しきざき空に落ちている!と、思わず両手で目を覆いそうになった。
視界いっぱいに広がっている青空は果てなくどんどん膨張しているようだし、ぐんぐん近づいてくる薄雲はあっという間に突き抜けて遥か彼方へ流れてしまう。つま先にギュッと力を入れる。無意味だ。青はちっぽけな自分を覆いつくす。
そのうち、空に向かってこちらが昇っているのだと気がついた。翼が生えたわけでも、体が超巨大化しているわけでもない。何か乗り物のようなものに乗って、猛スピードで上昇している。
あ、エレベーターだ。
急に失った記憶を取り戻したようにすんなり状況を理解して、そうか、これは夢の中か、オレははたと気がついた。
こんな天を貫くような長大なエレベーターは現実世界には存在しないし、けれどまるで毎日利用しているかのような腑に落ちた感覚に見舞われている。そんなの、夢の中以外ありえない。
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