七海
Arasawa
DONE土足厳禁の学生時代。数え切れる程しかない二人の思い出の一つ。七海が風邪を引いたらしいから嫌々看病しに行ったら思っていたより辛そうで……?
土足厳禁を読んでなくても読めると思います。
この二人が少し遠い将来ゆっくり両想いになっていくことを思うとめちゃくちゃにんまりしてしまう😊
嫌いな後輩が風邪を引いたらしい「七海が風邪引いたって」
「ふーん」
「看病に行ってやんなよ」
「え、なんで?七海でしょ?なんとかなるでしょ」
「いいから行ってやんなって。風邪の原因はストレスもあると思うから」
「えー……」
ストレスが原因なら嫌い合っている私が看病なんかしにいったら逆効果じゃないのかなとは思う。けれど数ヶ月前に灰原を亡くし憔悴しきったあの七海の姿が脳裏を過ってしまい、硝子に言われるがままゼリー飲料数個を手に七海の部屋を訪れた。七海ならこういう時のためにゼリー飲料くらい常備してそうだけど……。
呼び鈴を鳴らしてしばらく待ったけれど物音はしない。寝てるのかな。もう一度鳴らして出なかったら帰ろう。固いボタンを再度押したけれどやっぱり物音はしない。……そもそも生きてるのかな。なんだか妙に心配になってきた。七海?と声を掛けるとドタ、と物音がした。いるんじゃん。足音の後ガチャ、と開いたドアを避けて中を覗き込む。マスクで覆われていない七海の目元は真っ赤で少し息が荒い。眉間の皺はいつも通りだ。
4149「ふーん」
「看病に行ってやんなよ」
「え、なんで?七海でしょ?なんとかなるでしょ」
「いいから行ってやんなって。風邪の原因はストレスもあると思うから」
「えー……」
ストレスが原因なら嫌い合っている私が看病なんかしにいったら逆効果じゃないのかなとは思う。けれど数ヶ月前に灰原を亡くし憔悴しきったあの七海の姿が脳裏を過ってしまい、硝子に言われるがままゼリー飲料数個を手に七海の部屋を訪れた。七海ならこういう時のためにゼリー飲料くらい常備してそうだけど……。
呼び鈴を鳴らしてしばらく待ったけれど物音はしない。寝てるのかな。もう一度鳴らして出なかったら帰ろう。固いボタンを再度押したけれどやっぱり物音はしない。……そもそも生きてるのかな。なんだか妙に心配になってきた。七海?と声を掛けるとドタ、と物音がした。いるんじゃん。足音の後ガチャ、と開いたドアを避けて中を覗き込む。マスクで覆われていない七海の目元は真っ赤で少し息が荒い。眉間の皺はいつも通りだ。
lemsa57
MAIKING大人五七のセフレ的なお話(描きかけ2ページですみません。。)都合のいいときに五条さんに抱かれる七海の葛藤を描くかと思いきやただのエッチシーンを描きたいだけの漫画です。。(後日続きかけたらTwitterやPixivにまとめたいなと思います) 2
kuonao
DONE夏油が高専を出てしばらく経った頃、七海が高専を辞めるきっかけになった話。五条が呪詛師を殺したという意味での事後、七海との初夜にのぞむまでの会話という意味での事前のとても薄暗い話です。
今はさよなら、僕の春 その日、僕は人を殺した。
思い出すのも癪なほど、胸糞の悪い案件だった。術式で意識を乗っ取った少女たちの尊厳を奪い、変態どもに売る。そんな罪を重ねて笑う、呪詛師を殺した。
未来しかない幼気な少女を餌食にする大人が一番嫌いだ。そういう大人が我が物顔で世の中を牛耳るせいで、いつだって犠牲になるのは力ない子どもたちなのだ。そんな大人たちが蔓延るせいで、灰原は殺された。
五条にとって、灰原の命と、名も知らない呪詛師は同じ価値ではない。
灰原には未来があった。あのまま成長すれば、きっとたくさんの命を救う呪術師になれたはずだった。そんな光の真ん中に居るような後輩と、夜闇に身を落とした呪詛師が、同じ価値があるはずがない。
4073思い出すのも癪なほど、胸糞の悪い案件だった。術式で意識を乗っ取った少女たちの尊厳を奪い、変態どもに売る。そんな罪を重ねて笑う、呪詛師を殺した。
未来しかない幼気な少女を餌食にする大人が一番嫌いだ。そういう大人が我が物顔で世の中を牛耳るせいで、いつだって犠牲になるのは力ない子どもたちなのだ。そんな大人たちが蔓延るせいで、灰原は殺された。
五条にとって、灰原の命と、名も知らない呪詛師は同じ価値ではない。
