南風
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈] 前回の出会いがしら風南のおまけ。飛び込んでしまった風信機長の🥧を反芻しちゃう南風。 びっくりした……。南風はふぅと大きく息を吐いた。
あっと思った時には遅かった。辛うじて全力での衝突は免れたものの、首から頭へ衝撃めいた感覚が走り抜ける。
「すみませ……」そう言いながら顔を上げたところで南風は固まった。あれほどに焦がれていたひとの目。驚いて見開いたその目が、自分を見下ろしている。
頭は一瞬で真っ白になっていた。しばし固まったのち、思わずついてしまった腕を風信機長の体から離す。向こうも急いでいたらしく、言葉少なく反対方向へ別れた。
取ってきた報告書を渡しがてら職員にそれとなく聞く。風信機長は他の機長の代わりで急遽呼ばれたらしい。
「出会いがしらに会ったの?」
勘のいい同僚に言われ無言で頷く。
1527あっと思った時には遅かった。辛うじて全力での衝突は免れたものの、首から頭へ衝撃めいた感覚が走り抜ける。
「すみませ……」そう言いながら顔を上げたところで南風は固まった。あれほどに焦がれていたひとの目。驚いて見開いたその目が、自分を見下ろしている。
頭は一瞬で真っ白になっていた。しばし固まったのち、思わずついてしまった腕を風信機長の体から離す。向こうも急いでいたらしく、言葉少なく反対方向へ別れた。
取ってきた報告書を渡しがてら職員にそれとなく聞く。風信機長は他の機長の代わりで急遽呼ばれたらしい。
「出会いがしらに会ったの?」
勘のいい同僚に言われ無言で頷く。
AwoyGame
SPOILERCoC【異能警察は英雄じゃない】KP:ブロンシュさん
PL:
HO1:雷電 隼翔/みかささん
HO2:雨宮 壬弦/カイスさん
HO3:如月 朔菜/ノエルさん
HO4:浪南風 北/あをゐ
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈️] パイロットAU。今度はぱったりと出会わなくなって、しんなりしちゃう南風と、しょんぼりしちゃう風信機長。 神様はいったいなにがしたいんだろう。
風信機長のことが気になりだしてから、やけにその姿を見つけてしまい動揺していたら、今度はぱたりと、すれ違うことすらなくなった。フライトの予定も見事にずれている。とはいえ変わりやすいパイロットのスケジュール、ひょっこり出会うこともあるかもしれないと、空港のロビーを心持ちゆっくり歩いてみたり、社内の共有スペースを意味もなくウロウロしてみたりしてしまう。そして、そんないじましい自分に溜息が出てしまう。その姿を見ることすらないだけで、自分はこんなに気落ちしてしまうのかと。
南風の気持ちを映したかのように、このところ、どんよりとした天気が続いていた。
「今日も雨か……」
5171風信機長のことが気になりだしてから、やけにその姿を見つけてしまい動揺していたら、今度はぱたりと、すれ違うことすらなくなった。フライトの予定も見事にずれている。とはいえ変わりやすいパイロットのスケジュール、ひょっこり出会うこともあるかもしれないと、空港のロビーを心持ちゆっくり歩いてみたり、社内の共有スペースを意味もなくウロウロしてみたりしてしまう。そして、そんないじましい自分に溜息が出てしまう。その姿を見ることすらないだけで、自分はこんなに気落ちしてしまうのかと。
南風の気持ちを映したかのように、このところ、どんよりとした天気が続いていた。
「今日も雨か……」
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] パイロットAU。様子がおかしすぎる南風の、風信さんSideバージョン。こっちもだいぶ拗らせてます。
自分でもおかしいという自覚はある。
「キャプテン?」
隣の副操縦士の視線に我に返る。
「あ……失礼。そうだな、その場合は少し高めの高度をリクエストして——」
急いで頭をフライトに戻す。
その見慣れた姿が横を通っていく前に感じたのは、いうなれば一種の気配のようなものだった。
パイロットとして勘が鋭い自信はある。だが、運行中のそれとは違うものだった。
通っていった横顔は、その予感通り南風だった。南風は、斜め前のパソコンの前に立った。やってきたキャプテンと確認を始めるその後ろ姿を、見るともなく視界のすみに捉えてしまう。キャプテンが頷く。どうやら、いつも通り有能にこなしているらしい。教官でもないのに、どこか誇らしく感じてしまう自分に驚く。
3143「キャプテン?」
隣の副操縦士の視線に我に返る。
「あ……失礼。そうだな、その場合は少し高めの高度をリクエストして——」
急いで頭をフライトに戻す。
その見慣れた姿が横を通っていく前に感じたのは、いうなれば一種の気配のようなものだった。
パイロットとして勘が鋭い自信はある。だが、運行中のそれとは違うものだった。
通っていった横顔は、その予感通り南風だった。南風は、斜め前のパソコンの前に立った。やってきたキャプテンと確認を始めるその後ろ姿を、見るともなく視界のすみに捉えてしまう。キャプテンが頷く。どうやら、いつも通り有能にこなしているらしい。教官でもないのに、どこか誇らしく感じてしまう自分に驚く。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] パイロットAU。風信さんを意識しちゃって、だいぶ様子がおかしいなんぽん。
ウラとして風信さんバージョンもある予定。
自分でもおかしいという自覚はある。
たまに、不意に感じとってしまうのだ——風信機長の気配を。
その日もそうだった。フライト前、ブリーフィングに向かうために廊下を歩いていると、不意に感じた。数分前に風信機長が通った気配を。
部屋に入った途端に見つけた。テーブルの前に立ってコンピューターの画面を前に副操縦士とフライトの確認をしている後ろ姿を。あの長い脚とがっしりした肩と腕、少し明るい色の髪、南風にとっては見間違うことのない後ろ姿。
向こうもブリーフィングの真っ最中だ。声はかけず横を通り過ぎ、そして斜め前の席のコンピューターのスイッチを入れる。いつも通り、気象状況やルートの確認をする。時折後ろから漏れ聞こえる風信機長の声に気を取られないようにしながら。同乗するキャプテンが現れ、一緒に今日のフライトの確認が始まった。
2341たまに、不意に感じとってしまうのだ——風信機長の気配を。
その日もそうだった。フライト前、ブリーフィングに向かうために廊下を歩いていると、不意に感じた。数分前に風信機長が通った気配を。
部屋に入った途端に見つけた。テーブルの前に立ってコンピューターの画面を前に副操縦士とフライトの確認をしている後ろ姿を。あの長い脚とがっしりした肩と腕、少し明るい色の髪、南風にとっては見間違うことのない後ろ姿。
