zeppei27
DONEマーカス、君とはもっといろいろ話ができると思っていたのに!横浜貴賓館関係メンバーでワイワイしたい!マーカスのお悩み相談会に、刀が伊賀七とサトウと取り組む話です。諭吉は最後に登場します。>前作:影遊び
https://poipiku.com/271957/10694953.html
>まとめ
https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
ありふれた椿事 世界は広い。日々の生活に追われていると、目先の環境しか考えられないものだが、その目先をどんどん遠くに伸ばしてゆくとやがては海を出て、そうして別の国にとたどり着くのだから面白い。自分は日本のどこか、ではなく世界のどこか、に暮らしているのだと唐突に思い当たって驚かずにはいられない。隠し刀も、福沢諭吉に出会うまでは自分の住む陸地のことを考えるので精一杯だった。だからこそ、自分の片割れを見つけることができなかったとも言える。
理屈はすんなりと飲み込めた。さりとて日常生活の中で異国に想いを馳せることはまだまだ少ないのが世情で、時折異国のものを見かけ、異人を目にして、ああ世界は広いと想起される程度のことである。ある意味自分よりも、尊王攘夷を唱える志士たちの方が世界を実感していると言えよう。忌み嫌う人間の方が高い意識を抱いているというのは皮肉な話だった。
5880理屈はすんなりと飲み込めた。さりとて日常生活の中で異国に想いを馳せることはまだまだ少ないのが世情で、時折異国のものを見かけ、異人を目にして、ああ世界は広いと想起される程度のことである。ある意味自分よりも、尊王攘夷を唱える志士たちの方が世界を実感していると言えよう。忌み嫌う人間の方が高い意識を抱いているというのは皮肉な話だった。
Do not Repost・東龍
TRAININGお題【けもみみ】で、オージュ先生の好感度が爆上がりするだけのモン出来た。※画像版やイラスト付→https://galleria.emotionflow.com/s/45784/710525.html
その男の周囲だけ、空気がどうも淀んでいる気がする。
カラフルな子供服売り場の前で、フードを深くかぶった黒いローブの長身の男が、真顔でプリチーな商品を吟味している。
それ自体は何も問題はないはずなのだが、周囲のカップルや子連れの母親らは、その不気味な男を気味悪がって距離をとっていた。
男はその冷たい目線を特に気にせず、可愛らしい犬猫のプリチーな服やグッズを手にとって眺めている。コップに描かれた、下手くそなユル可愛い犬猫のイラストを真顔で凝視しており、その鋭い眼に射抜かれ続けているユルい犬猫がだんだん可哀想に見えてくる。
オージュ・ウォゲは、これまでの人生の中でいわゆる『可愛いもの』というものに、さほど興味がなかった。むしろ、真逆のものである『怖いもの』の方を好んで見たり、選んだり、買ったりしてきた。
2433カラフルな子供服売り場の前で、フードを深くかぶった黒いローブの長身の男が、真顔でプリチーな商品を吟味している。
それ自体は何も問題はないはずなのだが、周囲のカップルや子連れの母親らは、その不気味な男を気味悪がって距離をとっていた。
男はその冷たい目線を特に気にせず、可愛らしい犬猫のプリチーな服やグッズを手にとって眺めている。コップに描かれた、下手くそなユル可愛い犬猫のイラストを真顔で凝視しており、その鋭い眼に射抜かれ続けているユルい犬猫がだんだん可哀想に見えてくる。
オージュ・ウォゲは、これまでの人生の中でいわゆる『可愛いもの』というものに、さほど興味がなかった。むしろ、真逆のものである『怖いもの』の方を好んで見たり、選んだり、買ったりしてきた。
serize7b2
DONE⚠️BL/鳴龍61巻act.2のこっそりお見舞いで🍥🐉妄想。りえ目線です。初🍥🐉SS。
全巻読破してから文章書こうと思ってましたが、60巻台入ったので読んだ範囲で書きたいネタをつい書いちゃいました。🍥🐉超萌えますね…! 4
serize7b2
DONE⚠️BL/アンセフィ若ジールのプレイアブル化・原作17周年記念です。大人になったことを実感する二人☕️
エピ2はエピ1の1992年から一年経っていない頃とふぁみ通インタビューに載っていたので、2000年までの付き合いとしては7〜8年くらい?この後別れる運命ではありますが…😢 7
zeppei27
DONE!上げ直し版です!いつかは書きたいけれども迷っていた片割れのお話です。わかりそうでわからず、相手はすっかり自分を知っているというのは、片割れならばありそうな話だと思いながら書いていました。名前はお好みでご想像ください。
>まとめ
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影遊び 江戸の街を賑わせるのは江戸八百八町といった都市の大きさは言うまでもなく、それを支える大小様々な店である。中でも屋台は昼と夜とでガラリと看板を変えてふらりと現れるものだから面白い。大概の屋台は流しが多く、これまた一期一会であると言うのが時に話題を呼ぶ。普段はあまり足を向けることのない人間でも、自然誘われるものが何某かあるというもので、福沢諭吉もまた、藩邸でぶらぶら時間を潰す朋輩から耳寄りな話を聞いて心惹かれていた。
「鍋焼きうどん、ですか。少し季節が早い気もしますね」
「夜にはちょうど良いってもんでさ。あれさ、それも味付けが上方仕込みでさっぱりとしてるんだな。具も天ぷらじゃなしに狐揚げやら鶏肉が入っててねえ。食べ出があっていいよ。何より、ここから近いってのも便利だ」