灰原には未来があった。あのまま成長すれば、きっとたくさんの命を救う呪術師になれたはずだった。そんな光の真ん中に居るような後輩と、夜闇に身を落とした呪詛師が、同じ価値があるはずがない。
kuonao
DONE記憶ありで転生してきた七海が最強として呪術界に幽閉されているところに、最強でなくなった五条が迎えにくる話昨日の逆夢 明日の正夢 七海はカミサマとやらの声を聞いたことがあった。まだ、この世に産まれ出るよりも前のことだ。
すでに痛みも意識すら曖昧な中、ツギハギの呪霊の手が胸に触れた。そして、ぼこり、と上半身が波打った瞬間、その声が聞こえた。
【汝、次の世で何を望む?】
脳内で反響したその音が、本当に神様かどうかだなんてわからない。死に際に見た幻覚だと言われれば、そうだとも思う。
ただ、消えゆく意識の中で、たった一人の親友だった男と恋人の安寧を願ったことだけを覚えていた。
生まれた時から、七海は違う人生の記憶を持っていた。まるで古いアルバムのような、色褪せた記憶。その中で、七海は親友に恵まれ、愛した人と恋人となり、そして戦いの中で死んだ。
17102すでに痛みも意識すら曖昧な中、ツギハギの呪霊の手が胸に触れた。そして、ぼこり、と上半身が波打った瞬間、その声が聞こえた。
【汝、次の世で何を望む?】
脳内で反響したその音が、本当に神様かどうかだなんてわからない。死に際に見た幻覚だと言われれば、そうだとも思う。
ただ、消えゆく意識の中で、たった一人の親友だった男と恋人の安寧を願ったことだけを覚えていた。
生まれた時から、七海は違う人生の記憶を持っていた。まるで古いアルバムのような、色褪せた記憶。その中で、七海は親友に恵まれ、愛した人と恋人となり、そして戦いの中で死んだ。
YuKiRyu0
DONE記憶ありで転生して最強になった七海が呪術界の奥深くに幽閉されているところに、最強でなくなった五条が迎えに来る話昨日の逆夢 明日の正夢 七海はカミサマとやらの声を聞いたことがあった。まだ、この世に産まれ出るよりも前のことだ。
すでに痛みも意識すら曖昧な中、ツギハギの呪霊の手が胸に触れた。そして、ぼこり、と上半身が波打った瞬間、その声が聞こえた。
【汝、次の世で何を望む?】
脳内で反響したその音が、本当に神様かどうかだなんてわからない。死に際に見た幻覚だと言われれば、そうだとも思う。
ただ、消えゆく意識の中で、たった一人の親友だった男と恋人の安寧を願ったことだけを覚えていた。
生まれた時から、七海は違う人生の記憶を持っていた。まるで古いアルバムのような、色褪せた記憶。その中で、七海は親友に恵まれ、愛した人と恋人となり、そして戦いの中で死んだ。
17102すでに痛みも意識すら曖昧な中、ツギハギの呪霊の手が胸に触れた。そして、ぼこり、と上半身が波打った瞬間、その声が聞こえた。
【汝、次の世で何を望む?】
脳内で反響したその音が、本当に神様かどうかだなんてわからない。死に際に見た幻覚だと言われれば、そうだとも思う。
ただ、消えゆく意識の中で、たった一人の親友だった男と恋人の安寧を願ったことだけを覚えていた。
生まれた時から、七海は違う人生の記憶を持っていた。まるで古いアルバムのような、色褪せた記憶。その中で、七海は親友に恵まれ、愛した人と恋人となり、そして戦いの中で死んだ。
ちょびを
DONEnot離反if高専卒業ほやほや五夏と、最終学年の七海
例の集落に居合わせた七海が当時を振りかえったり、傑が七海のバイトを手伝ったりする
再見する世界「似合わねぇよ」
「そう? 私はけっこう気に入っているけど」
カウンター越しに立つ夏油は、黒いシャツの上から黒のエプロン制服をつけている。からすの濡れ羽色をした髪を腰まで伸ばして、全身が黒につつまれるが、やぼったさは感じない。ガラス張りの壁から差しこむ朝日が、カフェ全体によさげな雰囲気を放つせいだろう。
「うさんくさすぎ。よくそれで面接通ったね。コネ採用?」
「七海の紹介だからね。コネ、になるのかな」
夏油はそういって体をかたむけて、五条の後ろに立つ七海に微笑む。
コネもなにも、急な任務が入ってシフトの穴埋めを頼んだのは七海である。感謝こそすれ、非難する筋合いはない。