向こうもブリーフィングの真っ最中だ。声はかけず横を通り過ぎ、そして斜め前の席のコンピューターのスイッチを入れる。いつも通り、気象状況やルートの確認をする。時折後ろから漏れ聞こえる風信機長の声に気を取られないようにしながら。同乗するキャプテンが現れ、一緒に今日のフライトの確認が始まった。
ruca_twilight
DONEモブリリ漫画③「南風」①②を先にお読みください。②「それを愛と呼ぶ」で中略した旅の途中を描いたサイドストーリーです。
①https://poipiku.com/2549896/11448680.html
②https://poipiku.com/2549896/11448979.html
未仕上げで真っ白ですみません…パスはモブランド5共通パス、R18ってほどではないですが青年向け程度です 11
noa/ノア
DONE[南風&扶揺✈] パイロットAU南扶ちゃんたち。珍しく雪が積もった日、ある出来事のせいで傷心の扶揺の家にやってきた南風。 朝、窓を開けた扶揺は小さく息をのんだ。
見慣れた窓の外の景色が、どこも真っ白く覆われている。雪が積もるかもしれないという天気予報は当たったらしい。この暖かい地では珍しい雪景色は、いつもなら淡泊な扶揺の心すら躍らせる。だが、今日はそんな景色すら、心の重しを軽くしてはくれなかった。
冷気に肩をすくめ、窓を閉める。もう一度ベッドに潜り込んだところで、枕の脇に置いたスマホにメッセージの通知が表示される。南風だ。
『雪、すごいな。欠航だし午後休みとっちゃった。お前は?』
欠航になったからって休むか? と白目をむく。扶揺は今日は元から休みだ。そう返すとすぐに返信が返ってくる。
『じゃ、午後にお前のとこ遊びにいく。なんか食べたいものとかあるか?』
4509見慣れた窓の外の景色が、どこも真っ白く覆われている。雪が積もるかもしれないという天気予報は当たったらしい。この暖かい地では珍しい雪景色は、いつもなら淡泊な扶揺の心すら躍らせる。だが、今日はそんな景色すら、心の重しを軽くしてはくれなかった。
冷気に肩をすくめ、窓を閉める。もう一度ベッドに潜り込んだところで、枕の脇に置いたスマホにメッセージの通知が表示される。南風だ。
『雪、すごいな。欠航だし午後休みとっちゃった。お前は?』
欠航になったからって休むか? と白目をむく。扶揺は今日は元から休みだ。そう返すとすぐに返信が返ってくる。
『じゃ、午後にお前のとこ遊びにいく。なんか食べたいものとかあるか?』
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] パイロットAU。バレンタインデー。とある仕事で一緒になったあと、はからずも(?)プレゼントを渡しあうみたいな流れになった二人。※バレンタインなのに、くっつきません
「座談会……ですか?」
怪訝な顔で聞き返す南風に、広報担当職員がにこやかな顔で頷く。
「はい、今度、機内誌の記事用にいろんな職種の人たちで集まって座談会をすることになりまして。副操縦士として抜擢されました、おめでとうござ……」
「いや、あの、なんで僕……話なんてできないですけど」南風がおもわず遮る。
「そりゃあ、若手の有望株ですし、それに——」ぐっと南風の耳元に口を寄せる。「見栄えも、しますしね」
「は……?」思わず身を引いた南風の頬が赤くなる。
「あ、そういえば、風信機長にも声かけてますので」
風信の名を出せば南風が断らないと知っているのだろう。だがどちらにしろ南風に拒否権はなかった。
「では、再来月の14日、よろしくお願いします!」
6239怪訝な顔で聞き返す南風に、広報担当職員がにこやかな顔で頷く。
「はい、今度、機内誌の記事用にいろんな職種の人たちで集まって座談会をすることになりまして。副操縦士として抜擢されました、おめでとうござ……」
「いや、あの、なんで僕……話なんてできないですけど」南風がおもわず遮る。
「そりゃあ、若手の有望株ですし、それに——」ぐっと南風の耳元に口を寄せる。「見栄えも、しますしね」
「は……?」思わず身を引いた南風の頬が赤くなる。
「あ、そういえば、風信機長にも声かけてますので」
風信の名を出せば南風が断らないと知っているのだろう。だがどちらにしろ南風に拒否権はなかった。
「では、再来月の14日、よろしくお願いします!」
石田鎳
DOODLE年末年始に描いたやつまとめいつもの粗製濫造です基礎画力が足りないのキツい
最低限カラーしないとさらに見れたものじゃないからなんとか頑張ってます
・RRP II
チケット用端末がおバカだったせいで棲家との全力疾走を2往復しましたが…
スマチケがタブレットに対応してないのは本当に面倒だねえ
ライブは過去最高でしたねライブはスタンディングですやっぱり
南風野他も描けてないのでもうちょっと何か描きます
次回ライブが再度新ユニットちゃんということで見える事情
昨年の追加曲も"アプリのユニット"だけなんですよね確か
ロイヤリティ問題もあるんでしょうアプリ受託会社だけで好き勝手出来ないよね
とはいえ10周年ということで今年も大きなライブやるそうです
・ユメ
小学生キャラが3人もいる辺りこうなんと言うか大きな武器
最近の楽曲はクセが強めだったりでとても良いですDJライブ楽しかったよ
ラストの全員曲(今年のベスト曲)で肩を組んでの大合唱という盛りあがり
次のDJライブは3/7、電音部4th前日にオールナイトになりそうで体調が怖い…
最新のiPad proを購入したので作業環境を少し変えます 10
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈] パイロットAU。休憩室のソファで映画見ながら寝落ちた二人。彼シャツ案件みたいなのがやりたかっただけ。
夕日も落ちて、夜が始まろうかという時間の休憩室。しんとした静けさと薄闇に満ちた室内に入った風信は、眉間を揉みながら大きな溜息とともにソファにどさりと腰かけた。
だがその途端、尻の下に何かぐにゃりとしたものを感じ、風信は思わず飛びすさった。
「……いっ……!」
「ぎゃっ……!」
ソファの上でなにかがむくりと起き上がる。
「……南風?」「風信機長??」
ソファの端に身を引いて目を丸くしている顔をまじまじと見つめる。
「すまん、全然気が付かなかった。足、大丈夫だったか?」「はい……」
「どうしたんだこんな真っ暗なところで」
「ちょっと休憩を……って、風信機長こそ、電気つけずに……」
まあ確かにそうだな、と思いながら風信はシャツを脱いで下に来ているTシャツ一枚になると、だらりと背中をソファの背に預けた。
2491だがその途端、尻の下に何かぐにゃりとしたものを感じ、風信は思わず飛びすさった。
「……いっ……!」
「ぎゃっ……!」
ソファの上でなにかがむくりと起き上がる。
「……南風?」「風信機長??」
ソファの端に身を引いて目を丸くしている顔をまじまじと見つめる。
