mitaka
DONE開門フェス2開催おめでとうございますー!!!弟子大好きなフィガロとまだ素直になれないファウストが歩み寄るきっかけのお話です。
フィガロがめんどくさかったり、弱気になったりしますが、悲しい話ではありません。
※嵐の谷の様子や師弟時代などなど、捏造満載です。
後日、年齢制限部分の続きとファウスト視点の短編を加えて、支部に掲載したいと思っています。
ブルーモーメントに染まる朝いつからこうしていたのか。
それすらわからなくなるほど、緋色の焔に冒されて、次第に現の感覚を失っていく。
確かなのは、そこにきみがいて、そこに俺がいるということ。
ただそれだけ。
それだけのことが、なぜこんなにも苦しくて、なぜこんなにも幸福なのだろう。
◇◇◇
ひと目見て、ああ今日は一等気分が良いのだ、ということがわかった。薄檸檬の柔らかい空気の色と、可愛いらしい幸福の小花。それを全身に纏っていることが可視化できそうなくらいだ。口元は軽く緩んでいて、心なしか笑みを浮かべているようにも見える。本人は周囲には漏れていないと思っているのかもしれないが、その実、自身の内に正直で、存外顔に出やすいタイプなのだ。何よりも、拒否されず対面で食堂の席に座っていられることが大きな証拠だった。悲しいけれど、普段ならこんなにあっさりと近くに寄ることはできないから。
19536それすらわからなくなるほど、緋色の焔に冒されて、次第に現の感覚を失っていく。
確かなのは、そこにきみがいて、そこに俺がいるということ。
ただそれだけ。
それだけのことが、なぜこんなにも苦しくて、なぜこんなにも幸福なのだろう。
◇◇◇
ひと目見て、ああ今日は一等気分が良いのだ、ということがわかった。薄檸檬の柔らかい空気の色と、可愛いらしい幸福の小花。それを全身に纏っていることが可視化できそうなくらいだ。口元は軽く緩んでいて、心なしか笑みを浮かべているようにも見える。本人は周囲には漏れていないと思っているのかもしれないが、その実、自身の内に正直で、存外顔に出やすいタイプなのだ。何よりも、拒否されず対面で食堂の席に座っていられることが大きな証拠だった。悲しいけれど、普段ならこんなにあっさりと近くに寄ることはできないから。
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DONEフィガファウ風味。出来上がってるような出来上がってないような。フィガの頭の中がラブコメしてます。
キスくらいします
こたえはいち チョコレートがついている。
隣に座ったファウストの、フィガロの前に立つときには比較的下がり気味で、東の国の魔法使いや子供たち、猫などを前にした時には上がっていることもある口の端、口角の右側についた茶色のそれを横目に見ながら、フィガロは手にしたグラスに口を付けた。
薄い唇が縁取る彼の口は、その大きさからどうしてあれだけの音量と芯のある声が出るのかが不思議でならないほどには小さい、と思う。本当は大きいのだろうか、食べるときにはそれほど開かないだけで。
それに、若いころから食事の仕方は綺麗だった。偏見も含むことを承知しつついうならば、大分昔の辺境の村の出身であるにもかかわらず。当時、外見の年齢のままにしか生きていなかったころから。ということは、生まれ育った家でそう躾られたのだろう。テーブルマナーは苦手です、決まりごとがたくさんあって。なんて、フィガロが魔法で用意した料理たちに対して可愛らしく恥じらっていたこともあったけれど、使うカトラリーの種類と順番を一度教えてやればそれ以降、ほとんど 間違うことはなかった。
5736隣に座ったファウストの、フィガロの前に立つときには比較的下がり気味で、東の国の魔法使いや子供たち、猫などを前にした時には上がっていることもある口の端、口角の右側についた茶色のそれを横目に見ながら、フィガロは手にしたグラスに口を付けた。
薄い唇が縁取る彼の口は、その大きさからどうしてあれだけの音量と芯のある声が出るのかが不思議でならないほどには小さい、と思う。本当は大きいのだろうか、食べるときにはそれほど開かないだけで。
それに、若いころから食事の仕方は綺麗だった。偏見も含むことを承知しつついうならば、大分昔の辺境の村の出身であるにもかかわらず。当時、外見の年齢のままにしか生きていなかったころから。ということは、生まれ育った家でそう躾られたのだろう。テーブルマナーは苦手です、決まりごとがたくさんあって。なんて、フィガロが魔法で用意した料理たちに対して可愛らしく恥じらっていたこともあったけれど、使うカトラリーの種類と順番を一度教えてやればそれ以降、ほとんど 間違うことはなかった。
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DONE2023/2/11 フィガファウワンドロライ第19回「巻き毛」「どうせ苦いよ」
※両片思いで身体の関係だけ先に出来上がっているフィガファウ。事後です。
そのばかぎりのぬくもりを ふわりと柔らかなものが鼻をくすぐった。
ゆるやかに浮上していた意識が、その感触によって一気に覚醒する。重たい瞼を押し上げれば、寝ぼけ眼でまだ焦点の合わない視界に、薄群青が見えた。
カーテンのない部屋の窓からは、明るい朝日が差し込んでいる。光に透ける薄群青は、ふだんのそれよりも色合いを明るく見せていた。
その色合いからか、持ち主にただよう厳しくも美しい冬の雰囲気からか、いや後者はファウストの抱く彼への印象ゆえだろうか、一見硬質そうな緩く巻いたその髪は、印象に反してその実、肌に優しく柔らかい。
昔は首の後ろで結いていて立派な巻き毛だったけれど、いまは巻き毛というには短い。癖っ毛なんだよね、と本人がなにやら可愛こぶって主張していたが、巻き毛と何が違うのか分からなかった。
6102ゆるやかに浮上していた意識が、その感触によって一気に覚醒する。重たい瞼を押し上げれば、寝ぼけ眼でまだ焦点の合わない視界に、薄群青が見えた。
