カロ
suponji_zo
DONEイーガ団(手のみ)×シド。🍌🦈激しくバナナを食べさせられてるだけなので別に🔞ではないですが🦈が装飾外してたり赤面強めの受け顔のため念の為ワンクッション。
手は縛られてるんじゃなかろうか🤲
11SIA11
DONEヴォーカリストのボカロ曲パロ①「牙を出し叫べ ずっきゅんだ あたしは噛み付いたら離さないにゃ」のアニマルなレオくん
2枚めはフォントを使用してそれっぽくしたやつです。
🐱にゃーお うーにゃお
とMBでレオ様が歌う幻聴が聞こえる…
次は「もう無理なんて悪い子だね」な☕を書きたい… 4
icizer0
DONEまほしめ開催おめでとうございます!12/24の23時ごろまで、ネップリ(ファミマかローソン)よろしければ
ブラネロ2種、ブラッドリー・ネロ単体の4枚あります。
id:92E5U8WLU7
karanoito
PASTユリ→カロ←フレ 罰ゲーム中の二人と会ったフレンは……レイヴンオチ。分けられない物〜そして君はいなくなった〜
「君ばっかり狡いじゃないか」
ナム孤島の夕焼け空の下、ユーリとカロルの前で口を尖らせ、フレンは軽く親友を睨んだ。
ユーリはフレンのほしいものばかり見つけては取って行く。食べ物も剣も人も好んだ物全部、既にユーリの手中にある。
お互い半分に分け合っていた昔はそれでよかった。
分けられない物はユーリに譲っていた。
年を重ね、譲りたくないものが出来て、半分こは駄目になった。
「もう譲るのは嫌なんだ、今だって楽しそうに一緒に仮装して……」
「いや、罰ゲームだからなこれ」
「ユーリがジュディスに負けたからでしょ、ボクはただの巻き添えだもん」
「連帯責任だ」
冷静にユーリがツッコミを入れるがフレンの耳には入らない。
1120「君ばっかり狡いじゃないか」
ナム孤島の夕焼け空の下、ユーリとカロルの前で口を尖らせ、フレンは軽く親友を睨んだ。
ユーリはフレンのほしいものばかり見つけては取って行く。食べ物も剣も人も好んだ物全部、既にユーリの手中にある。
お互い半分に分け合っていた昔はそれでよかった。
分けられない物はユーリに譲っていた。
年を重ね、譲りたくないものが出来て、半分こは駄目になった。
「もう譲るのは嫌なんだ、今だって楽しそうに一緒に仮装して……」
「いや、罰ゲームだからなこれ」
「ユーリがジュディスに負けたからでしょ、ボクはただの巻き添えだもん」
「連帯責任だ」
冷静にユーリがツッコミを入れるがフレンの耳には入らない。
karanoito
PASTユリカロ 現代パロ。クリスマスの喧嘩。文字通り敗北宣言
……非常に緊迫していた。
壁際に追い込まれ、睨み付けるカロルに、壁に手を付いて見下ろすユーリは後には退けなくなっていた。
部屋の中に仄かに漂う食べかけの甘いケーキの匂いが、今日がクリスマスだと思い出させる。
ついさっきまであんなに穏やかに喋ってたのに。
ユーリのバイトが終わった後、約束通りケーキを食べようと部屋に呼んだまではよかった。ケーキのイチゴをつついては、今日も寒かったね、等と他愛ない会話を交わして微笑ってた。
それがちょっとした事で険悪になり、食べるのも途中に、帰る。とカロルは席を立って玄関に向かってしまった。
へそを曲げたカロルと押し問答の末、引き止めようとして今に至る。
809……非常に緊迫していた。
壁際に追い込まれ、睨み付けるカロルに、壁に手を付いて見下ろすユーリは後には退けなくなっていた。
部屋の中に仄かに漂う食べかけの甘いケーキの匂いが、今日がクリスマスだと思い出させる。
ついさっきまであんなに穏やかに喋ってたのに。
ユーリのバイトが終わった後、約束通りケーキを食べようと部屋に呼んだまではよかった。ケーキのイチゴをつついては、今日も寒かったね、等と他愛ない会話を交わして微笑ってた。
それがちょっとした事で険悪になり、食べるのも途中に、帰る。とカロルは席を立って玄関に向かってしまった。
へそを曲げたカロルと押し問答の末、引き止めようとして今に至る。
karanoito
PASTユリカロ 吸血鬼パロ。キスあり。よるのなみだ
熱い吐息は指先を舐めるばかりで、決して牙を立てようとしない。
何ら変わらない「食事」の時間、それがユーリには物足りなくなっていた。
牙を突き立て、血を貪っても構わない──何度ユーリがそう申し立てても、カロルは頑として頭を縦に振らない。
吸血鬼に血を吸われて屍人になった者や、最悪死に至らしめた前例がある限り、カロルの主張は覆らないのだろう。根は臆病だが頑固だから。
「……んっ……う……」
紅く火照った頬を、差し出した指とは反対の手でゆっくり撫でながら聞くカロルの喘ぎ声にも慣れた。
自傷のナイフのひやりとした冷たさも、血の味のするキスも、カロル相手なら全て愛おしい。
愛しいからこそもっと近づきたいと、直に吸血される事を望んでいる。
1615熱い吐息は指先を舐めるばかりで、決して牙を立てようとしない。
何ら変わらない「食事」の時間、それがユーリには物足りなくなっていた。
牙を突き立て、血を貪っても構わない──何度ユーリがそう申し立てても、カロルは頑として頭を縦に振らない。
吸血鬼に血を吸われて屍人になった者や、最悪死に至らしめた前例がある限り、カロルの主張は覆らないのだろう。根は臆病だが頑固だから。
「……んっ……う……」
紅く火照った頬を、差し出した指とは反対の手でゆっくり撫でながら聞くカロルの喘ぎ声にも慣れた。
自傷のナイフのひやりとした冷たさも、血の味のするキスも、カロル相手なら全て愛おしい。
愛しいからこそもっと近づきたいと、直に吸血される事を望んでいる。
karanoito
PASTシュヴァーン&カロル 追憶の下町その4。一人じゃないよ
下町は眠りについていた。
トイレに行く、と言ってこっそり抜け出して来たもののどうやって帰ろうかカロルはあぐねていた。
幼少の二人に絆されて泊まっていく約束をしたはいいが、いつ"戻る"のか気がかりで落ち着かない。
ふとした拍子にカロルは追憶のザーフィアスに迷い込む。いつ入り、出て行くのか法則は掴めないからただその時が来るのを待つしかなかった。
フラフラしている間に戻ってればいいのに、と適当に選んだ路地を曲がる。
「……」
人がいる。血生臭い空気を纏い、ゆっくりとこちらを振り返った顔は、よく知ったレイヴンだった。
「レイヴン……」
「……?」
緑眼の片側が隠れ、濁った瞳が不可解に細められた。ザーフィアスにいるのは騎士のシュヴァーンで、レイヴンだけど違う。
888下町は眠りについていた。