「すまん、全然気が付かなかった。足、大丈夫だったか?」「はい……」
「どうしたんだこんな真っ暗なところで」
「ちょっと休憩を……って、風信機長こそ、電気つけずに……」
まあ確かにそうだな、と思いながら風信はシャツを脱いで下に来ているTシャツ一枚になると、だらりと背中をソファの背に預けた。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] パイロットAU。この間の、隠れて泣いている南風を見つけてしまった日の夜。風信さんの家でべしょべしょに泣く南風……
⚠️暴言を吐くパワハラ上司がいます
フライトを終えて戻ったら一番にやりたいこと、それは熱いシャワーをたっぷり浴びることだ。
風信にとってそれは、フライト先でも家でも同じだった。だがやはり長距離のフライトのあとは自分の家のシャワーが一番だ。明日はオフだし映画でも見ようかなどと考えながらタオルで髪を乾かしていると、テーブルに置いたスマホの着信音が鳴った。
南風だ。タオルを肩にかけてタップする。チャットメッセージ画面が現れる。
『今日はすみませんでした。ハンカチは洗って今度お返しします』
備品室の隅で肩を震わせていた姿を思い出す。
『気にしなくていい。大丈夫か?』と返信を返す。少し間があって吹き出しが現れる。
『大丈夫だとおもいます』
しばらく指が逡巡したあと、返信を打つ。
5343風信にとってそれは、フライト先でも家でも同じだった。だがやはり長距離のフライトのあとは自分の家のシャワーが一番だ。明日はオフだし映画でも見ようかなどと考えながらタオルで髪を乾かしていると、テーブルに置いたスマホの着信音が鳴った。
南風だ。タオルを肩にかけてタップする。チャットメッセージ画面が現れる。
『今日はすみませんでした。ハンカチは洗って今度お返しします』
備品室の隅で肩を震わせていた姿を思い出す。
『気にしなくていい。大丈夫か?』と返信を返す。少し間があって吹き出しが現れる。
『大丈夫だとおもいます』
しばらく指が逡巡したあと、返信を打つ。
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈] パイロットAU。風信さんが南風の横でおやつ食べてるだけ。※たぶん、ほんとのパイロットはコックピットでこんな呑気なことしてないですが…
「それ、おいしそうですね」
隣の操縦席から南風が横目で風信のほうを見る。
「これか? ああ、うまいぞ」
風信は、手の中のチョコレートを口に放り込んだ。
二人の目の前には綺麗な青空が広がっている。大気の様子を知らせてくれる程度には雲があり、だが避けねばいけないような危険は見当たらない。気を抜くことはできないが、自動操縦に任せ、穏やかな時間が流れる。
「一つくださいよ」
南風の声に風信は短く答える。
「だめだ」
不服そうな顔をする南風をちらりと見る。
「同乗するパイロットは同じものを口にしてはいけない。知ってるだろ」
「ええ……でもお菓子くらい……」
「もし、これに毒が入ってたらどうする」
「そんな……それに、風信機長がいま食べててなんともないじゃないですか」
1601隣の操縦席から南風が横目で風信のほうを見る。
「これか? ああ、うまいぞ」
風信は、手の中のチョコレートを口に放り込んだ。
二人の目の前には綺麗な青空が広がっている。大気の様子を知らせてくれる程度には雲があり、だが避けねばいけないような危険は見当たらない。気を抜くことはできないが、自動操縦に任せ、穏やかな時間が流れる。
「一つくださいよ」
南風の声に風信は短く答える。
「だめだ」
不服そうな顔をする南風をちらりと見る。
「同乗するパイロットは同じものを口にしてはいけない。知ってるだろ」
「ええ……でもお菓子くらい……」
「もし、これに毒が入ってたらどうする」
「そんな……それに、風信機長がいま食べててなんともないじゃないですか」
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈️] パイロットAU。ある朝突然、空港の麻薬探知犬と入れ替わってしまったっぽい南風。探知犬ハンドラーのモブ君視点。
隅々までありえなさ120%なので、頭をカラにしてお読みください🙇
「今日はどうしたんだ?」
覗き込んだケージの中にいるのは、黒の雄のラブラドール。麻薬探知犬の彼は、ハンドラーの自分の相棒だ。まだ探知犬になって一年ほどだが、訓練の時から落ち着いた優秀な犬だった。だが、今朝ケージに来ると、ケージの中をうろうろ歩き回り床のあちこちを嗅いでいる——まるで見知らぬところに来たように。
だが、餌の皿を置くと、匂いを嗅いでいつもどおりすぐに平らげたので、体調が悪いわけではないらしい。
「さあ、今日も仕事だぞ」
ケージから出し、空港へ向かう。
リードを引いて税関を行きかう客とスーツケースの間を歩きまわる。朝は心配だったが、荷物を次々に嗅いでまわる様子はいつも通りで安心する。
だが、突然ピタリと止まり、空気の匂いを嗅いだ。何か見つけたのかと緊張する。と、突然リードを引っ張られた。
2523覗き込んだケージの中にいるのは、黒の雄のラブラドール。麻薬探知犬の彼は、ハンドラーの自分の相棒だ。まだ探知犬になって一年ほどだが、訓練の時から落ち着いた優秀な犬だった。だが、今朝ケージに来ると、ケージの中をうろうろ歩き回り床のあちこちを嗅いでいる——まるで見知らぬところに来たように。
だが、餌の皿を置くと、匂いを嗅いでいつもどおりすぐに平らげたので、体調が悪いわけではないらしい。
「さあ、今日も仕事だぞ」
ケージから出し、空港へ向かう。
リードを引いて税関を行きかう客とスーツケースの間を歩きまわる。朝は心配だったが、荷物を次々に嗅いでまわる様子はいつも通りで安心する。
だが、突然ピタリと止まり、空気の匂いを嗅いだ。何か見つけたのかと緊張する。と、突然リードを引っ張られた。
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈] パイロットAU。貧血で倒れて風信さんにお姫様だっこされるなんぽんが書きたかっただけ。※諸々深く考えずにお読みください😂
夕暮れの空を飛ぶコックピットに、エンジンの規則的な唸りとは違う音が響く。
南風が、はっとして腕で腹を抱える。「……すみません」
風信は小さく笑い、横目で見た。「腹へってるのか?」
「はい。その、ちょっと節制しておこうかと」
ああ、と風信は察する。
もうすぐやってくる航空身体検査。それはパイロットの健康診断だが、結果いかんによっては飛べなくなることもありうる。もちろん永遠に飛べなくなるような重篤なことは滅多にないとはいえ、ひっかからないに越したことはない。
「前回、数値がちょっと悪くなってたので……今回は食事もしばらくサラダだけにしたりして頑張ってるんですけど……」
「ハードな仕事なんだから、しっかり食べないともたないぞ」と風信は眉をひそめるが、向こうも大人だ。食生活に口を出すこともあるまい、とそれ以上は何も言わなかった。