カーテンのない部屋の窓からは、明るい朝日が差し込んでいる。光に透ける薄群青は、ふだんのそれよりも色合いを明るく見せていた。
その色合いからか、持ち主にただよう厳しくも美しい冬の雰囲気からか、いや後者はファウストの抱く彼への印象ゆえだろうか、一見硬質そうな緩く巻いたその髪は、印象に反してその実、肌に優しく柔らかい。
昔は首の後ろで結いていて立派な巻き毛だったけれど、いまは巻き毛というには短い。癖っ毛なんだよね、と本人がなにやら可愛こぶって主張していたが、巻き毛と何が違うのか分からなかった。
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DOODLEルチルが出演しているドラマの打ち上げに迎えに行ったフィガロだったけれど、酔い潰れていたファウストをお持ち帰りする話。クリスマスに書いた芸能パロと同じ設定(ルチミチが所属する芸能事務所社長のフィガロ×フィガロに憧れて俳優になったファウスト)で、付き合う前の話です。
【芸能パロ】分からないこと ぐるんぐるん、と回るのは世界なのか自分なのか――。
そもそも地球は絶え間なく回転し続けるし、それに伴って自分も回っている事になるのかもしれない。けれどこんなにも景色が形を変えながら回るものか。馬鹿な事を考えているという自己認識が出来るくらいには理性を残しながら、くったりとテーブルの上で両腕を組み、頬を押しつける。
そんなファウストを特別気にした様子の人はここには居らず、皆似たり寄ったりで馬鹿騒ぎの真っ最中だった。立ち上がって何かを主張している者もいれば、横になってしまっている者もいる。店を貸切にしていて良かったというのは、本日の幹事が明日思う事だ。
無礼講もいい所のこの状況を咎める人間は既にこの場を離れており、このまま朝まで宴が続くのは確定している。打ち上げというのは度合いは違えど毎回羽目を外す者が複数現れるのだ。そして大概ファウストは帰るタイミングを見失う。未成年者達と連れだって出てしまえば良いのだろうが、酒を飲む行為自体は好きなのだ。早朝の撮影が多い現場だったため最近は控える日が続いていたから余計に飲みたい気持ちが強かった。明日も別の現場がある者はマネージャーに引き摺られるようにこの場を去ったが、ファウストは幸いにもオフであった。それならば問題は無いのだから飲んでしまえと今自分の判断でここにいる。
5581そもそも地球は絶え間なく回転し続けるし、それに伴って自分も回っている事になるのかもしれない。けれどこんなにも景色が形を変えながら回るものか。馬鹿な事を考えているという自己認識が出来るくらいには理性を残しながら、くったりとテーブルの上で両腕を組み、頬を押しつける。
そんなファウストを特別気にした様子の人はここには居らず、皆似たり寄ったりで馬鹿騒ぎの真っ最中だった。立ち上がって何かを主張している者もいれば、横になってしまっている者もいる。店を貸切にしていて良かったというのは、本日の幹事が明日思う事だ。
無礼講もいい所のこの状況を咎める人間は既にこの場を離れており、このまま朝まで宴が続くのは確定している。打ち上げというのは度合いは違えど毎回羽目を外す者が複数現れるのだ。そして大概ファウストは帰るタイミングを見失う。未成年者達と連れだって出てしまえば良いのだろうが、酒を飲む行為自体は好きなのだ。早朝の撮影が多い現場だったため最近は控える日が続いていたから余計に飲みたい気持ちが強かった。明日も別の現場がある者はマネージャーに引き摺られるようにこの場を去ったが、ファウストは幸いにもオフであった。それならば問題は無いのだから飲んでしまえと今自分の判断でここにいる。
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DONEフィガファウのつもりで書きはじめたけど、師弟時代のフィガ+ファウですファウスト誕生日おめでとう
たどりついた祝福はたどりついた祝福は
わずかな、かすかな、魔法の気配がした。
それは北の大地で千年を超えて生きている魔法使いである己にとっては、取るに足らないような些細なものであった。けれどそんな些細なものでも設定している領域を越えたものは、否応なく神経に触れてくる。掃除をなまけたゆえに、棚の上から舞落ちた埃に鼻をくすぐられるくらいのささやかさで。
数か月前までのフィガロであったなら、気配があると認識するだけで歯牙にもかけなかったであろう。不意をつかれなければおいそれと敗けることはない。
けれども、そのわずかな気配に対してここまで神経質になってしまうのは、今現在、このフィガロが住まいとしている屋敷にはもう一人住人がいるからであった。
4683わずかな、かすかな、魔法の気配がした。
それは北の大地で千年を超えて生きている魔法使いである己にとっては、取るに足らないような些細なものであった。けれどそんな些細なものでも設定している領域を越えたものは、否応なく神経に触れてくる。掃除をなまけたゆえに、棚の上から舞落ちた埃に鼻をくすぐられるくらいのささやかさで。
数か月前までのフィガロであったなら、気配があると認識するだけで歯牙にもかけなかったであろう。不意をつかれなければおいそれと敗けることはない。
けれども、そのわずかな気配に対してここまで神経質になってしまうのは、今現在、このフィガロが住まいとしている屋敷にはもう一人住人がいるからであった。
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MOURNING革命時代捏造フィガファウです。飲酒の描写があります。少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
無題「気になる?」
「えっ」
予期せぬ問いにファウストは手にしていたボトルを取り落としそうになった。その様子に、口元を緩めたフィガロが軽くグラスを揺らして見せた。
「君も呑んでみる?」
その動作で彼が何を伝えたいのか直ぐに分かった。