「すみません夏油さん。五条さんも、勤務中のスタッフをくどかないでください」
6437「そう? 私はけっこう気に入っているけど」
カウンター越しに立つ夏油は、黒いシャツの上から黒のエプロン制服をつけている。からすの濡れ羽色をした髪を腰まで伸ばして、全身が黒につつまれるが、やぼったさは感じない。ガラス張りの壁から差しこむ朝日が、カフェ全体によさげな雰囲気を放つせいだろう。
「うさんくさすぎ。よくそれで面接通ったね。コネ採用?」
「七海の紹介だからね。コネ、になるのかな」
夏油はそういって体をかたむけて、五条の後ろに立つ七海に微笑む。
コネもなにも、急な任務が入ってシフトの穴埋めを頼んだのは七海である。感謝こそすれ、非難する筋合いはない。
「すみません夏油さん。五条さんも、勤務中のスタッフをくどかないでください」
choko_bonbon
DOODLE大人の七海さんの元へ、コーセン時代の若い七海君がやってきた!最終的に5×77(??)になる予定の導入です。
まずは7×7のターン。
業な成り行き①休日であることを考慮すると、その電話がかかって来たのは早朝と言って差し支えの無い時間だった。寝入ったのは殆ど朝方の時分であったため、当然のごとく眉間に皺が寄る。それを揉んで癒そうとする手の感触は、まさしく焼け石に水。なんとか布団の外に置いてある携帯へ手を伸ばせたのは、社会人である大人としての、なかば意地だった。
鳴っていたのは仕事用の携帯が。持ち上げたディスプレイに現れるのは、信頼する補助監督の名である。
彼なら絶対に、この時間は未だベッドに突っ伏しているだろうことを、簡単に予想してくれているはず。あの気遣いの彼が何故。その疑問は、それだけ緊急性の高い事案が起こっていることを知らせる。
ぐっと目を閉じ、血流を頭に回すイメージで、己の身体に覚醒を促した。
12062鳴っていたのは仕事用の携帯が。持ち上げたディスプレイに現れるのは、信頼する補助監督の名である。
彼なら絶対に、この時間は未だベッドに突っ伏しているだろうことを、簡単に予想してくれているはず。あの気遣いの彼が何故。その疑問は、それだけ緊急性の高い事案が起こっていることを知らせる。
ぐっと目を閉じ、血流を頭に回すイメージで、己の身体に覚醒を促した。
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TRAINING久しぶりに会社員七海と花屋の伊地知の話。少し遅めですが、バレンタインのお話。
チョコレートとハーバリウム。
花屋の君④「はい、これチョコレート」
頼んだ花束を受け取りに来た五条さんから出会い頭に有名チョコレートメーカーの袋を渡される。
「私にですか?」
「伊地知にというより、僕宛に届いたけど被ったからあげる」
「全部ご自身で食べれば良いのでは?」
「んー…僕甘い物好きで自分でも買っててさ。このチョコレートも貰ったので五個目なんだよね。だからあげる」
「分かりました。そういう事でしたら頂きます」
花束にリボンを結んで領収書を書く。書いている間、五条さんはキョロキョロあたりを見回していた。
「フラワーバレンタイン…花屋でもバレンタインの文化ってあんの」
貼り付けているポスターを見ながらこちらに問いかけられたので領収書を書く手を止めず答える。
3222頼んだ花束を受け取りに来た五条さんから出会い頭に有名チョコレートメーカーの袋を渡される。
「私にですか?」
「伊地知にというより、僕宛に届いたけど被ったからあげる」
「全部ご自身で食べれば良いのでは?」
「んー…僕甘い物好きで自分でも買っててさ。このチョコレートも貰ったので五個目なんだよね。だからあげる」
「分かりました。そういう事でしたら頂きます」
花束にリボンを結んで領収書を書く。書いている間、五条さんはキョロキョロあたりを見回していた。
「フラワーバレンタイン…花屋でもバレンタインの文化ってあんの」
貼り付けているポスターを見ながらこちらに問いかけられたので領収書を書く手を止めず答える。