トイレに行く、と言ってこっそり抜け出して来たもののどうやって帰ろうかカロルはあぐねていた。
幼少の二人に絆されて泊まっていく約束をしたはいいが、いつ"戻る"のか気がかりで落ち着かない。
ふとした拍子にカロルは追憶のザーフィアスに迷い込む。いつ入り、出て行くのか法則は掴めないからただその時が来るのを待つしかなかった。
フラフラしている間に戻ってればいいのに、と適当に選んだ路地を曲がる。
「……」
人がいる。血生臭い空気を纏い、ゆっくりとこちらを振り返った顔は、よく知ったレイヴンだった。
「レイヴン……」
「……?」
緑眼の片側が隠れ、濁った瞳が不可解に細められた。ザーフィアスにいるのは騎士のシュヴァーンで、レイヴンだけど違う。
karanoito
PASTユリカロ 砂漠の街で交わした会話より。オルニオンに拠点を作った凛々の明星。一緒に暮らそう
凛々の明星を作って、何となくうやむやになっていた拠点。雪溶けの街、オルニオンが出来てそこを中心に活動していた。話し合うまでもない、と思っていたある日、
「なぁ、オレらのギルドの拠点ってココでいいんだよな」
依頼の無い昼下がりに、三人と一匹が居間に集まってお茶を飲んでいた時、ユーリがポツリと呟いた。
拠点なんて何処でもいいと、一番気にしない人物からそんな言葉を聞くとは。
そうね、と事も無げに答え、ジュディスがティーカップを優雅に口に運ぶ。ラピードは興味なさそうにソファの足元で欠伸をしている。
「だよな」
「どうしたの、ユーリが突然そんな事言い出すなんて熱でもあるんじゃ」
「オルニオンって新しく出来た街だよな。実質、オレらが造ったと言ってもいい」
919凛々の明星を作って、何となくうやむやになっていた拠点。雪溶けの街、オルニオンが出来てそこを中心に活動していた。話し合うまでもない、と思っていたある日、
「なぁ、オレらのギルドの拠点ってココでいいんだよな」
依頼の無い昼下がりに、三人と一匹が居間に集まってお茶を飲んでいた時、ユーリがポツリと呟いた。
拠点なんて何処でもいいと、一番気にしない人物からそんな言葉を聞くとは。
そうね、と事も無げに答え、ジュディスがティーカップを優雅に口に運ぶ。ラピードは興味なさそうにソファの足元で欠伸をしている。
「だよな」
「どうしたの、ユーリが突然そんな事言い出すなんて熱でもあるんじゃ」
「オルニオンって新しく出来た街だよな。実質、オレらが造ったと言ってもいい」
karanoito
PASTユリカロ←フレ 天使と悪魔パロ。再会編。再会と挑発
「カロル!? 天界に戻っ……」
仕事で地上に降りてきたフレンが、カロルに近付こうとして見えない壁に弾かれて尻餅をつく。カロルは駆け寄りたいがそれは出来ない。天使と悪魔は近付くと相反する力がぶつかり合って、お互い苦痛を伴い弾かれるからだ。
つい最近まで仲間だったカロルの姿を見つけ、思わず近寄ってしまったが、やはり無理だった。
「フレン、大丈夫!?」
心配そうに声を張り上げてくれる。心優しい所は以前と変わらないが、容姿はガラリと様変わりしていた。
右目を隠すように前髪を下ろし、黒一色の衣装に身を包んでいる。
ほとんど露出の無かったダボついた服から一転して、羽織っただけの黒革のジャケットに短パン、腕にロンググローブ、足にはお揃いのロングブーツを履いている。
1399「カロル!? 天界に戻っ……」
仕事で地上に降りてきたフレンが、カロルに近付こうとして見えない壁に弾かれて尻餅をつく。カロルは駆け寄りたいがそれは出来ない。天使と悪魔は近付くと相反する力がぶつかり合って、お互い苦痛を伴い弾かれるからだ。
つい最近まで仲間だったカロルの姿を見つけ、思わず近寄ってしまったが、やはり無理だった。
「フレン、大丈夫!?」
心配そうに声を張り上げてくれる。心優しい所は以前と変わらないが、容姿はガラリと様変わりしていた。
右目を隠すように前髪を下ろし、黒一色の衣装に身を包んでいる。
ほとんど露出の無かったダボついた服から一転して、羽織っただけの黒革のジャケットに短パン、腕にロンググローブ、足にはお揃いのロングブーツを履いている。
karanoito
PASTユリカロ 吸血鬼パロ。バレンタイン。キスあり。よるの不安
朽ちかけた廃屋の中でユーリは息を飲み、立ち尽くした。埃っぽい薄闇には生臭い匂いが充満し、何かを啜る音だけが静かな空間を支配する。
入口で立ち尽くすユーリに無邪気な顔が振り返った。
「ユーリ? どうしたの」
カロルはいつもの笑顔で近づいてくる。腐敗した屍肉がぬちゃり、と床に崩れ、流れ出した血の匂いが一層濃くなった。
半月の下に血に塗れたカロルの顔が映し出される。「食事」を終えた吸血鬼(カロル)をいつものように迎える気は、今は起こらなかった。
酷い匂いは鼻を押さえても遮れなかった。
ユーリの様子に気付いて、少し傷ついた風に足を止め、カロルは赤いスカーフで口元を拭った。
「あんなに食事しろって、口を酸っぱくして言ってたのに、やっぱり怖がるの?」
1733朽ちかけた廃屋の中でユーリは息を飲み、立ち尽くした。埃っぽい薄闇には生臭い匂いが充満し、何かを啜る音だけが静かな空間を支配する。
入口で立ち尽くすユーリに無邪気な顔が振り返った。
「ユーリ? どうしたの」
カロルはいつもの笑顔で近づいてくる。腐敗した屍肉がぬちゃり、と床に崩れ、流れ出した血の匂いが一層濃くなった。
半月の下に血に塗れたカロルの顔が映し出される。「食事」を終えた吸血鬼(カロル)をいつものように迎える気は、今は起こらなかった。
酷い匂いは鼻を押さえても遮れなかった。
ユーリの様子に気付いて、少し傷ついた風に足を止め、カロルは赤いスカーフで口元を拭った。
「あんなに食事しろって、口を酸っぱくして言ってたのに、やっぱり怖がるの?」
karanoito
PASTユリカロ 天使と悪魔パロ。出逢い編。ボクが悪魔を堕とした日
出会いは偶然、でも近づいたのはボクの方。
*
黒くて長い髪を地面に広げ、彼は横たわっていた。赤黒い羽根はほとんどが塵と化して、見る見る間に霧散していく。
遠目にしか見たことが無い悪魔だ。意識は無いみたいで、天使が近づいても指一つ動かさない。
恐る恐る近づき、手を伸ばすと壁のようなものが行く手を阻んだ。相反する存在を拒んで、天使と悪魔の間に出来るバリア。
ぐん、と魔の気が押し寄せて心地悪い。吐き気が込み上げる。
「……ねぇ、生きてるの?」
尋ねても返事は無い。カロルが手を引っ込めようとした時、僅かに肩が揺れ、指が動いた。
生きてる、救けなきゃ……そもそも悪魔に天使の力で癒せるの? 却って悪化させるんじゃ……?
