【ヴェラン】君の髪と君の恋「ランちゃん、髪伸びたなあ」
ヴェインが優しい手つきで癖の強い俺の髪にブラシを通す。
少し前まで低かった背が伸び、今はちょうど目線の高さが一緒になった。ブラシを握る手も小さな頃とは違う。
「ランちゃん〜」と伸ばしてきた手は、細い指で、でも手のひらはふくふくしていて、可愛らしかった。今じゃあ、指の太さなんて俺の倍はあるんじゃないか?
顔を上げると鏡越しに視線があった。俺が椅子に腰掛けているので、目線の高さは違う。
「ふふふ、俺は今、髪を伸ばしてるんだよ、ヴェインくん」
「え? なんで? 願かけとか?」
子供の頃からずっと短髪のヴェインが、鏡の中で首を傾げた。
長い付き合いで、髪が伸びるたび「鬱陶しいな。切ってくれよ、ヴェイン」と聞かされてきたから、そりゃ疑問も湧くよな。
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