り始める……教え子と私と、彼と ──春の陽気は少しずつ後退し、初夏の陽射しが照りつけ始める時期。雲一つない空がどこまでも青く、からっと晴れ渡った日曜日。
私はとある家の前に立っていた。
住宅街の一角にあるごくごく普通の家。強いて言えば赤い屋根が目立つ。しかし目立つのはそこだけで、後は至って普通だ。
門戸を抜け、玄関先へ。すでにインターホンを押して家主の許可は貰っている。しばしそこに立っていると、カチャカチャと音がして玄関扉が開く。顔を覗かせたのは長い耳を持った濃い栗色の髪の少女。私と目が合うと、耳を揺らしながら彼女はぱあっと破顔した。まるで小さな蕾から一気に大輪の花が咲き拓くように。
「ドクター! お待ちしてました!」
小さな身体から出る大きな声。彼女の大きな瞳がキラキラ輝く。純粋な好意をひしひしと感じて、私も自然と口元を綻ばせた。
14664私はとある家の前に立っていた。
住宅街の一角にあるごくごく普通の家。強いて言えば赤い屋根が目立つ。しかし目立つのはそこだけで、後は至って普通だ。
門戸を抜け、玄関先へ。すでにインターホンを押して家主の許可は貰っている。しばしそこに立っていると、カチャカチャと音がして玄関扉が開く。顔を覗かせたのは長い耳を持った濃い栗色の髪の少女。私と目が合うと、耳を揺らしながら彼女はぱあっと破顔した。まるで小さな蕾から一気に大輪の花が咲き拓くように。
「ドクター! お待ちしてました!」
小さな身体から出る大きな声。彼女の大きな瞳がキラキラ輝く。純粋な好意をひしひしと感じて、私も自然と口元を綻ばせた。
mituguu
PROGRESS【銀博♂】銀灰があーみやより先に博をみつけヨメにした話の続き|リコンカイヒのため、積極的にがんばる博の話|支部に1話をあげており、その続き作成中のぶんです『積極性がない人間は嫌われる』
日課である新聞を読んでいたドクターの目に止まったのは、中年男性の離婚危機を回避したいという投稿だった。
相談内容は長年連れ添った妻から離婚を切り出されて参っているというもの。その回答は積極的に物事を熟さない人間は嫌われるという、辛辣な話だった。
この相談者と立場が逆でドクターは妻だが、身につまされるような気分になる。自分なりに仕事を頑張っていたという相談者を初手で一刀両断。
夫婦間での会話に気を遣い、家事を手伝うではなく、やるようにとあった。
「う~ん」
テーブルに新聞紙を広げ、腕を組んで唸った。夫であるエンシオディスは、想像よりも良くしゃべる。
正直なところ面倒に感じる事もあるが、この相談内容をみるに気を使って色々と話しかけているのかもしれない。
1896日課である新聞を読んでいたドクターの目に止まったのは、中年男性の離婚危機を回避したいという投稿だった。
相談内容は長年連れ添った妻から離婚を切り出されて参っているというもの。その回答は積極的に物事を熟さない人間は嫌われるという、辛辣な話だった。
この相談者と立場が逆でドクターは妻だが、身につまされるような気分になる。自分なりに仕事を頑張っていたという相談者を初手で一刀両断。
夫婦間での会話に気を遣い、家事を手伝うではなく、やるようにとあった。
「う~ん」
テーブルに新聞紙を広げ、腕を組んで唸った。夫であるエンシオディスは、想像よりも良くしゃべる。
正直なところ面倒に感じる事もあるが、この相談内容をみるに気を使って色々と話しかけているのかもしれない。
mituguu
TRAINING【銀博♂】じはくざいを飲んで甘えてくる博にデレる銀灰氏の話|ちょっと可愛めな博の顔|普段より短め「シルバーアッシュ?いつもキラキラしてて綺麗だよね、ずっと見ていたいなぁ」
会議で突然そう発言したのち盟友は、真っ青になって立ち上がると、今度は真っ赤になって部屋から飛び出し寝室に立てこもってしまった。
…という情報をロドスにいるヤーカから受け取った訳だが、起こっている内容の意味がまったく理解できていない。
ロドス内部で対処が出来ないので、私に連絡がきたのだろうが、なにをしてやれば良いのか検討もつかなかった。
しかし普段ならば難所も、そつなく熟す指揮官殿が、真っ赤になる姿は想像できる。まれに私が触れたとき、耳先まで赤く染めてしまうことがあった。
そんな盟友は可愛らしいのだが、本人は非常に不服そうではあるが。
2704会議で突然そう発言したのち盟友は、真っ青になって立ち上がると、今度は真っ赤になって部屋から飛び出し寝室に立てこもってしまった。
…という情報をロドスにいるヤーカから受け取った訳だが、起こっている内容の意味がまったく理解できていない。
ロドス内部で対処が出来ないので、私に連絡がきたのだろうが、なにをしてやれば良いのか検討もつかなかった。
しかし普段ならば難所も、そつなく熟す指揮官殿が、真っ赤になる姿は想像できる。まれに私が触れたとき、耳先まで赤く染めてしまうことがあった。
そんな盟友は可愛らしいのだが、本人は非常に不服そうではあるが。
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PROGRESS【銀博♂】銀灰が先に博を発見し嫁にした話の銀灰視点|全て捏造しかない|いつもよりワルな銀灰で博を利用としているが後にがちにヨメにしたくなりますそれはまさに棺で、一目見たとき私は亡骸ではないのかと思った。厳重に閉じられた棺から出てきた人間は、死者と呼んでもいいような華奢な姿をしている。
「ここどこ…」と虚ろな表情で、か細い声で話す姿はとても生きていると思えなかった。
差し伸べた私の手を遠慮がちに受け取ったとき、生きているなと、確認できたほどだ。
擦り切れたカードに製薬会社のエンブレム付きのコート。一瞥すれば、会社勤めのただの医師だとみえそうだ。
けれども、ただの医師を棺に閉じ込めるほどロドスという組織は暇な様子はない。
死者を起こして、無理に生き返らせたような希薄な姿。中身のない虚ろな人間に最初は思えていたのだが、日々を過ごす程にその異常な姿に気がついた。
1832「ここどこ…」と虚ろな表情で、か細い声で話す姿はとても生きていると思えなかった。
