800
yorine2021
SPOILERネタバレ注意3巻って、殿下の心が花城に揺れるなぁと思うシーンが沢山あって。
お年頃の娘さんたちにモテても殿下一筋800年の花城好き。
想われてるなんて思ってなくて、面白くない気持ちになっちゃう殿下も好き。
gmksk
TRAINING800字朝菊 6日目 仕事が終わり、日本人設計士が作ったと言われるイタリア・ナポリの街を歩いている。自由で奔放な街ではあるが、昼間はスーツ姿のビジネスマンが多くオフィス街の雰囲気で包まれていた。昼間から陽気にグラスをかかげ、オープンカフェで歌を歌うイタリア人の姿はここにない。
地下駐車場へと向かおうとしたときに、赤いフェラーリが日本の隣にぴったりとくっついた。もちろん警戒し、胸元にしまいこんだスタンガンへと意識を向かわせる。そのまま歩みを止めずに気にしないふりをしていると、ウィンドウが静かに開いた。
「すみません、ミラノに行きたいのですが高速道路の入り口をご存じないですか?」
存外に、丁寧なクイーンズイングリッシュだ。その響きにぎょっとし、のろのろとついてくるフェラーリに目を向ける。イタリア君が好きそうな、スタイリッシュでデザイン性に溢れた車。その中に乗っていたのは、まさかと思うがイギリスだった。イギリスは日本と視線を合わせるとにやっと笑う。
1865地下駐車場へと向かおうとしたときに、赤いフェラーリが日本の隣にぴったりとくっついた。もちろん警戒し、胸元にしまいこんだスタンガンへと意識を向かわせる。そのまま歩みを止めずに気にしないふりをしていると、ウィンドウが静かに開いた。
「すみません、ミラノに行きたいのですが高速道路の入り口をご存じないですか?」
存外に、丁寧なクイーンズイングリッシュだ。その響きにぎょっとし、のろのろとついてくるフェラーリに目を向ける。イタリア君が好きそうな、スタイリッシュでデザイン性に溢れた車。その中に乗っていたのは、まさかと思うがイギリスだった。イギリスは日本と視線を合わせるとにやっと笑う。
gmksk
TRAINING800字朝菊 5日目 電車に乗り、空いている座席を見つけ周囲を「誰も座らないよね?」と見渡してから、そうっと座った。休日とはいえ帰宅ラッシュの夕方の電車はほどよく混んでおり、座席は埋まりつつあり立つ乗客の姿も見える。座ったと同時に、スマホを取り出した。これはもう、条件反射のようなもので、顔認証のスマホロックを外すとすぐにSNSフォルダに触れる。その中にある、紫だか赤だかよく分からないアイコンをタップするとインスタグラムが開かれ、適当に画面をスライドさせて投稿を見る。アカウントに鍵をかけた友人の一人が花屋に併設されたカフェに行った写真を載せており、次は彼氏と出かけた友人が浜辺で両手を空に向けていた。恋人と思しき男の手がぬっと画面の至近距離でピースサインを作るのが、実にわざとらしい。いいなあ、みんな充実しているな、と適当に「いいね」を付けながら見て回った。
1680gmksk
TRAINING800字朝菊 4日目 祖国は強い。どれほど強いかというと、国の化身なので当然「死なない」らしく、一度部下がナイフを持った犯人が引き起こした殺傷事件に巻き込まれたとき、庇って刺されたこともある。腹に刺さったままのナイフを素知らぬ顔でひょいと引き抜き、ポケットから丁寧に折りたたまれたハンカチで傷口をぬぐい、その三日後には「治りかけの傷は、相当痒い。痛いほうがまだマシだ」と呟いたくらいだ。いや、これは噂に盛大に尾ひれや背びれを付け、誇大脚色を加えたため実際にあったとは言い難いが、とにかくお強い方である。
彼が仕事をするダウニング街九と四分の三番地では、その一帯だけを黒々とした雨雲が覆っていた。局地的、いや、超局地的豪雨に見舞われた官邸内は、僕の職場でもあったのだがハチの巣をつついたような騒動が起きている。「重要書類はこっちに回せ!」「ビニールをかけろ、バカ。お前じゃなくてパソコンに、だ」と怒涛が飛び交う。
2036彼が仕事をするダウニング街九と四分の三番地では、その一帯だけを黒々とした雨雲が覆っていた。局地的、いや、超局地的豪雨に見舞われた官邸内は、僕の職場でもあったのだがハチの巣をつついたような騒動が起きている。「重要書類はこっちに回せ!」「ビニールをかけろ、バカ。お前じゃなくてパソコンに、だ」と怒涛が飛び交う。
gmksk
TRAINING800字朝菊 3日目 フランス・リヨンのパール・デュー・タワー近くの会議場にいた。主催国フランスはぼうっと天井付近を見つめており、何か考え事をするのに忙しい。彼が進行役を務め、今日の世界会議は開催されるというのに、ずいぶんな態度だな。とイギリスは横目をやり、そのままため息を吐いた。手元には最近読み込んでいる古い詩集と、会議前に用意したイギリス専用のカップとソーサが並んでいる。湯気の立つ紅茶を一口飲めば、お気に入りの香りが辺りを包み、気持ちがゆっくりと解ける心地がした。
議長席の隣に座るのは、日本とドイツだ。真面目を象徴する二国が補佐となるなら、今日の会議は期待ができる。イギリスが考えた通り、ドイツはフランスに進行表を渡して何かを告げ、日本は手元に広げた書類を手際よく仕訳けて、紙端を机に打ち付け揃えたあと、各国の化身に配っていた。
1571議長席の隣に座るのは、日本とドイツだ。真面目を象徴する二国が補佐となるなら、今日の会議は期待ができる。イギリスが考えた通り、ドイツはフランスに進行表を渡して何かを告げ、日本は手元に広げた書類を手際よく仕訳けて、紙端を机に打ち付け揃えたあと、各国の化身に配っていた。
gmksk
TRAINING800字朝菊 2日目 食器の擦れる音、ピッチャーからビールがジョッキに注がれる音、話し声、笑い声そのほかいろんなものが混ぜこぜになり、さらにアルコールもほどよく回って、明るい雰囲気が渦を巻くような空間で、大勢で飲んでいた。誰かがこぼしたのか、それとも元々の匂いなのか、ビールの匂いが部屋にはしみこんでいる。畳貼りの空間で、普段はパーテーションを使って区切る空間なのだろうが、一帯を貸し切りにしているため仕切りはなく、遠くの方までテーブルが続いていた。食べ物や飲み物が雑多に置かれ、時折グラスを持った学生が移動しながら、各所でわいわいとやっている。
