ゆきは
DONE【注意事項】Dom/Subユニバースのゼン蛍です。(※ゼン→Dom、蛍→Sub)
パスワードはプロフ参照。
※今後ゼン蛍以外のCPが追加される可能性もあります。
※R-18に該当する展開になる可能性もあります。その場合は別のアカウントへ投稿します。 3443
アユ@墓守で魚の鮎で胸元の宝石
DONE花吐き病ネタでゼン蛍リス限用アルハイゼンに片思いしてこじらせた蛍が発症して花を吐いてるとこに蛍に片思いしているアルハイゼンが来て勘違いする両片思いの話。フォロワー限定。
※軽く嘔吐表現があります
大丈夫な方はyesで。 2
アユ@墓守で魚の鮎で胸元の宝石
DONE花吐き病ネタでゼン蛍アルハイゼンに片思いしてこじらせた蛍が発症して花を吐いてるとこに蛍に片思いしているアルハイゼンが来て勘違いする両片思いの話。フォロワー限定。
※軽く嘔吐表現があります
大丈夫な方はyesで。 2
さまなし
DONEVDの話というかチョコの話。ほのかに不健全。【ゼン蛍】全部きみのせい「ほら、君の番だ」
目の前に差し出されたものにチラリと目を向けて。
「まだ、食べなきゃ駄目?」
「何でも聞くと言ったのは君だったはずだが」
そう言われてはぐうの音も出ない。
二月十四日。世間ではバレンタインと言われる日。例にもれず私もアルハイゼンにチョコをプレゼントしようと彼の家を訪れた。数日前にあった彼の誕生日プレゼントと共に。
本当は誕生日当日にお祝いをしたかったけど急な用事でそれが出来なかった。アルハイゼンは気にしないって言ってくれたけど、私が納得いかなくて言ってしまったのだ。
――今日はアルハイゼンの言うことを何でも聞いてあげる、と。
それを聞いたアルハイゼンは少し考える素振りを見せたあと、私を膝の上に向かい合うように座らせた。一気に距離が縮まって視界いっぱいにアルハイゼンの整った顔が映る。直視できなくて思わず顔を逸らした。
3637目の前に差し出されたものにチラリと目を向けて。
「まだ、食べなきゃ駄目?」
「何でも聞くと言ったのは君だったはずだが」
そう言われてはぐうの音も出ない。
二月十四日。世間ではバレンタインと言われる日。例にもれず私もアルハイゼンにチョコをプレゼントしようと彼の家を訪れた。数日前にあった彼の誕生日プレゼントと共に。
本当は誕生日当日にお祝いをしたかったけど急な用事でそれが出来なかった。アルハイゼンは気にしないって言ってくれたけど、私が納得いかなくて言ってしまったのだ。
――今日はアルハイゼンの言うことを何でも聞いてあげる、と。
それを聞いたアルハイゼンは少し考える素振りを見せたあと、私を膝の上に向かい合うように座らせた。一気に距離が縮まって視界いっぱいにアルハイゼンの整った顔が映る。直視できなくて思わず顔を逸らした。
amelu
DONE2024年アルハイゼン誕生日ゼン蛍。とあるきっかけと周りの後押しで急接近した二人のおはなし。
光を抱く巨樹 不可抗力ではあったが、アルハイゼンは蛍と抱き合った。
それは、真昼の往来で起きた、些細な事故に過ぎない。
だが、あの小さくしなやかな身体を自分の腕に収めたときから、アルハイゼンの日常は複雑に縺れてしまっている。
業務の合間に教令院を出て街中へと下りてきたアルハイゼンは、不意に曇りなく晴れ渡った暑い青空を見上げた。白い鳥が旋回するように飛んでいる。まるで、あの日のような光景だ。もっとも、あの日に真っ白な翼を広げて空を舞っていたのは、鳥ではなく蛍だったのだが。
あの日は、風が荒れていた。ヤザダハ池の桟橋からの坂道を上りきったところで、アルハイゼンは上空を緩やかに滑空する白い影に気が付いた。その影の大きさから鳥でないことはすぐわかったが、それが彼女であることに気が付いたのは一瞬遅れてだった。突風が吹きつけ、乱れた前髪がアルハイゼンの視界を奪う。指先で払って再度見上げたときには、翼の制御を失った白い影が回転しながら勢いよく落下しているところだった。体勢を立て直すには低空すぎる。あとは如何にして着地の衝撃を和らげるかだ。目測だが、このままでは建物に衝突する可能性もある。彼女ならば咄嗟に身を翻して避けられるのかもしれないが、予備策の有用性について検討する前にアルハイゼンは石畳を蹴っていた。
9321それは、真昼の往来で起きた、些細な事故に過ぎない。
だが、あの小さくしなやかな身体を自分の腕に収めたときから、アルハイゼンの日常は複雑に縺れてしまっている。
業務の合間に教令院を出て街中へと下りてきたアルハイゼンは、不意に曇りなく晴れ渡った暑い青空を見上げた。白い鳥が旋回するように飛んでいる。まるで、あの日のような光景だ。もっとも、あの日に真っ白な翼を広げて空を舞っていたのは、鳥ではなく蛍だったのだが。
あの日は、風が荒れていた。ヤザダハ池の桟橋からの坂道を上りきったところで、アルハイゼンは上空を緩やかに滑空する白い影に気が付いた。その影の大きさから鳥でないことはすぐわかったが、それが彼女であることに気が付いたのは一瞬遅れてだった。突風が吹きつけ、乱れた前髪がアルハイゼンの視界を奪う。指先で払って再度見上げたときには、翼の制御を失った白い影が回転しながら勢いよく落下しているところだった。体勢を立て直すには低空すぎる。あとは如何にして着地の衝撃を和らげるかだ。目測だが、このままでは建物に衝突する可能性もある。彼女ならば咄嗟に身を翻して避けられるのかもしれないが、予備策の有用性について検討する前にアルハイゼンは石畳を蹴っていた。
天生麻菜
PROGRESS2月叡智14の新刊のゼン蛍、2話目です。アルハイゼンと蛍ちゃんが婚前旅行するお話。
年齢制限ありのためリス限になります。
リスインは年齢表記の上お声がけください🙇♀️ 14737
天生麻菜
PROGRESS2月叡智14の新刊予定です。ゼン蛍。
アルハイゼンと蛍ちゃんが婚前旅行するお話。
この後年齢制限ありの話が入ります。
陽だまりを知る 11.天ノ弱
「君に結婚を前提に交際を申し込みたい」
「………………は?」
明日どこかへ出かけないか、と同じくらい簡単に切り出された言葉に蛍は言葉を失った。確かに今日の彼はどこか変な感じではあった。たまたまスメールの冒険者協会で依頼を受けていたところに彼と出会して任務に同行すると言い出したのだ。
普段自分の興味のあることしか同行しない彼にしては珍しい申し出だった。今日の依頼は単純なドレイクの討伐のみで彼の知識欲が唆られるような内容ではなかった。
