トビがタカを生む 下 静かに雪の振る夜、花雫家の一室では、布団に横たわる清鳳の傍らに、神妙な顔つきの雲雀と夕依の両親、母に抱かれた幼い夕依、そして鷹山と鳶翔がいた。
「……雲雀。」
自分を呼んだ清鳳の手を握って雲雀が言った。
「はい、ここにおりますよ。あなた。」
雲雀は清鳳を見て微笑んだ。清鳳は薄らと開いた目を天井に向けたまま力無く喋った。
「皆を連れて部屋を出てくれ…鳶翔と二人で話がしたい。」
「………分かりました。」
雲雀は鳶翔以外の皆と共に部屋を出た。鳶翔は皆が出ていったのを見てから、清鳳の横に腰を下ろして言った。
「案外早かったな、お前の往生は。お前はあと十年は生きると思ってたよ。……どうせ、鷹山をよろしく頼むとか言いてんだろ。そんなことお前に頼まれなくたってそうするさ。あいつは俺の大事な弟子だからな。」
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