隣のゼミ室との合同飲み会は、全員で五十人近くに膨れていた。中には全く関係がなく、「目当ての学生が出席するから」という理由で意気揚々と酒を傾けている者もおり、節操のない会になっている。簡単な自己紹介のあと、僕はトイレに立ったタイミングで三年生の集団の近くに座らざるを得ず「おい、飲みなさい」と軽い圧力を駆けられながらも、上級生と談笑していた。目の前にはカークランドさんがいて、留学生だというのに流暢な日本語を操る彼を、狙っているのだろう女の先輩が隣にいた。その反対側には、静かに酒を進めていく本田さんだ。彼は院生で、こんな場に来るタイプではないのに今回はきちんと出席している。同級生の女子が色めき立ち「本田先輩が来るなら行かなきゃ」と出席名簿に我先にと丸印を付けていたことを思い出す。
1796隣のゼミ室との合同飲み会は、全員で五十人近くに膨れていた。中には全く関係がなく、「目当ての学生が出席するから」という理由で意気揚々と酒を傾けている者もおり、節操のない会になっている。簡単な自己紹介のあと、僕はトイレに立ったタイミングで三年生の集団の近くに座らざるを得ず「おい、飲みなさい」と軽い圧力を駆けられながらも、上級生と談笑していた。目の前にはカークランドさんがいて、留学生だというのに流暢な日本語を操る彼を、狙っているのだろう女の先輩が隣にいた。その反対側には、静かに酒を進めていく本田さんだ。彼は院生で、こんな場に来るタイプではないのに今回はきちんと出席している。同級生の女子が色めき立ち「本田先輩が来るなら行かなきゃ」と出席名簿に我先にと丸印を付けていたことを思い出す。
gmksk
TRAINING800字朝菊 1日目 引き戸が開く音が玄関から響いてくる。次にガチャガチャとドアを弄る音がし、施錠したのだとイギリスは感じた。靴を脱ぎ、スーツが擦れる音がする。先ほどまでテレビを付けてはいたものの、夕方のニュースにパンダの誕生を報道するものがあり「可愛いなあ」と満ち足りた気分になったため切った。
静かな日本邸で、足音が近づいてくる。ローテーブルから立ち上がり、いささか早めで乱暴な足音の主を見るために廊下に出た。これは、相当疲れている。
「おお、ビンゴ」
その通り無表情で草臥れたスーツ姿の彼は、隈のできた瞳でイギリスを見上げる。「ああ」と低い声を出し「いらっしゃってたんですね」と目線を伏せて呟いた。手には鞄を持っており、随分と横に膨らんだそれは重たそうに腕から垂れ下がっている。すぐ、廊下の端に放られる。
977静かな日本邸で、足音が近づいてくる。ローテーブルから立ち上がり、いささか早めで乱暴な足音の主を見るために廊下に出た。これは、相当疲れている。
「おお、ビンゴ」
その通り無表情で草臥れたスーツ姿の彼は、隈のできた瞳でイギリスを見上げる。「ああ」と低い声を出し「いらっしゃってたんですね」と目線を伏せて呟いた。手には鞄を持っており、随分と横に膨らんだそれは重たそうに腕から垂れ下がっている。すぐ、廊下の端に放られる。
k_sarara
DONEヒュンマカフェ💜❤️デザートその1「今ここでお前に誓おう‼︎ マァムへの生涯の誓いのレアチーズケーキ」
ヒュンケル(ブルーベリーソース)とマァム(ストロベリーソース)の二人の心が永遠に結ばれた事を円環で表現したレアチーズケーキプレート、二人の絆はこの先どんな苦難が待ち受けようとも揺るがない…‼︎
お値段800G
高間晴
TRAINING敦太。ほんのりえろ。最早800文字の軛から解き放たれた私は自由。
たちの悪い酔っぱらい 太宰と同居しているアパート。敦は団扇片手にベランダで夜風に当たっていた。足元では蚊取り線香が橙色の火を灯している。
――太宰さん、今日は国木田さんや与謝野女医と飲みに行ってくるって云ってたけど……早く帰ってこないかな。
敦は酒も飲める歳になったが、単純に酒の味が好きではないので誘いを断って太宰を送り出した。でも今になって思うと、一緒に行けばよかったと思ってしまう。
すると玄関のチャイムが鳴った。こんな夜中に誰だろう、とベランダから部屋へ戻ると、再びチャイムが鳴る。そして国木田の声がした。
「おい敦! 早く出て来い」
なんで国木田さんが――?
そう思いながら敦は急いで玄関を開ける。其処には太宰の肩を担いだ国木田の姿があった。見れば太宰はぐったりしている。相当飲んだのだろう。
1719――太宰さん、今日は国木田さんや与謝野女医と飲みに行ってくるって云ってたけど……早く帰ってこないかな。
敦は酒も飲める歳になったが、単純に酒の味が好きではないので誘いを断って太宰を送り出した。でも今になって思うと、一緒に行けばよかったと思ってしまう。
すると玄関のチャイムが鳴った。こんな夜中に誰だろう、とベランダから部屋へ戻ると、再びチャイムが鳴る。そして国木田の声がした。
「おい敦! 早く出て来い」
なんで国木田さんが――?
そう思いながら敦は急いで玄関を開ける。其処には太宰の肩を担いだ国木田の姿があった。見れば太宰はぐったりしている。相当飲んだのだろう。
高間晴
TRAINING敦太のつもりで書いてたんだけど逆にしか見えねえ……字数はもう800字のルールを守るのは諦めました。
うれし涙 休日。敦と太宰は二人で海の見える公園へ来ていた。辺りを吹く潮風はもう夏のように涼やかではなく、少し肌寒いくらいである。
公園の入口近く。自販機を見つけた敦は笑うと、指で示した。
「太宰さん、喉渇きません? 何か飲みます?」
「ああ、私は珈琲がいいな。温かいやつ」
敦は「はい!」と満面の笑顔で頷いて、自販機へと駆け寄っていく。それを横目で見ながら、太宰は近くのベンチへ腰を下ろす。背もたれに寄りかかると、周囲を見渡した。公園は恋人たちや家族連れの姿で賑わっている。奥の方にはクレープのキッチンカーも来ていて、年若い女性たちの黄色い声が響いている。
――たまにはこういうのもいいなぁ。
太宰の頭に去来するのは過去に関係を持ったことがある女性たち。彼女らとデートでこんな処に来る、なんて無かったことだ。
1533公園の入口近く。自販機を見つけた敦は笑うと、指で示した。
「太宰さん、喉渇きません? 何か飲みます?」
「ああ、私は珈琲がいいな。温かいやつ」
敦は「はい!」と満面の笑顔で頷いて、自販機へと駆け寄っていく。それを横目で見ながら、太宰は近くのベンチへ腰を下ろす。背もたれに寄りかかると、周囲を見渡した。公園は恋人たちや家族連れの姿で賑わっている。奥の方にはクレープのキッチンカーも来ていて、年若い女性たちの黄色い声が響いている。
――たまにはこういうのもいいなぁ。
太宰の頭に去来するのは過去に関係を持ったことがある女性たち。彼女らとデートでこんな処に来る、なんて無かったことだ。
高間晴
TRAINING敦太。また800字をオーバー……お題ガチャで出たお題をお借りしました。
最凶のふたり「ん……うーん……」
――うちの蒲団、こんなに固かったっけ?