一瞬、ドレイクの構造に興味でも持ち始めたのかと尋ねてみたが、それも違うと言われてしまった。
違和感を感じたまま、依頼場所へ行きあっさりとドレイクを倒した後、再びスメールシティに戻って昼食を取ることになったがカフェのテラスの椅子に座り食事をしている最中、あっさりと先程の言葉を彼は口にした。
8939「君に結婚を前提に交際を申し込みたい」
「………………は?」
明日どこかへ出かけないか、と同じくらい簡単に切り出された言葉に蛍は言葉を失った。確かに今日の彼はどこか変な感じではあった。たまたまスメールの冒険者協会で依頼を受けていたところに彼と出会して任務に同行すると言い出したのだ。
普段自分の興味のあることしか同行しない彼にしては珍しい申し出だった。今日の依頼は単純なドレイクの討伐のみで彼の知識欲が唆られるような内容ではなかった。
一瞬、ドレイクの構造に興味でも持ち始めたのかと尋ねてみたが、それも違うと言われてしまった。
違和感を感じたまま、依頼場所へ行きあっさりとドレイクを倒した後、再びスメールシティに戻って昼食を取ることになったがカフェのテラスの椅子に座り食事をしている最中、あっさりと先程の言葉を彼は口にした。
さまなし
DONE現パロ要素少ないですがドライヤー使ってるので現パロ。【ゼン蛍】かわいいひと ほぅっと息を吐き出せば、自然と体から力が抜けてそのまま湯に沈んでいく。このまま一度顔まで浸かってもいいかもしれないと身を任せれば、首まで浸かったところで腰に回った腕にそれを阻止された。
「眠くなったか?」
真上を向けばこちらを見る瞳と視線がぶつかる。
「ううん、大丈夫」
いつだってアルハイゼンの入れる湯加減は私の好みにぴったりでその気持ちよさについ眠くなることもあるけど、今は気持ちいいだけで眠くはない。
「辛かったらすぐに言え」
「うん」
少しだけ姿勢を正して背後のアルハイゼンに体を預け直す。程よい力で支えられ、多分このまま寝てしまっても溺れることは無いだろう。実際は意識が沈み切ってしまう前に抱き上げられ、ベッドまで運ばれるだろうからその心配すら無いのだろうけど。
2580「眠くなったか?」
真上を向けばこちらを見る瞳と視線がぶつかる。
「ううん、大丈夫」
いつだってアルハイゼンの入れる湯加減は私の好みにぴったりでその気持ちよさについ眠くなることもあるけど、今は気持ちいいだけで眠くはない。
「辛かったらすぐに言え」
「うん」
少しだけ姿勢を正して背後のアルハイゼンに体を預け直す。程よい力で支えられ、多分このまま寝てしまっても溺れることは無いだろう。実際は意識が沈み切ってしまう前に抱き上げられ、ベッドまで運ばれるだろうからその心配すら無いのだろうけど。
さまなし
DONE「愛し方なら知っている」って台詞を思いついた結果。【ゼン蛍】書記官様は人の愛し方を知らない アルハイゼンがいつもと変わらず読書に勤しんでいると、突然目の前にコーヒーカップが差し出された。豆を挽く音と香りがしていたのには気付いていたが、淹れて欲しいと頼んだ覚えのないアルハイゼンが顔を上げて側に立つ男にこれは何だと視線だけで問えば、アルハイゼンに凭れ掛かり眠る少女にチラリと視線を向けて男――カーヴェは答えた。
「君の為じゃない。彼女を起こさない為だ」
もう長い時間アルハイゼンがそうしていることをカーヴェは知っていた。だから少女の眠りを妨げないようにその場から動かないアルハイゼンの献身に、自分のついでではあるが差し入れることにしたのだ。
必要ないと一蹴されることも想像していたが、アルハイゼンはそれを黙って受け取り、それを見届けたカーヴェは向かいに座って自身のコーヒーを一度口に含んだ。
1781「君の為じゃない。彼女を起こさない為だ」
もう長い時間アルハイゼンがそうしていることをカーヴェは知っていた。だから少女の眠りを妨げないようにその場から動かないアルハイゼンの献身に、自分のついでではあるが差し入れることにしたのだ。
必要ないと一蹴されることも想像していたが、アルハイゼンはそれを黙って受け取り、それを見届けたカーヴェは向かいに座って自身のコーヒーを一度口に含んだ。
ゆきは
DONE蛍不在のゼン蛍アルハイゼンとナヒーダが世間話をする話です。
智者の語らい「報告ご苦労さま」
懸案事項の報告を終えた青年をナヒーダは労った。これ以上聖処に留まる必要性はないと判じた彼は、立ち上がる前にカップの中身を空にしようと持ち手に指をかける。
「収穫は得られたの?」
「報告書以上のことは、なにも」
終わったはずの話への問いに、青年は間髪入れずに答えた。返答を受けたナヒーダはあら、と声を上げる。
「それなら、アアル村の視察に関して予算や日程の違和感を指摘しようかしら」
優しすぎると言われた神にしては珍しい話の運び方をする。何を話させたいのか、とその真意に思考を巡らせながら、青年は当たり障りのない返事を作った。
「砂漠の旅において安全係数を考慮するのは当然のこと、監査を入れたところで時間の無駄になるだけでしょう」
1107懸案事項の報告を終えた青年をナヒーダは労った。これ以上聖処に留まる必要性はないと判じた彼は、立ち上がる前にカップの中身を空にしようと持ち手に指をかける。
「収穫は得られたの?」
「報告書以上のことは、なにも」
終わったはずの話への問いに、青年は間髪入れずに答えた。返答を受けたナヒーダはあら、と声を上げる。
「それなら、アアル村の視察に関して予算や日程の違和感を指摘しようかしら」
優しすぎると言われた神にしては珍しい話の運び方をする。何を話させたいのか、とその真意に思考を巡らせながら、青年は当たり障りのない返事を作った。
「砂漠の旅において安全係数を考慮するのは当然のこと、監査を入れたところで時間の無駄になるだけでしょう」
さまなし
DONE言葉よりも行動派を表現したかったのとイチャつかせたかった結果。【ゼン蛍】言葉より物語る アルハイゼンと付き合うようになって意外だったのは、ともすれば潔癖の気さえありそうな彼が、想像もつかなかったほど私をそばに置いて時には触れることだった。
彼の家で書物を読もうとすれば、私の座る場所は彼の膝の上、もしくはその隣。しかも基本的には片腕を回されその腕で閉じ込めるように密着する。夜寝る時も隣に並ぶだけじゃなくて、必ずその腕の中に捕まる。
