焦げ臭いと思った。その時は気にならなかったが、歩みを進めていくうちにどんどん臭いが強くなっていった。
廊下の開いた窓からの臭いかと思っていたが、そうではなかった……寮内からだと知ったのは自室の手前。そこで、彼は目を見開いた。
──部屋が焼かれていた! え……焼かれていた?
おかしな言葉を使っていると自嘲したが、自室に向かう前の隣とその隣が焦げており、ドアが半壊している。自分の部屋はどうなってるかと足を進めて、半開きのドアから確認すると、やはり焦げて焼かれていた。
……なんだこれは? と絶句していると、狙ったかのように背後から声をかけられた。
「事態の説明をしようか」
「……急に背後から話しかけないでください」
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