ーー気付かれるくらいに見てしまっていたなんて。
フィガロが酒を呑んでいる所を。正確にはお酒を呑んでいるフィガロの姿に見蕩れてしまっていたなんて、とてもじゃないが言えない。熱くなった頬を誤魔化すように慌ててファウストは首を振った。
「っいえ、僕は大丈夫です。……フィガロ様がいつも美味しそうにお酒を呑んでいるので少し気になってしまって」
「そう? …そういえば君ってもう成人してるんだっけ?」
1711「えっ」
予期せぬ問いにファウストは手にしていたボトルを取り落としそうになった。その様子に、口元を緩めたフィガロが軽くグラスを揺らして見せた。
「君も呑んでみる?」
その動作で彼が何を伝えたいのか直ぐに分かった。
ーー気付かれるくらいに見てしまっていたなんて。
フィガロが酒を呑んでいる所を。正確にはお酒を呑んでいるフィガロの姿に見蕩れてしまっていたなんて、とてもじゃないが言えない。熱くなった頬を誤魔化すように慌ててファウストは首を振った。
「っいえ、僕は大丈夫です。……フィガロ様がいつも美味しそうにお酒を呑んでいるので少し気になってしまって」
「そう? …そういえば君ってもう成人してるんだっけ?」
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DOODLE・子役デビュー→正統派俳優→20代後半から何故かアイドル→独立して事務所社長のフィ×フィに憧れて俳優になったのに、何故かアイドルになっていたフィに複雑な思いを抱いていたが正式にお付き合いする事になったファという設定がありますが、本文にあまり関係ありません。推しの子102話を読んだ時、うわーこのネタ書きたいー!ってなりました。
ただクリスマスを理由にしっとりイチャついてるフィガファウです。
【芸能パロ】クリスマスイヴにイチャつくフィガファウ『今日は十二月二十四日、クリスマスイヴだね。ところで皆はイヴって何の意味か知ってる?』
その言葉を聞いたのは何年も前の事なのに、毎年のように思い出すのはどうしてだろう。キラキラと街を彩るイルミネーションのように眩しく感じていた時代。未だファウストが学生だった頃の言葉だ。
受験を控えていたファウストにとってクリスマスなんてものは家族でケーキとチキンを食べる日という意味しか持っていなくて、当然クリスマスイヴなんて言葉そのものに興味も無かった。だからふと飛び込んできたその質問が新鮮で、やたらと記憶に残ってしまったのだろう。
今その質問を記憶のまま自分の指で打ち込み、用意しておいた写真を添え、最後にハッシュタグをいくつか付けて、前もって口裏を合わせた通りの時間に投稿ボタンを押した。
3520その言葉を聞いたのは何年も前の事なのに、毎年のように思い出すのはどうしてだろう。キラキラと街を彩るイルミネーションのように眩しく感じていた時代。未だファウストが学生だった頃の言葉だ。
受験を控えていたファウストにとってクリスマスなんてものは家族でケーキとチキンを食べる日という意味しか持っていなくて、当然クリスマスイヴなんて言葉そのものに興味も無かった。だからふと飛び込んできたその質問が新鮮で、やたらと記憶に残ってしまったのだろう。
今その質問を記憶のまま自分の指で打ち込み、用意しておいた写真を添え、最後にハッシュタグをいくつか付けて、前もって口裏を合わせた通りの時間に投稿ボタンを押した。
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DOODLE・『未完のワインに思いを馳せて』後の話。未読の方は一部ネタバレが含まれます。・ファウストの火傷の跡のある脚について触れます。
ファウストがうっかりシャイロックの機嫌を損ねたため、葡萄踏み体験をしていた事をフィガロにバラされた事により、怒ったフィガロがファウストのズボンを脱がす話。(※付き合ってない)
イベント期間中(9月)から書いていました……。
フィガロがファウストの脚に触れる話 どうしてこんな事になったのか――。若干だが酔いが醒めて来た頭で考えるがまるで答えは出ない。
ただ事実を述べるとすれば、ファウストは自室のベッドの上に座らされていて、目の前には床に膝をついて傅くフィガロがいる。そして恭しくも強引にファウストの裸の足を掴んで離してくれない。
普段なら決して素足に触れさせる事も、床に膝をつく事もさせはしないのに、今この状況の主導権はファウストには無いに等しかった。
優れた陶器を撫でるような手つきで膝から下を撫で下ろしたフィガロの顔を信じられない目で凝視していると、それに気が付いたフィガロは挑発的な上目遣いで見せつけてくる。そして少しだけ普段よりも熱を持った頬を臑に頬ずりをしてから肉厚の舌で自身の唇を舐めた。緊張で乾いてしまった唇を潤す仕草にも見えるが、捕食者の顔で獲物を前に舌舐めずりしているようにも映った。どちらが本当かなんてファウストに分かる筈も無く、ただ少しでもこの男から離れようと後ずさるが、実際どれくらい距離が取れたかなんてたった数センチくらいに違い無い。いや寧ろ……離れた数センチを咎めるようにその数倍は引き戻される。
6776ただ事実を述べるとすれば、ファウストは自室のベッドの上に座らされていて、目の前には床に膝をついて傅くフィガロがいる。そして恭しくも強引にファウストの裸の足を掴んで離してくれない。
普段なら決して素足に触れさせる事も、床に膝をつく事もさせはしないのに、今この状況の主導権はファウストには無いに等しかった。
優れた陶器を撫でるような手つきで膝から下を撫で下ろしたフィガロの顔を信じられない目で凝視していると、それに気が付いたフィガロは挑発的な上目遣いで見せつけてくる。そして少しだけ普段よりも熱を持った頬を臑に頬ずりをしてから肉厚の舌で自身の唇を舐めた。緊張で乾いてしまった唇を潤す仕草にも見えるが、捕食者の顔で獲物を前に舌舐めずりしているようにも映った。どちらが本当かなんてファウストに分かる筈も無く、ただ少しでもこの男から離れようと後ずさるが、実際どれくらい距離が取れたかなんてたった数センチくらいに違い無い。いや寧ろ……離れた数センチを咎めるようにその数倍は引き戻される。