誰かと食事をすれば隣の席だし、今もほら。仮眠を取ると言った彼は私にこの後の予定が無いことを知って隣に座らせたかと思えば、腕を組んで眠りだす。いつものように腕を回してこないのは寝てしまうと体重が掛かってしまうため、流石に私では支えきれないと考えたからかもしれない。横になった方が疲れも取れそうだけど、生憎ここは執務室。アルハイゼンほどの大きな体躯を横にして休める場所はなく、肩を貸してあげたくてもさっきも言ったように体格差のせいでそれは叶わない。
9290彼の家で書物を読もうとすれば、私の座る場所は彼の膝の上、もしくはその隣。しかも基本的には片腕を回されその腕で閉じ込めるように密着する。夜寝る時も隣に並ぶだけじゃなくて、必ずその腕の中に捕まる。
誰かと食事をすれば隣の席だし、今もほら。仮眠を取ると言った彼は私にこの後の予定が無いことを知って隣に座らせたかと思えば、腕を組んで眠りだす。いつものように腕を回してこないのは寝てしまうと体重が掛かってしまうため、流石に私では支えきれないと考えたからかもしれない。横になった方が疲れも取れそうだけど、生憎ここは執務室。アルハイゼンほどの大きな体躯を横にして休める場所はなく、肩を貸してあげたくてもさっきも言ったように体格差のせいでそれは叶わない。
かみすき
DONEゼン蛍いいから早く付き合え
《ゼン蛍》曖昧さ回避「君に交際を申し込もう」
ひゅっと喉が締まる。まだコーヒーを口に入れる前で良かった。世間話でもするかのようにとんでもない発言をした男に、危うく吹きかけてしまうところだった。
口付けただけのカップを戻す。唇の形に残ったピンク色を拭う余裕もなく、ぷるぷると震える手は思ったよりも大きな音を立てて、それにまた驚いて肩が跳ねた。
「大丈夫か」
かろうじてソーサーに着地したカップも、その中の黒い水面は今にも零れそうな程に波打っていた。忙しない瞬きの合間にもあちこち視線が彷徨ってしまう。これのどこが大丈夫に見えるのだろうか。
全身で動揺を示す蛍を認めたアルハイゼンが、ほんの少し口角を持ち上げる。一見冷たくも感じられる複雑な色彩はすっかり熱を孕んで蛍を射抜いていた。彫刻のように綺麗な顔から放たれるその表情は、たった今爆弾を渡された蛍には強すぎる刺激で。
2117ひゅっと喉が締まる。まだコーヒーを口に入れる前で良かった。世間話でもするかのようにとんでもない発言をした男に、危うく吹きかけてしまうところだった。
口付けただけのカップを戻す。唇の形に残ったピンク色を拭う余裕もなく、ぷるぷると震える手は思ったよりも大きな音を立てて、それにまた驚いて肩が跳ねた。
「大丈夫か」
かろうじてソーサーに着地したカップも、その中の黒い水面は今にも零れそうな程に波打っていた。忙しない瞬きの合間にもあちこち視線が彷徨ってしまう。これのどこが大丈夫に見えるのだろうか。
全身で動揺を示す蛍を認めたアルハイゼンが、ほんの少し口角を持ち上げる。一見冷たくも感じられる複雑な色彩はすっかり熱を孕んで蛍を射抜いていた。彫刻のように綺麗な顔から放たれるその表情は、たった今爆弾を渡された蛍には強すぎる刺激で。
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍カーヴェと旅人がアルハイゼンの家でお喋りする話です。
極楽鳥と対談「奇怪な噂を聞いたんだが……君とアルハイゼンが恋人同士であるという流言だ」
もし虚偽なら僕からも否定するように心がけるが、神妙にそう言ったカーヴェにどう答えたものかと少し悩む。だって、恋人という関係になって数か月は経っていて、ティナリやセノは早い段階で知っていたのに、同居人である彼に知らせていないとは思わないじゃないか。
「……否定する必要は、ない、かな」
は? と間の抜けた声が落ちた。つまり、それは、と真実に至りかける彼に蛍は曖昧な笑みを返す。
「……嘘だろ!? 君と、アルハイゼンが!?」
そんな素振りは、とぼやくカーヴェの姿に、居候中のカーヴェよりも家主であるアルハイゼンよりも先にアルハイゼンの家にいるこの状況をどう解釈していたのか、と尋ねたくなる。追い打ちになるので言わないが。
1918もし虚偽なら僕からも否定するように心がけるが、神妙にそう言ったカーヴェにどう答えたものかと少し悩む。だって、恋人という関係になって数か月は経っていて、ティナリやセノは早い段階で知っていたのに、同居人である彼に知らせていないとは思わないじゃないか。
「……否定する必要は、ない、かな」
は? と間の抜けた声が落ちた。つまり、それは、と真実に至りかける彼に蛍は曖昧な笑みを返す。
「……嘘だろ!? 君と、アルハイゼンが!?」
そんな素振りは、とぼやくカーヴェの姿に、居候中のカーヴェよりも家主であるアルハイゼンよりも先にアルハイゼンの家にいるこの状況をどう解釈していたのか、と尋ねたくなる。追い打ちになるので言わないが。
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍ディシアとキャンディスから旅人に何かが用意された話です。
マンティコアと矢盾の講義「ディシア、キャンディス、これは……」
精緻な細工の施された箱が二つ、蛍の眼前に並んでいる。
始まりはアアル村を発つ直前にかけられた言葉だった。
――旅人さん、ディシアがあなたにプレゼントがあると言っていましたよ。近いうちに二人でお家に伺ってもよろしいでしょうか?
プレゼント? と首を傾げながらもこくりと首肯した蛍は、日程をその場で決めて久しぶりに二人に会える日を心待ちにしていた。
そうして訪れた約束の日。洞天の大きな花が咲き誇る頃訪ねてきた二人を自室に通すとすぐに、それはテーブルの上に並べられた。
開けるよう促された蛍は、まずディシアが持ってきた箱に手を伸ばす。引き出しと蓋のどちらを先に開けるか少しだけ迷い、順に開ければ良いかと蓋を選択する。掛け金を外してゆっくりと蓋を引き上げると、その中は箱とよく似た装飾の施された物たちで埋まっていた。引き出しにも指をかけ、ゆっくりと引く。大小形状様々なブラシが丁寧に並べられていた。
2478精緻な細工の施された箱が二つ、蛍の眼前に並んでいる。
始まりはアアル村を発つ直前にかけられた言葉だった。
――旅人さん、ディシアがあなたにプレゼントがあると言っていましたよ。近いうちに二人でお家に伺ってもよろしいでしょうか?
