【ヴェラン】恋のレッスン 噂を聞いたのは、つい昨日のことだ。
――「ヴェイン副団長が恋をしてる」
俺は自分で言うのもなんだが、恋愛ごとに疎く、幼馴染みのヴェインが恋をしているなんて、微塵も気付いていなかった。
子供の頃から「ランちゃん、ランちゃん!」と後をついてきたヴェイン。
そのまま成長し、今は白竜騎士団副団長として、団長である俺を隣で支えてくれている。
ずっと俺を慕って、俺の傍にいたヴェイン。いつだって俺と居て、そうだ、休日だって朝から俺の部屋を掃除しに来るような男だぞ? 傍にいないと思えば、城下で子供たちと遊んでいたり、ご老人と料理をしていたり、ヴェインの周囲に年の近い女性の気配は全くなかった。
だから、ヴェインに恋をする時間があるなんて、これっぽっちも思っていなかったんだ。
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