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DOODLEルチル視点で、子どもの頃に体調を崩したミチルを連れて診療所を訪れた時の話。頼れる大人な面を見せたり、時折寂しそうな顔をするフィガロに思う所があるルチル。
……から、魔法舎まで時間がうつります。
出番少ないですが、フィガファウです。らくがき。
ルチルから見たフィガロ先生の話 ひょっこりと扉の隙間から顔を覗かせると、診療所の主であるフィガロ先生は安心させるような笑顔を浮かべて手招きをしてくれた。部屋に入ると音を立てないように慎重にベッドに近付く。するとさっきまで真っ赤な顔をして息を切らしていた弟が安らかな表情をして眠っているのが見えた。ようやくほっと息を吐くと、力が抜けたのかその場でしゃがみ込みそうになった。
「深く眠っているみたいだ。もう心配しなくて大丈夫だよ」
昨日の夜はいつも通りだったのに、朝目が覚めたら額が沸騰したポットのようだったミチルをおぶってフィガロの診療所を訪ねたのはつい先程の事。幼い子どもはしょっちゅう熱を出すとはいえ、ミチルの事となると一抹の不安が過るのだ。もしもの時の事を想像すると心底恐ろしくて手足が震えたというのに、あっという間にフィガロ先生は安心感をくれる。
4115「深く眠っているみたいだ。もう心配しなくて大丈夫だよ」
昨日の夜はいつも通りだったのに、朝目が覚めたら額が沸騰したポットのようだったミチルをおぶってフィガロの診療所を訪ねたのはつい先程の事。幼い子どもはしょっちゅう熱を出すとはいえ、ミチルの事となると一抹の不安が過るのだ。もしもの時の事を想像すると心底恐ろしくて手足が震えたというのに、あっという間にフィガロ先生は安心感をくれる。
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DOODLE昨日のイベストの熱が冷めずに書き殴りました。正しい相手に贈らないと戻ってきてしまう花束を押しつけられたフィガロの話。
カプ未満くらいの絵本のような優しい話を目指しましたが、実際どうかは分かりません。
ネロ、ラスティカ、シャイロックが友情出演します。
押しつけられた花束を持て余すフィガロの話 花束をもらった。
正しくは、中央の国の市場にある花屋で人間の花売りに強引に押しつけられた。
薬の調合に使う材料や包帯を買い足そうと市場を歩いていたら、その花屋のワゴンの前で微かな魔力に反応して目線を向けてしまった。すると見計らったかのように店主が現れて、「これはあなたが持って帰って。気に入ったみたいなの、お代は要らないから」と花束を押しつけてきた。早々に厄介払いがしたかったのだろう。花束にかけられていた魔法は呪いの類いでは無いけれど、商品としては欠陥品だ。
つまりは、正しい人が正しい人に渡さないと元の場所に戻ってきてしまう。そういう面倒な魔法がかけられていた。難しい魔法では無い、条件を満たせば良いのだ。けれど人間には持て余してしまっただろう。どうしてその花束が人間が営む花屋にあったのかも謎だが、自分がその正しい人の片方に選ばれてしまった理由も謎だ。
4940正しくは、中央の国の市場にある花屋で人間の花売りに強引に押しつけられた。
薬の調合に使う材料や包帯を買い足そうと市場を歩いていたら、その花屋のワゴンの前で微かな魔力に反応して目線を向けてしまった。すると見計らったかのように店主が現れて、「これはあなたが持って帰って。気に入ったみたいなの、お代は要らないから」と花束を押しつけてきた。早々に厄介払いがしたかったのだろう。花束にかけられていた魔法は呪いの類いでは無いけれど、商品としては欠陥品だ。
つまりは、正しい人が正しい人に渡さないと元の場所に戻ってきてしまう。そういう面倒な魔法がかけられていた。難しい魔法では無い、条件を満たせば良いのだ。けれど人間には持て余してしまっただろう。どうしてその花束が人間が営む花屋にあったのかも謎だが、自分がその正しい人の片方に選ばれてしまった理由も謎だ。
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DOODLEフィガロと交際しているファウストが投獄されていた頃の夢を見る話。二人の関係は良好です。※事後の描写が大好きなので、うっかり激しめなプレイを想起させる程度に入れました。問題無い方は、yesとお答えください。
ワードパレット『36kinds of time』から「黎明」で書かせて頂きました。
リクエストくださった方、ありがとうございます! 4586
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DOODLEある時から女体化の変身魔法を続けているファウストについて、ヒースクリフ視点で語ってもらいました。妊娠・出産の話です。
※ある年の大いなる厄災の襲来で犠牲者が出ている旨の表記有り。誰が死んだとかは明記しておりませんが、死ネタを含んでいます。苦手な方はお気を付け下さい。
※フィガロのフィの字も出ません。
ヒースクリフによる独白 暫く前からファウスト先生が女体をとっている。
普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
3789普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
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MAIKING師弟時代の二人の、休日について思いを馳せてみました。たまには無邪気に楽しく戯れていたらいいな…という妄想です。まだ遊んでるだけな感じですが、最終的にはキュンとする感じになれ〜〜!と、思っているところです。まだまだ途中です、すいません!