1756出会いは偶然、でも近づいたのはボクの方。
*
黒くて長い髪を地面に広げ、彼は横たわっていた。赤黒い羽根はほとんどが塵と化して、見る見る間に霧散していく。
遠目にしか見たことが無い悪魔だ。意識は無いみたいで、天使が近づいても指一つ動かさない。
恐る恐る近づき、手を伸ばすと壁のようなものが行く手を阻んだ。相反する存在を拒んで、天使と悪魔の間に出来るバリア。
ぐん、と魔の気が押し寄せて心地悪い。吐き気が込み上げる。
「……ねぇ、生きてるの?」
尋ねても返事は無い。カロルが手を引っ込めようとした時、僅かに肩が揺れ、指が動いた。
生きてる、救けなきゃ……そもそも悪魔に天使の力で癒せるの? 却って悪化させるんじゃ……?
karanoito
PASTユリカロ 怪我したレイヴンの食事を手伝うカロル。怪我にご用心
宿の食堂で、はい、とカロルがスプーンを差し出し、レイヴンの口に運んだ。 咀嚼して飲み込む合間に自分も食事を進める。
「おいし♪」
「本当? よかったー」
レイヴンが頷いて微笑み、カロルは安心したように頬を緩めて笑った。二人でニコニコと笑い合ってる様は親子か夫婦のそれにソックリだった。
その仲良し加減にあてられて、向かいに座るユーリが動いた。
「……おっさん、オレが食わしてやるよ。こっち向け」
ほらよ、とフォークをレイヴンの目の前に突き出した。フォークの先に突き刺さってるのはどう見ても、レイヴンの嫌いなホットケーキ。わざとらしい嫌がらせに顔をしかめた。
「あのねぇ、青年……」
「ユーリ、レイヴン甘い物はダメだってば」
1564宿の食堂で、はい、とカロルがスプーンを差し出し、レイヴンの口に運んだ。 咀嚼して飲み込む合間に自分も食事を進める。
「おいし♪」
「本当? よかったー」
レイヴンが頷いて微笑み、カロルは安心したように頬を緩めて笑った。二人でニコニコと笑い合ってる様は親子か夫婦のそれにソックリだった。
その仲良し加減にあてられて、向かいに座るユーリが動いた。
「……おっさん、オレが食わしてやるよ。こっち向け」
ほらよ、とフォークをレイヴンの目の前に突き出した。フォークの先に突き刺さってるのはどう見ても、レイヴンの嫌いなホットケーキ。わざとらしい嫌がらせに顔をしかめた。
「あのねぇ、青年……」
「ユーリ、レイヴン甘い物はダメだってば」
karanoito
PASTフレ+ユリ&カロ 追憶の下町その3。どんな顔したらいいか、分からなくなる
橙色の鮮やかな鎧が音も立てず軽やかに、通り過ぎて行った。
……今の、もしかして。
カロルが振り返ると、もう人影は道の向こうに消えて、見えなかった。
「ねぇ、ユーリ」
下町を案内してくれるユーリは、まだ背丈がカロルより僅かに低い。その幼い手を取って引っ張る。
「あれって、騎士団の……シュヴァーン隊長?」
途端にユーリの顔が曇り、忌々しげに舌を鳴らす。そうだよ、と正反対に幼いフレンは目を輝かせた。
「帝都の外でも有名なんだね! シュヴァーン隊長はすごいなあ」
「……あんな奴の話すんなよな」
「ユーリ、あんな奴だなんて失礼だろ。シュヴァーン隊長は下町だからって差別しないじゃないか、あの人は他の騎士とは違ういい人だよ」
1458橙色の鮮やかな鎧が音も立てず軽やかに、通り過ぎて行った。
……今の、もしかして。
カロルが振り返ると、もう人影は道の向こうに消えて、見えなかった。
「ねぇ、ユーリ」
下町を案内してくれるユーリは、まだ背丈がカロルより僅かに低い。その幼い手を取って引っ張る。
「あれって、騎士団の……シュヴァーン隊長?」
途端にユーリの顔が曇り、忌々しげに舌を鳴らす。そうだよ、と正反対に幼いフレンは目を輝かせた。
「帝都の外でも有名なんだね! シュヴァーン隊長はすごいなあ」
「……あんな奴の話すんなよな」
「ユーリ、あんな奴だなんて失礼だろ。シュヴァーン隊長は下町だからって差別しないじゃないか、あの人は他の騎士とは違ういい人だよ」
karanoito
PASTユリカロ おやすみのキスの攻防。これだけは何があっても譲れません(笑)
「……カロル」
「言い訳なんか聞きたくないからね」
野営のテントの中でカロルは頬を膨らませている。
眉をつり上げて、まだまだ怒りは収まる様子は無い。カロルがこれだけ怒るのは無理も無いことで、ユーリも反省している。
倒れたカロルや仲間を放って、単独で帝都に行こうとしたのは悪かったと思っている。だから黙って罰も受けた。
「だから……許してくれ、頼む」
「ユーリ、しつこい! イヤなものはイヤだってばっ」
神妙な面持ちでユーリが左手を伸ばすと、捕まらないように左に体をずらす。右手を伸ばすと、右に逃げられる。
「もう絶対置いていかない。約束する。頼むから……寝る前にお休みのキスをさせてくれ!」
1339「……カロル」
「言い訳なんか聞きたくないからね」
野営のテントの中でカロルは頬を膨らませている。
眉をつり上げて、まだまだ怒りは収まる様子は無い。カロルがこれだけ怒るのは無理も無いことで、ユーリも反省している。
倒れたカロルや仲間を放って、単独で帝都に行こうとしたのは悪かったと思っている。だから黙って罰も受けた。
「だから……許してくれ、頼む」
「ユーリ、しつこい! イヤなものはイヤだってばっ」
神妙な面持ちでユーリが左手を伸ばすと、捕まらないように左に体をずらす。右手を伸ばすと、右に逃げられる。
「もう絶対置いていかない。約束する。頼むから……寝る前にお休みのキスをさせてくれ!」
karanoito
PASTユリカロ 現パロ。女装ネタ。クリスマス。昼下がりの喫茶店
それとなくクリスマスの予定をカロルに訊くと、ユーリはバイトでしょ? と悪意の無いまっさらな笑顔が返ってくる。
確かにその通りだが、もう少し惜しんだり、残念がってはくれないものか。
一緒に過ごしたいとさえ思われてないのならショックだ。カロルにとっては、放課後にわざわざ出向いたり、バイトの無い日はちょくちょく会ってるだけの他校の友人。
……こりゃ、脈無しかな。
結局、カロルの方も予定があり、バイトを入れてあろうが無かろうが一緒に過ごすのは無理だったのだが。
知り合いがケーキ分けてくれるから、夜に食べようと言ってくれたカロルの一言を励みに、朝から入ったバイトの昼休憩を迎えた。
「……入らねぇな」
1287それとなくクリスマスの予定をカロルに訊くと、ユーリはバイトでしょ? と悪意の無いまっさらな笑顔が返ってくる。
確かにその通りだが、もう少し惜しんだり、残念がってはくれないものか。
一緒に過ごしたいとさえ思われてないのならショックだ。カロルにとっては、放課後にわざわざ出向いたり、バイトの無い日はちょくちょく会ってるだけの他校の友人。
……こりゃ、脈無しかな。
結局、カロルの方も予定があり、バイトを入れてあろうが無かろうが一緒に過ごすのは無理だったのだが。