プレゼント? と首を傾げながらもこくりと首肯した蛍は、日程をその場で決めて久しぶりに二人に会える日を心待ちにしていた。
そうして訪れた約束の日。洞天の大きな花が咲き誇る頃訪ねてきた二人を自室に通すとすぐに、それはテーブルの上に並べられた。
開けるよう促された蛍は、まずディシアが持ってきた箱に手を伸ばす。引き出しと蓋のどちらを先に開けるか少しだけ迷い、順に開ければ良いかと蓋を選択する。掛け金を外してゆっくりと蓋を引き上げると、その中は箱とよく似た装飾の施された物たちで埋まっていた。引き出しにも指をかけ、ゆっくりと引く。大小形状様々なブラシが丁寧に並べられていた。
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍ティナリ、セノ、コレイ、旅人がガンダルヴァー村でお喋りする話です。
サーバルの疑問、フェネックと金狼と議論「た、たびびと、こここ、恋人ができたって聞いたんだけど、」
本当か!? と前のめりに聞くコレイに本当だよ、と答えつつ、どっちだとその背後に立つ獣の耳をもつ青年たちに目を向ける。
あはは、と苦笑して目を逸らしたティナリに、どこから聞いたの、と蛍は尋ねる。
「アルハイゼンから。この間シティで会った時にね」
ややげんなりとした様子で告げるティナリにセノも頷いた。おそらく同じタイミングでセノも聞いたのだろう。
「師匠は悪くないんだ。あたしが娯楽小説を読んで恋人の話を聞いてしまったから……」
しょぼ、とするコレイ。その発言でおおよその事情は分かった。
「隠していることでもないし、気にしないで。知ってるとは思わなかったから驚いちゃったの」
2153本当か!? と前のめりに聞くコレイに本当だよ、と答えつつ、どっちだとその背後に立つ獣の耳をもつ青年たちに目を向ける。
あはは、と苦笑して目を逸らしたティナリに、どこから聞いたの、と蛍は尋ねる。
「アルハイゼンから。この間シティで会った時にね」
ややげんなりとした様子で告げるティナリにセノも頷いた。おそらく同じタイミングでセノも聞いたのだろう。
「師匠は悪くないんだ。あたしが娯楽小説を読んで恋人の話を聞いてしまったから……」
しょぼ、とするコレイ。その発言でおおよその事情は分かった。
「隠していることでもないし、気にしないで。知ってるとは思わなかったから驚いちゃったの」
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍ニィロウ、ファルザン、レイラ、旅人が女子会をしてお喋りする話です。
藤蔓花飾に夜鶯、睡蓮の提案「旅人、アルハイゼンさんと付き合い始めたって本当?」
冒険者協会の依頼を終え、パイモンに急かされるままに洞天に帰った蛍を出迎えたのは、目をキラキラとさせたニィロウとファルザン、机に突っ伏すレイラだった。
え、と戸惑う間もなくニィロウとファルザンに両脇を固められ、あれよあれよという間に席に着かされる。助けを求めてパイモンの姿を探すも見つからず、そういえば昼頃にタフチーンを頬張っていたと思い出して、退路がないことを悟る。
「いつ頃から付き合い始めたんじゃ?」
「告白は旅人からしたの?」
二人の中で自分とアルハイゼンが恋人であるのは確定事項なのだろうか。ニィロウの問いかけにまだ答えていないはずなのに。
矢継ぎ早の質問に苦笑しながら、蛍は口を開いた。
2516冒険者協会の依頼を終え、パイモンに急かされるままに洞天に帰った蛍を出迎えたのは、目をキラキラとさせたニィロウとファルザン、机に突っ伏すレイラだった。
え、と戸惑う間もなくニィロウとファルザンに両脇を固められ、あれよあれよという間に席に着かされる。助けを求めてパイモンの姿を探すも見つからず、そういえば昼頃にタフチーンを頬張っていたと思い出して、退路がないことを悟る。
「いつ頃から付き合い始めたんじゃ?」
「告白は旅人からしたの?」
二人の中で自分とアルハイゼンが恋人であるのは確定事項なのだろうか。ニィロウの問いかけにまだ答えていないはずなのに。
矢継ぎ早の質問に苦笑しながら、蛍は口を開いた。
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍ナヒーダと旅人がお喋りをする話です。
知恵の主との語らい 都合のいい夢を見た。兄がいて相棒がいて、彼がいる夢。幸せに、この世界で暮らしている夢。
「……それはあなたが潜在的にそう願っているからではないかしら?」
ナヒーダ、いる? と訪ねたスラサタンナ聖処。快く出迎えてくれたナヒーダに今朝見た夢の話をすれば、彼女からはシンプルな答えが返ってくる。
その通り。夢には願いが現れる。ならば、家族と恋人とテイワットで暮らす夢は私の願いなのだろう。
「素敵な夢、素敵な願いだわ。あなたの旅の事情は知っているけれど、私はその願いが叶うことを祈りたい」
柔らかく微笑むナヒーダに、蛍は感謝の言葉を声に乗せた。しかし憂う表情は変わらないままだ。ナヒーダがティーカップを傾けてソーサーに戻し、もう一度蛍を見上げても彼女は口を開かない。
1765「……それはあなたが潜在的にそう願っているからではないかしら?」
ナヒーダ、いる? と訪ねたスラサタンナ聖処。快く出迎えてくれたナヒーダに今朝見た夢の話をすれば、彼女からはシンプルな答えが返ってくる。
その通り。夢には願いが現れる。ならば、家族と恋人とテイワットで暮らす夢は私の願いなのだろう。
「素敵な夢、素敵な願いだわ。あなたの旅の事情は知っているけれど、私はその願いが叶うことを祈りたい」
柔らかく微笑むナヒーダに、蛍は感謝の言葉を声に乗せた。しかし憂う表情は変わらないままだ。ナヒーダがティーカップを傾けてソーサーに戻し、もう一度蛍を見上げても彼女は口を開かない。
かみすき
DONEゼン蛍《ゼン蛍》計算過程を示せ 本に視線を落とすアルハイゼンは、いっそ眠っているのかと思うほどに動かない。
しかし伏せ気味の瞼の下で宝石のように輝く瞳は、くるくると忙しなく文字を追う。そのうち大きな手が弾かれたようにページを捲り、そして冷めたコーヒーを一口。カップをソーサーに戻しては、すぐに紙の世界へ没頭し再び石像のように固まる。
もう何度その繰り返しを見ただろう。その様をずっと観察している蛍は、すっかり手持ち無沙汰だった。すでにコーヒーは三杯も飲んだし、今日は話し相手になってくれるパイモンだっていない。
賑やかなカフェでひとり取り残されて、仕方なく真正面のアルハイゼンを見つめていた。
「ずいぶんと熱烈な視線だが、何か用か」
「用がなくて困ってるの」
