待っててね運命 いつも使っている道が封鎖されていたからといって近道しようと決めたのは間違いだった。一人暮らし一か月記念ちょっと豪華な晩御飯は明日に持ち越し、というかそもそもこの店から無事出られるかどうか。
警戒しなくて良いのだと黒髪の店員さんは何度も言ってくるが言葉に説得力は全く無い。ただ店の前を通りがかっただけで突如店内へ引きずり込まれたのだ、警戒しない方が無理がある。煌びやかな店内も自分には合わなくて落ち着かないし。
「……えっと」
いつの間にか隣に座っていた少年を見ればにっこりと見つめ返された。
店員さんが嬉しそうに話しかけてくる
「ほら。彼も君を気に入っている」
これだってどれ程信じていいのやら。自分の半分くらいの歳に見える少年は、けれど同い年くらいの本物の子供よりずっと賢いという噂だ。演技だってとても上手に違いない。
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