そんなことを思いながら敦は目を覚ます。目に映るのは白い天井。明らかに社員寮の見慣れた木目の天井ではない。畳の匂いもしない。そこではっとして敦は寝そべっていた床から飛び起きる。
「此処……何処だ!?」
見渡す限り白一色の手狭な部屋。出入口らしきものはドアが一つ。
「はぁい敦君、やっとお目覚めかい?」
太宰の声がしたので傍らを振り仰ぐと、何時ものコートを纏った痩身が其処に立っていた。
「太宰さん……何なんですか、此処。確か僕達、街を歩いていた筈じゃ」
「それがねぇ、私にもわからないんだ。私も突然背後から薬を嗅がされたと思ったら此処に放り込まれてたから」
1283――うちの蒲団、こんなに固かったっけ?
そんなことを思いながら敦は目を覚ます。目に映るのは白い天井。明らかに社員寮の見慣れた木目の天井ではない。畳の匂いもしない。そこではっとして敦は寝そべっていた床から飛び起きる。
「此処……何処だ!?」
見渡す限り白一色の手狭な部屋。出入口らしきものはドアが一つ。
「はぁい敦君、やっとお目覚めかい?」
太宰の声がしたので傍らを振り仰ぐと、何時ものコートを纏った痩身が其処に立っていた。
「太宰さん……何なんですか、此処。確か僕達、街を歩いていた筈じゃ」
「それがねぇ、私にもわからないんだ。私も突然背後から薬を嗅がされたと思ったら此処に放り込まれてたから」
高間晴
TRAINING敦太。800字を大幅にオーバーしてしまった。未だ知らぬ人 太宰が取引先へ書類を届けに行ったまま帰ってこない。なので、国木田は「あの唐変木を捜して連れて帰れ」と敦に言いつけた。
敦は仕方なく太宰を捜してヨコハマの街を歩く。
辺りは秋の気配で満ちていて、空気は吸い込むと肺の奥を少し冷やした。見れば、クレープの店には期間限定の栗味がある。それに街路樹の銀杏は黄色い葉を歩道に散らしている。行き交う人も半袖を着ているような人間は見かけない。
「秋だなぁ」
誰にともなく呟いた敦だが、はっと言いつけを思い出す。
――太宰さんを捜さなきゃ。
敦には虎の鋭い嗅覚がある。だから国木田は敦に太宰捜しを命じたのだ。
少し鼻腔をひくつかせると、捜していた匂いが漂ってきた。いつも思うことだが、あの人の匂いは何処か落ち着く。例えるなら花のように芳しく何処か甘い気がする。それは自分があの人のことを好いているからなのかもしれない。
968敦は仕方なく太宰を捜してヨコハマの街を歩く。
辺りは秋の気配で満ちていて、空気は吸い込むと肺の奥を少し冷やした。見れば、クレープの店には期間限定の栗味がある。それに街路樹の銀杏は黄色い葉を歩道に散らしている。行き交う人も半袖を着ているような人間は見かけない。
「秋だなぁ」
誰にともなく呟いた敦だが、はっと言いつけを思い出す。
――太宰さんを捜さなきゃ。
敦には虎の鋭い嗅覚がある。だから国木田は敦に太宰捜しを命じたのだ。
少し鼻腔をひくつかせると、捜していた匂いが漂ってきた。いつも思うことだが、あの人の匂いは何処か落ち着く。例えるなら花のように芳しく何処か甘い気がする。それは自分があの人のことを好いているからなのかもしれない。
松尾 水吉
INFO2021/08/3110月10日のオンラインイベント『キメラの宴』にて頒布予定のマス♂テド+KAITO本のサンプルです。スペース【あ 4】 A5 40ページ 800円
会場:https://pictsquare.net/9utop2t83c2wlmep04zy17zw7oa2lerk 8
cocTkawa
DONE雨垂 庇Bye-Bye Summer Days - HO4
────────────────────────────
生還したぞ~!ありがとうございました!!
庇の名前の由来は日除けになる「ひさし」のそのまんまです。
でも「庇う」とも読むのがそれっぽいな…ともなりました。
小さな恋の歌とか島唄とか、MONGLE800とTHEBOOMばっかり聴きながら立ち絵を描いた男 2
kabin9004
PROGRESS「結婚してくれRemustard」ダンユウ夫婦の再録本です
クリアしおり、コピー本(袋とじにポストカード)付
A5/148p
【通常版】800円
【特別版】1030円 別冊付き
9/27予約、10/10BOOTHにて配布予定です
再録しているお話は殆ど過去に投稿したものです→https://poipiku.com/IllustViewPcV.jsp?ID=355222&TD=3504696 34
ミシマ・A・トリ
DOODLE(※ネタバレなし)(※妄想あり)完岡(シシオカ)のともがら。
↓ちなみにうろおぼえで描いた「イボキョーダイ」Tシャツは実在します。買えます。
https://suzuri.jp/takeyuki800/409423/t-shirt/s/white #suzuri 9
空鳥ひよの
PROGRESSからあさ落書き漫画本「烏の幸せな朝」より、書き下ろし落書き漫画から1P。時旅人ETの時追人回よりもっと先の話になります。
落書きで出したかったんです…。
全94Pとなりました!9/25開催のOPVRに参加予定なので、そちらで初出しします。ポスカ2枚付けて多分800~900円かなあって感じ…です…わからん…。
からあさの薄くて厚い本お待ちください。
ア之助
INFO8月1日pictSQUAREで開催予定のパバステ3で頒布予定の新刊の冒頭サンプルです。当日はネップリとおそらくペーパーラリーもあると思います……!!!
