好きって言って 眠る準備を済ませて部屋の電気を消すと、そこからは夜の時間だ。ベッドの上で肩を並べると、僕たちは布団の中に潜り込む。いつからか、こうして二人で夜を明かすことが、僕たちの習慣になっていた。彼の方に顔を向けると、僕はゆっくりと手を伸ばす。
こうして一緒に眠る時、彼はいつも背を向けてくる。僕の方を向いてくれるのは、僕が彼に背を向けた時だけだ。顔を合わせて眠るのは、観察されているみたいで恥ずかしいのだろう。とはいえ、スキンシップを取る時にはこちらを向いてくれるから、僕としても不満はなかった。
彼の背中に手を触れると、優しく上下に動かしてみる。少し骨張った背中の感触が、僕の手のひらに伝わってきた。今度は背中の中央に指を這わせて、背骨の上をなぞってみる。指に伝わる感触は人間と変わらないが、身体を支えているのは金属の骨組みだ。傷ひとつないしなやかな皮膚も、人の手によって作られた表面装甲でしかない。
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