Drunk off Side:KK 据え膳。
頭に燦然と輝くその三文字を、なけなしの理性でねじ伏せながらオレはため息をつく。
「あー。ためいきつくと、しあわせにげちゃうんだよぉ、けぇけぇ」
ろれつの怪しい甘ったるい声と共にまた一つ、頬に落とされる柔らかな感触。とんでもない幸福感と、とんでもない欲求不満で胸が(むしろ下半身が)グルグル熱を持ちそうになる。
ああ、どうしてこうなった。
暁人を晩酌に誘うにはさほど珍しいことじゃない。健啖家なアイツは飲ませてみてもけっこういける口で、しかも礼だと簡単な肴を作ってくれたりもするもんだから(これがまたうまい)一人酒を好んでたはずがついつい二人の酒宴は数が増えた。
今日もまた依頼人からちょっと良い酒をもらったから飲ませてやろうと仕事終わりに「付き合え暁人」と声をかければ、「やった、楽しみ」と二つ返事をよこした相棒にオレも機嫌が良くなった。
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