デートの話ドフラミンゴは珍しく、外出先でも自然と口角が上がるのを自覚しながらティーカップを持ち上げた。
たとえ急な積雪で頼んでいた荷物──プレゼントの到着が遅れても、そもそも向こうからバレンタインをすっぽかされても、だ。なぜなら昨夜、出不精の猫が久々に「土曜日はデートしたいな」などと呟いたから。家で共に休日をまったり過ごすのもいいが、デートの誘いを断るなんてとんでもない。疲労が全部吹き飛んだ多忙な男は、ひとつ返事で「もちろんだ」と答えた。
(──外に出すと尚更カワイイなコレは)
バレンタインには間に合わなかったが、プレゼントはどうにか到着したので、家を出てくる前に手ずから付けてやったのだ。ゴールドの小振りなフープイヤリングが、ふわふわの巻き髪から覗いている。
1579