8484「鍋焼きうどん、ですか。少し季節が早い気もしますね」
「夜にはちょうど良いってもんでさ。あれさ、それも味付けが上方仕込みでさっぱりとしてるんだな。具も天ぷらじゃなしに狐揚げやら鶏肉が入っててねえ。食べ出があっていいよ。何より、ここから近いってのも便利だ」
てんていのねこ
MOURNINGDX3rdパロディのレイチュリ。🦚ジャーム堕ち(=キャラロスト)時空のお話。
人ならざる化物に堕ちてもずっと一緒の二人がいい。
「“祝福の子”カカワーシャ、君に誓おう。もし僕達のどちらかでも人間として終わりを迎えた時。互いを食い合い、果てよう。」
「ははっ、それって大損失なんじゃない?」
「君が人間でなくなれば、僕も日常への寄る辺を失いジャームとなる。その後の損害を考えれば些細なことだ。」
「教授…それって…。」
「君を愛している。君のいない日常に戻れない程に。」
「あはは…僕もだよ、ベリタス。君のことを絶対手放したくない。あっ、でも君を絶望させた世界には復讐したくなるかも。」
あの時、そんな熱烈な告白をされたっケ。
だから、僕タチは今。
「あははははははっ!ムダだよ!君の策謀も、運も!すべて僕タチが喰らい尽くした!君タチが望んだ通りにネ!」
901「ははっ、それって大損失なんじゃない?」
「君が人間でなくなれば、僕も日常への寄る辺を失いジャームとなる。その後の損害を考えれば些細なことだ。」
「教授…それって…。」
「君を愛している。君のいない日常に戻れない程に。」
「あはは…僕もだよ、ベリタス。君のことを絶対手放したくない。あっ、でも君を絶望させた世界には復讐したくなるかも。」
あの時、そんな熱烈な告白をされたっケ。
だから、僕タチは今。
「あははははははっ!ムダだよ!君の策謀も、運も!すべて僕タチが喰らい尽くした!君タチが望んだ通りにネ!」
zeppei27
DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。リクエストでいただいた「月見」をテーマに、月に魅入られ月を楽しむ、二人のロマンチックなお話です。>前作:『餅は焼いても揚げても良い』
https://poipiku.com/271957/10615331.html
>まとめ
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月を食む 人の心は変幻自在で移ろいやすく、今日花の可憐さに目を細めたらば翌日は懐の寂しさを嘆き、はたまた子の成長に目を見張る。世間そのものが変化に富んでいる中で、その一つ一つに感応しているとも言えるだろう。季節の移ろいに、事実以上の想いを見出すに至った隠し刀もまた、そうした俗世の眼差しを解するようになっていた。なべてそれは情人の福沢諭吉や、この歳になってようやく得た友人諸氏のお陰である。『人』の心は、人が知っている。
故に自分もようやっと『人』になったものだと心密かに達成感を覚えるなどしていたのだが、実はまだまだであったらしい。横浜の写真館に、依頼された写真を届けついでに馴染みの飯塚伊賀七を訪ねた隠し刀は、真っ黒な紙を前にうんうん唸る友人の姿に首を傾げた。
5879故に自分もようやっと『人』になったものだと心密かに達成感を覚えるなどしていたのだが、実はまだまだであったらしい。横浜の写真館に、依頼された写真を届けついでに馴染みの飯塚伊賀七を訪ねた隠し刀は、真っ黒な紙を前にうんうん唸る友人の姿に首を傾げた。
takaru
SPOILERきみさんへ捧げた🐔流花と人間流花がひょんなことから入れ替わってしまう小話です。🐔流花のセリフは『』
人間流花のセリフは「」
好き勝手に書いたのでそれでも大丈夫な方はよろしくお願いします。
パスワードは私ときみさんのサークル名
※ヒント合同誌で出した🐯のページに書いてます。 9147
zeppei27
DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。勉強のご褒美に、揚げ餅を食べながら海を見るデートを楽しむ二人のお話です。美味しい揚げ餅が食べたい!>前作:『有意義な休日』
https://poipiku.com/271957/10591789.html
>まとめ
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餅は焼いても揚げても良い ぼり、ぼり、ぼりぼり、ざ、ざっ、がりん、ざく、ざく。辺りが静かなためか、ひどく大きく響く音に、福沢諭吉は悩ましい表情を浮かべた。隠し刀との勉強会も大詰めを迎え、早く切り上げて少し休もうかと外に出た先に、煎餅屋の屋台が待ち構えていたのが運の尽きである。膝上に揚げ餅の包、傍らに麦酒。見渡す限りの青い海。ちょうど夕陽が傾きかけた頃で、情人との雰囲気作りは完璧なはずだった。悔しさを滲ませて、しばし過去を振り返るとしよう。
横浜貴賓館を出るなり、感覚の優れた隠し刀はすぐさま異変に気が付いた。否、彼でなくとも誰でもわかっただろう。
「諭吉、あの香ばしい匂いがするものを食べても良いか?」
「揚げ餅ですね。ええ、食べましょう。僕も久々です」
2511横浜貴賓館を出るなり、感覚の優れた隠し刀はすぐさま異変に気が付いた。否、彼でなくとも誰でもわかっただろう。
「諭吉、あの香ばしい匂いがするものを食べても良いか?」
「揚げ餅ですね。ええ、食べましょう。僕も久々です」
byakugun26
REHABILIリハビリを兼ねて久しぶりにお話を書きました。これでも留文です。
ちゃんとこの後、文次郎が頑張って襲い受けします
罠「――おい、文次郎!」