2137南風が、はっとして腕で腹を抱える。「……すみません」
風信は小さく笑い、横目で見た。「腹へってるのか?」
「はい。その、ちょっと節制しておこうかと」
ああ、と風信は察する。
もうすぐやってくる航空身体検査。それはパイロットの健康診断だが、結果いかんによっては飛べなくなることもありうる。もちろん永遠に飛べなくなるような重篤なことは滅多にないとはいえ、ひっかからないに越したことはない。
「前回、数値がちょっと悪くなってたので……今回は食事もしばらくサラダだけにしたりして頑張ってるんですけど……」
「ハードな仕事なんだから、しっかり食べないともたないぞ」と風信は眉をひそめるが、向こうも大人だ。食生活に口を出すこともあるまい、とそれ以上は何も言わなかった。
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈] ひっそり泣いてる南風に静かに寄り添う風信さんが書きたかっただけのらくがき さてどうしたものか。
風信は壁に背をもたせかけ、腕を組んで目の前の虚空を見つめる。足元からは、抑えきれないすすり泣きの声。
懐中電灯の電池が切れたので備品室に取りに来ただけだった。気配を感じて部屋の奥を覗き込んだ風信の目に入ったのは、床にうずくまった人影。小さく揺れる肩と、見慣れた髪。
備品室になんて滅多に来ないのに、来た時に限って何故、と思ったことは否めない。だから気配に気づいて頭を上げ、涙に濡れた顔で「なんで……」と呟く南風と目があったとき、風信のほうも同じ気持ちだった。
そのまま見なかったふりをして立ち去ればよかったのだろう。でも風信にはそれが出来なかった。ゆっくり近づいていっても南風は立ち上がることはなく、うずくまったまま、また腕に顔をうずめる。
1130風信は壁に背をもたせかけ、腕を組んで目の前の虚空を見つめる。足元からは、抑えきれないすすり泣きの声。
懐中電灯の電池が切れたので備品室に取りに来ただけだった。気配を感じて部屋の奥を覗き込んだ風信の目に入ったのは、床にうずくまった人影。小さく揺れる肩と、見慣れた髪。
備品室になんて滅多に来ないのに、来た時に限って何故、と思ったことは否めない。だから気配に気づいて頭を上げ、涙に濡れた顔で「なんで……」と呟く南風と目があったとき、風信のほうも同じ気持ちだった。
そのまま見なかったふりをして立ち去ればよかったのだろう。でも風信にはそれが出来なかった。ゆっくり近づいていっても南風は立ち上がることはなく、うずくまったまま、また腕に顔をうずめる。
AwoyGame
SPOILERCoC【異能警察は英雄じゃない】KP:ブロンシュさん
PC/PL
HO1:雷電 隼翔/みかささん
HO2:雨宮 壬弦/カイスさん
HO3:如月 朔菜/ノエルさん
HO4:浪南風 北/あをゐ
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈] パイロットAU。長距離往復フライトの次の日、ふたり一緒にインフルにやられる二人。高熱の風信機長にビデオ通話する南風がいます。高熱でフラフラの風信さんがやたら色っぽいということを書きたかっただけです。
※全年齢です
熱のいたずら「南風、大丈夫か?」
十時間をこえる長距離往復フライトは、慣れていても堪える。だが、フライト後、一緒に乗務していた南風の顔に疲労以外のものを感じ、風信は尋ねた。南風は、気づかれたことに驚いたように顔をあげる。
「大丈夫です。でもちょっとだけ……頭がいたくて」
にこっと笑って見せる南風の額にすっと手を伸ばす。
「熱はなさそうだな。でも体調が悪くなるようだったら医者にいけよ」
「はい」南風は答える。「機長の手、冷たくて気持ちいい……」
そのトロリとした顔に若干心配になるが、南風のことだ、無理はしないだろうとそれほど気にとめず帰宅した。
次の日の朝、風信は嫌な予感とともに目を覚ました。
枕の上で動かした頭がずきりと鈍く痛む。恐る恐る額に手をもっていく。
2791十時間をこえる長距離往復フライトは、慣れていても堪える。だが、フライト後、一緒に乗務していた南風の顔に疲労以外のものを感じ、風信は尋ねた。南風は、気づかれたことに驚いたように顔をあげる。
「大丈夫です。でもちょっとだけ……頭がいたくて」
にこっと笑って見せる南風の額にすっと手を伸ばす。
「熱はなさそうだな。でも体調が悪くなるようだったら医者にいけよ」
「はい」南風は答える。「機長の手、冷たくて気持ちいい……」
そのトロリとした顔に若干心配になるが、南風のことだ、無理はしないだろうとそれほど気にとめず帰宅した。
次の日の朝、風信は嫌な予感とともに目を覚ました。
枕の上で動かした頭がずきりと鈍く痛む。恐る恐る額に手をもっていく。
noa/ノア
DONE新春SSおみくじ:第七番 [殿下&南風&扶揺]原作軸の神官三人ですが、舞台は現代。謎時空。何も考えずにお読みください。
謝憐がATMで無茶をするお話。
「あ、君たちか」
菩薺観の扉を開けた謝憐は、険しい顔で佇む若い神官二人に微笑みかけた。
「呼んでおいて、君たちか、はないでしょう」
一人がぐるりと白眼をむく。
「扶揺、べつに呼んではいないんだが」
「通霊で『君たちの助けが必要で……あ、いやまあいい。一人でなんとかする』なんて言って切られたら、来ないわけにはいかないじゃないですか!」
もう一人が腕組みをして大きな声で言うと、謝憐は肩をすくめた。
「いやぁ、南風、言っている途中でなんとかなるかと思ったんだよ。でも、まあ来てくれた以上、手伝ってくれるかな?」と言うと、二人はふんとそっぽを向き、
「よろこんで!」と噛みつくように言った。
謝憐は苦笑いしながら二人を中に招き入れ、奥に置かれた功徳箱の前に立った。
1843菩薺観の扉を開けた謝憐は、険しい顔で佇む若い神官二人に微笑みかけた。
「呼んでおいて、君たちか、はないでしょう」
一人がぐるりと白眼をむく。
「扶揺、べつに呼んではいないんだが」
「通霊で『君たちの助けが必要で……あ、いやまあいい。一人でなんとかする』なんて言って切られたら、来ないわけにはいかないじゃないですか!」
もう一人が腕組みをして大きな声で言うと、謝憐は肩をすくめた。
「いやぁ、南風、言っている途中でなんとかなるかと思ったんだよ。でも、まあ来てくれた以上、手伝ってくれるかな?」と言うと、二人はふんとそっぽを向き、
「よろこんで!」と噛みつくように言った。
謝憐は苦笑いしながら二人を中に招き入れ、奥に置かれた功徳箱の前に立った。
noa/ノア
DONE新春SSおみくじ:第六番 [風信&南風 パイロットAU]※南風はでてきません
認識のすれ違いにより、風信機長と組むモブ副操縦士君が勘違いをするお話。
「おはよう」
ブリーフィング室で後ろからかけられた声に、若い副操縦士が振り返る。