差し伸べた私の手を遠慮がちに受け取ったとき、生きているなと、確認できたほどだ。
擦り切れたカードに製薬会社のエンブレム付きのコート。一瞥すれば、会社勤めのただの医師だとみえそうだ。
けれども、ただの医師を棺に閉じ込めるほどロドスという組織は暇な様子はない。
死者を起こして、無理に生き返らせたような希薄な姿。中身のない虚ろな人間に最初は思えていたのだが、日々を過ごす程にその異常な姿に気がついた。
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PROGRESS【銀博♂】あーみやより先に博が発見され闇オクに出されてたのを買った銀灰の話|博の顔ボカしてます|相変わらずグイグイきて嫁にしようとするが今回の博はOKしてる|私のシラユキヒメよ…と言う銀灰が書きたかった|全て捏造なので理性をポイしてくださいドクターは時々、長い眠りから目ざめた瞬間を思い出そうとする。朧気ながら記憶にある風景のなかに銀髪の男が此方を見下ろしていた。
そして自分にこれから仕事を手伝ってくれ、というような旨の話をしていたような気がする。だが、しっかりと全てを思い出せない。
男はつまらなそうにドクターを見下ろしてから、手を差し伸べてきた。面識があったのかさえ分からない。
「エンシオディス・シルバーアッシュだ」と抑揚のない声が名乗ったのはうっすらと意識にある。
しかし眠りにつく前のことはさっぱり記憶になく、自分が何者なのか理解しようがなかった。
身に付けていたフード付きのコートと白衣、そして擦り切れて解読できない製薬会社の認証カードには所属が記してあった。
3782そして自分にこれから仕事を手伝ってくれ、というような旨の話をしていたような気がする。だが、しっかりと全てを思い出せない。
男はつまらなそうにドクターを見下ろしてから、手を差し伸べてきた。面識があったのかさえ分からない。
「エンシオディス・シルバーアッシュだ」と抑揚のない声が名乗ったのはうっすらと意識にある。
しかし眠りにつく前のことはさっぱり記憶になく、自分が何者なのか理解しようがなかった。
身に付けていたフード付きのコートと白衣、そして擦り切れて解読できない製薬会社の認証カードには所属が記してあった。
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PROGRESS【銀博♂】銀灰が好き過ぎて思考がぐちゃぐちゃな博の話|銀灰氏が妻子持ち(しかもふたご)というガセネタを聞いて気持ちをシャットアウトしてしまう暗い雰囲気|中途半端で、まとまりない話で申し訳ないです意味のない事など、この世にない。試練とは乗り越えられる者にしか与えられない。
文字にしたり言葉にしたら、なんと甘美なのだろうか。
だが実際には、この世には意味のない行為があり、ドクターの前にはソレが試練としてのし掛かっている。
『恋』
ありもしない心という名の内臓を熱くし、また冷えさせる。一般的に恋とは甘くて美味と認識されているが、そんな上手い話じゃない。
相手がシルバーアッシュだからなのかもしれないが、この恋路はドクターに試練の壁としか見えてないのだ。
分厚い真っ黒な壁で目の前をさえぎられた閉塞感。苦しくて辛くて、惨めで悲しい壁。
自分は指揮官で、男なのに。
どうしてかシルバーアッシュに抱かれる事を望んでしまう。
4225文字にしたり言葉にしたら、なんと甘美なのだろうか。
だが実際には、この世には意味のない行為があり、ドクターの前にはソレが試練としてのし掛かっている。
『恋』
ありもしない心という名の内臓を熱くし、また冷えさせる。一般的に恋とは甘くて美味と認識されているが、そんな上手い話じゃない。
相手がシルバーアッシュだからなのかもしれないが、この恋路はドクターに試練の壁としか見えてないのだ。
分厚い真っ黒な壁で目の前をさえぎられた閉塞感。苦しくて辛くて、惨めで悲しい壁。
自分は指揮官で、男なのに。
どうしてかシルバーアッシュに抱かれる事を望んでしまう。
mituguu
MAIKING【銀博♂】銀灰の誕生日を忘れていて急遽休みをとる博の話|けるしぃと博が銀灰について話してるだけ|ギャグなので理性をポイしてお読みください|爆速で書いたので誤字脱字ありましたらお許しをドクターは思い出した。大型猫シルバーアッシュの誕生日が、すぐそこまで迫っている事を。
新しく加入してくれたオペレーターの履歴書を確認中に、シルバーアッシュの誕生日が直ぐだと気がついた。
本日は二月十三日の夜。時刻はまもなく十四日に移ってしまう。
バレンタインなどの季節性行事は、危機契約が終わって時間があるときにやろうと艦内に通達している。さまざまな事情があるオペレーター達が、季節を感じたいからとイベントをやる事を止めたくない。
楽しみを見つけて、育んでくれるならロドスとしては大歓迎だからだ。
(…まずいなぁ)
シルバーアッシュの履歴書をテーブルの横にずらし、溜め息を吐く。バレンタインの通達、危機契約に続いていたイベント処理があり、すっかり忘れていた。
2950新しく加入してくれたオペレーターの履歴書を確認中に、シルバーアッシュの誕生日が直ぐだと気がついた。
本日は二月十三日の夜。時刻はまもなく十四日に移ってしまう。
バレンタインなどの季節性行事は、危機契約が終わって時間があるときにやろうと艦内に通達している。さまざまな事情があるオペレーター達が、季節を感じたいからとイベントをやる事を止めたくない。
楽しみを見つけて、育んでくれるならロドスとしては大歓迎だからだ。
(…まずいなぁ)
シルバーアッシュの履歴書をテーブルの横にずらし、溜め息を吐く。バレンタインの通達、危機契約に続いていたイベント処理があり、すっかり忘れていた。
aonekoya_tama
DONEこちらのツイートに触発されて書きました。銀博です。https://twitter.com/noibararamble/status/1623914134541848582?s=20&t=TSNuwWOP7ar_J3x7lO--Bg