知り合いがケーキ分けてくれるから、夜に食べようと言ってくれたカロルの一言を励みに、朝から入ったバイトの昼休憩を迎えた。
「……入らねぇな」
karanoito
PASTユリカロ 天使と悪魔パロ。天使と悪魔が出会った日
……誰もいない。薄く閉じかけた目蓋を持ち上げ、地面に這いつくばった姿で辛うじて確認する。呼吸は細かく絶え絶えに、指を動かす事さえ満足に出来ない。
瀕死の重症。消滅を待つしか悪魔に出来る事は無かった。
助けを呼ぶ力も無い自分を迎えに来るのが何かは分からないが、同業者が来るとかなり間抜けだろうな、と最期に自虐的な笑みを口に浮かべた。
そして、完全に彼は目を閉じて動かなくなった。
*
雲上の天界には天使が暮らし、地下の魔界には悪魔が棲んでいるが、決してお互いに干渉はしない。存在が真逆な彼らは近付くだけで苦痛を伴い、力を蝕む。
他を救う存在と他を陥れる存在。互いに疎ましくて相容れないのは当然、その関係性は未来永劫変わらない、筈だった。
3686……誰もいない。薄く閉じかけた目蓋を持ち上げ、地面に這いつくばった姿で辛うじて確認する。呼吸は細かく絶え絶えに、指を動かす事さえ満足に出来ない。
瀕死の重症。消滅を待つしか悪魔に出来る事は無かった。
助けを呼ぶ力も無い自分を迎えに来るのが何かは分からないが、同業者が来るとかなり間抜けだろうな、と最期に自虐的な笑みを口に浮かべた。
そして、完全に彼は目を閉じて動かなくなった。
*
雲上の天界には天使が暮らし、地下の魔界には悪魔が棲んでいるが、決してお互いに干渉はしない。存在が真逆な彼らは近付くだけで苦痛を伴い、力を蝕む。
他を救う存在と他を陥れる存在。互いに疎ましくて相容れないのは当然、その関係性は未来永劫変わらない、筈だった。
karanoito
PASTユリカロ カロルにうさ耳アタッチメント着けたかったねのSS。泡沫のうさみみ
十五夜の満月の夜、カロルは頭から長いウサギの耳を生やして可愛らしく首を傾げて微笑んだ。
どうしたんだ、その耳と指を差すと、今日は満月だから。と耳を揺らして後ろに手を組んで答える。
「ボク、本当は月に住むウサギなんだ。満月になったから月に帰るね。さよなら、ユーリ」
そう言ってカロルの体は空に向けて昇っていく。追いかけたが伸ばした左手は届かず……
「……とか理由があれば、うさみみ無くても納得出来ると思うんだが」
「バカっぽい」
「……何下らない事、真面目に考えてるの? ユーリ」
リタが目も見ず一刀両断し、カロルも半眼で呆れ顔になっている。
女性全員にあるのはともかく、ユーリとフレンにも用意されてるうさみみが何故カロルには無いのか。
1203十五夜の満月の夜、カロルは頭から長いウサギの耳を生やして可愛らしく首を傾げて微笑んだ。
どうしたんだ、その耳と指を差すと、今日は満月だから。と耳を揺らして後ろに手を組んで答える。
「ボク、本当は月に住むウサギなんだ。満月になったから月に帰るね。さよなら、ユーリ」
そう言ってカロルの体は空に向けて昇っていく。追いかけたが伸ばした左手は届かず……
「……とか理由があれば、うさみみ無くても納得出来ると思うんだが」
「バカっぽい」
「……何下らない事、真面目に考えてるの? ユーリ」
リタが目も見ず一刀両断し、カロルも半眼で呆れ顔になっている。
女性全員にあるのはともかく、ユーリとフレンにも用意されてるうさみみが何故カロルには無いのか。
karanoito
PASTユリカロ 現代パロ。雨に隠れてキスがお題だった気がする。お帰りとただいまを言おう
突然降ってきた通り雨を避け、軒下に体を滑り込ませる。
止む兆しの無い雨空を見上げ、濡れたブレザーの肩を払い、頭を軽く降った。しばらく雨宿りする事になりそうだ。
退屈そうにブレザーの男子高校生が腕を組んでいると、水音を立てて、同じ様に雨に降られた少年が軒下に駆け込んできた。
肩から鞄を下げた少年はタオルを取り出して濡れた学ランの袖を拭いてから、入れ替わりに傘を雨空に向かって開いた。
見るともなしに、高校生は静かに隣に立っていた。
その時ようやく、自分以外に雨宿りの人が居るのに気付き、少年は隣に立つ高校生に目を向ける。
「…………」
特に気にせず、向けられた視線を受け止め、すぐに目を逸らす。
1421突然降ってきた通り雨を避け、軒下に体を滑り込ませる。
止む兆しの無い雨空を見上げ、濡れたブレザーの肩を払い、頭を軽く降った。しばらく雨宿りする事になりそうだ。
退屈そうにブレザーの男子高校生が腕を組んでいると、水音を立てて、同じ様に雨に降られた少年が軒下に駆け込んできた。
肩から鞄を下げた少年はタオルを取り出して濡れた学ランの袖を拭いてから、入れ替わりに傘を雨空に向かって開いた。
見るともなしに、高校生は静かに隣に立っていた。
その時ようやく、自分以外に雨宿りの人が居るのに気付き、少年は隣に立つ高校生に目を向ける。
「…………」
特に気にせず、向けられた視線を受け止め、すぐに目を逸らす。
karanoito
PASTユリカロ 追憶の下町その2。また会えるから。ね
月が欲しいと手を伸ばして泣いたら、君は何処にも行かないのだろうか。
父や母のように置いていかないで欲しい。
離れたくないと温かい手を握った。
ずっと傍に居て。と言ったら困った顔で笑うんだろうな、きっと。
*
行くなよ、とマメが潰れた手で引き止められた。
「もう戻らなくちゃいけないから、またね」
カロルは困った風に笑って肩を竦めた。
幻の帝都ザーフィアスに来るのも戻るのも、カロルの意志ではどうにもならない。
ここは誰かの追憶の世界だから。
その事を知らない少年のユーリは、ただ離れたくなくて食い下がった。
「じゃあオレも一緒に行く」
「そんなの無理だよ、だって……」
カロルが口ごもる。苛立ったユーリが繋いだ手を強く握った。何を言っても、どう言い繕っても傷つけるだけ。
1171月が欲しいと手を伸ばして泣いたら、君は何処にも行かないのだろうか。
父や母のように置いていかないで欲しい。
離れたくないと温かい手を握った。
ずっと傍に居て。と言ったら困った顔で笑うんだろうな、きっと。
*
行くなよ、とマメが潰れた手で引き止められた。
「もう戻らなくちゃいけないから、またね」
カロルは困った風に笑って肩を竦めた。
幻の帝都ザーフィアスに来るのも戻るのも、カロルの意志ではどうにもならない。
ここは誰かの追憶の世界だから。
その事を知らない少年のユーリは、ただ離れたくなくて食い下がった。
「じゃあオレも一緒に行く」
「そんなの無理だよ、だって……」
カロルが口ごもる。苛立ったユーリが繋いだ手を強く握った。何を言っても、どう言い繕っても傷つけるだけ。
karanoito
PASTユリカロ ハロウィン。街へ出よう!