師弟の休日 北の国では珍しい朝だった。
大抵は重く暗い雲に覆われ、雪が常に降っているような天候で、その音が静かであるか猛烈な風と共にあるか、それぐらいの差しかない。しかし今日は夜明けから太陽がずっと顔を見せている。
部屋の窓際からその光景をずっと見つめている彼は、今どんな顔をしているのだろう。興味が湧いたフィガロは、その年若い弟子の背中に問いかける。
「君は初めて見るんじゃない?こんなに晴れているところ」
彼がこちらを振り返り、背中に少し掛かるくらいの、結った癖毛の尾がふわりと揺れる。陽の光に照らされた亜麻色のきらめき。
「ええ。とても綺麗で、つい見入ってしまいました」
そう言って紫の瞳を細めて笑うファウストは、もう世間では青年と言われる年齢ではあるけれど、どこか無邪気な少年っぽさもあって、フィガロの心を和ませた。
6125大抵は重く暗い雲に覆われ、雪が常に降っているような天候で、その音が静かであるか猛烈な風と共にあるか、それぐらいの差しかない。しかし今日は夜明けから太陽がずっと顔を見せている。
部屋の窓際からその光景をずっと見つめている彼は、今どんな顔をしているのだろう。興味が湧いたフィガロは、その年若い弟子の背中に問いかける。
「君は初めて見るんじゃない?こんなに晴れているところ」
彼がこちらを振り返り、背中に少し掛かるくらいの、結った癖毛の尾がふわりと揺れる。陽の光に照らされた亜麻色のきらめき。
「ええ。とても綺麗で、つい見入ってしまいました」
そう言って紫の瞳を細めて笑うファウストは、もう世間では青年と言われる年齢ではあるけれど、どこか無邪気な少年っぽさもあって、フィガロの心を和ませた。
mitaka
DONE10/16開門フェスの展示②でした。ファウストとの距離感に悩むフィガロが、とある夜勢いに任せて手を出してみる話(健全)。
孤独と向き合う、ピュアなふたりの幻想です。
心臓の門を叩くかつて
そこに村があったこと。
そこに人がいたこと。
そこに不思議な力をもつ子どもがいたこと。
いつからか
そこに雪しかなかったこと。
そこに海しかなかったこと。
そこにただひとりしかいなかったこと。
はじまりとおわり、繁栄と衰退、獲得と喪失、誕生と臨終。
人間も魔法使いも隔てなく定められた、この世の基本構造。世界が存在してから現在に至るまで、すべての生きとし生けるものが背負ってきた宿命だ。時間に可逆性はないのだから、遅かれ早かれ誰しも最期を迎える。
それなのに、心というものはその時を無感情で受け入れるようにはできていない。なんと皮肉なシステムの欠陥だろう。他人の死を想い、嘆き、そして自らの終末を恐れ、必死に足掻こうとする。儚く残酷なさだめ。しかし、だからこそ生命は黎明の光のように尊く、時として何よりも美しいのだと人は言う。
7508そこに村があったこと。
そこに人がいたこと。
そこに不思議な力をもつ子どもがいたこと。
いつからか
そこに雪しかなかったこと。
そこに海しかなかったこと。
そこにただひとりしかいなかったこと。
はじまりとおわり、繁栄と衰退、獲得と喪失、誕生と臨終。
人間も魔法使いも隔てなく定められた、この世の基本構造。世界が存在してから現在に至るまで、すべての生きとし生けるものが背負ってきた宿命だ。時間に可逆性はないのだから、遅かれ早かれ誰しも最期を迎える。
それなのに、心というものはその時を無感情で受け入れるようにはできていない。なんと皮肉なシステムの欠陥だろう。他人の死を想い、嘆き、そして自らの終末を恐れ、必死に足掻こうとする。儚く残酷なさだめ。しかし、だからこそ生命は黎明の光のように尊く、時として何よりも美しいのだと人は言う。
mitaka
DONE10/16開門フェスの展示①でした。私立フォルモーント学園秋の大運動会の話。
前半フィガファウ成分薄めです。
※ふたりの過去とキャラ同士の呼称、口調などを捏造しています。
予測不能のビタープリズム 雲ひとつない抜けるような晴天。澄み渡る青色と髪を揺らす爽やかな風が気持ちまで晴れやかにする。天候に恵まれた絶好の日、私立フォルモーント学園では、年に一度の体育祭が執り行われていた。リズムよく駆けていく足取りに合わせて砂煙が巻き起こり、額には青春の結晶ともいうべき汗がきらめく。輝く一瞬を焼き付けるように、皆懸命に声を上げる。
しかし、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。今回の体育祭は「進学校」「不良校」「芸能校」の3校が合併してから初めての開催であったからだ。集まったのは校風の異なった、考え方や性格がバラバラの生徒たち。彼らの組分けは、実行委員たちにとって一番の懸念材料であった。けれど、合併を記念する創立祭がなんとか成功したこともあり、今回もまずはやってみようの精神でランダムに組分けをすることになった。その結果、学年のみならず出身校をごちゃ混ぜにした5組が誕生した。