出られない部屋 ロドスにはまことしやかな噂がある。
曰く「セックスしないと出られない部屋」が艦内のどこかにあるという。本当であれば強姦や暴行の被害が出る可能性があるので威信をかけて撲滅するのだが、幸いにしてそんな届け出はなく、酒の席の冗句の域を出ない。
でないはず、ではないのか――
「出られない……」
ドクターはごちん、と開かずの扉に額を押し当てた。
お疲れモードのシルバーアッシュが訪ねてきたので休憩室を宛がおうと思ったのだが、間が悪いことに稼働中の部屋はすべてイェラグのメンバーの誰かがいた。
シルバーアッシュ家のご領主様がいてはお互い、寛げまい。ドクターは整備中の休憩室にシルバーアッシュを案内した。備品の段ボールが重なり、少々、空調の効きが悪いのだが、雪山出身のシルバーアッシュにとってはむしろ適温で、彼はかれこれ二時間ばかり、特大サイズのベッドで安らかな寝息を立てている。
4276曰く「セックスしないと出られない部屋」が艦内のどこかにあるという。本当であれば強姦や暴行の被害が出る可能性があるので威信をかけて撲滅するのだが、幸いにしてそんな届け出はなく、酒の席の冗句の域を出ない。
でないはず、ではないのか――
「出られない……」
ドクターはごちん、と開かずの扉に額を押し当てた。
お疲れモードのシルバーアッシュが訪ねてきたので休憩室を宛がおうと思ったのだが、間が悪いことに稼働中の部屋はすべてイェラグのメンバーの誰かがいた。
シルバーアッシュ家のご領主様がいてはお互い、寛げまい。ドクターは整備中の休憩室にシルバーアッシュを案内した。備品の段ボールが重なり、少々、空調の効きが悪いのだが、雪山出身のシルバーアッシュにとってはむしろ適温で、彼はかれこれ二時間ばかり、特大サイズのベッドで安らかな寝息を立てている。
mituguu
PROGRESS【銀博♂】えちえち後の朝にねぼけて博をぎゅっとしたり噛む銀灰の話|例のごとく途中なので、ご容赦ください|博の顔はボカシてます早朝シルバーアッシュ家邸宅のベットに横たわりながら、ドクターは素数ではなく、危機契約の配置を数えて正気をギリ保っていた。
ぐっすりと眠っているシルバーアッシュの抱き枕になって、いったい何時間たったろうか。
(…全然起きない)
自室ではないからか、朝方ふっと目が覚めてしまった。やはり今日も後ろからガッシリと抱きしめられており落胆してから随分たつ。
ムースから聞いたのだが、猫は気に入ったぬいぐるみを抱いて寝る習慣があるらしい。
大型猫化雪豹種なシルバーアッシュも同じようで、一緒に寝て目が覚めた時は大抵はこの状態になっている。
もちろん二度寝なんて出来やしない。シルバーアッシュのありとあらゆる何もかもが当たっているからだ。
2573ぐっすりと眠っているシルバーアッシュの抱き枕になって、いったい何時間たったろうか。
(…全然起きない)
自室ではないからか、朝方ふっと目が覚めてしまった。やはり今日も後ろからガッシリと抱きしめられており落胆してから随分たつ。
ムースから聞いたのだが、猫は気に入ったぬいぐるみを抱いて寝る習慣があるらしい。
大型猫化雪豹種なシルバーアッシュも同じようで、一緒に寝て目が覚めた時は大抵はこの状態になっている。
もちろん二度寝なんて出来やしない。シルバーアッシュのありとあらゆる何もかもが当たっているからだ。
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SPUR ME【銀博♂】花を吐き続けるやまいになった博の話|博の顔はボカシ気味|まだ途中なのでシリをばしばし叩いてやってくださいまし|なつかしいネタをやってみたかったなどと供述しておry唾液と一緒に洗面台へ散らばったのは、白と赤が交じった花びら。白地のタイル地な洗面台に、まばらに落ちる赤い花弁は目を引く。
今まで二色の花びらを吐いた事はなかった。隔離生活をして二日目、ついに病状が進行したのかと、ドクターは唇を引き絞った。
荒れた息を整えようと、シャツ越しに胸を撫でる。
「はぁ、はぁ」
慣れてはきたが、咥内から花を吐くのも連日だと結構辛い。文字にしたら甘美なのだろうが、実際は体力の消耗が著しいものだ。
洗面台に散った蘭を思わせる尖った花びらを一枚摘まんで、ドクターは採取袋に丁寧にしまい込む。二色の花は初めて吐いたから、サンプルとして保存しておく。
鉱石病の患者に反感を持つ者が、飲み物に混ぜた液体が原因で、ドクターは花びらを嘔吐する症状が出ている。
2646今まで二色の花びらを吐いた事はなかった。隔離生活をして二日目、ついに病状が進行したのかと、ドクターは唇を引き絞った。
荒れた息を整えようと、シャツ越しに胸を撫でる。
「はぁ、はぁ」
慣れてはきたが、咥内から花を吐くのも連日だと結構辛い。文字にしたら甘美なのだろうが、実際は体力の消耗が著しいものだ。
洗面台に散った蘭を思わせる尖った花びらを一枚摘まんで、ドクターは採取袋に丁寧にしまい込む。二色の花は初めて吐いたから、サンプルとして保存しておく。
鉱石病の患者に反感を持つ者が、飲み物に混ぜた液体が原因で、ドクターは花びらを嘔吐する症状が出ている。
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DONE【銀博♂︎】現パロで一緒にたいがドラマをみる銀博|博の顔はボカシてるが可愛い系|うわさのすぅぱぁなセメ様なネタをやりたかった|ちゅーしてます|やりたい放題です、ごめんなさい「おっ、良いところに来た」
ドクターのもとにやって来たシルバーアッシュは、相変わらず高そうなスーツに身を包んでいた。
見た目はいかにも偉そうなのに、声をかけたら頭上にある丸い耳が左右に揺れている。
雰囲気に反して可愛い仕草だと思うが、あとあと面倒くさいので言わないでおく。
ドクターがサージカルマスクを外したら、ゆらゆら揺れているシルバーアッシュの太い豹柄の尾が頬を撫でてきた。
「時間ある?今からドラマ見ようと思ってて、一緒にどうかな」
「良いだろう」
