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    らいむ

    @lemonandlimejr

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    らいむ

    DONE10年めの先生の独白。例によって甘いです(ひとりの時、ここぞとデレる天邪鬼)
    仗露道場2025/1/10「ウソ」 (2023/4/1お題) 信じてくれと、最初の頃はよく言われた。おれのことが嫌いなのはいい、だけどせめて、おれがあんたを好きだってことは信じてほしいと。
     君のご希望を叶えてやる義理はないね、それがぼくの返答だった。だいたい君が言ってることは、「自分を信じないおまえが悪い」ってのと同じだぜ。そいつを図々しいと思わないんなら、やっぱりぼくとは気が合わないってことだな!
     別にわざと啖呵を切ったとかじゃあなく、当時のぼくの率直な感情だった。かつがれてるとはさすがに考えなかったが(ぼくの漫画家の目は、そんなことも見抜けない節穴じゃあない)、どこまで本気なんだかとか、自分が何を口走ってるかわかってんのかね、とは思っていた。
     思春期にちょっと歳上の同性になつくとか、映画や小説でもありがちだよな。父親を知らずに育ったのが、ある日突然強さ体格容姿頭脳、すべてにおいて絵に描いたような兄貴分が現れて。初めて味わった「頼る」って気持ちの持っていきどころがなくなって、手近なぼくに目をつけたってところだろ。こいつにとっての頼り甲斐なんかゼロに等しい(なんと言ってもぼくのほうに、頼らせてやる気がさらさらない)ぼくんとこに、なんでわざわざ来るんだか。
    1967

    らいむ

    DONE
    仗露道場2024/12/4「苦い」(2023/3/2お題) ぜひ会いたいと連絡すると、当たり前のように「いつでもいいよ」と即レスが来る。微妙に感覚が麻痺しているが、相手が二十年来愛読している作品の著者であることを考えると、なかなかにそら恐ろしいことだった。推しとLINEでつながってるなんて普通はありえない。
    「露伴先生!」
     カフェに入ってきたその人を見とめて、康一は軽く腰を浮かせた。
    「やあ康一くん、元気そうだね」
    「お久しぶりです。先生こそ」
     昔は毎週のように、ここで最新話の感想を伝えていたものだった。いまや康一も気楽な学生ではなく、顔を合わせる機会はめっきり減っていたが、目の前の人はほとんど変わっていなかった。
     ピンと伸びた背すじ。トレードマークのヘアバンドとイヤリング。艶のある黒髪。いきいきと鋭いきらめきをたたえた、グリーンとブラウンの[[rb:ま > ﹅]][[rb:だ > ﹅]][[rb:ら > ﹅]]の瞳。巷では時の流れを感じさせない容姿をかつての主要キャラクターになぞらえて、実は吸血鬼なんじゃあないかと冗談まじりにささやかれていたりする。しかし一つ屋根の下で暮らしたこともある康一は、この天才が生身の人間であることを知っていた。
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    らいむ

    DONE
    仗露道場2024/11/14「A」(2023/2/3お題)「あなたのイカサマを見せてください」
     いきなり露伴が言い放った。ジジイは目を丸くしているし、承太郎さんはやれやれと帽子のつばを押さえてる。おれはと言えば、最初のうちこそ「まーた始まったよ」なんてのん気していられたが。
    「仗助のイカサマはあなた譲りだと聞きました。恥ずかしながらぼくは昔、こいつにまんまとしてやられましてね」
    「わーッッッ‼︎」
    「いえ、それは不問に付すことにしたんですが」
     大声で遮ったおれをじろりと見やってから、露伴はふたたびジジイへと真顔を向けた。
    「というのも、ぼくから挑んだリベンジマッチでまたもや負けたからでして。観察眼には自信があったにもかかわらず、不甲斐ないことです」
     ああ、あン時の露伴はエロかったよなァ……と、状況も忘れておれは幸せな回想に耽った。未起隆がどこまで見たのか知らねーが——というか、未起隆があの後どうしたのかも知らねェ。サイコロに化けたあいつをおれが持ち出すわけにはいかなかったんだからしょうがねーよな——ひらきなおるしかなかったのをいいことに、ヤってヤってヤりまくった。「賭けに負けたのは口惜しいが……ま、もう一方の目的は達したな」と頬をバラ色に上気させ、濡れた唇で笑ってみせた露伴ときたら。おれが今まで見た中でもトップ五に入るエロさだったぜ。
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    らいむ

    DONE
    仗露道場2024/10/24「厚着」(2022/12/2お題) あんたたち正月どうすんの、とおふくろに訊かれたのが始まりだった。
    「正月? 別になんもねーけど」
    「向こうの家、行かなくていいわけ?」
    「向こう……?」
    「露伴先生のとこよ。普段杜王町こっちにいるんだから、たまには顔見せときなさい。ヨメ一年生ともなれば点数稼いどかなきゃね」
    「誰がヨメだ、誰が」
     自分は「ヨメ」になったことはねーおふくろだが、ダテに教師とかやってねェ。これッと決めたモンのためなら世間の目なんざ地の果てまで蹴っ飛ばすけど、まるっきり常識知らずってわけでもなくて、必要と認めた時はいっぱしに振る舞ってみせる。考えてみりゃ、そーいうとこ露伴と似てるかも。
     人生の先輩のありがたーいアドバイス(本人談)を露伴に話したところ、案の定「そんなもんか? 実家なんか去年も帰ってないぜ」とはなはだ気のない反応だった。「おまえも知ってるだろ」って、確かに去年はおふくろがダチと温泉行ったのをいいことに、暮れから露伴のマンションに転がり込んでヤり納めだの姫始めだのとムチャクチャだった。ほとんど服着るヒマもねェありさまで、大晦日と元日に公休が重なるフィーバー並みのツキに恵まれ、露伴は露伴で破産なんかしたばっかりで、お互い頭のネジが二、三本ブッ飛んでたかもしんねェ。
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