い組の部屋の扉を勢いよく開け放ち、否応なしに部屋へと入ってきた男を見やれば、その男がどれほど怒り狂っているかなど、仙蔵は嫌でも把握した。
そこには用具委員会委員長の男が眉間に皺を寄せ、吊り上がった三白眼をより一層鋭くさせながら同室を睨んでいる。
「正門付近の塀が破損していた! お前が壊したんだろう!」
その言葉を聞いてしまえば、突然現れた男が何を怒っているのか、仙蔵は容易に想像がついてしまう。
文次郎は、うまくいかないことがあれば所構わず頭突きをする男だ。その光景を仙蔵は何度見てきたか知らない。先程行われた授業で実力を発揮できなかった文次郎が、己の不甲斐なさに苛立って悪癖なそれを披露してもおかしくはない。よくあることだと話を片付けてしまいたいところだが、用具委員会からしたらそうはいかないのだろう。当の本人の胸倉を掴んでは、目を爛々とさせている。
1922い組の部屋の扉を勢いよく開け放ち、否応なしに部屋へと入ってきた男を見やれば、その男がどれほど怒り狂っているかなど、仙蔵は嫌でも把握した。
そこには用具委員会委員長の男が眉間に皺を寄せ、吊り上がった三白眼をより一層鋭くさせながら同室を睨んでいる。
「正門付近の塀が破損していた! お前が壊したんだろう!」
その言葉を聞いてしまえば、突然現れた男が何を怒っているのか、仙蔵は容易に想像がついてしまう。
文次郎は、うまくいかないことがあれば所構わず頭突きをする男だ。その光景を仙蔵は何度見てきたか知らない。先程行われた授業で実力を発揮できなかった文次郎が、己の不甲斐なさに苛立って悪癖なそれを披露してもおかしくはない。よくあることだと話を片付けてしまいたいところだが、用具委員会からしたらそうはいかないのだろう。当の本人の胸倉を掴んでは、目を爛々とさせている。
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DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。仕事人間の隠し刀を心配したサトウが、権蔵も交えて競馬を観に行くお話です。馬は良い……諭吉は最後に出てきます。>前作:『君は可愛い』
https://poipiku.com/271957/10561821.html
>まとめ
https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
有意義な休日 あらゆる時間には意味がある。目的があればそれに向かって寸暇を惜しんで努力しなければならないし、生活するためには衣食住を事足りなさせなければならない。他に大切なものができれば、そちらにあらゆるものを惜しみなく注ぐだろう。やるか、やらないかという選択肢はなく、ただやることだけが永遠に続いてゆく。公私の境目などあったものではない。全てが公であり私だった。道具として育てられてきた隠し刀にとって、この『生き方』はごく当たり前のものだが、どうやら世間では少しばかり勝手が違うらしい。
じりり、じりり、と両腕に力をこめながら薬研を均等に動かす。前へ、後ろへ。無心にこなせる作業なので、慎重を要するとはいえ思考を他に使える点で好ましい。じー、じっ、ざりりという音が長屋に充満するのも時間を刻むようで耳心地が良い。一個できた分を油紙に包んで軽く捻る。材料を補充し、薬研に手をかけたところで道具よりも先にしゃがれ声が割入った。縁側で猫と遊んでいる権蔵だろう。
11217じりり、じりり、と両腕に力をこめながら薬研を均等に動かす。前へ、後ろへ。無心にこなせる作業なので、慎重を要するとはいえ思考を他に使える点で好ましい。じー、じっ、ざりりという音が長屋に充満するのも時間を刻むようで耳心地が良い。一個できた分を油紙に包んで軽く捻る。材料を補充し、薬研に手をかけたところで道具よりも先にしゃがれ声が割入った。縁側で猫と遊んでいる権蔵だろう。
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DONEココデカツでリクエスト頂いたSSです。全て頭文字を左から右に読めるようにしています。ありがとうございました!一:先生×プロヒの出勝で手っくす
二:雄i英初期の出勝で「あつい」
三:「好きって言うな」で出勝
四:二人でご飯を作る出勝
五:仕事から帰ったらリビングで寝落ちていた出くんとそれに対する勝ちゃんの反応で出勝
六:ふとした瞬間に脳裏によぎる緑色の閃光にイラつく勝ちゃんで悲しみを覚えるの出勝 6
sgrkn9188
INFO小説「一葉の人〈16〉烏羽色の」 /mtsk鬼の居ぬ間に。二郎ブチ切れ必至のイチャイチャ回
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22761706
てんていのねこ
DOODLEいつか書いたサファイアif時空の🛁石心には各々心に埋めることの出来ない穴があると言っていたこと、よく似ていると言われている某🌱🏛の要素が尽く対であることを踏まえて「存命ではあるが不仲な家族」をサファイアの心の穴と設定したモノローグ。
最後にちょっと禍々しめのレイチュリ。 1188
りんごさん
DOODLE原作軸依存性父は優秀な医者だった。
医学に対して常に誠実であり、いつまでも勤勉で、最期の時まで医療に心を尽くす人格者だった。病や怪我でうちの病院をたずねる者は皆、父を慕っていたように思う。
父は、毎日のように医療に関する知識や心構えをローに説いてくれた。その頃のローはまだ、両親の病院を継ぐものだと信じて疑わなかったから、父の話を一言一句懸命に聞いていた。
「煙草は百害あって一理なし」
