普段の喧騒は遥か遠く。明かりを落とした静かな部屋で、クラージィは窓辺に寄り、庭を眺めていた。
ノースディンの邸宅の広い庭は、きちんと整えられている。花壇には今の季節に咲く花は植えてないようだ。それでも植え込みの手入れの良さだけで、手がかかっていることは伝わってくる。
装飾用の灯りがあちこちに配置され、夜でもその姿を照らし出していた。光はほぼ青白い。季節に合わせて、置く物を多少入れ替えているようだ。今は雪の結晶の形をした反射板があちこちにきらめいている。白く光るウサギは植え込みの根元をほんのり照らしている。
「気に入ったか」
声をかけられて振り向くと、食後の片づけを終えてノースディンが来たところだった。
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