終わったところで愛してる この世が終わった。ニュースキャスターがそう言っていたからまあそうなのだろう。
結論が適当になってしまうのは仕方ない、実感がないのだから。「終わってから三ヶ月かあ」「え、もっと前に終わった気がしてた」前を行く中学生のずれた会話から逸れて左の道へ。この世はもう何もかも終わってしまったはずなのに未だ大人がそうあれと願うので残った子供は皆普通のまま生きている。自分も特に変化無く生活していた。教室の席も同じ、苦手な授業も同じ。悩みも以前と変わらない。お腹が減ること。物流が減った分物価が上がってしまったせいで食糧確保に一時はひどく苦労した。今は問題なく腹を満たせているがそれもどうなるか。
ごっそりと人の減った街を抜け少し奥、静かに存在する元何かの事務所現自分達の秘密基地。うっすら汚れたドアに鍵をさす。ここの合鍵を持っているのは自分と今室内に居るだろう男達。この三人だけだ。
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