父はよく、そう口にしていた。
喫煙は心配機能を低下させ、肺がんのリスクを高める。その上歯に着色汚れがついて外見にも悪影響がある。それなのに、依存性が高くやめられない。正しく百害あって一理なしなのだ。
「じゃあ、なんで大人は煙草を吸うの?」
2308医学に対して常に誠実であり、いつまでも勤勉で、最期の時まで医療に心を尽くす人格者だった。病や怪我でうちの病院をたずねる者は皆、父を慕っていたように思う。
父は、毎日のように医療に関する知識や心構えをローに説いてくれた。その頃のローはまだ、両親の病院を継ぐものだと信じて疑わなかったから、父の話を一言一句懸命に聞いていた。
「煙草は百害あって一理なし」
父はよく、そう口にしていた。
喫煙は心配機能を低下させ、肺がんのリスクを高める。その上歯に着色汚れがついて外見にも悪影響がある。それなのに、依存性が高くやめられない。正しく百害あって一理なしなのだ。
「じゃあ、なんで大人は煙草を吸うの?」
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DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。お互いがお互いを可愛いと思う二人の話。時系列の都合で初冬で申し訳ない……!『可愛い』は宇宙のように意味が広い。敢えて使ってなかった分だけ詰め込みました。可愛いよ!>前作:『痕』
https://poipiku.com/271957/10530624.html
>まとめ
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君は可愛い 箸が転んでも面白いという年齢があるらしい。確かに若い子女が揃いも揃って他愛もないことに喜び、泣くほどに笑っている風が折々に見受けられる。些細な感情の起伏が激しく、ちょっとしたことでも熱狂してしまうのだろう。故に、微細な世の変化にも敏感で、物の善し悪しが過剰に受け止められるのかもしれなかった。例えば、このようなやり取りはいつどこでも発生しているだろう。
「可愛い!」
「あ、本当だ可愛い!ねね、今度りっちゃんとまた来ようよ。きっとこの文箱、好きだと思うんだ」
「あの子、毬の絵が描いてあるとなんでも好きだよね」
「そうかも?ふふ、これって西洋の毬かなあ」
「どうだろう?でも、可愛いから何でもいいかな」
きゃらきゃらという陽気な笑い声と他愛もない会話を耳の端で捕らえ、隠し刀は会話の中心に目を向けた。どうやら小間物屋が新作の文箱を仕入れたらしい。長屋からも近いのでちょくちょく品揃えを覗くのだが、他の店とは異なり西洋風の柄を取り入れており、野心的で大胆な店だ。横浜でもちょっとした名店となりつつある。
6677「可愛い!」
「あ、本当だ可愛い!ねね、今度りっちゃんとまた来ようよ。きっとこの文箱、好きだと思うんだ」
「あの子、毬の絵が描いてあるとなんでも好きだよね」
「そうかも?ふふ、これって西洋の毬かなあ」
「どうだろう?でも、可愛いから何でもいいかな」
きゃらきゃらという陽気な笑い声と他愛もない会話を耳の端で捕らえ、隠し刀は会話の中心に目を向けた。どうやら小間物屋が新作の文箱を仕入れたらしい。長屋からも近いのでちょくちょく品揃えを覗くのだが、他の店とは異なり西洋風の柄を取り入れており、野心的で大胆な店だ。横浜でもちょっとした名店となりつつある。
キツキトウ
DONE2024/8/8Wisteria:零れ話(6)
最初は民俗学風味のお話と、本編の零れ話を幾つか。
なんかこの(https://poipiku.com/34659/10560858.html)へびぬいの感じ見ていると、この零れ話のぬい「ここはわれのおるばしょ」(どんっ)って感じの言葉が聞こえてきそうでちょっと楽しい。
Wisteria:零れ話(6)●「Wisteria:零れ話」について。
本編閑話タイトル其々のおまけのような話、補足や本編その後、とても短い話・隙間話や納めきれなかったお話達。時系列は都度変わります。大体本編と同じ様にいちゃついてるだけの他愛のない話。
以下は本編と同じ注意書き。
○「Wisteria」に含まれるもの:創作BL・異類婚姻譚・人外×人・R-18・異種姦・ファンタジー・なんでも許せる人向け
異種姦を含む人外×人のBL作品。
世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
○R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
29011本編閑話タイトル其々のおまけのような話、補足や本編その後、とても短い話・隙間話や納めきれなかったお話達。時系列は都度変わります。大体本編と同じ様にいちゃついてるだけの他愛のない話。
以下は本編と同じ注意書き。
○「Wisteria」に含まれるもの:創作BL・異類婚姻譚・人外×人・R-18・異種姦・ファンタジー・なんでも許せる人向け
異種姦を含む人外×人のBL作品。
世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
○R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