さっさとソファに座ったシルバーアッシュは、ドクターを見上げて優雅に微笑んだ。そして無言で隣を手で叩いている。
座れと催促され「はいはい」と軽く返事をした。
「全部見たら三時間くらいかかるんだけど、大丈夫?」
4749ドクターのもとにやって来たシルバーアッシュは、相変わらず高そうなスーツに身を包んでいた。
見た目はいかにも偉そうなのに、声をかけたら頭上にある丸い耳が左右に揺れている。
雰囲気に反して可愛い仕草だと思うが、あとあと面倒くさいので言わないでおく。
ドクターがサージカルマスクを外したら、ゆらゆら揺れているシルバーアッシュの太い豹柄の尾が頬を撫でてきた。
「時間ある?今からドラマ見ようと思ってて、一緒にどうかな」
「良いだろう」
さっさとソファに座ったシルバーアッシュは、ドクターを見上げて優雅に微笑んだ。そして無言で隣を手で叩いている。
座れと催促され「はいはい」と軽く返事をした。
「全部見たら三時間くらいかかるんだけど、大丈夫?」
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PROGRESS【銀博♂︎】現実逃避した現パロのはず|前世で銀博しており現世で再び病院勤務してる博の友人になりたい銀灰の話|当社比で博がデレてる|激しい妄想しかない、ごめんなさい爆発で朽ち果て、崩れた街のなかで盟友はひとり座り込んでいた。黒く焦げた瓦礫(がれき)の中心部を静かに見つめている。
この生存者のない寂しい街の内部に居たら、なかなか発見できない訳だ。私もテンジンのちからが無ければ、直ぐに見つけられなかったかもしれない。
「盟友」そう声をかけると、俯いていた黒いフードが上向いた。
役目を終えて私のもとに戻ってきたテンジンだが、静かに羽ばたき盟友の華奢な肩に乗る。
「テンジン。私を見つけたの?」
友好的な合図のつもりなのか、テンジンはくちばしで盟友のコートの後ろの紐をついばんでいた。
「探したぞ、こんな所で何をしていたんだ」
「うん、ちょっとね」
盟友はテンジンを後ろ手で触りながら、力なく微笑む。目元が腫れて赤くなっているのを私は見逃さなかったが、ここで口にしてはいけない気がした。
3609この生存者のない寂しい街の内部に居たら、なかなか発見できない訳だ。私もテンジンのちからが無ければ、直ぐに見つけられなかったかもしれない。
「盟友」そう声をかけると、俯いていた黒いフードが上向いた。
役目を終えて私のもとに戻ってきたテンジンだが、静かに羽ばたき盟友の華奢な肩に乗る。
「テンジン。私を見つけたの?」
友好的な合図のつもりなのか、テンジンはくちばしで盟友のコートの後ろの紐をついばんでいた。
「探したぞ、こんな所で何をしていたんだ」
「うん、ちょっとね」
盟友はテンジンを後ろ手で触りながら、力なく微笑む。目元が腫れて赤くなっているのを私は見逃さなかったが、ここで口にしてはいけない気がした。
mituguu
DOODLE【銀博♂︎】受身なポジを悩んで改善しようとする博の話|話にしか銀灰さん出てきません|書きかけですが飽きてしまいましてm(*_ _)m「ドクターは、ボトムだよな」「あぁ、確かに。間違いない」「戦術は攻めてるけどソッチとは別なのか」「スタイルは良いし、ボトムとかヤバっ」
はじまりはオペレーター達の会話を耳にしたときから。
野営拠点を移るため、撤退準備を進めていたオペレーター同士の会話を聞いたドクターは声をかけた。
「私はボトム?そうなの?」
そう背後から話しかけたら、オペレーター三人は黒ずくめの戦闘服を飛び上がらせた。
「ドッ、ドクター!?なんで、此処に?」
「ん?配置の変更があってね。早いほうが良いかと思って…それよりボトムって、どういう意味なのかな」
おろおろとし出したオペレーターをみて、ドクターは感じた。どうやら良い話をされていたのじゃないと。
2692はじまりはオペレーター達の会話を耳にしたときから。
野営拠点を移るため、撤退準備を進めていたオペレーター同士の会話を聞いたドクターは声をかけた。
「私はボトム?そうなの?」
そう背後から話しかけたら、オペレーター三人は黒ずくめの戦闘服を飛び上がらせた。
「ドッ、ドクター!?なんで、此処に?」
「ん?配置の変更があってね。早いほうが良いかと思って…それよりボトムって、どういう意味なのかな」
おろおろとし出したオペレーターをみて、ドクターは感じた。どうやら良い話をされていたのじゃないと。
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MOURNING【銀博♂︎】くりすますプレゼントに博からクッキーを貰う話|博の顔をボカシてます|最終的に家宝を持ち出しぷろぽーずかます銀灰|くりすますに間に合わずボツってましたが供養に🎄私の前に現れた少女は、利発そうな瞳を瞬いた。
「シルバーアッシュさん、こんにちは。少しお話をしても宜しいでしょうか?」
小柄ながらロドスのトップを勤めるアーミヤという少女を見下ろす。
「あぁ、構わないが」
「ありがとうございます!手短に済ませますので」
長い耳を揺らし、少女は私に深くお辞儀をした。
ケルシー女史と違った、温和な雰囲気を持っているが、中身は王と呼ぶべき要素を持つ不可思議な存在。
しかしながらロドスとの関係を築くには、彼女ともうまく付き合っていかねばならない。
何よりも盟友の存在が一番重要なので、大概のことには目を瞑ってやろう。
私が通されたのは、会議室でも応接室でもなく、倉庫だった。
壊れかかった簡素な椅子を私にすすめてから、少女アーミヤは倉庫の外を見渡しドアを閉める。
4832「シルバーアッシュさん、こんにちは。少しお話をしても宜しいでしょうか?」
小柄ながらロドスのトップを勤めるアーミヤという少女を見下ろす。
「あぁ、構わないが」
「ありがとうございます!手短に済ませますので」
長い耳を揺らし、少女は私に深くお辞儀をした。
ケルシー女史と違った、温和な雰囲気を持っているが、中身は王と呼ぶべき要素を持つ不可思議な存在。