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MAIKINGhttps://poipiku.com/4030160/6180186.html の続き。やっとうなじに噛み付くよ編。七海さんは適当に作った恋人(not夢さん)がいて、その恋人に電話でちゃちゃっと別れを告げてから噛みつきましたとさ。■Ωちゃんの項に噛み付くために、今カノに電話で別れを告げるα七海さんヒートを初めて迎えた彼女とそれにあてられた自分がやっと水分補給や休憩といったことに気を回せるようになったのは夜が明けて随分と経ってからだった。
ベッドの上でシーツの海に溺れるようにしてぐったり寝そべる彼女に口移しで水を飲ませる。口の端から鎖骨あたりにこぼれていった水を舐め取る仕草にまでヒクリと反応をするが、今はそれよりも疲労が勝っているように見えた。
生まれたままの姿の彼女をシーツで包み、胡座をかいてその上に後ろ向きに抱きかかえ、ずっと気になっていたことを問うてみた。
「ここ、噛み付かれたいとは思わないんですか?」
「っ……!」
彼女に覆いかぶさるようにして背後から抱きしめ、人差し指でうなじのあたりを何度も往復する。彼女の首には私が送ったチョーカーが巻き付いていて、不用意にうなじに噛み付かれないようになっている。
2770ベッドの上でシーツの海に溺れるようにしてぐったり寝そべる彼女に口移しで水を飲ませる。口の端から鎖骨あたりにこぼれていった水を舐め取る仕草にまでヒクリと反応をするが、今はそれよりも疲労が勝っているように見えた。
生まれたままの姿の彼女をシーツで包み、胡座をかいてその上に後ろ向きに抱きかかえ、ずっと気になっていたことを問うてみた。
「ここ、噛み付かれたいとは思わないんですか?」
「っ……!」
彼女に覆いかぶさるようにして背後から抱きしめ、人差し指でうなじのあたりを何度も往復する。彼女の首には私が送ったチョーカーが巻き付いていて、不用意にうなじに噛み付かれないようになっている。
4_haru100
DONEシャ白さんとの共同企画🍽5話目!
⚠︎ストレスに狂った七海がストレス発散のために五条に料理を食べさせる話です
⚠︎付き合ってないしロマンスの兆しはすごく微かです
⚠︎なんでも許せる方向け
■とびうお / クークー普通の先輩後輩みたいな、七海がそういう感じで思ってくれてたら良いな、なんて、つい先日思ったばかりのことが頭をよぎる。確かに思った、思ったけれど、じゃあ今この息苦しさはなんだろう。
「え?五条さん?」
いつも通り、七海の部屋に玄関からちゃんと来た。いつも通りじゃなかったのは、ドアを開けたのが家主じゃあなかったってところだ。
「猪野くん、じゃあまた今度……」
部屋の奥から言いかけた家主が、あと気が付いた様子で顔を上げた。入り口で立つ五条と、玄関を開ける猪野と、廊下から二人を見る七海。一同少し固まって、そうして一番最初に口を開いたのは自分だった。
「帰った方がいい?」
「は?」
「えっなんでですか!」
この部屋で誰かと出くわすことを考えていなくて、動揺する。頭が上手く回らない。いや、そうだよな別に誰かがいたって、帰ることないよなとようやく脳細胞が動き出した頃、猪野がドアを開けたままなことに気が付く。
3694「え?五条さん?」
いつも通り、七海の部屋に玄関からちゃんと来た。いつも通りじゃなかったのは、ドアを開けたのが家主じゃあなかったってところだ。
「猪野くん、じゃあまた今度……」
部屋の奥から言いかけた家主が、あと気が付いた様子で顔を上げた。入り口で立つ五条と、玄関を開ける猪野と、廊下から二人を見る七海。一同少し固まって、そうして一番最初に口を開いたのは自分だった。
「帰った方がいい?」
「は?」
「えっなんでですか!」
この部屋で誰かと出くわすことを考えていなくて、動揺する。頭が上手く回らない。いや、そうだよな別に誰かがいたって、帰ることないよなとようやく脳細胞が動き出した頃、猪野がドアを開けたままなことに気が付く。
4_haru100
DONEシャ白さんとの共同企画🍽3話目
⚠︎ストレスに狂った七海がストレス発散のために五条に料理を食べさせる話です
⚠︎付き合ってないしロマンスの兆しはすごく微かです
⚠︎なんでも許せる方向け