「おはようございます。風信機長ですか」
「ああ。NY2501便はここだな?」
「はい、はじめまして」
社内で名高い風信機長だが、その副操縦士はまだ一緒に飛んだことはなかった。二人で確認を始める。
風信も、話しながらこの初めて組む副操縦士の様子をみていた。少しばかり早とちりしがちなところはありそうだが、判断は早そうだ。ちらちらと自分の顔を伺ってくる様子に少し引っかからないでもないが、機長の反応が気になるのは仕方ないだろうとそれほど気にはとめなかった。
一通り確認を終えたところで、風信は指を軽く弄び、左手から指輪をはずした。だが外したところでそれは風信の指からぽろりと落ちた。
1302ブリーフィング室で後ろからかけられた声に、若い副操縦士が振り返る。
「おはようございます。風信機長ですか」
「ああ。NY2501便はここだな?」
「はい、はじめまして」
社内で名高い風信機長だが、その副操縦士はまだ一緒に飛んだことはなかった。二人で確認を始める。
風信も、話しながらこの初めて組む副操縦士の様子をみていた。少しばかり早とちりしがちなところはありそうだが、判断は早そうだ。ちらちらと自分の顔を伺ってくる様子に少し引っかからないでもないが、機長の反応が気になるのは仕方ないだろうとそれほど気にはとめなかった。
一通り確認を終えたところで、風信は指を軽く弄び、左手から指輪をはずした。だが外したところでそれは風信の指からぽろりと落ちた。
noa/ノア
DONE新春SSおみくじ:第五番 [風信&南風]東の異国から、風信将軍が持って帰ってきたお土産のお菓子を楽しむ二人。
下界で任務を終えて戻った将軍が、何か持ち帰ってくることは珍しくない。
それは時に、適切に処理が必要な妖気を帯びた品であったり、皆で知恵を合わせて正体を調べなければならない重大なもののこともあれば、神官たちの役に立つであろう些細な物のこともある。
その日、南陽将軍が持ち帰ってきたのは、菓子だった。
いち早く将軍の戻りに駆け付けた南風に、風信は小さな箱を手渡した。
「今回の任務はたしか、海を越えた東の地でしたよね」
「ああ。どうやらその地で年明けによく食べる菓子らしい」
南風はおずおずと箱を開けた。
「おお……」
中には、半円の形をした白く柔らかそうな菓子が並んでいた。
「綺麗ですね」
「そうだろう? 名は確か……花……花びら餅と呼ばれていたかな」
1143それは時に、適切に処理が必要な妖気を帯びた品であったり、皆で知恵を合わせて正体を調べなければならない重大なもののこともあれば、神官たちの役に立つであろう些細な物のこともある。
その日、南陽将軍が持ち帰ってきたのは、菓子だった。
いち早く将軍の戻りに駆け付けた南風に、風信は小さな箱を手渡した。
「今回の任務はたしか、海を越えた東の地でしたよね」
「ああ。どうやらその地で年明けによく食べる菓子らしい」
南風はおずおずと箱を開けた。
「おお……」
中には、半円の形をした白く柔らかそうな菓子が並んでいた。
「綺麗ですね」
「そうだろう? 名は確か……花……花びら餅と呼ばれていたかな」
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DONE新春SSおみくじ:第四番 [風信&南風 パイロットAU]年越しのNYの中継を見ていた風信機長が、画面に見慣れた姿を見つけるお話。
「ん?」
会社の休憩室で、テレビで流れるニュースをぼんやりと見ていた風信は、思わずその画面を凝視した。
テレビには新しい年を待つ世界各地の様子が流れている。画面にいま映っているのは、ニューヨークはタイムズスクエア。年越しの有名なカウントダウンには、毎年大勢の人が集まる。
まだ早いはずだが、もうすでにカウントダウン待ちの人々が集まっているらしい。だが、それはどうでもよかった。風信の目を引いたのは、キャスターの後ろに映っている人物だ。
ダウンジャケットに身を包み、寒そうにしながらきょろきょろと周りを見ているその姿には、ひどく見覚えがあった。
「南風……?」
間違いない。自分でもよく気づいたものだなと思いながら風信はおもわず画面の中の姿を見つめた。
1075会社の休憩室で、テレビで流れるニュースをぼんやりと見ていた風信は、思わずその画面を凝視した。
テレビには新しい年を待つ世界各地の様子が流れている。画面にいま映っているのは、ニューヨークはタイムズスクエア。年越しの有名なカウントダウンには、毎年大勢の人が集まる。
まだ早いはずだが、もうすでにカウントダウン待ちの人々が集まっているらしい。だが、それはどうでもよかった。風信の目を引いたのは、キャスターの後ろに映っている人物だ。
ダウンジャケットに身を包み、寒そうにしながらきょろきょろと周りを見ているその姿には、ひどく見覚えがあった。
「南風……?」
間違いない。自分でもよく気づいたものだなと思いながら風信はおもわず画面の中の姿を見つめた。
noa/ノア
DONE新春SSおみくじ:第参番 [風信&南風]下界から戻ってきた風信将軍を手伝う南風。南風吸いをする風信将軍もいます。
部屋で剣の手入れをしていた南風は、手をとめて顔をあげた。
南陽将軍のお戻りだ。
仙京に将軍が戻ってくると、わずかな気の揺れが起きる。もちろん、下界に降りた時のような派手な衝撃には限りなく及ばない。だが、どんなに僅かでも、南風はそれを逃したことはなかった。
将軍の部屋へ向かう。戸を叩くとくぐもった返事が聞こえた。扉を静かに開け、拱手して頭を下げる。
「失礼いたします」
将軍は、壁に腰を預け、項垂れるように手で頭を支えていた。南風の声に顔を上げる。
「ああ、南風か」
その目は疲れ落ちくぼんでいた。
「新年早々、お疲れさまでした。大変でしたか」
南風の心配そうな声に、いやと小さく首を振る。だが、続いた溜息は深い。
1381南陽将軍のお戻りだ。
仙京に将軍が戻ってくると、わずかな気の揺れが起きる。もちろん、下界に降りた時のような派手な衝撃には限りなく及ばない。だが、どんなに僅かでも、南風はそれを逃したことはなかった。
将軍の部屋へ向かう。戸を叩くとくぐもった返事が聞こえた。扉を静かに開け、拱手して頭を下げる。
「失礼いたします」
将軍は、壁に腰を預け、項垂れるように手で頭を支えていた。南風の声に顔を上げる。
「ああ、南風か」
その目は疲れ落ちくぼんでいた。
「新年早々、お疲れさまでした。大変でしたか」
南風の心配そうな声に、いやと小さく首を振る。だが、続いた溜息は深い。
noa/ノア
DONE新春SSおみくじ:第弐番 [風信&南風 パイロットAU]南風のサングラスが壊れるお話。
「あ、」
コックピットで機材の最終チェックを終え、出発を待っていた風信は、その声に隣を見た。
副操縦士の南風が、手に持ったサングラスをいじっている。
「どうした」と覗き込む。その手の中のサングラスは片方のつるが外れていた。
「壊れたのか?」風信が聞くと、南風は気まずそうな顔をした。