オレンジう6 アミィノ酸でお待ちしてます〜!
JUST LOOK THE FUTURE/A5/60p/¥800 13
potetittu
MOURNING800字チャレンジで一本書いてみたSKLのSS。プレストーリーを参考にしてます。書いた本人はカップリングは特に考えずにやってますけど、どうなんでしょうね……。バードのついでに供養しておきます雨 パイルダーの外からの音が海動の眠りの邪魔をした。どうやら夕立のようで先程までの静けさから打って変わり激しい雨が叩きつける。
「起きたのか」
オート操縦で計器を眺めていた真上が背後の気配を感じ振り返る。
「今どの辺飛んでんだ?」
欠伸をしながら海動はモニターを小突くように操作し始める。
「熱帯エリアに入った所だ、あと10分ほど北上すれば合流地点に着く」
「どおりで。いくら頑丈なパイルダーでもよちと心配になるぜ、由木には?」
「経過報告は済ました」
「お前には小言ないんだよなアイツ」
シートに深く身体を沈め、眠りに入る前のことを思い返す。なんだっけなとフロントガラスに目を向ければスコールの降りしきる外にガラクタが散らばっていた。今回の出撃はカイザー無しの生身での潜入作戦だったため二人が生み出した物ではない。それ以前からあったであろう残骸だった。
830「起きたのか」
オート操縦で計器を眺めていた真上が背後の気配を感じ振り返る。
「今どの辺飛んでんだ?」
欠伸をしながら海動はモニターを小突くように操作し始める。
「熱帯エリアに入った所だ、あと10分ほど北上すれば合流地点に着く」
「どおりで。いくら頑丈なパイルダーでもよちと心配になるぜ、由木には?」
「経過報告は済ました」
「お前には小言ないんだよなアイツ」
シートに深く身体を沈め、眠りに入る前のことを思い返す。なんだっけなとフロントガラスに目を向ければスコールの降りしきる外にガラクタが散らばっていた。今回の出撃はカイザー無しの生身での潜入作戦だったため二人が生み出した物ではない。それ以前からあったであろう残骸だった。
case669
MAIKING40.傭兵砦の夜最初の一行が書きたかっただけのビクフリ散文。なんかちょうど800字くらいだし…って
いくら香油のぬめりをまとっても粘膜をひっかける荒れた指先が怯えた小動物のようにそっと中を探る。がさつな風来坊の名を欲しいままにする男が見せるそんな小心ぶりにふと、笑いが漏れる。それに気付かぬビクトールは真剣な顔で熱心にフリックの内側を確かめていた。今日が初めてというわけでも無いのにこの一時だけはいつまで経っても変わらない。もう一本、太く乾いた指先が入り口へと押し当てられ、伺うようにフリックを見たところで初めて笑われていることに気づいたビクトールの眉が顰められる。
「……なんだよ」
「いや。……毎度毎度、よく飽きないなと思っただけだ」
馬鹿にされたのはわかったらしい。ふん、と鼻を鳴らしたビクトールがフリックの腰骨に柔く噛み付き、それと同時にぐぅ、と指が押し込められる。増す圧迫感、自然と押し出された吐息が湿っていた。
885「……なんだよ」
「いや。……毎度毎度、よく飽きないなと思っただけだ」
馬鹿にされたのはわかったらしい。ふん、と鼻を鳴らしたビクトールがフリックの腰骨に柔く噛み付き、それと同時にぐぅ、と指が押し込められる。増す圧迫感、自然と押し出された吐息が湿っていた。
オルト
TRAINING800文字成人済み22世紀蕎麦屋タイカケ
付き合ってる「カケル、なぁ、いいだろ……?」
「だ、ダメだって……」
「なんで……? 俺のこと、好きじゃなくなった?」
泣きそうな顔で迫ってくるタイガくん。俺は首を横に振る。好きじゃなくなるなんてこと、絶対ないよ。好きすぎて困ってるくらいなんだから。
「じゃあ、なんでダメなんだよ」
タイガくんは、俺のシャツのボタンに手を掛けながら言う。俺は慌ててタイガくんの手首を掴んで、動きを止めようとするが、力が強くて叶わない。あの頃のタイガくんとは違う事を、改めて感じさせられる。
「ねぇお願い、待ってタイガくん」
「待てねぇ」
「いい子だから、ね?」
「子供扱いすんな。おめぇが、エロいのが悪いんだからな!」
そんな無茶苦茶な……。タイガは顔を真っ赤にして、今にも泣き出しそうだ。幼いころに、おねしょが俺にバレた時の事を思い出す。泣きながら干された布団の前に立って、違うんだと必死に訴えていた姿は可愛かった。
そんなタイガくんが、大人になって、俺の事を……。
「ねぇ、わかった、場所を変えよう? ほら、家の中にシンちゅわんもお父さんもお母さんもいるし……ね?」
「声、我慢すればいいじゃん」
「ん、う~ん!」
831
時緒🍴自家通販実施中
TRAINING時間がない中で愛し合おうとする狡噛さんの話。800文字チャレンジ100日目。
お付き合いありがとうございました!
