抱き枕 冬は長い。夏の熱さも長いことで有名なのだけど、冬の寒さもそれに負けず劣らず長いのだ。十一月の終わりには姿を現し始め、入学式が始まる四月の頭まで続く。町に子供が溢れる春休みになっても、気温は凍えるように寒かった。
自分の部屋に向かうと、僕はそそくさと布団の中に入る。お風呂上がりの布団は、身体が熱を放っているおかげですぐに暖まるのだ。部屋は暖房をつけないことにしているから、ここでは布団の中だけが温もりを発している。柔らかな羽毛の感触に包まれると、もうそこからは出られなかった。
布団の中で寝返りを打つと、ルチアーノが僕の顔を覗き込んできた。ちょっと呆れたような表情で、真上から僕を見下ろしている。目と目が合うと、彼は小さな声で言った。
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