レーイヴン、とご機嫌な声に振り返ると、カボチャ頭が立っていた。
カボチャ頭はトリックオアトリート! と両手を広げてお菓子を強請ってくる。
「……えーっと、カロル少年? 何、その仮装」
「うん、カボチャ男だよ! レイヴンお菓子は?」
にこにこと微笑むカロル(多分)は肩に付けたマントを左右に揺らし、楽しみに待っている。
今日はハロウィンの夜だと言うことをレイヴンはすっかり忘れていた、道理で子供が街をウロウロしている筈だ。
何か持ってないかとズボンのポケットを探っても、酒場のレシートやゴミしか出て来ない。
持ってないの? とカボチャ頭を斜めに傾かせるカロルに、ごめんね。とレイヴンは手を合わせた。
1387レーイヴン、とご機嫌な声に振り返ると、カボチャ頭が立っていた。
カボチャ頭はトリックオアトリート! と両手を広げてお菓子を強請ってくる。
「……えーっと、カロル少年? 何、その仮装」
「うん、カボチャ男だよ! レイヴンお菓子は?」
にこにこと微笑むカロル(多分)は肩に付けたマントを左右に揺らし、楽しみに待っている。
今日はハロウィンの夜だと言うことをレイヴンはすっかり忘れていた、道理で子供が街をウロウロしている筈だ。
何か持ってないかとズボンのポケットを探っても、酒場のレシートやゴミしか出て来ない。
持ってないの? とカボチャ頭を斜めに傾かせるカロルに、ごめんね。とレイヴンは手を合わせた。
karanoito
PASTユリカロ 早く大人になりたいカロルにミサンガを贈るユーリ。願うまでもないねがいごと
もっと高く、と手を伸ばす。全然届かなくて爪先立ちになってもせいぜい肩に触れる程度にしかならなくて。
寂しくなって肩を落とす。
「早く大人になりたいなあ……」
そしたら背も高くなって、肩を並べて隣に立てるかもしれない。これからも一緒にいたいから──なんて言われても困るだろうけど、そうなればいいと思ってた。
爪先立ちになったり手を伸ばしたりしているのが気になったのか、カロルの側まで近付いてきて限界まで伸ばした手に自分の手を合わせて音を立てた。
いつもやってるハイタッチだが爪先立ちになっていたカロルはあっけ無くバランスを崩して転けそうになる。
ぐいと引き寄せられてユーリの胸元に倒れこんだ。
1307もっと高く、と手を伸ばす。全然届かなくて爪先立ちになってもせいぜい肩に触れる程度にしかならなくて。
寂しくなって肩を落とす。
「早く大人になりたいなあ……」
そしたら背も高くなって、肩を並べて隣に立てるかもしれない。これからも一緒にいたいから──なんて言われても困るだろうけど、そうなればいいと思ってた。
爪先立ちになったり手を伸ばしたりしているのが気になったのか、カロルの側まで近付いてきて限界まで伸ばした手に自分の手を合わせて音を立てた。
いつもやってるハイタッチだが爪先立ちになっていたカロルはあっけ無くバランスを崩して転けそうになる。
ぐいと引き寄せられてユーリの胸元に倒れこんだ。
karanoito
PASTユリカロ 吸血鬼パロ。どっちが吸血鬼か分かりゃしない
痛っ、と持っていたリンゴを落としたカロルの指から赤い雫が滴り落ちた。
剥いていたナイフで誤って切ったらしい。
「思い切りいったな」
「平気だよ、すぐに止まるから……っ?」
大丈夫か、とカロルの手を取ると流れる血がユーリの服の袖を赤く汚した。
それを見て講躇わずにユーリは指を口にくわえた。
錆びた匂いが鼻をくすぐり、傷ついた指に舌を這わせて、血を舐める。いつもと逆の立場になったカロルは顔を紅くして、恥ずかしさから後退ろうとした。
しかしユーリは離れずに、犬のように指をしゃぶり舐め続ける。
「ユ、ユーリ……はなし……ひゃっ。だめ、ちょ……やめ……くすぐったいっては……あっ」
1287痛っ、と持っていたリンゴを落としたカロルの指から赤い雫が滴り落ちた。
剥いていたナイフで誤って切ったらしい。
「思い切りいったな」
「平気だよ、すぐに止まるから……っ?」
大丈夫か、とカロルの手を取ると流れる血がユーリの服の袖を赤く汚した。
それを見て講躇わずにユーリは指を口にくわえた。
錆びた匂いが鼻をくすぐり、傷ついた指に舌を這わせて、血を舐める。いつもと逆の立場になったカロルは顔を紅くして、恥ずかしさから後退ろうとした。
しかしユーリは離れずに、犬のように指をしゃぶり舐め続ける。
「ユ、ユーリ……はなし……ひゃっ。だめ、ちょ……やめ……くすぐったいっては……あっ」
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PASTカロ&パティ ユーリが喜びそうなことをパティに教えるカロル。シンパシー
「ユーリ、ウチらの愛の勝利じゃ!」
「へいへい……」
戦闘終了後、ユーリに抱き付きに行ってはさらりと避けられるパティ。適当にはぐらかされ、あしらわれる。いつもの見慣れた光景とはいえ、ちっともめげない姿に少し同情を覚えた。
「パティ、ちょっと」
カロルはこそっとパティに近付くと、何やら耳打ちをする。熱心に頷きながら聞き終わると、ほー、成程のう。と感心したようにパティは舌鼓を打った。
「それでユーリは喜ぶのかの?」
「うん、絶対喜ぶから試しにやってみたらいいよ」
「むー、物は試しと言うし、一理あるかもしれんの……よし、実践あるのみじゃ。アドバイス感謝するぞ!」
手を大きく振った後、意気込んで駆けていくパティに手を振って見送った。少しでもパティが喜ぶといいな。そんな何気ない気持ちで。
1622「ユーリ、ウチらの愛の勝利じゃ!」
「へいへい……」
戦闘終了後、ユーリに抱き付きに行ってはさらりと避けられるパティ。適当にはぐらかされ、あしらわれる。いつもの見慣れた光景とはいえ、ちっともめげない姿に少し同情を覚えた。
「パティ、ちょっと」
カロルはこそっとパティに近付くと、何やら耳打ちをする。熱心に頷きながら聞き終わると、ほー、成程のう。と感心したようにパティは舌鼓を打った。
「それでユーリは喜ぶのかの?」
「うん、絶対喜ぶから試しにやってみたらいいよ」
「むー、物は試しと言うし、一理あるかもしれんの……よし、実践あるのみじゃ。アドバイス感謝するぞ!」
手を大きく振った後、意気込んで駆けていくパティに手を振って見送った。少しでもパティが喜ぶといいな。そんな何気ない気持ちで。
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PASTカロ&レイ 体温が低いレイヴンを案ずるカロル。冷たい体
両手を擦り合わせながらこの世の終わりみたいな顔をして部屋に入って来たレイヴン。その指先はとても冷たくて。
「少年、温めて〜」
すっぽりと羽織りの内側に捕らえられても無碍にする事は出来なかった。
(本当に、冷たい)
それは冷え切ってると言うより元から体温が無いみたいで。
──死んでたからね、俺は。
戦争に赴いて死人になったレイヴン。それはカロルにとって話にしか聞かないお伽話のように、程遠い出来事。
(十年もこんなに冷たかった?)
氷のように冷たく冷え切った腕に包まれ、十年前の戦争に思いを馳せる。騎士団として人々の為に戦ったシュヴァーンの事をカロルはほとんど知らなくて、英雄だったと聞いても、今のレイヴンと全然違う人にしか思えない。
758両手を擦り合わせながらこの世の終わりみたいな顔をして部屋に入って来たレイヴン。その指先はとても冷たくて。
「少年、温めて〜」
すっぽりと羽織りの内側に捕らえられても無碍にする事は出来なかった。
(本当に、冷たい)
それは冷え切ってると言うより元から体温が無いみたいで。
──死んでたからね、俺は。
戦争に赴いて死人になったレイヴン。それはカロルにとって話にしか聞かないお伽話のように、程遠い出来事。
(十年もこんなに冷たかった?)