■ぜんざい / ポーポー今回も中々に厳しい戦いだと、またしても響く激しい音を背中で聞きながら五条は思う。「今日はスイーツを作ります」のひと言だけで七海の部屋に吸い寄せられている自分がなにかを言うのはもはや諦めるとして、それにしても、ストレス発散メシを自分に延々と食べさせるその理由は……?とそろそろ思わなくもない。また作ってよとは言ったけれど、今も昔もかわいい後輩をかわいがりたい気持ちも多分にあるけれど、しかし。
「五条さん」
「な〜に〜」
うんうん唸っていると背後から呼びかけられるので、思わず低い声が出る。なにかあると思ったのにその後が続かなくてあれと思う。振り返ると、相変わらず笑えるでかさのアイランドキッチンから七海がじっとこちらを見ていた。
2264「五条さん」
「な〜に〜」
うんうん唸っていると背後から呼びかけられるので、思わず低い声が出る。なにかあると思ったのにその後が続かなくてあれと思う。振り返ると、相変わらず笑えるでかさのアイランドキッチンから七海がじっとこちらを見ていた。
4_haru100
DONEシャ白さんとの共同企画🍽1話目
⚠︎ストレスに狂った七海がストレス発散のために五条にトンデモ料理を食べさせる話です
⚠︎付き合ってないしロマンスの兆しはすごく微かです
⚠︎なんでも許せる方向け
■パトゥルジャン・サラタスしくじったかもしれない、と珍しくも五条は自分の行いを振り返る。部屋に響き渡るのは斬撃の音で、それはキッチンからして良い音とはどうしても思えない。ソファで寛いていてください、と有無を言わせぬ微笑みでキッチンから追い出されて早二十分。
「ね、なにしてるの……?」
「料理です」
大人しく身を置いていたリビングのソファからキッチンを振り返って恐々尋ねるが、斬撃の音が大きくて微かにしか聞こえない。調理中の音とはどうしても思えないし、右手の動きが速すぎて、五条なら追えるが普通の人が見たらどうだろう。
七海の部屋は、己の体格に合わせて天井や扉や、浴室まで大きいものを選んでいたが、キッチンも例外ではなかった。
使用頻度には見合わない広々としたアイランドキッチンが、真面目に使用されているところを五条は見たことがない。先日侵入した時など、キッチンで立ったままハイボール片手に魚を焼いていた。あんまりだと思ったし、それはそのまま口に出ていた。盛大に煽った。
2673「ね、なにしてるの……?」
「料理です」
大人しく身を置いていたリビングのソファからキッチンを振り返って恐々尋ねるが、斬撃の音が大きくて微かにしか聞こえない。調理中の音とはどうしても思えないし、右手の動きが速すぎて、五条なら追えるが普通の人が見たらどうだろう。
七海の部屋は、己の体格に合わせて天井や扉や、浴室まで大きいものを選んでいたが、キッチンも例外ではなかった。
使用頻度には見合わない広々としたアイランドキッチンが、真面目に使用されているところを五条は見たことがない。先日侵入した時など、キッチンで立ったままハイボール片手に魚を焼いていた。あんまりだと思ったし、それはそのまま口に出ていた。盛大に煽った。
藤 夜
DONE教師×教師の平和軸pixiv掲載『巡る季節 巡る想い』より6月
お昼ご飯ぐらいひとりでゆっくり食べさせて欲しいと、いちやつくふたりにため息をつく七海視点のお話です。
【水無月】 焼けたばかりの香ばしいパンの匂いと、香しいコーヒーの匂いに囲まれて、地元のFM放送が控えめに流れてくる。晴れた日には燦燦と陽射しが降り注ぐテーブル席と、奥まった場所に数席のカウンター。合せても両手足で事足りる客席のこの店は、販売がメインで、飲食コーナーは焼きたてを食べたい常連客の要望で出来上がったらしい。短時間で軽食を済まして席を立つ営業マンもいれば、パソコンを開いてそのまま仕事をしているスーツ姿も見受けられる。おしゃれと言うには、物足りないのだろうが、私には不要な要素だし、美味しくて好きに時間を過ごせるパン屋なので、気に入っている店のひとつだ。当然、パンの味はどれもいい。
音を立てて降り出した雨に、パソコンもあるしもう暫くここで仕事をしようと鞄を手元に引き寄せた。
1581音を立てて降り出した雨に、パソコンもあるしもう暫くここで仕事をしようと鞄を手元に引き寄せた。
choko_bonbon
CAN’T MAKE──通知音五「もしもし、硝子? なに? どしたの?」
家「七海が怪我した」
五「は?」
家「ちょっと深手だ。早く来い」
──シュン!!