1817しかし伏せ気味の瞼の下で宝石のように輝く瞳は、くるくると忙しなく文字を追う。そのうち大きな手が弾かれたようにページを捲り、そして冷めたコーヒーを一口。カップをソーサーに戻しては、すぐに紙の世界へ没頭し再び石像のように固まる。
もう何度その繰り返しを見ただろう。その様をずっと観察している蛍は、すっかり手持ち無沙汰だった。すでにコーヒーは三杯も飲んだし、今日は話し相手になってくれるパイモンだっていない。
賑やかなカフェでひとり取り残されて、仕方なく真正面のアルハイゼンを見つめていた。
「ずいぶんと熱烈な視線だが、何か用か」
「用がなくて困ってるの」
amelu
DONE半同棲ゼン蛍。蛍ちゃんがアルハイゼン邸をお掃除して、メイド服でお出迎えします。*0530ゴミゼロで掃除(機)の日だそうです。
*突貫クオリティです。解釈違い・捏造もろもろありますので、ご了承の上、閲覧くださいますようお願い申し上げます。
魅惑のメイドさん この日、蛍の塵歌壺は早朝から騒がしかった。アルハイゼンが出勤前の時間を使って、自宅に置ききれなくなった書籍を片付けに来ていたのだ。あまりに蛍がバタバタしているので、パイモンもどこかに逃げ出してしまうほどだ。
アルハイゼンは蛍の恋人ではあるが、あまり塵歌壺には来ない。自分の空間を大切にする彼に合わせて、普段は蛍がアルハイゼンの自宅への“通い同棲”をしている状態だ。アルハイゼンがこうして塵歌壺に来るのは、蛍が他国に出ているときか書籍の整理をするときくらいである。
アルハイゼンの家は常に書籍で溢れている。しかも今は、カーヴェに加えて蛍とパイモンまで寝泊まりしている。必然的に空間も狭くなり、リビングに積まれる書籍の数も増えて雑然としてきてしまった。さすがにこれではいけないと、蛍はアルハイゼンにリビングを片付けて掃除がしたいと申し出たのだ。
4173アルハイゼンは蛍の恋人ではあるが、あまり塵歌壺には来ない。自分の空間を大切にする彼に合わせて、普段は蛍がアルハイゼンの自宅への“通い同棲”をしている状態だ。アルハイゼンがこうして塵歌壺に来るのは、蛍が他国に出ているときか書籍の整理をするときくらいである。
アルハイゼンの家は常に書籍で溢れている。しかも今は、カーヴェに加えて蛍とパイモンまで寝泊まりしている。必然的に空間も狭くなり、リビングに積まれる書籍の数も増えて雑然としてきてしまった。さすがにこれではいけないと、蛍はアルハイゼンにリビングを片付けて掃除がしたいと申し出たのだ。
まもり
PASTゼン蛍。分かりにくい優しさ、萌えますよね。続きはコーヒーと共に「本題に入る前に、アーカーシャ端末の基本的な知識について記そう。まず、この…ん?えっと、この、この……、は云々…」
「読めない文字があったからと言って飛ばすのは良くない。調べろ」
「……後でそうしようとしてたの」
バレていたか。
私は、隣で次から次へと読み終わった本を積み重ねていく彼──アルハイゼンを見て頬を掻いた。三時間ほどしか経っていないのにも関わらず、少し…いや、かなり厚みのある本が既に五冊積まれていた。
「分からないものを分からないまま進めるな。特に、文字など辞書を引けばすぐに理解できるじゃないか。なぜしない?」
「ああもう、する!するから」
喚いた私に呆れたのか満足したのかは知らないが、顎に指を添えながらアルハイゼンが唇を動かしている。かなりの小声でよく聞こえないものの、おそらく興味深い一文を見つけたのだろう。こちらへの関心を一切失ってしまったに違いない。
3216「読めない文字があったからと言って飛ばすのは良くない。調べろ」
「……後でそうしようとしてたの」
バレていたか。
私は、隣で次から次へと読み終わった本を積み重ねていく彼──アルハイゼンを見て頬を掻いた。三時間ほどしか経っていないのにも関わらず、少し…いや、かなり厚みのある本が既に五冊積まれていた。
「分からないものを分からないまま進めるな。特に、文字など辞書を引けばすぐに理解できるじゃないか。なぜしない?」
「ああもう、する!するから」
喚いた私に呆れたのか満足したのかは知らないが、顎に指を添えながらアルハイゼンが唇を動かしている。かなりの小声でよく聞こえないものの、おそらく興味深い一文を見つけたのだろう。こちらへの関心を一切失ってしまったに違いない。
まもり
PASTゼン蛍。アルハイゼンにキスをねだるも彼の新たな扉を開けてしまったほたちんの話。禁断の書「アルハイゼン。キスして」
唐突に放った私の台詞に、彼がティーカップを持とうとしたまま動かなくなった。片方の手には、どうやらストライクゾーンだったらしく二周目に突入している本。付き合い始めた私たちの仲を引き裂く、憎たらしいライバルだ。
「なんだ、急に」
「だって読み終わらないんだもん、それ。ずーっと待ってるんだけど」
私がアルハイゼンに告白してから一ヶ月。「君はそこそこ興味深い」「アルハイゼン。キスして」
唐突に放った私の台詞に、彼がティーカップを持とうとしたまま動かなくなった。片方の手には、どうやらストライクゾーンだったらしく二周目に突入している本。付き合い始めた私たちの仲を引き裂く、憎たらしいライバルだ。
2449唐突に放った私の台詞に、彼がティーカップを持とうとしたまま動かなくなった。片方の手には、どうやらストライクゾーンだったらしく二周目に突入している本。付き合い始めた私たちの仲を引き裂く、憎たらしいライバルだ。
「なんだ、急に」
「だって読み終わらないんだもん、それ。ずーっと待ってるんだけど」
私がアルハイゼンに告白してから一ヶ月。「君はそこそこ興味深い」「アルハイゼン。キスして」
唐突に放った私の台詞に、彼がティーカップを持とうとしたまま動かなくなった。片方の手には、どうやらストライクゾーンだったらしく二周目に突入している本。付き合い始めた私たちの仲を引き裂く、憎たらしいライバルだ。
かみすき
DONEゼン蛍《ゼン蛍》あいのかたち ダイスの転がる音に、時おりわあっと歓声が上がる。かちゃかちゃと什器がぶつかり、その賑やかさに合わせてコーヒーミルが音を立てた。
挽きたての豆の香りに満ちた昼下がりのカフェの隅、気持ちよさそうに眠るパイモンを抱えた蛍はアルハイゼンと向き合っていた。
コーヒーと共に机上に並ぶ本は、昨日貸したはずのそれ。いつも一日足らずで返ってくる。蛍は一週間かけて読むのに。それだけ時間をかけたって、文字を追うのに精一杯で内容なんかほとんど覚えていないが。
