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    浮気

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    DONEワンドロ『浮気』 です。🎈🌟
    不器用な彼とせっかちなオレ「類が浮気してるかもしれないんだ。」
    真面目そうな顔で向かい合う男女の一人はそう言った。寧々はため息を吐き、そんな訳ないでしょ、と吐き捨てる。だが、とオレは話を続けようとするが「もういいから、そういうことなら帰って」と遮られてしまった。彼女はうんざりした顔でグレープフルーツジュースを飲んでいる。
    運が悪かったのかその言葉に目の奥がツンと熱くなる。類だけではなく寧々にも、なんていつもどおりのことを悪く考えてしまう。
    「な、泣かないでってば。……話、聞いてあげるから」
    恥ずかしそうに目をそらした彼女はそう言い、ため息をついたあと「で、類がどうしたの」と聞く体勢を取ってくれた。

     最初に違和感を覚えたのは必ず一緒にフェニランに行くのに断られたこと。彼いわく、委員会が長引きそうだと。緑化委員の植え替え作業がある、と妙に現実味を帯びた嘘を言うものだから当初は信じてしまった。嘘だとわかったのは翌日になっても花壇の花が入れ替わってないことに気づいた時だった。その時横を通り過ぎた類が気まずそうにおはよう、と言ったのだ。気まずそうに。疑わしいな、と彼を見つめるとよよよ、と泣き落としを食らってしまう。疑っていても好きな人のその顔には勝てず、結局なにも言えなかったが。
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