エイプリルフール「明日は、君ひとりで過ごしてくれ」
僕の元から帰るとき、ルチアーノは真面目な顔つきでそう言った。彼にしては珍しい、改まった態度である。胸に引っかかるものを感じて、僕も真面目に聞き返してしまった。
「どうしたの? そんなに改まって、何か大事なことでもあるの?」
僕の問いを受けて、彼はきひひと笑い声を上げる。にやりと口角を上げると、嬉しそうな声色で言った。
「君も、ずいぶん察しがよくなったものだな。そうだよ。明日の任務は、命がかかるものなんだ」
察しがいいなんて言われているが、分からないはずがないのだ。彼は、最初から僕に気づかせるつもりでこのような言動をしているのだから。
「命がかかってるって、ルチアーノは死なないでしょ。大袈裟なんじゃないの?」
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