11246しかし、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。今回の体育祭は「進学校」「不良校」「芸能校」の3校が合併してから初めての開催であったからだ。集まったのは校風の異なった、考え方や性格がバラバラの生徒たち。彼らの組分けは、実行委員たちにとって一番の懸念材料であった。けれど、合併を記念する創立祭がなんとか成功したこともあり、今回もまずはやってみようの精神でランダムに組分けをすることになった。その結果、学年のみならず出身校をごちゃ混ぜにした5組が誕生した。
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PROGRESSこちらのフィガファウの続きです https://poipiku.com/439850/7364118.html修正・加筆版はGALLERIAとぷらいべったーに載せています~
AndL.(2) 二
僕の顔が以前のものに戻ってから数日が経った。
アンドロイドの顔で過ごしたのは僅か一日にも満たない時間だったし、その間に自分の姿を目にすることもなかった。けれど自覚しているよりも自分の肉体や見た目がアンドロイドになったことに僕は緊張していたようで、反射する滑らかな性質のものから目をそらす癖のようなものがいつの間にか染みついていた。
フィガロは僕の顔を手術した後、車いすに僕の体を乗せると、どこかずっと待ち望んでいたことかのように僕をあの室内から連れ出した。僕が眠っていた部屋の隣室は、暗めの茶色のフローリングに白の紙クロスの壁紙を貼ったシックな雰囲気の部屋だった。いわゆる事務デスクや壁掛けのホワイトボード、革張りのソファ、IHのコンロと電気ケトルがあり、会社の一角と言われればすんなりと受け入れられた。(僕はまだ就職活動を始める前だから、あくまでイメージの会社だが。)患者からの贈り物だろうか、手紙や折り紙、押し花の栞が飾ってあるのが愛らしい。
9110僕の顔が以前のものに戻ってから数日が経った。
アンドロイドの顔で過ごしたのは僅か一日にも満たない時間だったし、その間に自分の姿を目にすることもなかった。けれど自覚しているよりも自分の肉体や見た目がアンドロイドになったことに僕は緊張していたようで、反射する滑らかな性質のものから目をそらす癖のようなものがいつの間にか染みついていた。
フィガロは僕の顔を手術した後、車いすに僕の体を乗せると、どこかずっと待ち望んでいたことかのように僕をあの室内から連れ出した。僕が眠っていた部屋の隣室は、暗めの茶色のフローリングに白の紙クロスの壁紙を貼ったシックな雰囲気の部屋だった。いわゆる事務デスクや壁掛けのホワイトボード、革張りのソファ、IHのコンロと電気ケトルがあり、会社の一角と言われればすんなりと受け入れられた。(僕はまだ就職活動を始める前だから、あくまでイメージの会社だが。)患者からの贈り物だろうか、手紙や折り紙、押し花の栞が飾ってあるのが愛らしい。
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DOODLE開発のファとマーケティングのフィのイメージで書きました。あまり接点の多くない彼らが一緒にランチをする話。ワードパレット『36kinds of time』から「12時」で書かせて頂きました。
社会人パロのフィガファウ『12時』
十二時きっかりに、部内の誰もが席を立った。パソコンと長い時間向かい合っていたファウストは長く伸びをして、軽く首を回す。
途中になっている仕事に後ろ髪引かれるが、十二時からの一時間という時間設定の休憩時間は動かせないのだ。渋々重い腰を上げると誰よりも遅くに室内を出た。途端、手首を掴まれてぎょっとする。
「良かった、まだいたんだね。お昼外で取ろうよ、店調べておいたからさ」
まるで出待ちのような事をする男、フィガロ・ガルシアは、同期でも無ければ、部署も異なる。研修や会議で顔を合わせる程度の、全くの他人では無いが友人とは呼べない距離感の人物の筈だ。それなのにどうしてか度々こういう事が起こる。
「あ、お弁当持ってきてたりする?」と確認をされた時に思わず正直に首を横に振ってしまったから、フィガロの提案は承諾したも同然だった。
2654十二時きっかりに、部内の誰もが席を立った。パソコンと長い時間向かい合っていたファウストは長く伸びをして、軽く首を回す。
途中になっている仕事に後ろ髪引かれるが、十二時からの一時間という時間設定の休憩時間は動かせないのだ。渋々重い腰を上げると誰よりも遅くに室内を出た。途端、手首を掴まれてぎょっとする。
「良かった、まだいたんだね。お昼外で取ろうよ、店調べておいたからさ」
まるで出待ちのような事をする男、フィガロ・ガルシアは、同期でも無ければ、部署も異なる。研修や会議で顔を合わせる程度の、全くの他人では無いが友人とは呼べない距離感の人物の筈だ。それなのにどうしてか度々こういう事が起こる。
「あ、お弁当持ってきてたりする?」と確認をされた時に思わず正直に首を横に振ってしまったから、フィガロの提案は承諾したも同然だった。