氷のように冷たく冷え切った腕に包まれ、十年前の戦争に思いを馳せる。騎士団として人々の為に戦ったシュヴァーンの事をカロルはほとんど知らなくて、英雄だったと聞いても、今のレイヴンと全然違う人にしか思えない。
karanoito
PASTカロル&ソフィ もしカロルがマイソロ3にいたら妄想。ユーリとカロルの関係が気になるソフィ。親子じゃない関係?
クエストに出るユーリをカロルが手を振って見送る。それを少し離れた所から見ていたソフィがアスベルの裾を握った。
「ねぇ、アスベル」
「何だ? カニタマならまた今度な」
「ユーリとカロルは、私とアスベルと一緒?」
一緒と言うのはあの二人は親子なのかと言う意味だ。記憶が無くアスベルに保護してもらい、家族のような間柄になっているソフィには自分と重なって見えたらしい。
「親子と言うのはちょっとなあ……せめて兄弟じゃないか?」
「兄弟? でも、ヒューバートみたいに大きくないよ?」
大きさは関係無いんだよ、とアスベルは困ったように苦笑した。ソフィの頭の周りに「?」が浮かんで回っている。
どう言えば納得してくれるのか頭を悩ませているとカロルが丁度近くを通りかかった。ソフィの視線に気が付いて立ち止まり、微笑み返す。
1407クエストに出るユーリをカロルが手を振って見送る。それを少し離れた所から見ていたソフィがアスベルの裾を握った。
「ねぇ、アスベル」
「何だ? カニタマならまた今度な」
「ユーリとカロルは、私とアスベルと一緒?」
一緒と言うのはあの二人は親子なのかと言う意味だ。記憶が無くアスベルに保護してもらい、家族のような間柄になっているソフィには自分と重なって見えたらしい。
「親子と言うのはちょっとなあ……せめて兄弟じゃないか?」
「兄弟? でも、ヒューバートみたいに大きくないよ?」
大きさは関係無いんだよ、とアスベルは困ったように苦笑した。ソフィの頭の周りに「?」が浮かんで回っている。
どう言えば納得してくれるのか頭を悩ませているとカロルが丁度近くを通りかかった。ソフィの視線に気が付いて立ち止まり、微笑み返す。
karanoito
PASTユリカロ 好き嫌いするカロル先生。残さず食べろよ
ごちそうさまーと次々に食事を終え、食器を重ねてカロルの皿だけが片付かない。皿の中にはカロルの嫌いなクラムチャウダーがほとんど手付かずで残っていた。
「カーロール、いい加減観念して食え」
片付きやしねぇ、とユーリにせっつかれてもカロルは皿を見つめたまま、うーと唸って動かない。勇気を出して、スプーンで掬い上げてもそこで止まってしまう。
「そんなに嫌がる程美味しくないです……?」
「そんな事ないわよエステル! ちゃんと……お、美味しかった、から」
「おっさんも〜。嬢ちゃん料理上手くなったよ」
作ったエステルが瞳を潤ませると、リタやレイヴンのフォローがすかさず入った。カロルが苦手なだけで普通に食べられる出来だったと思う。
969ごちそうさまーと次々に食事を終え、食器を重ねてカロルの皿だけが片付かない。皿の中にはカロルの嫌いなクラムチャウダーがほとんど手付かずで残っていた。
「カーロール、いい加減観念して食え」
片付きやしねぇ、とユーリにせっつかれてもカロルは皿を見つめたまま、うーと唸って動かない。勇気を出して、スプーンで掬い上げてもそこで止まってしまう。
「そんなに嫌がる程美味しくないです……?」
「そんな事ないわよエステル! ちゃんと……お、美味しかった、から」
「おっさんも〜。嬢ちゃん料理上手くなったよ」
作ったエステルが瞳を潤ませると、リタやレイヴンのフォローがすかさず入った。カロルが苦手なだけで普通に食べられる出来だったと思う。
karanoito
PASTプレセア&カロル もしカロルがマイソロ3にいたら妄想。ユリカロ前提。思いをこめて
木で人形を彫るのは初めてだ。
一回削ってはあなたを思い、一回削る度にあなたの顔に近くなる。
出来上がったら御守りにしよう。
誰にも見せない、悟られない思いを込めながら、ナイフを握るプレセアの足元に削り滓が増えて行く。
もくもくと作業に耽る手の中で木片が人の形に近付いていく度、ワクワクしてきた。
上手に出来るだろうか。
完成したらあの人に少しでも近付ける気がする。
近付きたい。
遠くで見てるだけじゃなく、あの人の事をもっと知りたい。
「プレセアー? あ、いた」
突然声を掛けられて、プレセアの肩がびくりと震えた。手を止め、顔を上げるとギルドのメンバーの一人であるカロルが小走りに駆けてくる所だった。
1295木で人形を彫るのは初めてだ。
一回削ってはあなたを思い、一回削る度にあなたの顔に近くなる。
出来上がったら御守りにしよう。
誰にも見せない、悟られない思いを込めながら、ナイフを握るプレセアの足元に削り滓が増えて行く。
もくもくと作業に耽る手の中で木片が人の形に近付いていく度、ワクワクしてきた。
上手に出来るだろうか。
完成したらあの人に少しでも近付ける気がする。
近付きたい。
遠くで見てるだけじゃなく、あの人の事をもっと知りたい。
「プレセアー? あ、いた」
突然声を掛けられて、プレセアの肩がびくりと震えた。手を止め、顔を上げるとギルドのメンバーの一人であるカロルが小走りに駆けてくる所だった。
karanoito
PASTユリカロ 水が苦手なラピードを横目にベタベタし、高い所が苦手なリタを横目にカロルにベタベタするユーリ。コワイ時は……
船旅を始めてずっと疑問だったことを思い出し、ロにしてみた。
「そういえば、ラピードずっと大人しいね? 寝てばっかりでちっとも動かないって言うか」
「ん? ああ、そうだな」
船の真ん中で今日もラピードは大人しく丸まって寝ている。思い返してみればいつもそこに居る気がする。
もしかして具合が悪くて動けないの、とカロルは心配になってユーリに尋ねた。
「大丈夫だよ。具合が悪いって訳じゃないから気にすんな。ただちょっと水が苦手なだけ」
「へー、ラピードにも恐いものがあるんだ……じゃあその隣で寝てるレイヴンも」
「ありゃ酔っ払って寝てるだけだろ」
呆れた風に手を振るユーリに、同じ風に呆れてカロルの目が細くなる。
829船旅を始めてずっと疑問だったことを思い出し、ロにしてみた。
「そういえば、ラピードずっと大人しいね? 寝てばっかりでちっとも動かないって言うか」
「ん? ああ、そうだな」
船の真ん中で今日もラピードは大人しく丸まって寝ている。思い返してみればいつもそこに居る気がする。
もしかして具合が悪くて動けないの、とカロルは心配になってユーリに尋ねた。
「大丈夫だよ。具合が悪いって訳じゃないから気にすんな。ただちょっと水が苦手なだけ」
「へー、ラピードにも恐いものがあるんだ……じゃあその隣で寝てるレイヴンも」
「ありゃ酔っ払って寝てるだけだろ」
呆れた風に手を振るユーリに、同じ風に呆れてカロルの目が細くなる。