さらに目の前の男は、毎度律儀に本についての感想を寄越した。それにわかったような表情で頷くのが、ここ最近のお決まりだった。ちんぷんかんぷんなのはばれているだろうが、アルハイゼンがそれを咎めることもない。声に出して思考を整理したいだけなんだろう、と蛍は本の表紙を見つめながら首を振るだけだった。
1757挽きたての豆の香りに満ちた昼下がりのカフェの隅、気持ちよさそうに眠るパイモンを抱えた蛍はアルハイゼンと向き合っていた。
コーヒーと共に机上に並ぶ本は、昨日貸したはずのそれ。いつも一日足らずで返ってくる。蛍は一週間かけて読むのに。それだけ時間をかけたって、文字を追うのに精一杯で内容なんかほとんど覚えていないが。
さらに目の前の男は、毎度律儀に本についての感想を寄越した。それにわかったような表情で頷くのが、ここ最近のお決まりだった。ちんぷんかんぷんなのはばれているだろうが、アルハイゼンがそれを咎めることもない。声に出して思考を整理したいだけなんだろう、と蛍は本の表紙を見つめながら首を振るだけだった。
さまなし
DONE欲情とありますがエッなことは一切ないです。【ゼン蛍】抱き枕と欲情 目を覚ますと、外は陽が傾き始めていて少し赤らんでいた。彼の腕の中、視線を上げると彼は私が起きたことにも気付いていないかのように本を読み進めている。小さくあくびをして出来るだけ邪魔をしないように指を組んだ両手を前に伸ばせば、私を支えていた右手が私を支え直す。
アルハイゼンの家で本を読むとき、彼は何故か私を足の間に座らせたがる。何故そうなったのか、きっかけはもう覚えていない。それでも最初の方は遠慮をしたし、拒否の姿勢を見せたこともある。けれど何だかんだと気付けば彼の足の間にいて、それが何度も続けば抵抗する方が馬鹿らしくなるもので。
背中を預ける形でいたのも、今では少しでもお互いが本を読みやすいように横抱きの形になった。慣れるとその体温の心地良さに気付けば寝てしまうことも多くなり、彼のゆっくり上下する胸が更に眠気を誘い、今日も彼の腕の中で眠る始末。
3236アルハイゼンの家で本を読むとき、彼は何故か私を足の間に座らせたがる。何故そうなったのか、きっかけはもう覚えていない。それでも最初の方は遠慮をしたし、拒否の姿勢を見せたこともある。けれど何だかんだと気付けば彼の足の間にいて、それが何度も続けば抵抗する方が馬鹿らしくなるもので。
背中を預ける形でいたのも、今では少しでもお互いが本を読みやすいように横抱きの形になった。慣れるとその体温の心地良さに気付けば寝てしまうことも多くなり、彼のゆっくり上下する胸が更に眠気を誘い、今日も彼の腕の中で眠る始末。
amelu
DONEゼン蛍。蛍ちゃんの強さを美しさとして惹かれたアルハイゼンと、アルハイゼンの隣に並ぶには子どもぽく見えるよね……が悩みの蛍ちゃん。*アルハイゼンの恋愛遍歴的な話が捏造されているので苦手な方は閲覧をお控えください
まだ青い議論 きっかけは、砂漠の遺跡調査だった。
教令院に収蔵されていた研究資料を検分していたところ、現物と照らし合わせる必要が生じてアルハイゼンは現地へと赴いていた。
遺跡あるところに盗掘あり。アルハイゼンが碑文を検めていると、金目のものがあると思ったらしい宝盗団が剣を抜いて迫ってきた。
そのときだった。頭上で白い花か何かがぶわっと舞ったかと思うと、アルハイゼンと宝盗団の間に割って入るように、地面に剣を突き立てて蛍が着地した。
「アルハイゼン!?大丈夫?怪我はない?」
「……ああ、問題ない」
「よかった。今、片付けるね」
そう言った彼女は軽やかに舞うように剣を振るい、草の元素力を迸らせる。
呆気にとられたアルハイゼンは、彼女に加勢するため剣を握りながらもどこか冷静に思考を巡らせていた。
6890教令院に収蔵されていた研究資料を検分していたところ、現物と照らし合わせる必要が生じてアルハイゼンは現地へと赴いていた。
遺跡あるところに盗掘あり。アルハイゼンが碑文を検めていると、金目のものがあると思ったらしい宝盗団が剣を抜いて迫ってきた。
そのときだった。頭上で白い花か何かがぶわっと舞ったかと思うと、アルハイゼンと宝盗団の間に割って入るように、地面に剣を突き立てて蛍が着地した。
「アルハイゼン!?大丈夫?怪我はない?」
「……ああ、問題ない」
「よかった。今、片付けるね」
そう言った彼女は軽やかに舞うように剣を振るい、草の元素力を迸らせる。
呆気にとられたアルハイゼンは、彼女に加勢するため剣を握りながらもどこか冷静に思考を巡らせていた。
kinopon_room
DONEカーヴェが洞天の書庫を案内される話※アルハイゼン不在
※カーヴェ実装前につき、口調等の捏造・解釈違いはご了承ください
【ゼン蛍+カーヴェ】とある建築家の憂慮 自分の背丈を優に超える幅広の書棚、行儀よく整列した書物の数々。居候先とまではいかないが、壁と通路にいくつか鎮座するそれらが、この場所を立派な知恵の部屋たらしめていた。
「すごいな。個人でこれほどの資料を集めるのは、大変だったろう?」
「私ひとりの力じゃないよ。……でも、ありがとう」
自慢の書庫なんだ、と胸を張る少女はどこか誇らしげに見える。
洞天への誘いを受けてから、まだほんの数日。広大な敷地のどこに何があるかまだ把握できていないカーヴェは、蛍に案内されながら各所を見て回っていた。外から内へ、玄関からリビングへ。動線に沿いながら進んでいき、最後に奥まった場所にあるこの書庫へと通された。
「カーヴェは、読書好き?」
2543「すごいな。個人でこれほどの資料を集めるのは、大変だったろう?」
「私ひとりの力じゃないよ。……でも、ありがとう」
自慢の書庫なんだ、と胸を張る少女はどこか誇らしげに見える。
洞天への誘いを受けてから、まだほんの数日。広大な敷地のどこに何があるかまだ把握できていないカーヴェは、蛍に案内されながら各所を見て回っていた。外から内へ、玄関からリビングへ。動線に沿いながら進んでいき、最後に奥まった場所にあるこの書庫へと通された。
「カーヴェは、読書好き?」
kinopon_room
DONE洞天の猫を探しに行く蛍ちゃんと迎えに行くアルハイゼンのお話(両片想いのゼン蛍風味です)※物書き初心者なので色々と拙い部分がありますが、楽しんでいただけると嬉しいです。
【ゼン蛍】恋の下萌(したもえ) しくじったなあ、と蛍は内心後悔していた。
邸宅にいる猫の脱走を許してしまったこと。今日にかぎって着慣れた旅装ではなく、稲妻の衣である「着物」を身につけていたこと。挙句、そのまま追いかけてしまったこと。
先の二つはどうしようもないが、残りの一つは完全に自分のミスだ。多少手間でも服を着替えるべきだった。