五「今日の現場、軽めだって聞いてたんだけど」
家「うわ、早いなオマエ」
からの、話。 2
ttbn_corle
DONEお疲れ七海におかえりなさい!バニーの日に書いた七五に書下ろしを追加。真夏のバニーちゃんと真冬のバニーちゃん的なお話。
WB「五条さん」
「んー?」
「万歳してください」
「なんで?」
「いいから」
「やだよ僕の手は今忙しいの、ってオイコラ、七海!」
仁王立ちの七海に見下ろされながら、五条は抗議の声を上げる。
「僕の」
アイスーと文句を言おうとした口へ、金属のスプーンが突っ込まれた。
五条が食べていたカップアイスの残りはあと一口分で、その全てが押し込まれたらしい。アイスを取り上げた犯人は彼の口へ中身を押し込み、カップと役目を終えたスプーンを背後のローテーブルへ投げるように置いた。
「手は空いたでしょう」
「空いたけどね」
「いいじゃないですか、万歳くらい」
「あ、なになに? 僕からシャツを脱がせたいとかそういう? やだー、七海のえっちー」
4389「んー?」
「万歳してください」
「なんで?」
「いいから」
「やだよ僕の手は今忙しいの、ってオイコラ、七海!」
仁王立ちの七海に見下ろされながら、五条は抗議の声を上げる。
「僕の」
アイスーと文句を言おうとした口へ、金属のスプーンが突っ込まれた。
五条が食べていたカップアイスの残りはあと一口分で、その全てが押し込まれたらしい。アイスを取り上げた犯人は彼の口へ中身を押し込み、カップと役目を終えたスプーンを背後のローテーブルへ投げるように置いた。
「手は空いたでしょう」
「空いたけどね」
「いいじゃないですか、万歳くらい」
「あ、なになに? 僕からシャツを脱がせたいとかそういう? やだー、七海のえっちー」
さかばる
DONEこちらもリクエストを強奪したお話です。雪山で裸で抱き合うってこれで合ってます!?ついでに七五っぽくないですね?これ。いや、七五は少年の頃は線が細く繊細そうな(中身は違う)七海が大人になって溢れる大人の色気を醸し出す男になるのが趣だから・・・・・・。
ホワイトブレス 五条が任務に向かったのは冬の、雪が降り積もる村だった。
村で何人もの死体が出ているという報告。そして人間でないモノ、恐らくは呪霊の目撃情報が寄せられた。その呪霊の祓除に担任の夜蛾から五条は指名されたのだった。隣には一つ下の後輩、七海がいる。この任務、五条が指名されたというより、七海のサポート役ということで振られたのだろう。夜蛾にはなるべく七海の自由にさせるよう予め言い含められている。五条はその事に不満は無かった。七海は良い術式を持っているし戦闘センスもあるので鍛えたら強くなりそうだった。ここは先輩として見守ってやろうという気持ちである。ただ、
「さっみぃ〜〜!」
真冬の夜で今も雪が降り続くこの現状が問題だった。補助監督の運転する車を降りて高専の制服の上に防寒着にマフラーを身につけたが寒いものは寒い。放っておくとサングラスの奥のまつ毛が凍りそうな気がする。
6494村で何人もの死体が出ているという報告。そして人間でないモノ、恐らくは呪霊の目撃情報が寄せられた。その呪霊の祓除に担任の夜蛾から五条は指名されたのだった。隣には一つ下の後輩、七海がいる。この任務、五条が指名されたというより、七海のサポート役ということで振られたのだろう。夜蛾にはなるべく七海の自由にさせるよう予め言い含められている。五条はその事に不満は無かった。七海は良い術式を持っているし戦闘センスもあるので鍛えたら強くなりそうだった。ここは先輩として見守ってやろうという気持ちである。ただ、
「さっみぃ〜〜!」
真冬の夜で今も雪が降り続くこの現状が問題だった。補助監督の運転する車を降りて高専の制服の上に防寒着にマフラーを身につけたが寒いものは寒い。放っておくとサングラスの奥のまつ毛が凍りそうな気がする。
しんした
PROGRESS3月の新刊予定の七灰。原作の世界観のまま、灰原くんが天使という設定。
灰原くんのターンはこの章で終わりです。次の七海視点でハピエンになります。
一応3月の新刊なので、七海視点の進捗はあんまり上げないかもです。
(おかしいところはまた書き直します)
天使は恋をしない③【天使は愛をささやかない】
修行が終わったあとのこと。
一人前の天使として、人々へ手を差し伸べる。たとえ、誰からも存在を認識されることがなくとも、ただひたむきにこの身を尽くす。
疑問を持ったことはなかった。それが、天使の存在意義だからだ。
けれど、気が付いてしまった。
忘れられる悲しみを。
そばにいられない切なさを。
*