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DONE完全単品・読切の主福で、隠し刀の恋愛相談を受けるうちに恋に落ちる諭吉の話です。ワンドロに参加できないから……いつもの二人は時系列が合わなくて……ここにしか打ち上げられないものを書いてみました。ミイラ取りがミイラになる話が好きです。雨天決行 ああ、それは恋という奴だ。人のありように一過言ある、悪く言えば斜に構えた福沢諭吉は、流暢に語る男の横顔を呆然と眺めた。勝海舟の屋敷に我が物顔で上がり込み、職務に励む自分を堂々と邪魔する彼こそは、隠し刀。名無しの権兵衛にして風来坊、得体のしれない人でなしである。余りにも傍若無人が堂に入っているため、家主含めて誰も咎めることもない。人の姿をした野良猫のような存在とも言える。
その猫は長らく悩んでいることがあるらしい。竹で割ったように人と人の情という面倒な綾を断ち切る彼にしては珍しく、さっさと終わらしにしないでダマになるままで今日もうだうだ意味のないことを垂れ流している。
「その人を見るたびに胸が苦しくなって、話しにくくなるんだよ。本当はたくさん話しかけたいんだ。なのに、どうしてなんだろうね?喋ってもうまい話もできなくて……まあ、諭吉も知っている通り、俺はつまらない男だから、大した話は元々できないんだけれどな」
9147その猫は長らく悩んでいることがあるらしい。竹で割ったように人と人の情という面倒な綾を断ち切る彼にしては珍しく、さっさと終わらしにしないでダマになるままで今日もうだうだ意味のないことを垂れ流している。
「その人を見るたびに胸が苦しくなって、話しにくくなるんだよ。本当はたくさん話しかけたいんだ。なのに、どうしてなんだろうね?喋ってもうまい話もできなくて……まあ、諭吉も知っている通り、俺はつまらない男だから、大した話は元々できないんだけれどな」
zeppei27
DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。隠し刀の歯を検診する諭吉のお話。ひょっとすると私の性癖とやらは歯なのでは……?何か別の扉を開きかけたので閉じました。>前作:『地獄極楽、紙一重』https://poipiku.com/271957/10506541.html
>まとめ:https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
痕 歯は面白い。歯は生まれついてのものだけれども、小さいながらに人それぞれの人生を背負ってきている。例えば歯並びが悪く、まるでぼろぼろの塀のような歯は、当人も親も面倒を見る習慣がなかったことを示唆するだろう。貧しさ、衛生観念、無関心、長じても周囲が指摘しなかったか、あるいは永劫頓着しない性格か。多少の懸念が抱かれる。すり減り具合は癖を見抜く術であるし、本数の多い少ないは歴戦の証だ。清国では年齢を歯数とも呼ぶのももっともだろう。
さて医学を学んだ立場から、多少歯についても心得がある福沢諭吉にとって、情人である隠し刀の歯はなかなかの上物に思われた。栄養状態がやや危惧されるものの、血で繋がれてきたらしい大きめの歯は揃っているし、右奥がややすり減り気味である点は然程心配するものではない。虫歯はなく、欠けもない。良い状態だ。そして何より気に入っているのは――
3678さて医学を学んだ立場から、多少歯についても心得がある福沢諭吉にとって、情人である隠し刀の歯はなかなかの上物に思われた。栄養状態がやや危惧されるものの、血で繋がれてきたらしい大きめの歯は揃っているし、右奥がややすり減り気味である点は然程心配するものではない。虫歯はなく、欠けもない。良い状態だ。そして何より気に入っているのは――
てんていのねこ
MOURNINGぴくしぶで読んだレイシオサファイアIFに膝打ったので、自分でも書いた。そんなレイチュリ。「ねえ、サファイア。どうして僕の懲罰に賛成したの?」
「君も知っているだろう、アベンチュリン。今のサファイアを発掘し、磨き上げたのは他ならぬダイヤモンドだ。彼の信を裏切るような者をサファイアは許さない。」
「…じゃあ。」
ギャンブラーが徒に笑う。甘えたがりの猫のように。
「もし、ベリタス・レイシオに投票権があって、裁かれるのがカカワーシャだったら、君はどっちに入れていたんだい?」
「答えるまでもない。僕は君を放り出すような真似はしない。助命嘆願のために駆け回り、レディ・ヒスイのポーンショップの客にもなっていただろう。」
「ふふっ。…最高だよ、ダーリン。」
甘えたがりの子猫は鼻梁にキスをする。猫同士でやるような、鼻同士のキスだ。
336「君も知っているだろう、アベンチュリン。今のサファイアを発掘し、磨き上げたのは他ならぬダイヤモンドだ。彼の信を裏切るような者をサファイアは許さない。」
「…じゃあ。」
ギャンブラーが徒に笑う。甘えたがりの猫のように。
「もし、ベリタス・レイシオに投票権があって、裁かれるのがカカワーシャだったら、君はどっちに入れていたんだい?」
「答えるまでもない。僕は君を放り出すような真似はしない。助命嘆願のために駆け回り、レディ・ヒスイのポーンショップの客にもなっていただろう。」
「ふふっ。…最高だよ、ダーリン。」
甘えたがりの子猫は鼻梁にキスをする。猫同士でやるような、鼻同士のキスだ。
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DONE⚠️BL/ヴィンセフィ不思議な巡り合わせで旅する二人。その中でSは母へ複雑な想いを抱くようになる。面影という名の呪縛に苦しむSに対してVは──
雰囲気…シリアス(微暗)、両片想い?
⚠️ヴィンルク前提
web初出…2024年7月26日 7
serize7b2
DONE⚠️BL/ジェネセフィ【あらすじ】全年齢
叫べ!この想い!幼馴染による謎の特訓が今、始まる──!
