「おい、若頭を運べ」
「はい!」
サングラスのいかつい男に慰められながら、イルマは自室へと向かった。
「オペラ、お前はこっちだ」
「は? お説教ならけっこう……」
「あいつを庇うときに、お前も痛めただろう?」
若頭には聞こえないよう、ひそめられた声に、きゅっと臍を噛む。
「手当てくらいしてやる」
来い、と言われても立ち尽くしていれば、
「なんだ、お前も抱えてほしいのか?」
意地の悪い笑みを向けられ、さっさとその背を追い抜いた。
清潔に整えられた寝台に、上着も脱がず腰を下ろす。
カルエゴは黙って膝をつき、こちらの靴に手をかけた。咄嗟に息を詰めたが、存外、丁寧な手つきで脱がされる。
「腫れているな……いつからだ?」
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