タイムリミット(あなたを愛する時間) 時間がない。だからといって手抜きはしたくない。たっぷりいつものように時間がかけられないとはいえ、彼を愛するのに手を抜きたくはない。そんなことを思いながら俺はギノに口付けを落とす。キスだけで終わっておく? あとは夜にとっておく? それとも短い時間を共にしてから出勤する? 俺は悩みながら、静かに身を寄せるギノを抱きしめた。彼は俺にされるがままにされている。少しくらい出勤が遅れてもかまわないとでも思っているのだろうか? 俺はそんなことを思って、そんなことあるはずがないとも思った。彼は仕事に関してはストイックで真面目だ。こんなことが許されるはずがない。以前だってこんな時に始めようとしたら、左で殴られたことがあった。彼は少し性欲が淡白で、キスだけで満足できるところがあるのだ。ただ触れられたらそれでいい、そう考えるところが。だからこうやってキスをしているのも、大した意味はないんだろう。セックスに繋げようなんて、そんなこと絶対に考えていない。セックスなんて夜にする深い営みくらいにしか思っていない。俺はそれを悔しく思う。急げば出勤までに間に合うのに、彼はそれをしてくれないと。
991時緒🍴自家通販実施中
TRAININGお墓参りをする宜野座さんのお話。何かが変わってゆく様子。800文字チャレンジ99日目。
ただ、君を待つ(二度と離さない) 狡噛がいなくなって数年が経った。だというのに俺はまだ彼を待っていて、自分から別れを告げたくせにまだ待っていて、海外に派遣されることはないかとか、共同捜査にあたることはないかとか、そんなことばかりを考えていた。そんな俺を常守は見ていられないようだった。考えてみれば、彼女が別れの時間を俺に渡したのだから、そう思うのも仕方がないのかもしれない。彼女は俺が撃てないことを、狡噛を殺せないことを知っていた。そしてその代わりに別れを告げることも。だから俺は彼女についてゆこうと決めたのだが、それでも彼女にはひどい役目を課していると思う。俺が知らない何かを知っている彼女は、今日だって局長室に呼ばれて行った。何かが動いているのは分かっていた。先日は外務省から花城フレデリカがやって来たし、口の堅い須郷を口説き音して聞けば、外務省に新しい部署を作るにあたって求められた、とのことだった。何かが動き出していた。俺が何も知らない何かが。俺が何も知らないのは、いつだって同じことだった。いつだって俺はただ転がる球で、跳ねては物事の本質を知る人々に笑われていた。出世が見込めるときはそれでも満足していたが、それがなくなった今ではどうしていいのか分からない。執行官が下手に動けば上司である監視官が処罰される。だから俺は、ゴム毬のように、ずっと跳ねているしかないのだろう。
966時緒🍴自家通販実施中
TRAINING仕事でミスをした狡噛さんと怒る宜野座さんのお話。800文字チャレンジ98日目。
ミステイク(ヒューマンエラー) ギノの機嫌が悪いのは、俺が仕事でミスをしたからだ。それもどうとでもなる、小学生でも見つけられるミスをしたからだ。彼は仕事には厳しい男で、そういうのを嫌う人間だったから、俺は絶賛無視をされている。どちらが子供っぽいかは分からないが、彼の腹の虫が治まるまでは、俺は一言も口をきけないだろう。けれど波は俺になびいてきている。花城はさっきからいらいらしているし(仕事中に喧嘩をするなと言いたいんだろう)、須郷も気遣わしげだ(彼は誰かが喧嘩をしていると収めようとするところがあった)。だからここでギノが俺を許してくれれば全ては丸く収まるのだが、まだそれはうまく行きそうになかった。それくらい、彼は強情だったのだ。笑ってしまうくらいに。
897時緒🍴自家通販実施中
TRAINING寝ずの番をする二人の話。800文字チャレンジ97日目。
このまま夜明けまで(あなたと二人なら) 犯人と見られる人間がバーチャルの売春宿に入って数時間が過ぎた。俺とギノはパトカーをホロで隠してそれを伺っている。裏には二係がいる。今回は大規模な捜査で、失敗するわけにはいかなかった。だというのに、俺はギノとともに夜を過ごしていることを喜んでいた。彼が潜在犯とともに過ごすことを喜ぶかどうかは分からない。ただ恋人だった期間が長かった分、甘い雰囲気は流れた。また一緒にいたい。許されるなら一緒にいたい。でもその選択肢を捨てたのは俺だった。ギノは情が篤い男だから、潜在犯になっただけで俺を捨てはしない。彼が俺と距離をとっているのは、俺が佐々山を殺した犯人に、いもしない犯人に夢中になっているからだった。それに色相だってそんなに悪くはないんだ。もし矯正施設でプログラムを受ければ一般人に戻れるかもしれないくらいに。けれどそれを勧めるギノを拒否して、俺は彼とともに働いている。
984時緒🍴自家通販実施中
TRAININGうとうとする狡噛さんのお話。800文字チャレンジ96日目。
not awaken(ねんねこねんねこ) 狡噛が寝入っている時の顔を見るのが好きだ。密集して生えたまつ毛が影を作って、それは少し歳を重ねて痩せた頬に影を作る。形のいい鼻筋には癖っ毛がかかり、薄く開いた唇は小さく開閉している。狡噛はあまり眠りが深くないから、こういうのを見せることは少ない。長い間一緒に寝ているけれど、これで二度目くらいだ。だから俺は深く観察する。美しく滑らかな頬、かさついてもなだらかに膨らむ唇、そしてゆっくりと開いてゆく青い瞳。俺は青い瞳が一番好きだ。そこに自分が映るのが一番好きだ。かすれた声でギノ、と呼ばれるのが一番好きだ。彼がそばにいればなんだっていいんだけれど、彼が俺を確認するさまが好きなのだった。
「……何時間寝てた?」
944「……何時間寝てた?」
時緒🍴自家通販実施中
TRAINING狡噛さんの癖について。800文字チャレンジ95日目。
癖(あなたの好きなところ) 狡噛は唇をいじる癖がある。考え事をする時それは頻繁になって、それはよくある癖なのに、俺はそれが気になってたまらなくなる。唇。言葉を発するところ、唇同士を重ね合わせて愛情を伝えるところ、苦しそうに、気持ちよさそうに声を出すところ。俺はそんなことを想像してしまって、彼がブリーフィングルームで新しい事件のファイルを見ているのに目をやれなかった。ただ唇をいじっているだけなのに、花城だって、須郷だって同じ仕草をすることがあるのに、狡噛のそれは俺に取って毒で、甘くて、ほとんど致死量なのだ。認めたくはないことだけれど。狡噛はそれを知っているのだろうか? 心臓の動きが活発になって、体温が上がる。狡噛と視線が合う。彼はゆっくりと舌で持って唇を舐める。セックスをしている時みたいにゆっくりと、俺の唇を舐める時みたいにゆっくりと。
920時緒🍴自家通販実施中
TRAININGベッドの上での2人。800文字チャレンジ94日目。