※一部の誤字はpixiv掲載版で修正します。
雰囲気…微ギャグ
かっこいいG様はいない。
ジェネセフィアンソロジー発行カウントダウン企画で書き下ろしした作品です。
web初出…2024年7月26日 18
zeppei27
DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。権蔵も添えてのマッサージ話。だって自伝で得意って言ってたから……とても健全だよ!>前作:『欲しがりの私たち』(R18)https://poipiku.com/271957/10486617.html
>まとめ https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
地獄極楽、紙一重「何を、しているんですか」
我ながら冷静さを欠いているな、と思いつつも福沢諭吉は低い声を出した。場所は隠し刀の長屋、床に倒れた男をもう一人の男が覆い被さらんとするという珍妙な状況の現場である。もう一つ重要事項を付け加えよう。床に倒れている男は諭吉の情人である隠し刀で、もう一方はごろつきの権蔵だった。
人間二人が物理的に密接となれば即ち関係を持っていると解する、そんな思い込みの激しい性質ではないものの、諭吉が狼狽えてしまったのは、普段からこの二人が子犬のようなじゃれ合いをしているために他ならない。何しろこの横浜では坂本龍馬の次に長い仲であるらしい。関係性とは時間の長さよりももっとこう——いや、やはり駄目だ。何が理由だろうとも気に食わない。
3297我ながら冷静さを欠いているな、と思いつつも福沢諭吉は低い声を出した。場所は隠し刀の長屋、床に倒れた男をもう一人の男が覆い被さらんとするという珍妙な状況の現場である。もう一つ重要事項を付け加えよう。床に倒れている男は諭吉の情人である隠し刀で、もう一方はごろつきの権蔵だった。
人間二人が物理的に密接となれば即ち関係を持っていると解する、そんな思い込みの激しい性質ではないものの、諭吉が狼狽えてしまったのは、普段からこの二人が子犬のようなじゃれ合いをしているために他ならない。何しろこの横浜では坂本龍馬の次に長い仲であるらしい。関係性とは時間の長さよりももっとこう——いや、やはり駄目だ。何が理由だろうとも気に食わない。
zeppei27
DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。伊賀七、サトウも交えて美味しいお茶会をする可愛い小話です。箸休めにどうぞ!>前作:『人でなしの恋』https://poipiku.com/271957/10460632.html
>まとめ https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
女王に捧げる菓子 食とは探訪であり、未知との遭遇でもある。雪深く閉鎖的な里を出奔した隠し刀にとって、片割れを求めての当てずっぽうで必死な旅路は出会いの連続だった。新鮮な海産物、奢侈故滅多に口にすることのなかった甘味、舶来のものなど、数え上げればキリがなく、思い浮かべば共にした出来事が脳裏を過ぎる。自分は食べ物の好き嫌いなどないと思っていたが、存外舌が奢ったと気づいた時に苦笑したものだ。
いつぞや思わずその旨こぼしたところ、傍で煙草を吸っていた福沢諭吉は呆れることなく、むしろ慈しむような眼差しを浮かべたことが思い出される。
「いいじゃありませんか。好悪の感情は個人のものですよ、あなただけのね」
「ああ。中でも諭吉が一等好きだ」
3314いつぞや思わずその旨こぼしたところ、傍で煙草を吸っていた福沢諭吉は呆れることなく、むしろ慈しむような眼差しを浮かべたことが思い出される。
「いいじゃありませんか。好悪の感情は個人のものですよ、あなただけのね」
「ああ。中でも諭吉が一等好きだ」
てんていのねこ
MOURNINGちょちょいと書いたTRPGダブクロパロのレイチュリ。🛁はノイマン/ウロボロス
🦚はモルフェウス/ウロボロス
本質的に得意な能力はあると思うけど、二人とも《無業の影》持ちの万能型だといいな。
「なんだ?ノイマンが複数の武器を扱うのがそんなに珍しいのか?」
その頭脳に森羅万象を収め、言動として高精度に出力できるようになるシンドローム、ノイマン。その能力者であるDr.レイシオならば、二刀流でキュマイラの爪牙を防ぎ、いなすことなど容易いのだろう。
しかし俺が驚愕しているのは、そこではない。
情報が誤っていたのか。それとも偽装されていたのか。昨日の“ヌースの愛子”Dr.レイシオは『射撃武器を扱う』オーヴァードだったはずだ。
では今持っている『二本のブレード』は何なんだ?
「さあ、精算だ。『知識こそは万物の尺となり、真理を探り尽くし、誤謬を根絶する』。」
“ヌースの愛子”の背後で”幸福喰らい”が笑っている。
926その頭脳に森羅万象を収め、言動として高精度に出力できるようになるシンドローム、ノイマン。その能力者であるDr.レイシオならば、二刀流でキュマイラの爪牙を防ぎ、いなすことなど容易いのだろう。
しかし俺が驚愕しているのは、そこではない。
情報が誤っていたのか。それとも偽装されていたのか。昨日の“ヌースの愛子”Dr.レイシオは『射撃武器を扱う』オーヴァードだったはずだ。
では今持っている『二本のブレード』は何なんだ?
