報復 僕の前に現れた青年は、全身が傷だらけだった。
頬には擦り傷ができ、服は汚れ、痛そうに腕を抱えている。どう見てもただごとではなかった。
「どうしたんだよ。そんなボロボロになって」
尋ねると、青年は困ったように笑った。よそよそしい声で答える。
「大したことないよ」
見え透いた嘘をつくものだ。そんなことを言っても、隠し通せるはずがないのに。
「そんなはずないだろ。君、僕に隠し事をする気かい?」
詰め寄ると、彼は答えづらそうに口を開いた。話したくないのが見え見えだ。
「ちょっと、デュエルを挑まれちゃって……」
「ただのデュエルで、傷なんかつかないだろ。何があったんだよ」
「答えないと駄目……?」
弱々しい声で聞いてくる。なんだか、調子の狂う言い回しだった。少し気持ち悪い。
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