気まぐれな熱情(どっちも同じ) かさついた指があごをくすぐる。手のひらが喉仏をさすって、それはだんだんと胸元に下がってゆく。俺はもうほとんど服を着ていなくて、彼は直接俺の肌に触っている。セックスは嫌いじゃない。肌と肌を合わせるのは嫌いじゃない。けれど彼の気まぐれなそれには驚いてしまう。こうやって気まぐれに彼が俺を抱く時、彼は何かを抱えている。俺に言えない何か、機密として秘することを強いられている何かを彼は持っているのだ。だから彼は俺に触る。そうしたら楽になるような気がして。そうしたら秘密を持つ苦しみから逃れられるような気がして。そんなの幻なのに、彼は俺を使って楽になろうとする。俺はそれを拒まない。彼が楽になるのなら、楽になった気分になるのならそれでいい。だって俺も同じようなことをするから。楽になろうとして彼に抱かれることがままあるから。
939時緒🍴自家通販実施中
TRAINING狡噛さんの教室で宿題をする2人のお話。800文字チャレンジ93日目。
ホームワークが終わらない(誰もいない教室) 狡噛の宿題が終わらないことは、本当に滅多にないことだった。いつもはホームルーム中にさっさと終わらせてしまうのに、今日は何故かそれをしなかったらしい。クラスの役員か何かを引き受けさせられたのだろうか? 俺はそんなことを聞いていないから想像なんだけれど、何かあるような気がした。だから俺は狡噛のクラスで一緒に居残りをして、同じように違う宿題をした。するとどうしてかクラスメイトになった気分になって、他に誰もいない、もう皆帰ってしまった教室でタブレットを操作した。
「すまないな、忘れる前にやっときたくってさ。ギノは遊んでくれてていいんだぜ」
狡噛はそう言った。でもそう言われて遊ぶほど俺は怠惰じゃない。友人が勉強しているんなら俺も勉強するさ。
811「すまないな、忘れる前にやっときたくってさ。ギノは遊んでくれてていいんだぜ」
狡噛はそう言った。でもそう言われて遊ぶほど俺は怠惰じゃない。友人が勉強しているんなら俺も勉強するさ。
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TRAINING結婚式の警護をする行動課の話。800文字チャレンジ92日目。
ジューンブライド(指輪の交換) 梅雨の季節になると、ぱらぱらと雨が降る中結婚式を挙げるカップルが増える。それはジューンブライドの弊害だが、雨に降られる彼らはどこか誇らしげで、今回そんな結婚式の警護に当たることになった俺は、昔した約束を思い出していた。まぁ、くだらない約束だ。結婚式は何月がいい? 俺は六月がいい。雨の中でもきっとギノは綺麗だから。狡噛はそんなふうに言って、その約束はまだ果たされないのだが、まぁ、子どもの頃の約束とはそういうものなんだろう。もしかしたら彼も忘れているかもしれない。結婚式についてなんて、ありきたりな熱っぽい時期の約束だから。
「雨が降り始めました。滑らないよう気をつけてください」
俺は新婦たちにそう言いながら彼女を庇う。彼女は海外調整局のお偉方の娘で、その伝手で俺たちが警護にあたることになっていた。念のためだが恨みを買っている可能性もある。俺たちを手駒にして動かすことをなんとも思わない人間の娘なのだからそれも仕方がないのだろう。
968「雨が降り始めました。滑らないよう気をつけてください」
俺は新婦たちにそう言いながら彼女を庇う。彼女は海外調整局のお偉方の娘で、その伝手で俺たちが警護にあたることになっていた。念のためだが恨みを買っている可能性もある。俺たちを手駒にして動かすことをなんとも思わない人間の娘なのだからそれも仕方がないのだろう。
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TRAINING海外で過去の約束を思う狡噛さんのお話。800文字チャレンジ91日目。
壊れた約束(あなたのために) ずっと一緒にいるから、そんな約束をしたのは、俺たちがまだ日東学院にいた頃だった。その言葉は存外にするりと出てきた。俺はギノを喜ばせたくて、彼の家庭環境を知ってそう言った。ずっと一緒にいるから、一人にはしないから、だから俺の手を取ってくれないか。そんなふうに、映画みたいな台詞を使った。今ではバカだったと思うがあの時は本気だったし、恋愛における約束というものは大体そんなものなのだろう。
俺がその約束を破ったのは、きっと執行官堕ちをしてからだ。もしあのまま、平穏なまま時が過ぎ去っても、一生執行官として生きるしか術がなかった俺と、公安から厚生省に上がる約束があったギノじゃあ上手くはいかなかっただろう。青柳とその恋人がそうだったように、俺もあんなふうに終わっていたかもしれない。俺の場合は槙島がそうさせたが、また違った事件で独断専行をして、彼から離れたかもしれない。そして今は海外を放浪している。これじゃあ一緒にいるどころか、他の国に渡航してしまって同じ言葉も喋れない。
942俺がその約束を破ったのは、きっと執行官堕ちをしてからだ。もしあのまま、平穏なまま時が過ぎ去っても、一生執行官として生きるしか術がなかった俺と、公安から厚生省に上がる約束があったギノじゃあ上手くはいかなかっただろう。青柳とその恋人がそうだったように、俺もあんなふうに終わっていたかもしれない。俺の場合は槙島がそうさせたが、また違った事件で独断専行をして、彼から離れたかもしれない。そして今は海外を放浪している。これじゃあ一緒にいるどころか、他の国に渡航してしまって同じ言葉も喋れない。
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TRAINING廃棄区画での話。どこで寝ても同じ話。800文字チャレンジ90日目。
目を閉じておいでよ(全て同じ) 何にも知らない恋人に、何もかもを教えた気がする。手の繋ぎ方、口付けの仕方、抱擁の方法、それからどうやってセックスをするのか。なのに想いを伝える方法は教えなかったのだから屈折している。俺は彼が俺以外では失敗すればいいと思っていて、わざと恋人の作り方を教えなかった。俺以外では失敗するように、そんなふうに何もかもを教えた。彼がそれを知っていたかどうかは分からない。純粋な性格だし、案外気づいていないかもしれない。でも気づいていたら、俺はどう思われていただろう。独占欲の強い恋人だろうか。別にそれでもいいが、嫌われたくはない。
「痴情のもつれの上での殺人ねぇ……」
縢が珍しそうにぼろぼろになった男の残骸を見つめた。監視官であるギノは、色相悪化を避けるためパトカーで待機している。俺たち猟犬が推理をし、それを献上するのがいつものパターンだった。
877「痴情のもつれの上での殺人ねぇ……」
縢が珍しそうにぼろぼろになった男の残骸を見つめた。監視官であるギノは、色相悪化を避けるためパトカーで待機している。俺たち猟犬が推理をし、それを献上するのがいつものパターンだった。
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TRAINING職場でのイチャイチャ。800文字チャレンジ89日目。
