節分 スーパーに入ると、催事コーナーにお面のついた大豆が並んでいた。鬼の顔を見て、明日が節分であることを思い出す。
節分、それは、日本の子供たちの定番イベントだ。恵方巻を食べたり、鬼に扮した父親に大豆を投げて豆まきをする。そんな単純なことが、子供の僕には楽しかった。
ルチアーノにも、節分を楽しんでもらいたい。そう思って、僕は福豆を買うことにした。
「今日の夜ご飯は恵方巻だよ」
そう言うと、ルチアーノは怪訝そうな顔をした。寿司を好むルチアーノだが、巻き寿司はあまり好きではないようなのだ。
「恵方巻? なんだよ、それ」
冷蔵庫から巻き寿司のパックを取り出して、ルチアーノへと差し出す。あまり大きすぎると食べるのが大変だから、僕が用意したのは細めの三本入りだ。
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