幸か不幸か、次の日に七海との任務は入らなかった。寮の部屋は隣同士ではあるが、授業もなく食堂や共同の台所や顔を合わさずに過ごすことは以外と難しくない。日課のランニングは少し時間を早めればトレーニングへ向かう七海と出くわすこともなく、ちょっと部屋を出ようと思った時も、軋む床板や建て付けの悪い扉のお陰で、人の気配が完全に無くなってからそっと廊下を通り抜ければなんとかなる。
10145修行が終わったあとのこと。
一人前の天使として、人々へ手を差し伸べる。たとえ、誰からも存在を認識されることがなくとも、ただひたむきにこの身を尽くす。
疑問を持ったことはなかった。それが、天使の存在意義だからだ。
けれど、気が付いてしまった。
忘れられる悲しみを。
そばにいられない切なさを。
*
幸か不幸か、次の日に七海との任務は入らなかった。寮の部屋は隣同士ではあるが、授業もなく食堂や共同の台所や顔を合わさずに過ごすことは以外と難しくない。日課のランニングは少し時間を早めればトレーニングへ向かう七海と出くわすこともなく、ちょっと部屋を出ようと思った時も、軋む床板や建て付けの悪い扉のお陰で、人の気配が完全に無くなってからそっと廊下を通り抜ければなんとかなる。
ch6ee
DONEお疲れの七海は認知能力が落ちたりしてかわいい、とか幼い語彙を喋ってほしいな〜と思っています。そこまで働かせないであげてほしいです。※ネームレス健全夢です就眠儀式 ひどく疲れた出張だった。それでも予定よりも一日半早く終わり、日本にいる補助監督に有り余る無理を依頼しながら七海は飛行機のスケジュールを繰り上げさせ、今から間に合う最も早い東京行きの飛行機――羽田の終電ギリギリ時間になるだろう予約――の発券番号を手に機場に向かう。
預入荷物の奥に鈍の刃も仕舞われ、ついでにコートを預入荷物の隙間に詰め込んで預けてチェックインすれば、変更された予約はきちんと通り、薄い冊子にハンコを押され、数時間を過ごし――最終的に告げられたのは大雪での出発遅延のアナウンスだった。シャワーを浴びてなおイライラしながら七海はグラスを傾けながら続報を待つ。
ラウンジの新聞に飽きて適当に洋書を買い、文字を目で追いながら耳は順延のアナウンスを追う。まだ彼女にいつごろ帰れそうだ、だなんて通知を送っていなくて良かった。きっと彼女はそれを聞いたら起きて待っていただろうから、必要以上に待たされる体験は自分一人で十分だ、と七海は白く、他の情報を消してばかりの大きなガラス窓に視線を向けながら思う。
7496預入荷物の奥に鈍の刃も仕舞われ、ついでにコートを預入荷物の隙間に詰め込んで預けてチェックインすれば、変更された予約はきちんと通り、薄い冊子にハンコを押され、数時間を過ごし――最終的に告げられたのは大雪での出発遅延のアナウンスだった。シャワーを浴びてなおイライラしながら七海はグラスを傾けながら続報を待つ。
ラウンジの新聞に飽きて適当に洋書を買い、文字を目で追いながら耳は順延のアナウンスを追う。まだ彼女にいつごろ帰れそうだ、だなんて通知を送っていなくて良かった。きっと彼女はそれを聞いたら起きて待っていただろうから、必要以上に待たされる体験は自分一人で十分だ、と七海は白く、他の情報を消してばかりの大きなガラス窓に視線を向けながら思う。
8ma92taicho
TRAININGネタバレ:私もストーカーされる七海を書いてみたかった。七五です。切って、落とされる。前回までのあらすじ!
七海がストーカーされてる。
「で何?ラブレターと写真と出待ち?」
「そうですね、今日もいらっしゃいましたよ。まったく律義なことで」
七海がサイドチェストの一番上の引き出しを漁り、取り出したものを僕にポンと投げて寄越した。淡いピンク色の可愛らしい封筒が二つ。ただしその分厚さは全然可愛くない。
オマケにどちらも消印と住所の記載は一切なく『七海建人様へ』の六文字だけ。
昨今防犯上表札出さない家が増えたのに、住所どころかポストまで突き止めるとは中々根性がある。
封筒を逆さにすると中身がボスッと音を立ててシーツに受け止められる。
手紙の内容をざっと見るに、まあ予想通りというか、こいつが任務中に庇ったことでうっかり逆上せあがった一般人らしい。こいつといい傑といい、本当にこいつらそういうの多いよね。
2059七海がストーカーされてる。
「で何?ラブレターと写真と出待ち?」
「そうですね、今日もいらっしゃいましたよ。まったく律義なことで」
七海がサイドチェストの一番上の引き出しを漁り、取り出したものを僕にポンと投げて寄越した。淡いピンク色の可愛らしい封筒が二つ。ただしその分厚さは全然可愛くない。
オマケにどちらも消印と住所の記載は一切なく『七海建人様へ』の六文字だけ。
昨今防犯上表札出さない家が増えたのに、住所どころかポストまで突き止めるとは中々根性がある。
封筒を逆さにすると中身がボスッと音を立ててシーツに受け止められる。