「さあ、精算だ。『知識こそは万物の尺となり、真理を探り尽くし、誤謬を根絶する』。」
“ヌースの愛子”の背後で”幸福喰らい”が笑っている。
zeppei27
DONE何となく続いている主福で、単品でも読めます。人斬りの現場を見られて逃げる隠し刀と、相手の本性に触れて悩み、砕いて進む諭吉のお話です。人でなしが人になってゆく、それを元に相手と起こす化学反応は楽しい……!>前作『煙に抱く』https://poipiku.com/271957/10442688.html
>まとめ https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
人でなしの恋 江戸近隣で最も西洋に近い場所と言えば横浜だろう。外国人居留地に住む人々の生活のため、あるいは元より商売のために運ばれてきた文物がこれでもかと店先に並べられている。骨董通りなぞに店を構える日本人にいたっては、片言の英語による異人たちとの値段交渉がすっかり板についていた。
早く自分自身が米国に行きたいと気が逸る福沢諭吉は、横浜貴賓館で異人たちと交流することに加えて、異国の書物からの情報収集に余念がない。今日も長らく待ちわびていた、医学雑誌(そんなものが欧米諸国にはあるのだ)が店に届いたと知らせを受け、弾むような足取りで本町を歩いていた。この辺りは西洋式の建築物が多く、ちょっとした異国旅行のような気分にさせてくれる点も良い。
10343早く自分自身が米国に行きたいと気が逸る福沢諭吉は、横浜貴賓館で異人たちと交流することに加えて、異国の書物からの情報収集に余念がない。今日も長らく待ちわびていた、医学雑誌(そんなものが欧米諸国にはあるのだ)が店に届いたと知らせを受け、弾むような足取りで本町を歩いていた。この辺りは西洋式の建築物が多く、ちょっとした異国旅行のような気分にさせてくれる点も良い。
zeppei27
DONEなんとなく続いている主福で、単品でも読めます。付き合っている二人に、他人の香りによって発生してしまった詰問イベント(?)のお話です。冷静さを徐々に失ったり、悲しさに気づいてメチャクチャになる理性の人は美味しいですね>前作 https://poipiku.com/271957/10398526.html
>まとめ https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
煙に抱く 人が一人で生きることは難しい。社会の中で生きるとなれば尚更だ。口にするものは他人が作り、身に纏うのは他人が作り、他人が作った軒下で雨を凌いで他人が作った道を行く。その向こうにはさらに他人がいて、どこまで行っても人の波は途切れることがない。ごくごく狭い箱の中の荒波を煩わしく思って育った福沢諭吉は、せめてその枠を崩そうとする一人であったが、人垣そのものは変わらぬことを骨の髄まで承知していた。
何しろ、自分という個人より前から人は手を繋いできたのだ。たった一人の人生くらいでどうにかなるものではない。故に、面倒な社会儀礼だとか付き合いだとかは最低限こなしている。気が合う人間と過ごす時間は大歓迎だ。無論大概の人間が自分と同じように過ごしているだろう。だが――
9578何しろ、自分という個人より前から人は手を繋いできたのだ。たった一人の人生くらいでどうにかなるものではない。故に、面倒な社会儀礼だとか付き合いだとかは最低限こなしている。気が合う人間と過ごす時間は大歓迎だ。無論大概の人間が自分と同じように過ごしているだろう。だが――
serize7b2
DONE⚠️BL/ジェネセフィ小説【あらすじ】全年齢
もしも一年会えないとしたら?
珍しい問いをするS。廃墟の故郷でそのことを思い出すGは後悔とともに決心する──
D後Gの後悔。ジェネセフィいちゃラブ度は全然ありません。決別後の取り戻せない過去を悔いる話です。
雰囲気…シリアス 糖度なし
※web初出…2024年7月7日 4
koyakoya_yy
MAIKING真武の同人誌のサンプルになります。後日通販を行いますので、その際はX(Twitter)及びPixivにて告知いたします。子どもの真一郎君の下に武道君がタイムリープしてくる話。ハピエンです。
【真武】ヒーロー、君を守るよ【サンプル】ヒーロー、君を守るよ
履きなれた運動靴で地面を蹴る度、背中のランドセルがカタコトと音を立てる。中に放り込んだ筆箱の中身が暴れているようだったが、真一郎は耳に届く音を気にしてはいなかった。
はっはっ、と息を切らせて神社までの小道を走る。頭上から照り付ける日差しは九月に入って穏やかなものに変わってきていて、背中をぐっしょりと汗で濡らすようなことはなかった。それでも小学校から立ち止まることなく走り続ければ疲れは出てくる。真一郎はようやく神社の前までたどり着いたところで深呼吸した。荒くなっていた息を整え、ふぅぅっと大きく息を吐く。
住宅街の中にある神社は他の場所を知らない真一郎にはよくわからなかったが、大きい部類に入るらしい。真一郎の背の何倍もある鳥居がずんっと入り口に立っていて、そこから奥へと続く石畳の参道も幅が広い。数人なら並んで歩けそうな程だったが、平日の昼過ぎである今の時間に神社の中を歩いている人影はなかった。
19315履きなれた運動靴で地面を蹴る度、背中のランドセルがカタコトと音を立てる。中に放り込んだ筆箱の中身が暴れているようだったが、真一郎は耳に届く音を気にしてはいなかった。
はっはっ、と息を切らせて神社までの小道を走る。頭上から照り付ける日差しは九月に入って穏やかなものに変わってきていて、背中をぐっしょりと汗で濡らすようなことはなかった。それでも小学校から立ち止まることなく走り続ければ疲れは出てくる。真一郎はようやく神社の前までたどり着いたところで深呼吸した。荒くなっていた息を整え、ふぅぅっと大きく息を吐く。
住宅街の中にある神社は他の場所を知らない真一郎にはよくわからなかったが、大きい部類に入るらしい。真一郎の背の何倍もある鳥居がずんっと入り口に立っていて、そこから奥へと続く石畳の参道も幅が広い。数人なら並んで歩けそうな程だったが、平日の昼過ぎである今の時間に神社の中を歩いている人影はなかった。
suz
DONE2024.07.07 Lucky Card! 7 展示※ズユが駆けて抜けてきた過去の戦場捏造まとめ
※ベルギャーの文化・文明・戦術・戦力について本編から読み取れる範囲の独自解釈を含む
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22505956 24
serize7b2
DONE⚠️BL/ジェネセフィ小説【あらすじ】全年齢向け
今年の舞台開幕日は例年と決定的に違うことがある、それは──
この日に毎年祝えなかったから間に合って良かった〜!私の中で6/25は実質ジェネセフィデーです。そして6月といえばジュンブラということで!