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DOODLE※400年前のフィガロは髪が長かったという前提で、ベッドの中でファウストから「いつ髪を切ったのか」と訊ねられる話。
※南の国の開拓初期の捏造があります。若干のモブ有り。
え、ここで終わるの? 濡れ場は? って思う方。
私もそう思います。
pixivに上げる時に追記するかもしれないし、しないかもしれない。
タイトルはその時考えます。
フィガファウの官能小説大好き。
セックス後の浅い眠りから覚めたフィガロが、髪にまつわる昔語りをする話。 まどろみが続いていた。
寄せては返す波のようなそれは、思いのほか心地が良い。悪い夢は見なかった。むしろそれとは逆のずっと見ていたいような幸福な夢を見ていた気がする。だが、それ以上の幸せを知ってしまったから、重たい瞼を持ち上げるのもやぶさかではない。結局現実以上の幸せは夢の中には無いのだと教えてくれた存在が、今も自分に触れてくれているのだ。
頭皮には触れず、短い髪の表面を撫ぜるような遠慮がちな触り方に思わず口元を笑みの形に変える。すると鼻を摘ままれた。
「狸寝入りか」
「違うよ、夢から覚めたばかり。まだ夜明け前でしょう、寝られないの?」
「うん。眠気が来なくて、終わってすぐに眠ってしまったあなたを見てた」
5779寄せては返す波のようなそれは、思いのほか心地が良い。悪い夢は見なかった。むしろそれとは逆のずっと見ていたいような幸福な夢を見ていた気がする。だが、それ以上の幸せを知ってしまったから、重たい瞼を持ち上げるのもやぶさかではない。結局現実以上の幸せは夢の中には無いのだと教えてくれた存在が、今も自分に触れてくれているのだ。
頭皮には触れず、短い髪の表面を撫ぜるような遠慮がちな触り方に思わず口元を笑みの形に変える。すると鼻を摘ままれた。
「狸寝入りか」
「違うよ、夢から覚めたばかり。まだ夜明け前でしょう、寝られないの?」
「うん。眠気が来なくて、終わってすぐに眠ってしまったあなたを見てた」
yukisane0804
PROGRESS医者?×アンドロイド?というプチSFチックなパロディのフィガファウ小説です。いつかR-18になるかもしれない。ちょこちょこ加筆して本にできたら良いな。誤字を見つけたら教えてください。9/29 序章が書き終わりました。
AndL.(序) 一
───夢とは何と不思議なものだろう。肉体の五感なんてそっちのけで、温もりや暗さを信じ込ませるのだから。
意識を浮上させ、目を開けるより先にふとそんなことを思った。夢の中では感じなかった冷たさを、自分の背中から感じたからだ。
目覚めのとき、普段わざわざ意識しない哲学的・倫理的な論点が突然思考の中央に躍り出てきて僕の思考を鋭くさせることがある。夢の中で何かの学問のエキスパートになって呪文のように学術を諳んじる夢を時折見るが、その延長のようなものだろうか。聡明な気分を半ば引きずりながら現実へのトンネルを潜り抜けているなら、かえってぼんやりと鈍った思考の寝起きよりも寝惚けていると言えるかもしれない。
16802───夢とは何と不思議なものだろう。肉体の五感なんてそっちのけで、温もりや暗さを信じ込ませるのだから。
意識を浮上させ、目を開けるより先にふとそんなことを思った。夢の中では感じなかった冷たさを、自分の背中から感じたからだ。
目覚めのとき、普段わざわざ意識しない哲学的・倫理的な論点が突然思考の中央に躍り出てきて僕の思考を鋭くさせることがある。夢の中で何かの学問のエキスパートになって呪文のように学術を諳んじる夢を時折見るが、その延長のようなものだろうか。聡明な気分を半ば引きずりながら現実へのトンネルを潜り抜けているなら、かえってぼんやりと鈍った思考の寝起きよりも寝惚けていると言えるかもしれない。
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DOODLE2022.6.19公開の、フォル学時空のフィガファウ。付き合ってる二人で、魔法使いだった頃の夢を見たファウスト。
※ファウスト記憶あり。
フォル学フィガファウ 空を飛ぶ夢を見た。闇色をした箒に座って、空の高い所を飛ぶ夢。見下ろす町並みはまるで西洋の片田舎のような景色で、黄金の麦畑や、鐘の付いた教会のような建物が見える。もっと高く上昇すると海のように雲が広がっていて、そこには自分ともう一人。青灰色の髪が空に溶けて、肩にかけた上着が雲と混ざっている。自分と並んで飛ぶ男はこちらをずっと見つめていて、危ないから前を向けと小言を言うと、それなら君が前を飛べば良いと屁理屈をこねた。男に好かれているという自覚が、僕を素直じゃなくさせるのだと男は気付いているのだろうか。僕は彼に甘えているのだ、何を言っても良いのだというどうしようもない甘え。まるで子が親にするような、飼い犬が飼い主にするような……もしかすると恋人にするような。許されると無自覚に理解しているのだ。どうしようもなく甘ったれな自分を、どうして好いてくれているのかは分からないけれど、男はこうして隣にいてくれる。
