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    おたぬ

    @wtnk_twst

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    おたぬ

    DOODLEバイクで迎えに来るタイプの🍁
    「またね、青柳さん」
    「あぁ、また」

    その日に取っている講義が終わり、友人と別れて私は講義棟の自動ドアを潜り抜ける。携帯で時間を確認すればちょうど彰人もバイトを終えているであろう時刻。これなら彼が先に帰宅しているだろうな、と考えていると、正門の方から歩いてくる女子生徒たちが何やらヒソヒソと話しているのが見えた。幼い頃から英才教育を受け、研ぎ澄まされた私の耳は盗み聞きなどする気がなくとも、彼女らの声を拾い上げてしまう。

    「ねぇ、ヤバくなかった?」
    「ヤバいわ……めっちゃカッコよかった」
    「生徒って感じじゃないし、やっぱ彼女待ちかなぁ……」
    「でしょ……あんなイケメンが話題にならないわけないし」
    「だよねー」

    あー、羨ましい、と私にはあまりわからないが、おそらく女子らしいのであろう話題に花を咲かせて、彼女らは私の横を通り過ぎて行く。話の流れから察するに、正門に大学の生徒ではない男性が来ているようだ。そして、件の男性はイケメンで、様子からして恋人を待っている、と。誰がどこで恋人を待っていようとも私には関係のない話ではあるが、ヒソヒソ話されるほどとなると、もしかして正門には人が集まっているのだろうか。
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