また逢う日までシュウとヴォックスは、交際を始めてから大きな喧嘩というものをしたことがなかった。
お互い感情的というよりかは理論的に話し合うタイプであったため、それぞれの思ったことを伝え、理解しあってきた。
しかし、そんな二人にも決定的に理解できないものが一つあった。
それは『自分の命に対する価値観』であった。
鬼と人間では、生きる時間が違いすぎる。
ヴォックスからすればヒトの命なんて瞬きの間に消えてしまうような、そんなもの。
シュウはそんなヴォックスの感覚を想像くらいはできるが、理解をするのは難しかった。
鬼と暮らすと決めたものの、人間としての誇りを捨てて鬼として生きるわけではない。
それはただ人間として、自分の一生をかけて彼と寄り添うこと。
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