触れた指先(それはあなた) ギノの身体はどこもかしこも美しい。頭のてっぺんからつま先まで、どこまでも美しい。それは誰もが知るところだろうが、それに触れられるのは俺だけだということは、この強い独占欲を満足させた。彼のうなじ、唇、人が望むところ全てに俺は触れることが出来る。ギノは俺の欲望を満たしてくれる。決して拒否なんてしない。俺はそれに満足していて、そしてこれからもそうであってくれと願っている。
「狡噛、その……」
コーヒーを片手にサーバー近くでのんびりしていると、ギノが言いづらそうに俺に切り出した。一体何なんだろう。俺は何かしでかしたか? そんなことを思いながら自分の手を見ると、彼の髪をくすぐっていることに気づく。もしかしてこれだろうか? いつもの癖でやってしまったが、さすがに職場ではまずかっただろうか。
883「狡噛、その……」
コーヒーを片手にサーバー近くでのんびりしていると、ギノが言いづらそうに俺に切り出した。一体何なんだろう。俺は何かしでかしたか? そんなことを思いながら自分の手を見ると、彼の髪をくすぐっていることに気づく。もしかしてこれだろうか? いつもの癖でやってしまったが、さすがに職場ではまずかっただろうか。
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TRAININGくだらない喧嘩をしちゃった二人の仲直りのお話です。800文字チャレンジ88日目。
他愛のない喧嘩(仲直りの方法) 別に大した理由があったわけじゃない。そんな大した理由があっての喧嘩じゃない。かといって、他愛のない喧嘩と言われればそうじゃない。それなりに真剣に喧嘩をしたと思う。狡噛は哲学書を引用して俺を責め、俺は過去の彼の不出来を持ち出して責めた。どちらも本気の喧嘩だった。喧嘩の原因はそうだ、多分食事後の皿をそのままにしていた狡噛を俺が注意したのが始まりだったのだけれども。あぁ、これじゃあ他愛のない喧嘩か。
「あなたたち、喧嘩をするのはいいけど、オフィスにまで持ち込まないでよね」
喧嘩の当日、花城はそう言った。そんなに剣呑さが顔に出ていただろうかと思うが、ここで素直に謝るのも少し違う気がして黙っていると、「そういうのをやめなさいって言ってるのよ」とたたみかけられた。狡噛はこうなるのが分かっていたのか煙草休憩で、さっきからずっと姿が見えない。すると花城は言った。「追いかけて謝りなさいよ」でも、皿を出しっぱなしにしたのは狡噛が悪いんじゃないか? そう言いかけると、「先に謝るとこれから立場が上になるわよ」との花城の提案が追いかけてくる。それならいい。上の立場に立てるなら、謝ってやってもいい。でも、どうやって謝る。すまなかったって、どんなふうに?
984「あなたたち、喧嘩をするのはいいけど、オフィスにまで持ち込まないでよね」
喧嘩の当日、花城はそう言った。そんなに剣呑さが顔に出ていただろうかと思うが、ここで素直に謝るのも少し違う気がして黙っていると、「そういうのをやめなさいって言ってるのよ」とたたみかけられた。狡噛はこうなるのが分かっていたのか煙草休憩で、さっきからずっと姿が見えない。すると花城は言った。「追いかけて謝りなさいよ」でも、皿を出しっぱなしにしたのは狡噛が悪いんじゃないか? そう言いかけると、「先に謝るとこれから立場が上になるわよ」との花城の提案が追いかけてくる。それならいい。上の立場に立てるなら、謝ってやってもいい。でも、どうやって謝る。すまなかったって、どんなふうに?
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TRAINING狡噛さんを慰める宜野座さんのお話。800文字チャレンジ87日目。
儚い季節(それはあなた) 狡噛はある種の事件が終わると、センチメンタルになることがある。そう、少女が絡んだ事件だ。ハッピーエンドに終われば彼はご機嫌で俺に酒を奢り、そうでなければ俺が彼を抱きしめ慰める。狡噛は優しい男だった。きっと紛争地でも多くの少女を看取ったのだろう。今回の事件は後味の良くない、少女たちが搾取され死ぬ物語だった。彼が耐えられるかどうかは分からないが、なるべく側にいようと俺は思う。
「狡噛、水は?」
彼は首を振る。
「栄養バーでも食べたらどうだ?」
やはり彼は首を振る。俺は見ていられなくて、狡噛が寝転ぶソファに座って、癖のある髪を撫でてやった。嫌だとは言われなかった。彼は彼で弱っているのかもしれない。
「お前は嫌がるかもしれないけど、最後に優しくしてもらって女の子たちは喜んでいると思う」
868「狡噛、水は?」
彼は首を振る。
「栄養バーでも食べたらどうだ?」
やはり彼は首を振る。俺は見ていられなくて、狡噛が寝転ぶソファに座って、癖のある髪を撫でてやった。嫌だとは言われなかった。彼は彼で弱っているのかもしれない。
「お前は嫌がるかもしれないけど、最後に優しくしてもらって女の子たちは喜んでいると思う」
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TRAINING結婚式に着ていく服を見繕ってもらってそれからのお話。800文字チャレンジ86日目。
ドレスアップ(キス) 海外調整局で繋がりがある職員が結婚した。ので、俺たち行動課はまとめて呼ばれることになったのだが、残念ながら、俺たちは祝祭の日に着る服を持っていなかった。以前はスーツで通していたが、それも格闘が増えてからは安っぽいものに変わったし、それではあまりにも二人に義理立てできない。というわけで我らが課長に見繕ってもらったのだが、それはそれはゴージャスなもので、ただ一度きりの結婚式のためにはもったいないほどだった。そう、例えば記念日にはこれを着て、それなりのレストランで祝うくらいしなくてはもったいないほどに。それくらい、ゴージャスな彼に俺はやられていた。
「忘れていたけど、お前ってなかなか見栄えがするんだな」
924「忘れていたけど、お前ってなかなか見栄えがするんだな」
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TRAINING狡噛さんからもし手紙が来ていたら、の話。800文字チャレンジ85日目。
The day after(ラブレター) 狡噛がいなくなってから世界は色を失って、彼に再び会ってから色をとりもどした。彼が海外ででも生きていることに俺は安心して、どうにかこうにかやっていけた。狡噛は便りをよこさなかった。一通も。頭の回る彼のことなのに、俺に合図を送らなかった。俺はそれに安堵したような、悲しかったような、不思議な感覚を覚えたのを思い出す。一人でも生きていけるから便りはいらない。一人でも生きていくために便りが欲しい。そんな時に見つけたのが、彼が公安局を出奔する前に俺に置いて行った手紙だった。