しかしながらロドスとの関係を築くには、彼女ともうまく付き合っていかねばならない。
何よりも盟友の存在が一番重要なので、大概のことには目を瞑ってやろう。
私が通されたのは、会議室でも応接室でもなく、倉庫だった。
壊れかかった簡素な椅子を私にすすめてから、少女アーミヤは倉庫の外を見渡しドアを閉める。
nbsk_pk
DOODLE銀博未来捏造、ナチュラルに結婚してる銀博がいちゃついてるだけの話 旦那様が長年の猛アタックの末にようやく迎えられた奥様は、今までずっとロドスという企業の陸上艦でテラ全土を飛び回る生活をなさっていたらしい。そんな方ですから心配になってしまうのです。イェラグの長い冬、家から出ることすら難しい雪と氷しかない長い冬に退屈してしまわれるのではないかと。
「まさか仕事が忙しすぎて執務室にこもってたら、退屈すぎて仕事に逃避した人間だと思われていたとはね……」
「彼女たちも悪気があったわけではないのですが」
「うん、純粋に心配してくれただけなのはわかってるよ」
ただ因果関係が逆なだけで。苦笑するマッターホルンから受け取ったカップにほっと一息をついて、私は朝から座りっぱなしだった椅子の上でうーんと伸びをした。ぱきぱきと鳴る背骨にさすがに根を詰めすぎただろうか、いやいやロドスではこのくらいは日常茶飯事だったしと首を振っていると、すかさず追加のお茶請けが並べられる。昔は一部の神殿関係者や巫女しか口にすることができなかったという伝統菓子は、舌が痺れるほどの甘さなのに花の上品な香りが鼻に抜ける。これが必要だったってことは昔から彼女たちも激務だったのだろう。なら大丈夫。問題ない。マッターホルンのため息を無視しながら二つ目に手を伸ばしつつ、目下の心配事について話を続ける。
2706「まさか仕事が忙しすぎて執務室にこもってたら、退屈すぎて仕事に逃避した人間だと思われていたとはね……」
「彼女たちも悪気があったわけではないのですが」
「うん、純粋に心配してくれただけなのはわかってるよ」
ただ因果関係が逆なだけで。苦笑するマッターホルンから受け取ったカップにほっと一息をついて、私は朝から座りっぱなしだった椅子の上でうーんと伸びをした。ぱきぱきと鳴る背骨にさすがに根を詰めすぎただろうか、いやいやロドスではこのくらいは日常茶飯事だったしと首を振っていると、すかさず追加のお茶請けが並べられる。昔は一部の神殿関係者や巫女しか口にすることができなかったという伝統菓子は、舌が痺れるほどの甘さなのに花の上品な香りが鼻に抜ける。これが必要だったってことは昔から彼女たちも激務だったのだろう。なら大丈夫。問題ない。マッターホルンのため息を無視しながら二つ目に手を伸ばしつつ、目下の心配事について話を続ける。
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PROGRESS【銀博♂】さっかぁカントクをしてる銀灰氏と、こーち博の話|現パロ?|祭りの最中でどうしてもカントクが見たかったやらかしトップに立つ者へ一番必要なのは、圧倒的に高い顔面偏差値なのではないかと、ドクターは思い始めている。
人間、顔ではないと世間では言われるがやはり顔が良いと、なんでも滞りなく事が進む。
ワールドカップ出陣式の後に行われた記者会見。
目映いライトを浴びているスーツ姿のシルバーアッシュを舞台袖から眺めながら、思いは確信に変わりつつあった。
批判が出やすいサッカー代表監督というポジジョンでも、圧倒的顔面力の前では不満の声が和らいでいる。
勝利という結果をそれなりに残し、なおかつ監督の見目が良いと攻撃的な意見もなく、会見は滞りなく進んでいた。
ジャージのポケットに突っ込んでいた手で、サージカルマスクをしっかりつけ直す。
3990人間、顔ではないと世間では言われるがやはり顔が良いと、なんでも滞りなく事が進む。
ワールドカップ出陣式の後に行われた記者会見。
目映いライトを浴びているスーツ姿のシルバーアッシュを舞台袖から眺めながら、思いは確信に変わりつつあった。
批判が出やすいサッカー代表監督というポジジョンでも、圧倒的顔面力の前では不満の声が和らいでいる。
勝利という結果をそれなりに残し、なおかつ監督の見目が良いと攻撃的な意見もなく、会見は滞りなく進んでいた。
ジャージのポケットに突っ込んでいた手で、サージカルマスクをしっかりつけ直す。
mituguu
MOURNING【銀博♂】銀博氏目線|銀灰氏イベのあとの二人|自分を大切にしたら良いと博に諭される銀灰氏の話|イベまだやってなくても、お読み頂けるかと〜窓の外にちらちらと降る雪を眺めながら、ロドス製薬会社のドクターは静かに話し出した。
「君は他人にも自分にも、厳しすぎるんじゃないかな」
「私が、か?」
フードを目深に被ったドクターは、組んでいた手を握り直して、私を見上げて頷く。
すっと交わった視線は、静かにチェスの盤上へと落ちる。
ドクターの勝利で終えた盤越しにいる彼のフード奥に潜んでいる目を私は離せないでいた。伏せられた睫毛は存外と長い。そう分かるほどの近さで顔をあわせた事がなかったからと言い訳しながら溢れる好奇心を抑えつける。
「そう。自分に甘く、他人に厳しいひとを良く見るけど、君はすべてに厳しい。少しくらい甘くしても良いと思うのだけど」
「…寛容さを持てと、そう言いたいのか」
3344「君は他人にも自分にも、厳しすぎるんじゃないかな」
「私が、か?」
フードを目深に被ったドクターは、組んでいた手を握り直して、私を見上げて頷く。
すっと交わった視線は、静かにチェスの盤上へと落ちる。
ドクターの勝利で終えた盤越しにいる彼のフード奥に潜んでいる目を私は離せないでいた。伏せられた睫毛は存外と長い。そう分かるほどの近さで顔をあわせた事がなかったからと言い訳しながら溢れる好奇心を抑えつける。
「そう。自分に甘く、他人に厳しいひとを良く見るけど、君はすべてに厳しい。少しくらい甘くしても良いと思うのだけど」
「…寛容さを持てと、そう言いたいのか」
mituguu
