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    両片想い

    izayoi601

    DONETLで8若の中国語版親愛台詞が凄いと拝見し確かめてみたら本当に凄かったので思わず書いた、ほせの寝込みに若が囁く超法です。普段大音量ボイスの若が吐息と共に声を掠れて発する一言で、特別な人間への多大な感情が伝わってきて妄想止まりませんでした…若の愛が強すぎる付き合ってない両片想い。もし宜しければ。
    たった一つの「法正殿……?」
     執務室を覗けば机に突っ伏し、微かに動く肩に思わず言葉を呑み込んだ。本当は耳に入れて置きたい報告があったのだが、今暫くは休ませておいてやりたい。このまま去ろうとも考えたが、どうも離れがたく密やかに距離を縮めてみる。指先は筆を持ったままとは、本当に仕事熱心であられるな。主君への恩為とはいえ、尊敬に値する。蝋燭に照らされ艶めく前髪の隙間から、意志の強い眉と長い睫毛が揺らぐ。
    一族の長になった瞬間から、復讐の為に只管戦うことが正義と信じてきた。その様な俺に、新たな居場所と共に守るべき主君を与えてくれたのだ。燻り消えかけた正義が、再び温かく松明を灯し猛り盛る。
    その辺りに放ってある布を拾い上げ、なるべく静かに平服姿でより薄く見える背へと広げた。その滑らかな黒髪に、指先でもっと触れてみたい。小さな吐息が漏れる唇に、月灯りに映える褐色の首筋に。何と欲深く、胸の奥から熱く魂が叫ぶのだ。軍師殿としての敬愛は、何時しか別の感情に変わっていたのだろう。
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    hanahune

    MEMO両片想い三忍数
    いつからか、彼らが訪れることを心待ちにしている自分がいる。
    はじめは彼らもぼくを警戒していたけれど、医務室の中に忍び込んできてからぼくに気がつくと「あぁ、きみか」と目元を和らげるようになって。「名前……なんていったっけ」と申し訳なさそうに眉を下げられて答えると「そうだった。ごめんな。……三反田数馬くん」と呼んでくれる声がとてもやわらかくて。それは雑渡昆奈門さんが伊作先輩を呼ぶ時みたいな穏やかな旋律。あの方がいらっしゃると先輩は嬉しそうに顔をほころばせるんだ。もしかして彼らの前ではぼくも同じ表情をしているのだろうか。顔に熱が集まって心臓が煩く音を立てる。落ち着かせようと胸に両手を当てると、先日手を握られた時の感触がよみがえった。落とし穴にはまったところを助けられたといういつもどおりの情けない話なのだけれども。「三反田くん?」と呼び間違えられることなく落とされた声は気遣わしげで、ぼくの手を掴んでくれた掌は厚くて固くて、でもぼくの腕が痛まないようにゆっくりと引き上げてくれた。ぼくの頬についた泥を拭いながら、制服の汚れを払いながら、乱れた髪を整えてくれながら、「怪我はないか?良かった……」と言った三人の微笑みはぼくの心臓をおかしくしたのだ。彼らを想うとなんだか恥ずかしいような楽しいような手足をバタバタさせて叫びたくなるような気持ちになって落ち着かない。でもやっぱり会いたくて、声を聞きたくて。できればまた触れたくて。今日もまたそわそわとした気持ちと共にぼくは医務室へと向かうのだった。
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    u2_wall

    DOODLE・星空デート(概念)してる麿水ちゃん(その2)
    ・水心子くん視点、まだくっついてない
     (前回の話から続いてますが単発でも読めます)
    ・pixivに上げている話と同じ世界線ですが読んでなくても大丈夫です
     (自覚あり×無自覚の両片想いという前提があるくらいです)
    本丸の裏手にある小高い丘の上からは、この辺りで一番綺麗な星空が見られる。
    少し前に親友から教えてもらったその場所で、水心子は雨上がりの夜空を眺めていた。