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DOODLE2022.6.2公開の、フィガロ誕4コマの蛇足のようなフィガファウ。4コマ見た瞬間に書いてた。本当はなんでも無い日だって部屋にくらい行く二人です。
なんでも無い日だって部屋にくらい行くよ。 自分から出向かないと顔を出すまで部屋の扉を叩かれるから。他の賢者の魔法使いは声をかけているのに、一人だけ無視をするのは気が引けるから。理由はいくらでも思い浮かんだけれど、結局の所、僕が伝えたいだけなのだ。
四百年の間、誕生日という日を特別に感じた事は無かった。それもそうだろう、依頼人くらいしか他人と接する機会が無かったのだ。すると自分の誕生日も有って無いようなものになる。ふと、そういえば今日は自分の誕生日だと思い出す事もあるが、王族の気まぐれで作られる国民の休日と同じくらいどうでもいいものだ。
それなのに、この魔法舎で暮らし始めてからはどうだろう。二十一人の魔法使いと賢者、それからクックロビンやカナリアの誕生日の度に、ここはおもちゃ箱をひっくり返したような有様になるのだ。自分の誕生日には一日中誰かから祝いの言葉を贈られて、特別なプレゼントを用意されたりして、自分らしくもなく浮かれていた。それは他人が僕のために祝ってくれる心があってはじめて成り立つもので、少なくとも僕はその気持ちを嬉しいと感じた。僕が何か行動を起こしても相手は喜ばないかもしれない、もしかしたら怒らせる可能性だってある。受け取る側の気持ちを強制は出来ないけれど、僕が他人を祝いたいのだ。気持ちを伝えたいだけ、あわよくば喜んで欲しいけれど。
2235四百年の間、誕生日という日を特別に感じた事は無かった。それもそうだろう、依頼人くらいしか他人と接する機会が無かったのだ。すると自分の誕生日も有って無いようなものになる。ふと、そういえば今日は自分の誕生日だと思い出す事もあるが、王族の気まぐれで作られる国民の休日と同じくらいどうでもいいものだ。
それなのに、この魔法舎で暮らし始めてからはどうだろう。二十一人の魔法使いと賢者、それからクックロビンやカナリアの誕生日の度に、ここはおもちゃ箱をひっくり返したような有様になるのだ。自分の誕生日には一日中誰かから祝いの言葉を贈られて、特別なプレゼントを用意されたりして、自分らしくもなく浮かれていた。それは他人が僕のために祝ってくれる心があってはじめて成り立つもので、少なくとも僕はその気持ちを嬉しいと感じた。僕が何か行動を起こしても相手は喜ばないかもしれない、もしかしたら怒らせる可能性だってある。受け取る側の気持ちを強制は出来ないけれど、僕が他人を祝いたいのだ。気持ちを伝えたいだけ、あわよくば喜んで欲しいけれど。
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DOODLE2022.5.20公開のタイトル通りの話。南4人しか登場しませんが、回想の部分で小学生には読ませられない程度の描写をしています。
フィガロ先生の腰が痛い話「フィガロ先生! もう朝ですよ、起きてください! あっ、寝返りを打たないでくださいってば!」
ドアのノックもそこそこに部屋に入り込んできたミチルの怒鳴り声に、目を閉じたまま思わず口角を上げる。もう少し平和な一日の始まりを噛み締めていたかったのだが、布団を引っぺがされた事で観念した。
「はいはい、分かったよ。おはようミチル」
いつも全力で起こしてくれる可愛い生徒の頭を撫でながら上半身を起こすと、片腕を取られて立ち上がらされる。もう随分前から起きて活動を始めているのだろうミチルの足取りは軽くすぐに部屋から連れだそうとするから、その直前で指を一振りして服を着替えた。いつもの白衣に聴診器を下げた格好で廊下に出ると、そこにはルチルとレノックスの姿もあって南の国の魔法使い勢揃いだ。
1933ドアのノックもそこそこに部屋に入り込んできたミチルの怒鳴り声に、目を閉じたまま思わず口角を上げる。もう少し平和な一日の始まりを噛み締めていたかったのだが、布団を引っぺがされた事で観念した。
「はいはい、分かったよ。おはようミチル」
いつも全力で起こしてくれる可愛い生徒の頭を撫でながら上半身を起こすと、片腕を取られて立ち上がらされる。もう随分前から起きて活動を始めているのだろうミチルの足取りは軽くすぐに部屋から連れだそうとするから、その直前で指を一振りして服を着替えた。いつもの白衣に聴診器を下げた格好で廊下に出ると、そこにはルチルとレノックスの姿もあって南の国の魔法使い勢揃いだ。
へるた
DOODLE修行時代WEBオンリーの展示物でした。きたなすぎてめちゃくちゃ読みにくいです。
なでなでのフィガファウ漫画(※直接的な表現はありませんが、一部成人向けの描写があります…という注意書きですがとてもぬるいです) 6