PROGRESS【銀博♂】銀灰氏に捨てられたくない博の銀灰氏側の話|博の依存と弱さを嬉しく眺めてる系な悪いオトコ|続きたいですねぇ「盟友」
甲板の柵に背を預け、空中を優雅に飛ぶテンジンを見上げた間々、盟友は動かない。
だがテンジンを熱心に観察している訳ではないようだ。
宙を旋回する姿に目を向ける訳でもなく、ただ頭上を眺めて動かない。こういう事が盟友は時折ある。
まるで主電源を落とした機械のように、身じろぎさえしなくなるのだ。
他のオペレーターから注意されたと、本人からも聞いているが、何度も目にすると心配にはなる。
今度は名前を呼んでみたが、やはり反応はない。
そっと肩を抱いてみたら、びくっと盟友の身が飛び上がった。
「…すまない」
「ううん。私こそ、ごめんね。またスイッチを切ってたよ」
盟友はコートのフードを、すっと外した。
透けるような頬を膨らませて、息をおおきく吸い込み呼吸をしている。
2171甲板の柵に背を預け、空中を優雅に飛ぶテンジンを見上げた間々、盟友は動かない。
だがテンジンを熱心に観察している訳ではないようだ。
宙を旋回する姿に目を向ける訳でもなく、ただ頭上を眺めて動かない。こういう事が盟友は時折ある。
まるで主電源を落とした機械のように、身じろぎさえしなくなるのだ。
他のオペレーターから注意されたと、本人からも聞いているが、何度も目にすると心配にはなる。
今度は名前を呼んでみたが、やはり反応はない。
そっと肩を抱いてみたら、びくっと盟友の身が飛び上がった。
「…すまない」
「ううん。私こそ、ごめんね。またスイッチを切ってたよ」
盟友はコートのフードを、すっと外した。
透けるような頬を膨らませて、息をおおきく吸い込み呼吸をしている。
mituguu
PROGRESS【銀博♂】銀灰氏に捨てられたくない博|いつになく博暗い|ちゅーはしてますもしかしたら、誰でも良かったのかもしれない。
ドクターはブロックパズルのピースを、照明にかざして形を確認した。寝室でひとり、言い訳大会を開催する。
『シルバーアッシュが何故こんなにも自分へ愛情を寄越すのか』
議題はいつもと同じ。
ぽつぽつ、心のなかで疑心が重なる。
首尾良くシルバーアッシュの策略を曝いたから?
妹のクリフハートがロドスでオペレーターをしていたから?
(…きっとそう、これは彼の気まぐれなのかも)
だからいつかはこの付き合いも終わりを迎える。
シルバーアッシュが飽きるのが先か、それともドクター自身が死ぬのか。
死ぬまえに別れを告げる自分の姿が思い描けないのは、惚れた弱みとはいえ情けない。
そこまで考えているのも、格好悪いから絶対に墓場まで持っていこうと思っている。
3807ドクターはブロックパズルのピースを、照明にかざして形を確認した。寝室でひとり、言い訳大会を開催する。
『シルバーアッシュが何故こんなにも自分へ愛情を寄越すのか』
議題はいつもと同じ。
ぽつぽつ、心のなかで疑心が重なる。
首尾良くシルバーアッシュの策略を曝いたから?
妹のクリフハートがロドスでオペレーターをしていたから?
(…きっとそう、これは彼の気まぐれなのかも)
だからいつかはこの付き合いも終わりを迎える。
シルバーアッシュが飽きるのが先か、それともドクター自身が死ぬのか。
死ぬまえに別れを告げる自分の姿が思い描けないのは、惚れた弱みとはいえ情けない。
そこまで考えているのも、格好悪いから絶対に墓場まで持っていこうと思っている。
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PROGRESS【銀博♂︎】けも耳付きな博をせめてくる銀博さん|ちゅーしてます、お気をつけてください|今後えちえちに続けたい背後は堅牢な窓、目の前には天敵たるユキヒョウ。
逃げ道はなくドクターは自慢のシマ模様の尻尾を膨らませた。低く唸りながら立ち上がってレッサーパンダ特有の威嚇を試みる。
しかし相手は丸みのある豹柄の耳を左右に動かしただけだった。頭のうえにある三角形の耳先までぴんと張って威嚇したが、効果は一度もない。
ここに来て推定、一週間ほど。木の実の収穫を手伝っていたら、吹雪になり気がついたらユキヒョウに拉致されていた。
犯人は「救助をした」というが、何故いまだにこの屋敷に閉じ込められているのか謎だ。
広大な屋敷と高そうな服装、出てくる食事から推定するに雪国の王であるユキヒョウは名の通りに偉いようだ。
「うっ、うう」
本能として立ち上がって姿を大きく見せようとするが、いかんせん相手が大きすぎる。
4473逃げ道はなくドクターは自慢のシマ模様の尻尾を膨らませた。低く唸りながら立ち上がってレッサーパンダ特有の威嚇を試みる。
しかし相手は丸みのある豹柄の耳を左右に動かしただけだった。頭のうえにある三角形の耳先までぴんと張って威嚇したが、効果は一度もない。
ここに来て推定、一週間ほど。木の実の収穫を手伝っていたら、吹雪になり気がついたらユキヒョウに拉致されていた。
犯人は「救助をした」というが、何故いまだにこの屋敷に閉じ込められているのか謎だ。
広大な屋敷と高そうな服装、出てくる食事から推定するに雪国の王であるユキヒョウは名の通りに偉いようだ。
「うっ、うう」
本能として立ち上がって姿を大きく見せようとするが、いかんせん相手が大きすぎる。
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DOODLE自分の独占欲の強さに振り回されかける銀灰さんと、そんな彼をかわいいなあと思ってる博の話。最後の一呼吸までも「お前に、私が作る影の下だけで呼吸してほしいと思うことがある」
「ずいぶんと君には似合わない言葉だね、エンシオディス。まるでロマンス映画の悪役のようじゃないか」
「悪い人間だろう、私は。なにせ国家転覆をほぼ完遂した希代の悪人だ」
「今日の君は甘えん坊だな。ほら、おいで。ハグしてあげるから」
背中に回された太い腕にはギリギリこちらをつぶさない程度の力が込められ、もはやどちらがハグしているのかという状況になってしまってはいるのだが、あれ今のこれはまさしく彼が望んだ姿そのものじゃあないか?