「その、昨日うっかり踏んでしまって……。でも、つるが外れただけだったので、テープで巻いてみたら直ったかと思ったんですが」
目を近づけて、うーんと唸る。「やっぱりダメだったのかも」
「予備は」風信が聞くと南風は、そのぅ、と言葉を濁す。「……ロッカーに」
「おい」
風信の顔を見て、南風の表情がわずかに固まる。
「お前、これはカッコつけるための小道具じゃなくて、上空では必需品だぞ」
1012コックピットで機材の最終チェックを終え、出発を待っていた風信は、その声に隣を見た。
副操縦士の南風が、手に持ったサングラスをいじっている。
「どうした」と覗き込む。その手の中のサングラスは片方のつるが外れていた。
「壊れたのか?」風信が聞くと、南風は気まずそうな顔をした。
「その、昨日うっかり踏んでしまって……。でも、つるが外れただけだったので、テープで巻いてみたら直ったかと思ったんですが」
目を近づけて、うーんと唸る。「やっぱりダメだったのかも」
「予備は」風信が聞くと南風は、そのぅ、と言葉を濁す。「……ロッカーに」
「おい」
風信の顔を見て、南風の表情がわずかに固まる。
「お前、これはカッコつけるための小道具じゃなくて、上空では必需品だぞ」
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] 風南パイロットAU。どうみても普通じゃない二人の関係に気づきだす社員たち。当の本人たちは気づいてません。
ただならぬ二人 あの二人は絶対におかしい。
南陽航空の少なからぬ社員たちの間で、その認識は共有されていた。
業界でも指折りの中堅パイロット、風信機長。
会社の有望株と名高い、南風副操縦士。
きら星のような二人は、その輝きだけで注目を集めていたのかといえば、それは少し違ったかもしれない。
「南風、どうした」
機へ向かう前にパイロットたちがフライトの確認を行うブリーフィング室。一足先にパソコン画面で雲の様子を確認していた南風が俯いているのを見て、やってきた風信が声をかける。
南風が顔を上げる。その片目は赤く涙でぬれていた。
「あ、風信機長! いえ、さっき外を確認したときに風が強くて、ちょっと目に何か入ってしまって」
南風が目にもっていこうとした手を、風信が掴む。
2523南陽航空の少なからぬ社員たちの間で、その認識は共有されていた。
業界でも指折りの中堅パイロット、風信機長。
会社の有望株と名高い、南風副操縦士。
きら星のような二人は、その輝きだけで注目を集めていたのかといえば、それは少し違ったかもしれない。
「南風、どうした」
機へ向かう前にパイロットたちがフライトの確認を行うブリーフィング室。一足先にパソコン画面で雲の様子を確認していた南風が俯いているのを見て、やってきた風信が声をかける。
南風が顔を上げる。その片目は赤く涙でぬれていた。
「あ、風信機長! いえ、さっき外を確認したときに風が強くて、ちょっと目に何か入ってしまって」
南風が目にもっていこうとした手を、風信が掴む。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈️] パイロットAU。風信機長とのクリスマスフライトが叶わず、一人、家で寂しく過ごしている南風だったが……?きよしこのよる はあ……
南風は自室のベッドにごろりと転がり、今日何度目かの大きな溜息をついた。
なんてつまらないクリスマスなんだ。
ちらりと時計を見る。味気ないクリスマスの日ももう終わろうとしている。
「クリスマスにオフなんて、彼女とデートでもすればいいじゃないか」そう言って小突いてきた年配の機長には苦笑いで返すしかなかったが、本当は言い返したかった。
彼女なんていませんよ。女性に興味ないですし。なんで若いっていうだけで、クリスマスには誰かとデートっていう発想になるんですか?
もちろん、そんなこと一文字だって言えないのだが。
自分がクリスマスを誰かと一緒に過ごすなら—。
その人は、いま、まさにクリスマス本場の国にいる。
3354南風は自室のベッドにごろりと転がり、今日何度目かの大きな溜息をついた。
なんてつまらないクリスマスなんだ。
ちらりと時計を見る。味気ないクリスマスの日ももう終わろうとしている。
「クリスマスにオフなんて、彼女とデートでもすればいいじゃないか」そう言って小突いてきた年配の機長には苦笑いで返すしかなかったが、本当は言い返したかった。
彼女なんていませんよ。女性に興味ないですし。なんで若いっていうだけで、クリスマスには誰かとデートっていう発想になるんですか?
もちろん、そんなこと一文字だって言えないのだが。
自分がクリスマスを誰かと一緒に過ごすなら—。
その人は、いま、まさにクリスマス本場の国にいる。
牙隹(ピロシキ)
INFOクトゥルフ神話TRPG - シグナルレッド・デッドKP:シュウリン 様
KPC:南風 葵
PC / PL:坂卷 凛 / ピロシキ
END - A
「おら、行ってこい お前も働くんだよ!」 7
noa/ノア
DONE[風南✈] アンソロ寄稿作品。パイロットAU。二人のただならぬ場面(※誤解)を目撃してしまう、南陽航空の若いモブパイロット君がいます。
南風受のつもりですが、なってなかったらすみません。。
⚠️健全ですが、一応大人の方を想定しています。
※アンソロ限定公開期間終了の2025年2月1日よりパスワードなしで公開しています※
若きパイロットの困惑 空港内にある南陽航空の社内エリア。パイロットたちが行き交う廊下も、時間帯によっては人が少ない。しんと静かな無機質な廊下に、二人の人影が佇んでいた。
「南風、どうしてなんだ」
「別に……やっぱりやめようと思っただけです」
南風は下を向いて、とん、と背を廊下の壁に預けた。いつになく拗ねた表情の南風に、前に立つ風信は、腕を組んだまま首を傾げる。
「だが、あんなにやる気だっただろう? 受けてみればいいじゃないか」
「簡単に言わないでください、機長。やっぱりあの試験は俺にはまだ早いです」
南風は俯いたまま溜息をつく。「自信がないだけです。どうぞ、笑ってください」
失礼します、と言って去ろうとした南風は、その途端、頭の横に衝撃を感じて固まった。
3200「南風、どうしてなんだ」
「別に……やっぱりやめようと思っただけです」
南風は下を向いて、とん、と背を廊下の壁に預けた。いつになく拗ねた表情の南風に、前に立つ風信は、腕を組んだまま首を傾げる。
「だが、あんなにやる気だっただろう? 受けてみればいいじゃないか」
「簡単に言わないでください、機長。やっぱりあの試験は俺にはまだ早いです」
南風は俯いたまま溜息をつく。「自信がないだけです。どうぞ、笑ってください」
失礼します、と言って去ろうとした南風は、その途端、頭の横に衝撃を感じて固まった。
noa/ノア
DONE[南風&扶揺✈️] ある日の南扶ちゃんたち。扶揺に呼び出された南風が渡されたモノとは…?