他国の伝統衣装を悪しく言うつもりはないが、着崩れが気になっていつものように動けないし、長い裾が足に絡んでうまく走れない。行動が大幅に制限されている状態では当たり前のことも当たり前に出来ず、普段なら難なくこなせる小動物の捕獲にすら手こずっているのが現状である。
踏んだり蹴ったりだ。思わずため息が漏れ出る。一刻も早く戻りたいが、連れて帰ると豪語した手前、手ぶらで引き下がるわけにもいかない。洞天の中は危険が少ないといえど、なにかの拍子に怪我をしてしまう可能性もある。
3587邸宅にいる猫の脱走を許してしまったこと。今日にかぎって着慣れた旅装ではなく、稲妻の衣である「着物」を身につけていたこと。挙句、そのまま追いかけてしまったこと。
先の二つはどうしようもないが、残りの一つは完全に自分のミスだ。多少手間でも服を着替えるべきだった。
他国の伝統衣装を悪しく言うつもりはないが、着崩れが気になっていつものように動けないし、長い裾が足に絡んでうまく走れない。行動が大幅に制限されている状態では当たり前のことも当たり前に出来ず、普段なら難なくこなせる小動物の捕獲にすら手こずっているのが現状である。
踏んだり蹴ったりだ。思わずため息が漏れ出る。一刻も早く戻りたいが、連れて帰ると豪語した手前、手ぶらで引き下がるわけにもいかない。洞天の中は危険が少ないといえど、なにかの拍子に怪我をしてしまう可能性もある。
さまなし
DONEゼン蛍+🥧の話。ゼンは無言でまるごと抱き締めそうだなと。【ゼン蛍】遅めの夕食は、結局ピタだけになった 今日は一日のんびり過ごそう。そう決めた蛍とパイモンは朝からそれぞれ好きに行動をしていた。とはいえ、現在滞在中のスメールシティで行くところと言えばお互い似たような場所になる。お昼前にグランドバザールで再会した二人は屋台で昼食を購入後、塵歌壺に入ってゆっくりとそれを食べ終えた。
この後はどうしようか。このまま塵歌壺の中でのんびり過ごしてもいいし、スメールシティの誰かに会いに行ってもいいかもしれない。パイモンがそんなことを考えていると、満腹感で少しずつ眠気に襲われて瞼がゆっくりと落ちてくる。あと少しで意識を飛ばそうかという時、思わぬ来訪者が現れた。
「あ、アルハイゼン。こんにちは」
「あぁ、こんにちは」
3207この後はどうしようか。このまま塵歌壺の中でのんびり過ごしてもいいし、スメールシティの誰かに会いに行ってもいいかもしれない。パイモンがそんなことを考えていると、満腹感で少しずつ眠気に襲われて瞼がゆっくりと落ちてくる。あと少しで意識を飛ばそうかという時、思わぬ来訪者が現れた。
「あ、アルハイゼン。こんにちは」
「あぁ、こんにちは」
ゆきは
DONE《注意事項》とりあえず暗いです。悩む蛍ちゃんがいます。しかいません。
※稲妻魔神任務、層岩巨淵世界任務、スメール砂漠世界任務のNPCへの言及があります。特にビルキースの哀歌についてはネタバレが多く含まれます。 2559
さまなし
DONEカヴェ曰く「何を見せられてるんだ」2023/04/04誤字修正
【ゼン蛍】当事者だけが気付いてない「だからそれはこの前も言っただろ。そこは――」
「それは最新の論文で否定された。今の見解は――」
頭上で交わされている、全く内容の分からない会話。最初はちょっとした好奇心で二人の会話を聞いていたけれど、チンプンカンプンで早々に理解するのを諦めた。だからそのままここにいても邪魔だろうとお暇しようと思ったのに、私は未だにアルハイゼンの足の間に座らされている(ちなみにパイモンはさっさと逃げ出した。ズルい)
会話が始まる前から読んでいた本も読み終わったし、飲みかけだったコーヒーもお菓子もとうに尽きた。いい加減解放されたい。けれど立とうとすると逃がさないと言わんばかりに引き寄せられるのでどうしようもない。……流石にトイレに行きたくなったら行かせてくれるとは思ってはいるけれど。
1994「それは最新の論文で否定された。今の見解は――」
頭上で交わされている、全く内容の分からない会話。最初はちょっとした好奇心で二人の会話を聞いていたけれど、チンプンカンプンで早々に理解するのを諦めた。だからそのままここにいても邪魔だろうとお暇しようと思ったのに、私は未だにアルハイゼンの足の間に座らされている(ちなみにパイモンはさっさと逃げ出した。ズルい)
会話が始まる前から読んでいた本も読み終わったし、飲みかけだったコーヒーもお菓子もとうに尽きた。いい加減解放されたい。けれど立とうとすると逃がさないと言わんばかりに引き寄せられるのでどうしようもない。……流石にトイレに行きたくなったら行かせてくれるとは思ってはいるけれど。
かみすき
PASTゼン蛍筋肉がすごいねって
Twitterに画像で投げたものと、さらにもう少し足してます
≪ゼン蛍≫瓶の蓋が固すぎる問題ジャムの瓶が開かない。
リンゴをとろりと煮詰めて、甘い匂いごと閉じ込めてきゅっと蓋を閉めた瓶。会心の出来だと食べるのを楽しみにしていたのに。
誰がこんなにきつく閉めたのか。そんなもの、この時間までまだ気持ちよく眠っているであろうアルハイゼン、彼しかいない。
いつどこで使うのかもわからない筋肉は、こういったささいなところで発揮されていた。アルハイゼン自身はそんなつもりがなくとも、自然と力が入ってしまって固く閉まるのだろう。何度気をつけるように注意しても一向に改善される気配がなく、おかげで家中の瓶という瓶ががっちがちに封じられていた。
目の前できつね色のカリカリふわふわトーストがジャムを待っているのに、蛍の握力では太刀打ちできない。そもそもこれは昨日の蛍が閉めたもので、それなら蛍が開けられるはずなのに。自分で開けられるように調整したはずの瓶すらも、いつの間にかぎゅっと固く閉められている。見つけるたびに、きちんと閉まっていないからとそれはそれは丁寧に直してくれているようだった。
2376リンゴをとろりと煮詰めて、甘い匂いごと閉じ込めてきゅっと蓋を閉めた瓶。会心の出来だと食べるのを楽しみにしていたのに。
誰がこんなにきつく閉めたのか。そんなもの、この時間までまだ気持ちよく眠っているであろうアルハイゼン、彼しかいない。
いつどこで使うのかもわからない筋肉は、こういったささいなところで発揮されていた。アルハイゼン自身はそんなつもりがなくとも、自然と力が入ってしまって固く閉まるのだろう。何度気をつけるように注意しても一向に改善される気配がなく、おかげで家中の瓶という瓶ががっちがちに封じられていた。