karanoito
PASTフレ→カロ カロル宛にフレンの手紙が来るSS。ユリカロ前提下町青年からの手紙
「カロル先生、手紙だぞ」
首領の部屋をノックしてユーリが入ってきた。
机でかじり付くように仕事と睨めっこしていたカロルが顔を上げて、ご苦労さまと手紙を受け取った。
宛名を確かめていくと殆どが仕事の依頼だったが、一通だけは違った。それを手に取り、困った風に息を吐いた。
「またフレンか」
「あ、うん。フレンってマメだよね……」
騎士団の捺印が入った白い封筒。それは大事な仲間のフレンからの物。
旅を終え、カロルたちはギルドへ、フレンは騎士団へとそれぞれの道を選び、歩み始めた。世界が変わり落ち着くまで、お互い忙しくて以前のように中々会うことは出来ず、近況を手紙で知らせるのが精一杯だった。
最初は、離れていても毎日の様に送られて来る手紙に一喜一憂してカロルもマメに返事をしていたが、一ヶ月経ち二ヶ月を過ぎ、そろそろ一年。一日も絶やさずに手紙は届けられた。
1475「カロル先生、手紙だぞ」
首領の部屋をノックしてユーリが入ってきた。
机でかじり付くように仕事と睨めっこしていたカロルが顔を上げて、ご苦労さまと手紙を受け取った。
宛名を確かめていくと殆どが仕事の依頼だったが、一通だけは違った。それを手に取り、困った風に息を吐いた。
「またフレンか」
「あ、うん。フレンってマメだよね……」
騎士団の捺印が入った白い封筒。それは大事な仲間のフレンからの物。
旅を終え、カロルたちはギルドへ、フレンは騎士団へとそれぞれの道を選び、歩み始めた。世界が変わり落ち着くまで、お互い忙しくて以前のように中々会うことは出来ず、近況を手紙で知らせるのが精一杯だった。
最初は、離れていても毎日の様に送られて来る手紙に一喜一憂してカロルもマメに返事をしていたが、一ヶ月経ち二ヶ月を過ぎ、そろそろ一年。一日も絶やさずに手紙は届けられた。
karanoito
PASTユリカロ 帝都へ向かう前にクオイの森で野宿するSS。心配性分
クオイの森で仲間たちから熱い制裁を加えられた後、心置きなくユーリはカロルの心配が出来た。
事情があったとは言え、置いて行くことは後ろめたく、とても気掛かりだった。
怒られてみんなに追い付かれた今となっては我慢する必要も無く、思う存分世話が焼ける。
熱っぽくは無いか、もう体は大丈夫かとカロルに構い出したユーリに仲間たちは呆れて、早々とキャンプの準備を始めてしまった。
「寒くないか? ぶり返したら大変だからコレ羽織っとけよ」
「もう平気だってば。大丈夫だから! いい加減離れてよ!」
しつこく構い過ぎてカロルにそっぽを向かれるまでユーリの心配は続いた。
目が覚めるまで側に付いててやれなかった。置いていかないでと言われたのに破ってしまった。
908クオイの森で仲間たちから熱い制裁を加えられた後、心置きなくユーリはカロルの心配が出来た。
事情があったとは言え、置いて行くことは後ろめたく、とても気掛かりだった。
怒られてみんなに追い付かれた今となっては我慢する必要も無く、思う存分世話が焼ける。
熱っぽくは無いか、もう体は大丈夫かとカロルに構い出したユーリに仲間たちは呆れて、早々とキャンプの準備を始めてしまった。
「寒くないか? ぶり返したら大変だからコレ羽織っとけよ」
「もう平気だってば。大丈夫だから! いい加減離れてよ!」
しつこく構い過ぎてカロルにそっぽを向かれるまでユーリの心配は続いた。
目が覚めるまで側に付いててやれなかった。置いていかないでと言われたのに破ってしまった。
karanoito
PASTユリカロ前提ユリ&レイ 二人がカロルの話をしてるだけ。黒い鳥の旋律
「あー言うタイプは悲しくても泣かないのよね」
後ろから聞こえてきた独白にユーリが振り返るとレイヴンがおどけた格好で立っていた。顎を向けた先にはカロルがいる。
「そうか? いつも“虫〜!?”って泣いて逃げ回ってないか」
「それは青年のイメージで実際の少年は違うんじゃないかなーってさ。おっさんはよく知らないけど、あの年でギルド渡り歩いてきたって、相当年季入ってると思うのよ。それこそ物心付いた頃からなんて言われても不思議じゃないわ」
カロルはギルドに入っては上手く行かず逃げての繰り返しだったらしい。
そんな昔からと言われても納得出来る確かさがレイヴンの口調に表れていた。
「それで、ギルドを昔から転々としてたってのがどうして泣かないに繋がるんだ?」
1665「あー言うタイプは悲しくても泣かないのよね」
後ろから聞こえてきた独白にユーリが振り返るとレイヴンがおどけた格好で立っていた。顎を向けた先にはカロルがいる。
「そうか? いつも“虫〜!?”って泣いて逃げ回ってないか」
「それは青年のイメージで実際の少年は違うんじゃないかなーってさ。おっさんはよく知らないけど、あの年でギルド渡り歩いてきたって、相当年季入ってると思うのよ。それこそ物心付いた頃からなんて言われても不思議じゃないわ」
カロルはギルドに入っては上手く行かず逃げての繰り返しだったらしい。
そんな昔からと言われても納得出来る確かさがレイヴンの口調に表れていた。
「それで、ギルドを昔から転々としてたってのがどうして泣かないに繋がるんだ?」
karanoito
PASTユリカロ 吸血鬼パロ。よるのいとま。
あくまで主観だが吸血鬼の吸血はエロい。
吐き出す息は熱く熱っぽく、艶やかに頬は紅潮してやけに色っぽい。
ガキですら見てて発情しそうになるくらいヤバイのだから大人だとどれくらいになるのかと考えるだけでヤバイ。
「……何か視線が不愉快なんだけど」
その辺の動物から貰った血を舐めながら、カロルがじとー、と冷たい目を向けてきた。
しまった、顔に出てたか。
口元を隠して適当に誤魔化して笑うと、ますます胡散臭いと言われてしまった。
「どうせヘンな事考えてたんでしょ」
「そうだな、吸血鬼って女もいんのかなーとか」
「勿論いるに決まってるでしょ。血を貰った人は仲間になるんだから逆に多いくらい。最初から吸血鬼の女(ひと)もちゃんといるよ」
1657あくまで主観だが吸血鬼の吸血はエロい。
吐き出す息は熱く熱っぽく、艶やかに頬は紅潮してやけに色っぽい。
ガキですら見てて発情しそうになるくらいヤバイのだから大人だとどれくらいになるのかと考えるだけでヤバイ。
「……何か視線が不愉快なんだけど」
その辺の動物から貰った血を舐めながら、カロルがじとー、と冷たい目を向けてきた。
しまった、顔に出てたか。
口元を隠して適当に誤魔化して笑うと、ますます胡散臭いと言われてしまった。
「どうせヘンな事考えてたんでしょ」
「そうだな、吸血鬼って女もいんのかなーとか」
「勿論いるに決まってるでしょ。血を貰った人は仲間になるんだから逆に多いくらい。最初から吸血鬼の女(ひと)もちゃんといるよ」