「結論からいってしまうと、かなり悪くないねこれは。君はいい匂いがするし」
「お前の薫香にはかなうまい」
「ふふ、そうかな」
ふすん、と首筋に彼の高い鼻梁が這うのはくすぐったかったけれど、彼の声が幾分元気を取り戻していたから我慢することにする。背中に感じるもふもふとした暖かい感触は、おそらく先ほどまでぺしょんと床に垂れてしまっていた彼の尻尾だろう。広いはずの彼の背をゆっくりと撫でながら、のんびりと私は口を開く。
962「ずいぶんと君には似合わない言葉だね、エンシオディス。まるでロマンス映画の悪役のようじゃないか」
「悪い人間だろう、私は。なにせ国家転覆をほぼ完遂した希代の悪人だ」
「今日の君は甘えん坊だな。ほら、おいで。ハグしてあげるから」
背中に回された太い腕にはギリギリこちらをつぶさない程度の力が込められ、もはやどちらがハグしているのかという状況になってしまってはいるのだが、あれ今のこれはまさしく彼が望んだ姿そのものじゃあないか?
「結論からいってしまうと、かなり悪くないねこれは。君はいい匂いがするし」
「お前の薫香にはかなうまい」
「ふふ、そうかな」
ふすん、と首筋に彼の高い鼻梁が這うのはくすぐったかったけれど、彼の声が幾分元気を取り戻していたから我慢することにする。背中に感じるもふもふとした暖かい感触は、おそらく先ほどまでぺしょんと床に垂れてしまっていた彼の尻尾だろう。広いはずの彼の背をゆっくりと撫でながら、のんびりと私は口を開く。
mituguu
TRAINING【銀博♂︎】あまりに本編が辛くて現実逃避した現パロ。病院勤務の博に会いに来る銀。妄想しかないです。「やっとお前に会う事が出来たな、我が友よ」
病院の受付に突然やってきた全身キラキラオーラを放つ、フェリーンの大柄男性に手を取られ、ドクターは宇宙猫状態に陥っていた。
人間、突拍子もない出来事に遭遇すると、なにもかも固まってしまうらしい。
しかしながら、このフェリーン男性と面識がないのだが。交通事故にあい、記憶を失い目ざめてから二週間。
もしかしたら、記憶を失う前にあった友人なのだろうか。
(…しかし、こんな俺様タイプが私の友なのか?)
ぱっと見、めちゃくちゃ高そうなスーツに、やたら整った顔と自販機みたいにでかい図体。
なんとなく感じる育ちの良さと、やや高圧的な俺様っぽい性格。
とても自分と接点がなく、もしや記憶喪失にかこつけて、なんかの詐欺だったりして…と良くない想像が働く。
2034病院の受付に突然やってきた全身キラキラオーラを放つ、フェリーンの大柄男性に手を取られ、ドクターは宇宙猫状態に陥っていた。
人間、突拍子もない出来事に遭遇すると、なにもかも固まってしまうらしい。
しかしながら、このフェリーン男性と面識がないのだが。交通事故にあい、記憶を失い目ざめてから二週間。
もしかしたら、記憶を失う前にあった友人なのだろうか。
(…しかし、こんな俺様タイプが私の友なのか?)
ぱっと見、めちゃくちゃ高そうなスーツに、やたら整った顔と自販機みたいにでかい図体。
なんとなく感じる育ちの良さと、やや高圧的な俺様っぽい性格。
とても自分と接点がなく、もしや記憶喪失にかこつけて、なんかの詐欺だったりして…と良くない想像が働く。
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DOODLE例のいきなりステーキについてのギャグ。あの文面何度読み返しても感情が重すぎる。 シルバーアッシュから食事に誘われるのはそう珍しいことではない。なにせ彼の衛士にしてイェラグ最高の料理人とも名高い男が、ロドス本艦に勤務しているからだ。であるからしてその日もまた、ああ久しぶりにマッターホルンの手料理が食べたくなったんだろうな、あの男にも存外かわいらしい面があるものだとしかドクターは考えていなかったのだ。
朝から詰め込まれた会議をはしごして、なんとか指定されたギリギリに艦内でカランド貿易へと割り当てられたエリアへとたどり着く。呼吸を整えつつ名を告げれば、今まさにドアの前で待機していましたといわんばかりの爆速で扉が開いた。
「や、やあシルバーアッシュ。ご機嫌麗しゅう」
「変わりはないか、盟友よ」
2677朝から詰め込まれた会議をはしごして、なんとか指定されたギリギリに艦内でカランド貿易へと割り当てられたエリアへとたどり着く。呼吸を整えつつ名を告げれば、今まさにドアの前で待機していましたといわんばかりの爆速で扉が開いた。
「や、やあシルバーアッシュ。ご機嫌麗しゅう」
「変わりはないか、盟友よ」
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PROGRESS【銀博♂︎】銀→博。博の顔描写なし/面白そうだからという理由だけで銀灰と付き合う博の話。これからジゴクになりそう『みんなの優しいドクター』
そのマスクを被り、私は今日も微笑んでいる。
けれども酷くつまらない、どうにも刺激が足りない。
作戦立案をし、漏れのないよう遂行(すいこう)する。ただリピート再生を押し続ける毎日は退屈だ。
勿論オペレーターの悩みを聞いて改善するよう努力し、争いで亡くすひとを少なく、鉱石病感染者を救いたいという思いは変わらずにある。
だが毎日みる景色が変わらないと、人は退屈するものなんだろうね。
ちょっと刺激がほしい、楽しいものが落ちてないかなと考えていたら、とんでもないところから転がってきた。
イェラグの一件から関わりを持っていたエンシオディス・シルバーアッシュが、ロドスにオペレーターとして参加したいと、履歴書を持って人事部に突撃してきたそうだ。
1498そのマスクを被り、私は今日も微笑んでいる。
けれども酷くつまらない、どうにも刺激が足りない。
作戦立案をし、漏れのないよう遂行(すいこう)する。ただリピート再生を押し続ける毎日は退屈だ。
勿論オペレーターの悩みを聞いて改善するよう努力し、争いで亡くすひとを少なく、鉱石病感染者を救いたいという思いは変わらずにある。