    昼間降り続いていた雨が上がり、今は雲の隙間から月と星が少しずつ見え始めている。このまま雲が散れば、今よりもっと美しい空に変わるだろう。待ち合わせをしている清麿が来る頃には、きっと丁度良い具合になっているはずだ。そうなることを期待してこの場所に呼び出したので、想定通りに行きそうで良かったと安堵する。


    水心子がこの場所を知ったのは、清麿が働き詰めだった自分を案じて息抜きにと連れてきてくれたことがきっかけだった。
    この本丸に来るより前、刀剣男士として顕現して間もない頃に見たどこかの時代の星空に対して「綺麗だ」と呟いたことを覚えていてくれたのだろう。書類仕事をしていたところに現れて、鮮やかな手際で見事に丸め込まれてそのまま引きずられてきたこの場所から見上げた夜空は、忙殺されて濁りきっていた視界が一気に開けたと感じるくらいに美しい景色だった。
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    海岸線

    PROGRESS5000文字くらい。作業中。もう少しコネる予定。

    「雪原に立つ」
    一時的に魔法舎を離れることになった晶くんと、その晶くんを世話すると言い出すミスラさんの話。
    ※ミス晶♂(両片想いくらい)
    雪原に立つ「雪原に立つ」
    一時的に魔法舎を離れることになった晶くんと、その晶くんを世話すると言い出すミスラさんの話。
    ※ミス晶♂(両片想いくらい)


    「許せない……」
     めずらしく語気を強めたアーサーに向かって、晶はなんと言うべきか悩んだ。
    「お、落ち着いてください。俺は大丈夫ですから」
    「落ち着いてはいます。……ただ、申し訳ありません、賢者様。私がいながら、このようなことに」
     昨日のことだった。晶は中央のグランウェル城に呼ばれ、中央のお役人相手に魔法使いたちとの任務についての詳細を説明していた。そのあとに簡略化されたパーティーがあり、賢者の魔法使いとしてアーサーと共に出席し、どうやらそのとき一時的に視力を奪う毒を盛られたらしいのだ。それに気づいたのはパーティーが終わり、アーサーと共に魔法舎に帰る途中だった。晶の目が急にかすんできて、視界が白くなった。それをアーサーに告げると、彼は狼狽えながらも迅速にフィガロのもとに晶を連れて行った。深夜に叩き起こされたフィガロは、尋常ではない様子の二人を見て驚いた。
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    BBD_6P

    MOURNINGハン→→←ルス(ハンルス?)
    花吐き(※嘔吐表現あり)両片想い/保護者コヨ/冒頭にハンとモブのからみがある
    ハンは黄色い花ばっか吐くんじゃないか…と思って試しに書いてみました。
    Yellow Belly(en) 臆病者

    2022/9/15 15:34 /fusetter /再掲
    Yellow Belly 1.
     絶好調を標榜して憚らない男がその病を得たのは単なる偶然だった。
     任地から離れた街にある静かなバーのスツールのうえ、グラスの底に残ったわずかなバーボンを楽しみながら帰宅の頃合いを窺っていた彼の背に見知らぬ男が手を触れた。剣呑な気配に振り向くと男は慌てたように手を放し、失礼、とごく簡単に詫びてみせる。失礼した…知った顔だと思ったものだから。
     誰だか知らないが口説かれるつもりはない。笑顔に拒絶を滲ませると、気圧されたように男は身を引いた。本当に違うんです…あなたには、他意も興味もありません。ただ、ただ…死んだ親友に…見えて…。
     それは予想以上に弱い口調だったので、彼は初めて相手の顔を見た。誠実そうな男だ。そして疲れている。清潔なシャツの襟は崩れ、タイを引き抜いた胸元は漂うアルコールに薄っすらと赤らんで、しかし秀でた額は蒼褪めていた。なおも迷惑を詫びつつ去ろうとする男の体がゆらりと傾いだのを思わず抱き留めたのは生まれ持った何かのせいだったが、その腕の中で件の男は口許を押さえ激しくせき込み崩れ落ちる。いささかの切迫感を以て名も知らぬ男に呼びかけ、脱力するからだを抱きなおしたそのとき、真夏の草原のようなにおいが立ち込めた。思わず見おろした足元には、淡い紫のアスターが降り積もっていた。
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