迷い猫『え?俺、泳げないっス、その、腕が』
君の事情は解っているよ、警備は複数で当たる、君は私の隣に居て酒でも飲んでいればいい、だなんて。本当に事情が解ってンなら酒が飲めない身体だってことも知っているはずだろーが、なんてクソ上司に期待してもしょうがない。ボランティアの国だからか俺の身体が不自由なのを知ってから謎に猛烈アプローチしてくるのもウザい、全く何でこんな事務所に入っちまったンだろう…って、
(給料がいいからか)
とある目的の為に沢山の金が要る、それもなるべく早く貯めたいからと調べた結果、アメリカの方が色々都合が良かったから渡米した。それから概ね計画通りに貯金はできている、ただ問題はー
鏡に自分の姿を映してみる。高校生の時より筋肉が落ちた身体、実際にウェイトも減って線が細くなった。親譲りの白い肌、多分年齢より若く見えてしまうのも母親からの個性のせい。加えて欧米人はみんなデカい、ジーニストみたいなのがゴロゴロしている中では自分のポジは子どもか下手したら女役になってしまうのだと、ここ数ヶ月の滞在で嫌でも理解してしまった。
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