目の前できつね色のカリカリふわふわトーストがジャムを待っているのに、蛍の握力では太刀打ちできない。そもそもこれは昨日の蛍が閉めたもので、それなら蛍が開けられるはずなのに。自分で開けられるように調整したはずの瓶すらも、いつの間にかぎゅっと固く閉められている。見つけるたびに、きちんと閉まっていないからとそれはそれは丁寧に直してくれているようだった。
さまなし
DONE【ゼン蛍】答えは最初からそこにいた付き合っていないけれどキスをしているので一応注意。大丈夫です。この後ちゃんと付き合います。
【ゼン蛍】答えは最初からそこにいた ふっと、視界を影が覆った。
視線が交わった時にはもう、私の唇は塞がれていて。
そして瞬きの間に解放される。
「……どうしてキスしたの?」
「したいと思ったからだな」
「そっか」
何の前触れもない、突然のキス。けど心中は思っている以上に静かだった。
でも私たちはそういう関係ではない。個人的にはそういう空気になったこともないと思う。けれど彼の顔が近づいてきたとき、避けるという選択肢はなく、私は当たり前のようにそれを受け入れた。
「もう少し動じるかと思ったが」
「それをあなたが言うんだ?」
動じて欲しかったの? 問えばあっさり否定される。
「それで、してみた感想は?」
「想像通りというべきか。君の反応の方が意外だった」
1872視線が交わった時にはもう、私の唇は塞がれていて。
そして瞬きの間に解放される。
「……どうしてキスしたの?」
「したいと思ったからだな」
「そっか」
何の前触れもない、突然のキス。けど心中は思っている以上に静かだった。
でも私たちはそういう関係ではない。個人的にはそういう空気になったこともないと思う。けれど彼の顔が近づいてきたとき、避けるという選択肢はなく、私は当たり前のようにそれを受け入れた。
「もう少し動じるかと思ったが」
「それをあなたが言うんだ?」
動じて欲しかったの? 問えばあっさり否定される。
「それで、してみた感想は?」
「想像通りというべきか。君の反応の方が意外だった」
さまなし
DONE【ゼン蛍】それは自分だけの【ゼン蛍】それは自分だけの その日アルハイゼンが塵歌壺に赴くと、何やら邸宅内が騒がしかった。ここの主が認めた者しか入れない為、不法侵入者の類ではないだろうが邸宅の前にいるマルに近づく。
「おや、アルハイゼン様。ようこそいらっしゃいました」
「何やら騒がしいようだが、何が起きている?」
「今日は蛍さんが模様替えを始めたようですよ」
なるほど、と知らずうちにしていた警戒を解いて邪魔をするとマルに一言掛けて邸宅内に入ると、小物を抱えた蛍の姿がすぐに目に入った。蛍の方も室内に入ってきたアルハイゼンの姿を認めておはようと挨拶をする。
「アルハイゼン、もしかして今日はここを利用するつもりだった?」
「あぁ、少し書斎を借りたいのだが」
「書斎……」
2162「おや、アルハイゼン様。ようこそいらっしゃいました」
「何やら騒がしいようだが、何が起きている?」
「今日は蛍さんが模様替えを始めたようですよ」
なるほど、と知らずうちにしていた警戒を解いて邪魔をするとマルに一言掛けて邸宅内に入ると、小物を抱えた蛍の姿がすぐに目に入った。蛍の方も室内に入ってきたアルハイゼンの姿を認めておはようと挨拶をする。
「アルハイゼン、もしかして今日はここを利用するつもりだった?」
「あぁ、少し書斎を借りたいのだが」
「書斎……」
さまなし
DONE【ゼン蛍】好奇心は猫をも2023/02/24にTwitterに投稿した話です。
ゼン(+カヴェ)に猫耳が生えた話。
2023/03/14追記
ver3.5の風花祭にて、モナが「人の恋路を邪魔したら、イノシシに蹴られますよ。」との発言があったため、本文の最後のカーヴェの台詞「馬に蹴られる趣味はないんだ」を「キノシシに蹴られる趣味はないんだ」に変更しました。
【ゼン蛍】好奇心は猫をも 突然、アルハイゼンの頭に動物の耳が生えた。本当に突然過ぎてパイモンも蛍も驚きのあまり声も出せずにそれを凝視し、急に黙り込みおかしな表情をする二人にアルハイゼンは首を傾げた。
「どうかしたのか?」
「みっ」
「み?」
「みみ!! 耳が生えてるぞアルハイゼン!!」
「耳は元々あるものだろう」
「ちっがーう!! 頭!! 頭に猫耳みたいなのが生えてるんだよ!!」
パイモンが空中で地団駄を踏みながら今の状況を説明したが、アルハイゼンは言っている意味が分からないと訝しむ。蛍も言われた側なら同じ反応をしただろう。とにかくまずは自分の姿を確認してもらおうと鏡に誘導しようとしたとき、パイモンの声に反応したカーヴェが部屋から出てきた。
2961「どうかしたのか?」
「みっ」
「み?」
「みみ!! 耳が生えてるぞアルハイゼン!!」
「耳は元々あるものだろう」
「ちっがーう!! 頭!! 頭に猫耳みたいなのが生えてるんだよ!!」
パイモンが空中で地団駄を踏みながら今の状況を説明したが、アルハイゼンは言っている意味が分からないと訝しむ。蛍も言われた側なら同じ反応をしただろう。とにかくまずは自分の姿を確認してもらおうと鏡に誘導しようとしたとき、パイモンの声に反応したカーヴェが部屋から出てきた。
さまなし
DONE【ゼン蛍】それは嫉妬か、それとも2023/02/18にTwitterに投稿した話です。
【ゼン蛍】それは嫉妬か、それとも カーヴェが家に戻ると、既に陽が落ち始めている時間だというのに明かりが灯されていなかった。この家の主は今日一日家にいると聞いていたのだが出かけてしまったのだろうか。
まぁどちらでも鍵を持っている自分には関係がない。居ないなら居ないで静かに模型作りに精が出るものだ。と、勝手知ったるなんとやらで鍵を開けようとして、鍵がかかっていないことに気付く。不用心だなと思いつつ中に入ると、玄関からすぐの右手のソファに家主――アルハイゼンの姿を見つけた。外から見た通り明かりもつけず、しかし黙々と手にした本を読み進めているようだ。
確かにまだ読めない暗さではないが、集中しているからと言ってもこれはいただけない。スイッチに手を伸ばしながら小言を言ってやる。
2099まぁどちらでも鍵を持っている自分には関係がない。居ないなら居ないで静かに模型作りに精が出るものだ。と、勝手知ったるなんとやらで鍵を開けようとして、鍵がかかっていないことに気付く。不用心だなと思いつつ中に入ると、玄関からすぐの右手のソファに家主――アルハイゼンの姿を見つけた。外から見た通り明かりもつけず、しかし黙々と手にした本を読み進めているようだ。
確かにまだ読めない暗さではないが、集中しているからと言ってもこれはいただけない。スイッチに手を伸ばしながら小言を言ってやる。