※web初出…2024年6月25日 4
serize7b2
DONE⚠️BL/ロイクラ小説【あらすじ】全年齢向け
ク√で、ロくんが父クへ指輪を贈ってしまうロイ→クラ話。
雰囲気…シリアス(微暗)、背徳感
ロイクラ、昔から好きだったんですが初めて作品書きました。そしてこの日に間に合って良かった!以前、公式から指輪が出た時に思い付いたお話です。
※web初出…2024年6月19日 4
serize7b2
DONE⚠️BL/アンセフィ小説【あらすじ】全年齢向け
Aは自身を誰かに執着しない人間だと思っていたが、気が付けばSを誰にも渡したくないと思うようになっていた。左薬指に自分が贈る指輪がされることを願って──
雰囲気…シリアス(not暗) 真面目
愛の三角理論、ジェネセフィは情愛、アンセフィは親密性が高いからその反対にしてみよう!的な発想です。
※web初出…2024年6月2日 4
serize7b2
DONE⚠️BL/ジェネセフィ小説【あらすじ】全年齢向け
船の上、Gは決意する。Sへ想いを伝えようと。──姓がないと寂しそうに語ったおまえに俺の姓を刻んでほしい、そう望んで。
雰囲気…シリアス(not暗) 真面目
愛の三角理論、ジェネセフィは情愛、アンセフィは親密性が高いからその反対にしてみよう!的な発想です。
※web初出…2024年6月2日 5
serize7b2
DONE⚠️BL/アンセフィ小説【あらすじ】全年齢向け
『だって同じものを使ったから』の続きです。後輩のカにセと付き合っていることがバレたアは──
雰囲気……微ギャグ 微甘
おまけ程度で一瞬で終わらせるつもりだったけど、おまけじゃなくなってしまった。(短文と言えば短文なんだけど)
私はあの例の公式の少年期美麗絵で相当脳を狂わされたらしい。
※web初出…2024年5月30日 7
serize7b2
DONE⚠️BL/アンセフィ小説【あらすじ】全年齢向け
「すげぇ良い香りがする!」
後輩のそんな一言から、香りの正体隠しが始まる。「すげぇ良い香り」の正体とは?
雰囲気……微ギャグ
カのアに対する口調は敬語にしてみました。
※web初出…2024年5月29日 5
serize7b2
DONE⚠️BL/ヴィンセフィ小説【あらすじ】全年齢向け
優しいVは決してSには無理をさせない。長い葛藤を乗り越え、恋人同士になったVとS。野営中、隣に座るVから急に肩を抱き寄せられ──
雰囲気……甘 付き合いたての緊張感 少し大人な雰囲気
twitterで頂いたお題「甘らぶヴィンセフィ」を私なりに書いてみました。甘らぶ難しい!でも楽しかった!!
※web初出…2024年5月21日 5
serize7b2
DONE⚠️BL/ジェネセフィ小説【あらすじ】全年齢向け
少年は見知らぬ男とぶつかる。その男は鳶色の長い髪と赤いコートが印象的な大人だった。
雰囲気……切ない シリアス(not暗)
またもフィーバーテンションで移動時間に勢いで。イメージソングとして「はろ〜あげいん、むかしからあるばしょ」し〜し〜主題歌歌手カバー版を聴きながら書きました。
※web初出…2024年5月18日 5
serize7b2
DONE⚠️BL/アンセフィ小説【あらすじ】全年齢向け
Aに叱られることは嫌いじゃない、叱ってくれることが嬉しいSのお話。
雰囲気……甘 いちゃいちゃ?
アンセフィと言い張る。例の動画に歓喜して移動時間に勢いで書きました。原作で説教された時のことを楽しそうに語ってるの良いですよね。文中の「あの人」とはグの兄貴のことです。
※web初出…2024年5月17日 2
zeppei27
DONE企画4本目、加糖さんよりご指名頂いた黒田で、『分け合いっこ』です。豪快さと可愛さの合わせ技、黒田君はいろんなものを何の気なしに分け合ってくれるような気がします。多分他意はないんだ……あるって言って!リクエストありがとうございました!
太陽の共食い 薩摩藩上屋敷は夏真っ盛りだった。縁側をみっしりと埋め、前庭に敷いた筵一面に広がる夏の成果に、黒田清隆は目を疑った。江戸に来てから久しいが、このような異様な光景に出くわすのは初めてである。
「西瓜……だと?」
「その通りだ、黒田」
朋輩たちがわらわらと興味本位で群がる様に呆然としていると、のっそりと大きな影がさした。いついかなる時も沈着冷静な人は誰であろう、大久保利通である。流石に彼ならば事情を知っているに違いない。こちらの困惑を見て取ったのだろう、利通は淡々と続けた。
「篤姫様が、暑気払いにと御下賜されたのだ。京の都から取り寄せたらしい。……一人一つだ!欲張るでないぞ!」
「承知しもした!」
すかさずちょろまかそうとした輩がいたのだろう、利通の一喝ですぐさま場の空気が引き締まる。確かに、薩摩の暑さに比べれば江戸の夏など可愛らしいものだが、暑いには変わりない。西瓜のみずみずしい甘さは極上に感じられるだろう。篤姫も小粋な計らいをしてくれたものだ。
3277「西瓜……だと?」
「その通りだ、黒田」
朋輩たちがわらわらと興味本位で群がる様に呆然としていると、のっそりと大きな影がさした。いついかなる時も沈着冷静な人は誰であろう、大久保利通である。流石に彼ならば事情を知っているに違いない。こちらの困惑を見て取ったのだろう、利通は淡々と続けた。
「篤姫様が、暑気払いにと御下賜されたのだ。京の都から取り寄せたらしい。……一人一つだ!欲張るでないぞ!」
「承知しもした!」
すかさずちょろまかそうとした輩がいたのだろう、利通の一喝ですぐさま場の空気が引き締まる。確かに、薩摩の暑さに比べれば江戸の夏など可愛らしいものだが、暑いには変わりない。西瓜のみずみずしい甘さは極上に感じられるだろう。篤姫も小粋な計らいをしてくれたものだ。