『今週水曜までで会える日は?』
画面に表示されたメッセージの通知。送り主の名前を見なくても誰からかわかる。南風は、小さく溜息をつきながらスマホを手に取り、『ない』と短く返す。厳密にいえばないわけでもないが、そう返すのは癪だった。今日はもう月曜日。いつもながら、こちらの予定などお構いなしだ。こっちだって忙しく飛び回るパイロットなのだ。
すぐに返事が返ってくる。
『木曜は?』
なにやら随分急ぎらしい。手元のカップが空になっていることに気づき、新しくコーヒーを淹れてきてから、ゆっくりと返す。『朝八時。そのあとフライトだから』
向こうでメッセージを打っているらしく、しばらく画面にドットが跳ねる。
『九時。お前のフライト午後からだろ? すぐ済む。じゃあいつもの空港のカフェで』
2349画面に表示されたメッセージの通知。送り主の名前を見なくても誰からかわかる。南風は、小さく溜息をつきながらスマホを手に取り、『ない』と短く返す。厳密にいえばないわけでもないが、そう返すのは癪だった。今日はもう月曜日。いつもながら、こちらの予定などお構いなしだ。こっちだって忙しく飛び回るパイロットなのだ。
すぐに返事が返ってくる。
『木曜は?』
なにやら随分急ぎらしい。手元のカップが空になっていることに気づき、新しくコーヒーを淹れてきてから、ゆっくりと返す。『朝八時。そのあとフライトだから』
向こうでメッセージを打っているらしく、しばらく画面にドットが跳ねる。
『九時。お前のフライト午後からだろ? すぐ済む。じゃあいつもの空港のカフェで』
tomisekaketeusi
INFOCoC『白南風に揺れる』作:はおか様
KP/KPC
宮田さん/黒瀬 立夏
PL/PC
豚骨/灰島 獅勇
両生還‼️良かった😭😭
涙ぽろり 本当に今のこの2人に合いすぎるシナリオだった。幸
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] 忘年会で酔っぱらった事故💋風南つづき。泥酔して寝落ちた南風の面倒をみながら、いろいろ考えてしまう風信さんがいます。(健全)
いったいどうすればいいんだ。
ホテルを出たところで風信は深いため息をついた。その肩には、可愛いコーパイの重みがずっしりと乗っている。
完全にもらい事故という状況に巻き込まれた風信をよそに、事故を起こした本人は、酔いがまわって気持ちよく寝落ちた。なんとか完全に寝てしまってはいないらしく、お開きになって会場を後にする時には、風信が肩を貸せば一応自分の足で歩いてはくれたが、一人で電車で帰るのは到底無理だろう。タクシーに突っ込もうかと思ったが、ホテル前のタクシーの列は長く、上司の面々が済むまでにまだ随分かかりそうだった。
まあそれでも待つほかないか、と歩き出したところで、肩から声がした。「きちょう……」
4585ホテルを出たところで風信は深いため息をついた。その肩には、可愛いコーパイの重みがずっしりと乗っている。
完全にもらい事故という状況に巻き込まれた風信をよそに、事故を起こした本人は、酔いがまわって気持ちよく寝落ちた。なんとか完全に寝てしまってはいないらしく、お開きになって会場を後にする時には、風信が肩を貸せば一応自分の足で歩いてはくれたが、一人で電車で帰るのは到底無理だろう。タクシーに突っ込もうかと思ったが、ホテル前のタクシーの列は長く、上司の面々が済むまでにまだ随分かかりそうだった。
まあそれでも待つほかないか、と歩き出したところで、肩から声がした。「きちょう……」
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] 南陽航空の忘年会で酔っぱらって事故る南風💋めずらしく酔っぱらってふにゃふにゃの風信さん大好き南風がいます。
広い店内に、熱気と笑い声が満ち溢れている。
南陽航空の系列ホテルのバーを貸切っての忘年会。毎年代わり映えしないのだが、仕事以外でめったに集まることのない、パイロットに客室乗務員から地上クルーまでが集まるこの機会は大いに盛り上がる。
いつもは緊張を強いられる毎日。だが切り替え上手な者ばかりな分、羽目を外す時にはしっかり外すのがお決まりだ。
「南風、お前やってみろよ」
テーブルを囲むソファ席では、若手のパイロット達がはしゃいでいる。その真ん中ですでに頬を赤く染めている南風が、グラスをテーブルに置き、一つ咳払いをすると、もったいぶった様子で操縦桿を握る真似をすると、ぐっと眉間に皺を寄せる。
「南陽エアー099、スタンバイ・フォー・テイクオフ。……クソっ、玄真航空さっさとどけ!」
2958南陽航空の系列ホテルのバーを貸切っての忘年会。毎年代わり映えしないのだが、仕事以外でめったに集まることのない、パイロットに客室乗務員から地上クルーまでが集まるこの機会は大いに盛り上がる。
いつもは緊張を強いられる毎日。だが切り替え上手な者ばかりな分、羽目を外す時にはしっかり外すのがお決まりだ。
「南風、お前やってみろよ」
テーブルを囲むソファ席では、若手のパイロット達がはしゃいでいる。その真ん中ですでに頬を赤く染めている南風が、グラスをテーブルに置き、一つ咳払いをすると、もったいぶった様子で操縦桿を握る真似をすると、ぐっと眉間に皺を寄せる。
「南陽エアー099、スタンバイ・フォー・テイクオフ。……クソっ、玄真航空さっさとどけ!」
noa/ノア
DONE[風信&南風✈️] XにあげたパイロットAU。着陸直前に機体トラブルに見舞われた二人。神がいるなら「だめだな、こりゃ」
風信の声に、南風はごくりと小さく喉を上下させた。
目的地の上空まで来て、すでに数十分がたっている。本来ならもう着陸しているはずだった。だが、二人の視線の先では、着陸のための前輪の異常を示す赤いランプが点滅している。風信が何度も操作をやり直してみたが同じだった。おそらく表示の異常ではない。
車輪に異常があれば、着陸の衝撃で破壊され胴体着陸になる可能性も低くはない。南風は胸が冷たくなるのを感じた。
「だが、異常は前だけだ。後ろの二つは異常ないからこのまま着陸する」
まあ何とかなるだろう、と言う風信の声はカラリと楽観的で、だが南風には、それが自分に不安を与えないためのものだとわかっていた。おそらくその頭の中では、あらゆる情報を正確に分析して、素早く計算をしているはずだ。南風も、それを正しくなぞっていることを祈りながら自分も頭を回転させる。
1973風信の声に、南風はごくりと小さく喉を上下させた。
目的地の上空まで来て、すでに数十分がたっている。本来ならもう着陸しているはずだった。だが、二人の視線の先では、着陸のための前輪の異常を示す赤いランプが点滅している。風信が何度も操作をやり直してみたが同じだった。おそらく表示の異常ではない。
車輪に異常があれば、着陸の衝撃で破壊され胴体着陸になる可能性も低くはない。南風は胸が冷たくなるのを感じた。
「だが、異常は前だけだ。後ろの二つは異常ないからこのまま着陸する」
まあ何とかなるだろう、と言う風信の声はカラリと楽観的で、だが南風には、それが自分に不安を与えないためのものだとわかっていた。おそらくその頭の中では、あらゆる情報を正確に分析して、素早く計算をしているはずだ。南風も、それを正しくなぞっていることを祈りながら自分も頭を回転させる。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈️]1129「いい肉の日」ということで、肉を食べに行く風南パイロットAUです。パイロット業界事情も、あちらの肉料理も、捏造と妄想100%なので悪しからず…。