だが毎日みる景色が変わらないと、人は退屈するものなんだろうね。
ちょっと刺激がほしい、楽しいものが落ちてないかなと考えていたら、とんでもないところから転がってきた。
イェラグの一件から関わりを持っていたエンシオディス・シルバーアッシュが、ロドスにオペレーターとして参加したいと、履歴書を持って人事部に突撃してきたそうだ。
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DOODLEやられたのでやり返しに行く彼氏たちの話。Let sleeping dogs lie 合流した部下からの報告に耳を傾けていたシルバーアッシュは、通路の向こうから聞こえてきた足音にピンと耳を立てた。生まれたてのコータスより頼りないよたよたとした足取りを雪山の狩人である男が聞き間違えるはずがない。だがその響きがいつもよりもやや乱れている上に忙しないことが男の注意を引いた。さてどのように引き止めれば一番長く言葉を交わせるだろうかと脳みそをフル回転し始めた途端、頭上の耳がもうひとつの足音を捉えた。
「その男を捕まえろ!」
かけがえのない友の後ろから猛スピードで追いかけてきたのはロドスのオペレーターのひとりだった。鬼神もかくやという形相で一気に距離を詰める刀術師の手をすんでのところで躱しながら、小柄なフード姿の彼は覚束ない足取りでこちらへと駆けてくる。そのフェイスガード越しの視線が即座にシルバーアッシュから逸らされたため、雪豹の尾を一振りした狩人の行動は決まった。
1847「その男を捕まえろ!」
かけがえのない友の後ろから猛スピードで追いかけてきたのはロドスのオペレーターのひとりだった。鬼神もかくやという形相で一気に距離を詰める刀術師の手をすんでのところで躱しながら、小柄なフード姿の彼は覚束ない足取りでこちらへと駆けてくる。そのフェイスガード越しの視線が即座にシルバーアッシュから逸らされたため、雪豹の尾を一振りした狩人の行動は決まった。
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DOODLE銀博、シエスタでのバカンス。ひたすらいちゃついているだけReady もうすぐそちらに到着する、という旨のテキストを端末が受け取ったのを確認して、ドクターは溶けた氷でほぼ水になったジュースを勢いよく飲み干した。
シエスタでのバカンスを提案してきたのはシルバーアッシュのほうで、その時のドクターはといえばオペレーター各位から提出された休暇申請をカレンダーの上で必死に並び変えている最中だった。だからその提案にも、最初は感情を乗せる暇もなく断りの返事をかえしたのだが、ようやくの人生の蜜月を手に入れたフェリーンの男の粘り強さはドクターの予想をはるかに上回っていた。手を変え品を変え二人きりで過ごすバカンスの素晴らしさについてプレゼンし、かき口説き、最終的にはベッドの中でのここではとうてい説明できないような脅迫手段を行使するにいたって、とうとうドクターはその申し出に首を縦に振らざるを得なくなってしまったのだった。
2778シエスタでのバカンスを提案してきたのはシルバーアッシュのほうで、その時のドクターはといえばオペレーター各位から提出された休暇申請をカレンダーの上で必死に並び変えている最中だった。だからその提案にも、最初は感情を乗せる暇もなく断りの返事をかえしたのだが、ようやくの人生の蜜月を手に入れたフェリーンの男の粘り強さはドクターの予想をはるかに上回っていた。手を変え品を変え二人きりで過ごすバカンスの素晴らしさについてプレゼンし、かき口説き、最終的にはベッドの中でのここではとうてい説明できないような脅迫手段を行使するにいたって、とうとうドクターはその申し出に首を縦に振らざるを得なくなってしまったのだった。
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DOODLEヴィク博の銀博。あなた宛てのラブレターの話。風雪で可能性が消えたので没ったけどもったいなかったので供養。今はもうその名前を銀灰さんしかおぼえていないという情景は美しいなぁというだけの話。
ラスト・ラブ・レター「他人宛てのラブレターを大事に保管し続ける理由って何だろうね?」
「誤配ですか? 正しい宛先がわかるなら、僕が届けてきますけれど」
「あ、ごめん。トランスポーター的にはそうなっちゃうよね」
執務室に立ちのぼるのはあたたかな紅茶の香りとバターと香辛料の優しい甘さ。書類の山を端へと――このひと時だけでも視界から外したかったのだ――押しやりながら、ドクターはふと本日の秘書役へと雑談を振った。
「もう全部開封されてて、多分正しく届けられた後だと思うんだ。だからもう手紙としての役割は終わってる」
「ですがご自身宛てのものではない、と。安直ですが偽名を使った秘密のお手紙でしょうか」
カップを片手にイトラ特有の細い耳を揺らす彼もまた、機密の輸送に携わる身だ。こういう反応が返ってくるとわかっていてしかるべきだったというのに、本日の自分はどうもぼんやりしてしまっているらしい。
2099「誤配ですか? 正しい宛先がわかるなら、僕が届けてきますけれど」
「あ、ごめん。トランスポーター的にはそうなっちゃうよね」
執務室に立ちのぼるのはあたたかな紅茶の香りとバターと香辛料の優しい甘さ。書類の山を端へと――このひと時だけでも視界から外したかったのだ――押しやりながら、ドクターはふと本日の秘書役へと雑談を振った。
「もう全部開封されてて、多分正しく届けられた後だと思うんだ。だからもう手紙としての役割は終わってる」
「ですがご自身宛てのものではない、と。安直ですが偽名を使った秘密のお手紙でしょうか」
カップを片手にイトラ特有の細い耳を揺らす彼もまた、機密の輸送に携わる身だ。こういう反応が返ってくるとわかっていてしかるべきだったというのに、本日の自分はどうもぼんやりしてしまっているらしい。