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    スレ違い

    nbsk_pk

    DOODLEオフの日に角と尻尾ぴかぴかにして博に会いに来るScさんの話。両片思いすれ違いもだもだ美味しいーーーーーーー
    ぴかぴか バベルがロドス・アイランドという陸上艦を拠点として運用し始め、しかしいまだそこでの生活に慣れるまでには至っていない頃。久方ぶりの休みをもらったScoutは、しかしドクターの執務室で居心地悪く尾を揺らしながら立っていた。


     無論のこと狙撃兵でもあるScoutは命令があれば一日でも一週間でもその場で身じろぎひとつせずに静止し続けることは可能だった。だが今の彼はオフであったため、先ほど提出した書類とScoutをチラチラと往復するドクターの視線にとうとう耐え切れずに口を開いた。
    「何か不備があっただろうか」
    「あ、あぁ、いや。報告書は大丈夫だ」
     とは言いつつもドクターの視線はScoutから、厳密に言えばScoutのやや頭上から外されることはない。何か粗相をしでかしてしまっただろうかと内心冷や汗をかきつつ、現在のおのれの恰好を思い返してみる。とはいえ私服というものを所持していないScoutの現在の姿はといえば、いつもの恰好から上着と装備を外しただけでしかなく、別段おかしなものでもないはずである。帽子だっていつもかぶっている愛用の品であり、目立つ穴やほつれがあったわけではなかったはずだ。ひょっとして同僚の誰かに恥ずかしいいたずらでも仕掛けられているのだろうかと不安になって来たScoutは――なにせ同僚は一癖も二癖もある連中が勢ぞろいしているため何をされてもおかしくはないのである――後ろ手に組んだ腕を握りしめ、言葉を発した。
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    sbjk_d1sk

    CAN’T MAKEすれ違いラブコメに挑戦しようとして大失敗しました。
    キメラ 身長は可も不可もないが、不摂生と体質から肉付きはよろしくない。顔つきはとびきり美人でも可愛らしくもない。肌の色素は薄いが、顔色が悪い方が目立つ。宝石のような瞳でもないし、髪に自信があるわけでもない。頭脳は大勢に褒められたり恐れられたりなど非凡であるものの、経歴はほぼ白紙の記憶喪失。職業は、ロドス作戦部部門長にして戦争屋。あんまりである。
     ドクターは、そもそも自身が善良なる者と同じ盤上には決して立てないことを理解していた。同族はおらず、何者にも当てはまらないということは、何者でもないかもしれないということだ。唯一特出した頭脳はあれど、愛嬌という点ではかえって無用の長物だ。
     故に、ドクターは他人に嫉妬をしないと決めている。嫉妬ではなく、羨望に留めることを常に意識している。羨望も立派なネガティブ感情だが、それくらいは許してほしい。だって仕方がないだろう。ふわふわの耳も、艶やかな羽も、輝かしい光輪も、しなやかな尾も、妬んだところで手に入らない。何者でもない自分がそれらをアクセサリーとして付与できたら、どんなに良かっただろう。
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