いい肉の日「すみませんでした……」
クリップボードにペンを走らせながら、風信は隣で項垂れる南風にちらりと目をやった。しんと静まり返った操縦席。たまに遠くの滑走路のエンジン音が聞こえてくる。
「別に謝る必要はない」
「でも……弱気になってしまって」
初めて着陸を任される時は、誰しも緊張するものだ。
天気の変わりやすい地の空港で、雨と若干の横風という理想的とは言えない状況。着陸体勢に入ったところで、大丈夫かと聞かれた南風は操縦桿を握りながら思わず首を振ってしまった。
「途中で投げ出すなんて、パイロット失格だ」
「誰でも初めは怖いものだ。無茶をするよりよっぽどいい」
だが、南風の首は垂れたままだ。
「俺の初めての時なんて──」風信が胸ポケットにペンをしまう。「車輪が出なかった」
4402クリップボードにペンを走らせながら、風信は隣で項垂れる南風にちらりと目をやった。しんと静まり返った操縦席。たまに遠くの滑走路のエンジン音が聞こえてくる。
「別に謝る必要はない」
「でも……弱気になってしまって」
初めて着陸を任される時は、誰しも緊張するものだ。
天気の変わりやすい地の空港で、雨と若干の横風という理想的とは言えない状況。着陸体勢に入ったところで、大丈夫かと聞かれた南風は操縦桿を握りながら思わず首を振ってしまった。
「途中で投げ出すなんて、パイロット失格だ」
「誰でも初めは怖いものだ。無茶をするよりよっぽどいい」
だが、南風の首は垂れたままだ。
「俺の初めての時なんて──」風信が胸ポケットにペンをしまう。「車輪が出なかった」
noa/ノア
DOODLE[風信&南風、慕情&扶揺✈️] 1122がワンワンニャアニャアの日ということで書いた、南陽航空の二人と玄真航空の二人が偶発的ダブルデート(?)でアフタヌーンティーする話です。犬も歩けば猫に出会う「俺……もう、だめです……」
「が、頑張れ、南風……! おい、見ろ! 助かったぞ!」
有能なパイロット二人とは思えぬ足取りで、風信と南風がよろよろと這うように歩いているのは、寒風吹きすさぶ山奥の雪原――ではなく、古めかしい石造りの建物が立ち並ぶ石畳の通りだ。――寒風は吹きすさんでいるが。
古い旧市街は、よそ者を嘲笑うかのように曲がりくねった道と複雑な交差路が張り巡らされている。夜のフライトまで時間があった二人は、この見知らぬ街で買い物にでも行こうと軽い気持ちで繰り出した。だが、朝から歩き続けているのに、目指していた店は一向に見つからない。中心部を外れると、何か食べる店すら見つからず、もうとうにランチの時間も過ぎている。
3294「が、頑張れ、南風……! おい、見ろ! 助かったぞ!」
有能なパイロット二人とは思えぬ足取りで、風信と南風がよろよろと這うように歩いているのは、寒風吹きすさぶ山奥の雪原――ではなく、古めかしい石造りの建物が立ち並ぶ石畳の通りだ。――寒風は吹きすさんでいるが。
古い旧市街は、よそ者を嘲笑うかのように曲がりくねった道と複雑な交差路が張り巡らされている。夜のフライトまで時間があった二人は、この見知らぬ街で買い物にでも行こうと軽い気持ちで繰り出した。だが、朝から歩き続けているのに、目指していた店は一向に見つからない。中心部を外れると、何か食べる店すら見つからず、もうとうにランチの時間も過ぎている。
awaawaburo
DOODLE⛪😈ちゃんまとめ。ハロウィンネタとポッキーの日ネタとかサンタコスとか。⛪南風がミニスカサンタ着させられてるので注意。お着替え覗きネタでちょっぴり肌色あります。nsfwかも。
あと6~8枚目は続いてます。なんちゃって漫画。気の早いクリスマスネタ?かもしれない。 12
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈️]いい…ぱいの日と聞いたので、パイロット風信&南風が🍎パイを食べるだけの現代AU。……あ、そのパイじゃない?
とりあえず、ぱいがいっぱい出てきます。
ぱいがいっぱい それにしても、キツいフライトだった。
降り注ぐシャワーの湯を浴びながら、風信はため息をついた。
数時間のフライトなのに、予想外の天候変化に乱気流に捕まること二回。ご丁寧に着陸間際にバードストライクまで。
だが、それほど機体も揺らさず、事故にもならず、安全にフライトをこなした自分を褒めたい。安全牌を適切に選んで無難に平穏なフライトをこなすのがどんなに難しいことか。だが、何事もなければ、何も起きなかったことを感謝されたりはしないのだ。事故を切り抜ければ英雄扱いされるのに、なんていう考えが頭をよぎることがあるなんて絶対に言えないが。
降りる乗客達は感謝こそしないが、忌々しげにちらりと見ていく乗客はいる。乱気流は俺のせいじゃない、と言いたい心をぐっと堪えるほかない。
2269降り注ぐシャワーの湯を浴びながら、風信はため息をついた。
数時間のフライトなのに、予想外の天候変化に乱気流に捕まること二回。ご丁寧に着陸間際にバードストライクまで。
だが、それほど機体も揺らさず、事故にもならず、安全にフライトをこなした自分を褒めたい。安全牌を適切に選んで無難に平穏なフライトをこなすのがどんなに難しいことか。だが、何事もなければ、何も起きなかったことを感謝されたりはしないのだ。事故を切り抜ければ英雄扱いされるのに、なんていう考えが頭をよぎることがあるなんて絶対に言えないが。
降りる乗客達は感謝こそしないが、忌々しげにちらりと見ていく乗客はいる。乱気流は俺のせいじゃない、と言いたい心をぐっと堪えるほかない。
C__MAKIw
DONE▎𝗖𝗼𝗖 𝟲𝘁𝗵彼方からの君に捧ぐ
⚀ 𝗛𝗢𝟯 - 白南風 唯愛( しらはえ いちか )
⚁ 𝗜𝗮 𝗰𝗵𝗮𝗿𝗮
https://iachara.com/view/9804933
⚂⚃⚄⚅ ➤➤
noa/ノア
DONE[風信&南風] 南風の傷の手当をしながら話をする風信と南風。(カプなし)具体的な未邦訳ネタバレはないですが、過去編に思いを馳せながら書いてます。
風信と南風「待て、南風」
報告を済ませて部屋を出て行こうとしていた南風の背が、風信の声にぎくりと固まる。
「腕をどうした」
「いえ、何も……たいしたことじゃありません」
南風は振り返りながら腕にさっと手をやった。
南風の左側の二の腕、ちょうど中衣の短い袖に隠れるあたりだったが、机の前に座っていた風信の位置からはそこの衣が裂け血が滲んでいるのが見えた。
「座りなさい」
風信が言うと南風は眉間に皺を寄せ、小さく首を振った。
「大丈夫です。医官にでもみてもらいますので」
「たいしたことないんじゃなかったのか?」
風信が小さく笑うと、南風は眉間の皺をさらに深くしながらも、のろのろと戻ってきて座った。
「あの、本当に大丈夫ですから」
3149報告を済ませて部屋を出て行こうとしていた南風の背が、風信の声にぎくりと固まる。
「腕をどうした」
「いえ、何も……たいしたことじゃありません」
南風は振り返りながら腕にさっと手をやった。
南風の左側の二の腕、ちょうど中衣の短い袖に隠れるあたりだったが、机の前に座っていた風信の位置からはそこの衣が裂け血が滲んでいるのが見えた。
「座りなさい」
風信が言うと南風は眉間に皺を寄せ、小さく首を振った。
「大丈夫です。医官にでもみてもらいますので」
「たいしたことないんじゃなかったのか?」
風信が小さく笑うと、南風は眉間の皺をさらに深くしながらも、のろのろと戻ってきて座った。
「あの、本当に大丈夫ですから」