【ヴェラン】「ひとすじの」 一週間の遠征を終えて、フェードラッヘ王城に戻った俺は、真っ先に陛下の元へ伺った。その場にランちゃんも居るかと思ったけど、不在だった。
陛下のおつかいで某伯爵家を訪問してるんだって。
「ざーんねん!」
副団長執務室で報告書を書きながら、うっかり呟いちまった。
だってさあ、ランちゃんが「おかえり、ヴェイン」って言ってくれると思ってたからさあ。
労いの言葉を掛けてくれるランちゃんは、いつも柔らかい笑顔を見せてくれる。
「よくやったな」と褒めてくれる気持ちと、「よく無事に帰って来てくれたな」って安堵の気持ちが混ざり合った笑顔。
その笑顔で俺も「帰ってきた」って思えるから。
まあそろそろ戻ってくるだろうから、そうしたら俺に顔を見せてくれるよな!
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