karanoito
PASTレイカロ 本編後、おっさんの追想と手紙。羽をもがれても鳥は羽ばたく
「レイヴン!」
神殿の奥で対峙した時、重い鎧に身を包んだ姿で初めて君を見た。
そこには、泣いてばかりいる小さな子供がいる。不思議と名前は浮かばず、ただ子供とだけしか認識出来なかった。
どうして、と泣き叫ぶ子供がいる。
いつも「レイヴン」として一緒に過ごしていたはずの、活発で明るい少年は何処にもいなかった。
シュヴァーンの目で見るとこんなにも違うのか。自虐的な笑みが口の端にうっすらと浮かぶ。死人の目には、結局何も映りはしないのだ。
「少年」は何処にもいない、ここにいるのはただの「子供」。
死人には記憶も感情も要らないから、きっと君を殺しても何も残りはしないだろう。
最後までレイヴンと呼んでくれた君に見送られて逝くのは、とても居心地が良かったのは何故だろうか。
1636「レイヴン!」
神殿の奥で対峙した時、重い鎧に身を包んだ姿で初めて君を見た。
そこには、泣いてばかりいる小さな子供がいる。不思議と名前は浮かばず、ただ子供とだけしか認識出来なかった。
どうして、と泣き叫ぶ子供がいる。
いつも「レイヴン」として一緒に過ごしていたはずの、活発で明るい少年は何処にもいなかった。
シュヴァーンの目で見るとこんなにも違うのか。自虐的な笑みが口の端にうっすらと浮かぶ。死人の目には、結局何も映りはしないのだ。
「少年」は何処にもいない、ここにいるのはただの「子供」。
死人には記憶も感情も要らないから、きっと君を殺しても何も残りはしないだろう。
最後までレイヴンと呼んでくれた君に見送られて逝くのは、とても居心地が良かったのは何故だろうか。
karanoito
PASTラピカロ ラピード視点のユーリとカロル。相棒と子供と、自分の立ち位置
ラピードは思案していた。どうやったら相棒の目を醒まさせてやれるか、そもそも何故こんなにもべたべたと引っ付いているのか。それが問題だ。
主人兼相棒のユーリは、カロルとか言うガキが気に入っているらしく朝から晩までずっと一緒にいる。カロルが首領で、自分たちはギルド員だから当然と言えば当然かもしれないが、ジュディスは言うほど近寄らない。男と女の違いというヤツか。
人間はよくわからない。
「あら、悩み事かしら?」
じゃれつこうとするエステルを追い払い、今日も問題を解決すべく思考に耽っていると、ジュディスがやってきて、隣に座った。
丁度いいので気になることを訊いてみた。
「そうね。あの二人は仲がいいと思うわ、まるで兄弟みたいにね」
1358ラピードは思案していた。どうやったら相棒の目を醒まさせてやれるか、そもそも何故こんなにもべたべたと引っ付いているのか。それが問題だ。
主人兼相棒のユーリは、カロルとか言うガキが気に入っているらしく朝から晩までずっと一緒にいる。カロルが首領で、自分たちはギルド員だから当然と言えば当然かもしれないが、ジュディスは言うほど近寄らない。男と女の違いというヤツか。
人間はよくわからない。
「あら、悩み事かしら?」
じゃれつこうとするエステルを追い払い、今日も問題を解決すべく思考に耽っていると、ジュディスがやってきて、隣に座った。
丁度いいので気になることを訊いてみた。
「そうね。あの二人は仲がいいと思うわ、まるで兄弟みたいにね」
karanoito
PASTユリカロ エステリーゼ戦後、ザーフィアス城に避難していた下町の人々にやいやい言われたユーリは……。キスあり。イタズラの末路
「ユーリってワガママだよね」
下町から拾ってきた物を修繕しながら、視線を手元に落としたままカロルが呟いた。カロルの作業を端で眺めていたユーリの表情(カオ)が引きつる。
仲間の所から戻ってきた途端それか。
その一言に、人が群がること群がること。予想以上の大反響に、むしろ言った本人が一番驚いたくらいだ。
「そうよね、ユーリはもうちょっと協調性を学んだ方がいいわよ」
「この間もアデコールのこと、川に突き落としてたしな」
「あれは税金が払えねぇから……」
「そう言えば、知ってるかい首領さん? 昔、ユーリちゃんたらね……」
好き勝手にある事ない事、ユーリの昔話、嘘や真実の混じった噂話など。四方八方から飛んでくる話に耐えかねて、ユーリはカロルの首根っこを捕まえて城の食堂を抜け出していた。
1524「ユーリってワガママだよね」
下町から拾ってきた物を修繕しながら、視線を手元に落としたままカロルが呟いた。カロルの作業を端で眺めていたユーリの表情(カオ)が引きつる。
仲間の所から戻ってきた途端それか。
その一言に、人が群がること群がること。予想以上の大反響に、むしろ言った本人が一番驚いたくらいだ。
「そうよね、ユーリはもうちょっと協調性を学んだ方がいいわよ」
「この間もアデコールのこと、川に突き落としてたしな」
「あれは税金が払えねぇから……」
「そう言えば、知ってるかい首領さん? 昔、ユーリちゃんたらね……」
好き勝手にある事ない事、ユーリの昔話、嘘や真実の混じった噂話など。四方八方から飛んでくる話に耐えかねて、ユーリはカロルの首根っこを捕まえて城の食堂を抜け出していた。
karanoito
PASTユリカロ 追憶の迷い路進行中に、過去の帝都に迷い込んだカロルのSS。分からなくていいんだよ
帝都ザーフィアス、の下町。
だけど、見知らぬ街を歩いてるような違和感がつきまとう。
それは歩き続けていると、すぐに現れた。
「……ユーリ」
思わず呟くと、その小さな人影は黒い髪を揺らして、こちらを振り向いた。
今より短い、肩までのボブカット。
ボクとそう変わらない背丈。
今より少しだけ円くて大きな瞳は、子供のものだった。
「誰だ、お前?」
一生聞く筈の無い、子供の高い声でボクを見据えた。
見たことが無くても、間違えるはずが無い。
姿は違っても、ユーリはユーリだった。
ボクの、大切な……
「……道に迷っちゃったみたいなんだ」
「ふうん、何処から来たんだ?」
この頃から世話焼きなのか、ぶっきらぼうな口調でもちゃんと相談に乗ってくれる。
1261帝都ザーフィアス、の下町。
だけど、見知らぬ街を歩いてるような違和感がつきまとう。
それは歩き続けていると、すぐに現れた。
「……ユーリ」
思わず呟くと、その小さな人影は黒い髪を揺らして、こちらを振り向いた。
今より短い、肩までのボブカット。
ボクとそう変わらない背丈。
今より少しだけ円くて大きな瞳は、子供のものだった。
「誰だ、お前?」
一生聞く筈の無い、子供の高い声でボクを見据えた。
見たことが無くても、間違えるはずが無い。
姿は違っても、ユーリはユーリだった。
ボクの、大切な……
「……道に迷っちゃったみたいなんだ」
「ふうん、何処から来たんだ?」
この頃から世話焼きなのか、ぶっきらぼうな口調でもちゃんと相談に乗ってくれる。