結界が正規の手順で解除されると同時に荒々しく鉄製のドアが開かれそのままの勢いで閉められる。
それだけで揃っていた凛子、絵梨佳、エド、デイルは最後のメンバーであるKKの機嫌が最悪なのを察知した。
今日は依頼人に話を聞くところからで、顧客といえど話が通じないことは度々ある。
一匹狼で排他的で厭世的な昭和の男が今時の感覚の、しかし素直さや柔軟さを併せ持った青年と生死を共有したことで信じられないほど丸くなった。
それでも短気が簡単に治ったりはしない。
絵梨佳が助けを求めるように凛子を見る。エドは素知らぬ振りでデイルはオロオロしている。
黙ってキッチンから玄関に移動したのが件の青年、伊月暁人だった。
「おかえりKK、お仕事お疲れ様」
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