それは非公式には存在しないことになっている。というのも、俺が報告しなかったからだ。狡噛の手紙を見つけたのは彼とよく遊んだ廃棄区画のガレージだった。仕事のついでにどうなっているか見に行った時、そこに一通の、埃をかぶった手紙が置かれていた。内容は次のようなものだ。これから仕事を一つ片付けなきゃならない、すまない、愛している、あの時からずっと。
889それは非公式には存在しないことになっている。というのも、俺が報告しなかったからだ。狡噛の手紙を見つけたのは彼とよく遊んだ廃棄区画のガレージだった。仕事のついでにどうなっているか見に行った時、そこに一通の、埃をかぶった手紙が置かれていた。内容は次のようなものだ。これから仕事を一つ片付けなきゃならない、すまない、愛している、あの時からずっと。
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TRAINING傷跡についての夜の話。800文字チャレンジ84日目。
傷跡(痛み) 狡噛には傷跡がたくさんある。執行官となってからそれは目に見えてのことだったが、ナノマシンで傷が完治する日本とは違い、海外を放浪していた彼はいびつな傷跡がたくさんあった。銃撃戦でやられた足、肉をえぐったナイフ、それは彼の身体を確かめる度に見付かって、俺はなんとも言えない気分になった。狡噛は強い男だ。彼が傷跡を残しているのには理由はない。ただ、身体を重ねている時、いっそこれらを消してくれたらいいのにと思うことがある。俺の知らない恋人を知るようで怖いのだ。俺の知らない恋人を知るようで悔しいのだ。流石に、顔の近く、こめかみにある傷跡は花城が消させたようだけれど。そんなんでは海外調整局のメンバーが気にすると言って。仕事にも差し障りが出ると言って。彼女は狡噛の傷をどこまで知っているのだろう。俺しか知らない傷はあるのだろうか? それは独占欲を満たすようで満たさない。海外について語らないから、俺は彼の秘密を知れない。
824時緒🍴自家通販実施中
TRAINING青っぽい学生時代狡宜。800文字チャレンジ83日目。
鼓動が限界(ある夏の日に) 初めてギノと口づけをした時、心臓が痛すぎて病気になったと思った。不恰好にも手の汗がびしょびしょだったし、それで嫌われやしないかまた心臓の鼓動が早くなった。何回も歯磨きした、歯磨きしすぎて血が出るくらい歯磨きした。ガムも噛んだしミント味のラムネも食べた。そうして俺はやっとギノと先送りにしていたキスをして、恥ずかしそうに笑う彼にもう一度キスがしたくなった。でももう鼓動が限界だ! これ以上キスしたら死んでしまうかもしれない。死因、キスをしたこと、愛する人とキスをしたこと、少しロマンチックだけれど、もっとしたいことがたくさんある。海に行きたい、山に行きたい、俺が好きなところ全てにギノを連れて行きたい。廃棄区画にある古本屋とか、やっぱり廃棄区画にあるジャンキーなハンバーガーショップとか、そんなところにギノを連れて行きたい。ギノは嫌がるだろうな。でも俺を知って欲しいんだ。俺はまだ童貞でデートの仕方も知らなくて、だから自分の好きなものを教えるくらいしか思いつかない。でもそれだって充分だろう? 俺の好きなものは、俺を構成するものなんだから。それを差し出すってことは、俺を差し出すってことなんだから。
910時緒🍴自家通販実施中
TRAINING宿の窓から見る月とそれに当てられてしまった2人の話。800文字チャレンジ82日目。
月明かり(夜と朝) 空に明かりはひとつしかない。そう、月の明かりだ。地には多くの明かりがある。そう、出島のネオンだ。俺たちはそんな中で小さな木賃宿にいた。娼婦が客を取るのよりも、もっと昔ながらの場所。大昔から日本人がやっている場所。俺たちはそこで情報屋からデータを受け取って、そのまま官舎に直帰する予定だった。しかし珍しくギノが言ったのだった、ここで朝まで過ごさないかって。見れば、彼が覗く窓には美しく丸い月があった。官舎では見られないほど大きな月だった。
「これは見事だな。データに……いや風流じゃないな。記憶に留めておくだけにするよ」
俺がそう言うと、ギノは笑って窓に寄りかかった。磨りガラスは星の形が散りばめられていて、とても古いもののように思えた。この宿は、いつからこの出島で時を過ごしているのだろう。
853「これは見事だな。データに……いや風流じゃないな。記憶に留めておくだけにするよ」
俺がそう言うと、ギノは笑って窓に寄りかかった。磨りガラスは星の形が散りばめられていて、とても古いもののように思えた。この宿は、いつからこの出島で時を過ごしているのだろう。
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TRAINING宜野座さんの髪の毛について。800文字チャレンジ81日目。
ほどけた髪(そのうなじに) ギノの乱れた髪を撫でるのが好きだ。激しくセックスをして絡まった髪を解いてやって、それに口付けるのが好きだ。もちろん彼は嫌がって、自分の手櫛で直そうとする。まぁ、それを見るのも好きなのだけれど。ギノがなぜ髪を伸ばしたのかは知らない。俺の記憶の中の彼はずっと髪を短くしていて、だからSEAUnで再会した時は驚いたものだ。彼の知らないことなど、絶対にないと勝手に思っていたから。でもそんな彼の変化にももう慣れてしまって、歩くときにひょこひょこと揺れる様とか、セックスの度に解く様とか、好きな様子も増えた。多分、俺は彼ならば何でもいいんだろう。でも、俺の変化を彼はどう思っているのだろう。俺が佐々山を真似て煙草を始めた時も、酒を嗜むようになった時も、ギノは何も言わなかった。ただ顔をしかめて、俺を見るだけだった。それが答えなんだろうか? 何も言わないでいる、それが彼の答えなんだろうか?
880時緒🍴自家通販実施中
TRAININGごろごろする二人。なんでもない時間。800文字チャレンジ80日目。
クラシック(悩みとコーヒー) 狡噛の部屋に行くと、音楽が流れていた。それもクラシック、詳しくは知らないから分からないが、ざっくりというと管弦楽で、いかにも彼が好きそうなものだった。本を読む彼にこれは? と言う顔をすると、出島のマーケットで捨てられそうになったのを買い取ったのだという。馴染みの店主だから安くしてもらったよ、とは彼の弁だ。俺は売りつけられたのではないかと疑ったが、それにしては音の状態は良く美しい調べだった。
「コーヒーは?」
狡噛が言う。俺は砂糖を二つ、と甘い注文をして、くるくると回るレコードを見つめた。狡噛の部屋には本だけではなくレコードも多かった。俺はどちらにも興味はなかったから知らないが、これも彼を構成するものの一つなのだろう。
830「コーヒーは?」
狡噛が言う。俺は砂糖を二つ、と甘い注文をして、くるくると回るレコードを見つめた。狡噛の部屋には本だけではなくレコードも多かった。俺はどちらにも興味はなかったから知らないが、これも彼を構成するものの一つなのだろう。