手紙の内容をざっと見るに、まあ予想通りというか、こいつが任務中に庇ったことでうっかり逆上せあがった一般人らしい。こいつといい傑といい、本当にこいつらそういうの多いよね。
しんした
PROGRESS3月の新刊予定の七灰。原作の世界観のまま、灰原くんが天使という設定。とりあえず呪専で七海に正体がバレるところまでなんとか書けたのでモチベ維持のためupしました。
天使とは?の説明が多めかなと思います。
読み返してないんでおかしなところはスミマセン。またなおします。
天使は恋をしない①*
天使とは。
見護るもの。
手を差し伸べるもの。
分け隔てなく慈しむもの。
天使とは、誰かのために生きるもの。
【序章】
灰原雄は人間ではない。
修行中の天使である。
天使は神様からほんの少しだけ与えられた奇跡の力を使い、人間の手助けをする。そのために、天使は自分たちが庇護する人間という存在の、表と裏も光と闇も尊さと愚かさも知らなければならない。生まれたばかりの天使は神さまによって地上へ送られる。灰原もとある人間の夫婦の間に舞い降り、彼らの第一子として過ごしながら人間と人間が暮らす世界について日々学んでいた。
幼い天使のできることは、ほんの少しの奇跡の力を除くと人間の子どもと大差ない。灰原は優しい人間の両親のもと、ただの人間の子どものように穏やかな数年間を過ごした。
12432天使とは。
見護るもの。
手を差し伸べるもの。
分け隔てなく慈しむもの。
天使とは、誰かのために生きるもの。
【序章】
灰原雄は人間ではない。
修行中の天使である。
天使は神様からほんの少しだけ与えられた奇跡の力を使い、人間の手助けをする。そのために、天使は自分たちが庇護する人間という存在の、表と裏も光と闇も尊さと愚かさも知らなければならない。生まれたばかりの天使は神さまによって地上へ送られる。灰原もとある人間の夫婦の間に舞い降り、彼らの第一子として過ごしながら人間と人間が暮らす世界について日々学んでいた。
幼い天使のできることは、ほんの少しの奇跡の力を除くと人間の子どもと大差ない。灰原は優しい人間の両親のもと、ただの人間の子どものように穏やかな数年間を過ごした。
arenamexico023
DONE直哉WEBオンリーイベント展示漫画【社畜直哉くん】サラリーマンパロ
久しぶりに東京に来た営業マン直哉が、同じ会社の七海・脹相・真人と居酒屋で飲むお話。
ゲストで甚爾くん。
甚爾←←←直哉要素あり。
おまけで肌色っぽい絵もつけました。
関西弁はなんちゃってです。すいません。 11
獰。。
MAIKING支部で上げた、パン屋さんに出逢えなかったリーマン七海を拾った五条の七視点支部の方を読んでからでないと読みづらい不親切設計なのでよろしければそちらから読んでいただけると嬉しいです
支部→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16539882
昨今の飼い主は愛情が足りない見慣れない部屋の天井が目に映る。
ここは…と脳内を巡回するがぼんやりと生温い液体に浸されているようではっきりしない。
窓を見ると大分高い位置に太陽がいる。
まずい、寝過ごしたとがばりと体を起こすがそのまま横に倒れ込んでしまった。
なぜ、どうして、早くしないと、仕事が、と頭の中がこんがらがっていくがふと昨夜のことを思い出した。
長身に白髪、あの美しい碧眼を包帯で隠した五条悟。
ということは、ここは五条さんの家か…。
くそ…と悪態をつきながらゆっくりと辺りを見回す。バカみたいに広いベッドにモノトーンで揃えられたサイドテーブルとチェスト。その上には薬とゼリーと水。
バッグとスマホが見当たらない。
ベッドからゆっくりと降りて扉を出る。人様の家を勝手に歩き回るのは申し訳ないが扉を一つずつ開け確認していく。リビングのドアを開けると机の上で探しものを見つけた。
2749ここは…と脳内を巡回するがぼんやりと生温い液体に浸されているようではっきりしない。
窓を見ると大分高い位置に太陽がいる。
まずい、寝過ごしたとがばりと体を起こすがそのまま横に倒れ込んでしまった。
なぜ、どうして、早くしないと、仕事が、と頭の中がこんがらがっていくがふと昨夜のことを思い出した。
長身に白髪、あの美しい碧眼を包帯で隠した五条悟。
ということは、ここは五条さんの家か…。
くそ…と悪態をつきながらゆっくりと辺りを見回す。バカみたいに広いベッドにモノトーンで揃えられたサイドテーブルとチェスト。その上には薬とゼリーと水。
バッグとスマホが見当たらない。
ベッドからゆっくりと降りて扉を出る。人様の家を勝手に歩き回るのは申し訳ないが扉を一つずつ開け確認していく。リビングのドアを開けると机の上で探しものを見つけた。