タイトル未定
Hashira_cha
MAIKING「猗窩座と煉獄さんが入れ替わる話」5月3日【超日輪奇譚2022】イベント新刊予定です。
タイトル未定。入れ替わりネタの序盤ラフを8p公開します。
茶柱の茶柱にしか分からないラフです。
魂で読んでください。強者なら読めます。 11
nemurinekomaru
PROGRESSロナドラ♀里帰り出産の話の続きです。なるべく短めに区切って読みやすいようにしております。
やっぱりタイトル未定。
次の投稿が未成年駄目ですなやつです。
赤色欠けた side Ronald 初めは食欲だと思っていた。
悔しいことに俺のなかで食事と言えばあのすぐ死ぬクソ雑魚吸血鬼の手で作られるものだとインプットされてしまっていたので、アイツを見る度に溢れる唾液も、それを飲み込もうと上下する喉の動きも、家の中でぐらいしか見られない手袋を外したほっそりとした指先から目が離せないのも、台所に立つ前にエプロンの紐を結ぼうとするその小さな肩が上下する様子も、自分は食べもしないのに俺が食べるのを目の前で満足そうに笑う顔がもっと見たかったのも、アイツの料理がどれもこれも美味いから!アイツの料理が全部俺好みの味付けで、食べたい分だけ出てくるのが悪いのだと、そう自分に言い聞かせていても、ふとした瞬間にあの細い腕や、ヒールを脱いだらその分低くなる身長が、どうしても俺の意識に入り込む。
3482悔しいことに俺のなかで食事と言えばあのすぐ死ぬクソ雑魚吸血鬼の手で作られるものだとインプットされてしまっていたので、アイツを見る度に溢れる唾液も、それを飲み込もうと上下する喉の動きも、家の中でぐらいしか見られない手袋を外したほっそりとした指先から目が離せないのも、台所に立つ前にエプロンの紐を結ぼうとするその小さな肩が上下する様子も、自分は食べもしないのに俺が食べるのを目の前で満足そうに笑う顔がもっと見たかったのも、アイツの料理がどれもこれも美味いから!アイツの料理が全部俺好みの味付けで、食べたい分だけ出てくるのが悪いのだと、そう自分に言い聞かせていても、ふとした瞬間にあの細い腕や、ヒールを脱いだらその分低くなる身長が、どうしても俺の意識に入り込む。
nemurinekomaru
PROGRESSロナドラ♀里帰り出産の話を最初から載せております。未だにタイトル未定。
成人指定ものはもう少し後になったらここでお見せできると思います。
恋知らぬ令嬢 っは、っは、っは、と犬のように発せられる荒い呼気。
覆い被さるその逞しい肉体はミケランジェロの彫刻を思わせる。これが一人の女吸血鬼に与えられた食事が作り上げたのだと思うとなんだか感慨深いような、不思議な心地になってしまう。出会ったばかりの若さだけでなんとか保たれていた肌のハリやツヤも栄養バランスを考えた良質な食事によって磨き上げられ、健全な輝きを放っていた。職業柄あまり陽光に当たらないからか息を荒くして肌を真っ赤に染め上げていなければ、あんまりにも白くて本当に彫刻と勘違いして鑑賞してしまっただろうなと自画自賛を込めて眺めていたら、その獲物を狙う飢えた獣と目が合ってしまい、その瞳に射抜かれてしまった。
2661覆い被さるその逞しい肉体はミケランジェロの彫刻を思わせる。これが一人の女吸血鬼に与えられた食事が作り上げたのだと思うとなんだか感慨深いような、不思議な心地になってしまう。出会ったばかりの若さだけでなんとか保たれていた肌のハリやツヤも栄養バランスを考えた良質な食事によって磨き上げられ、健全な輝きを放っていた。職業柄あまり陽光に当たらないからか息を荒くして肌を真っ赤に染め上げていなければ、あんまりにも白くて本当に彫刻と勘違いして鑑賞してしまっただろうなと自画自賛を込めて眺めていたら、その獲物を狙う飢えた獣と目が合ってしまい、その瞳に射抜かれてしまった。
青井おあ
MOURNINGタイトル未定のリンフレ紅花ルート戦後、生き延びたが闇に蠢く者に捕まって酷い目に遭ってたフレンと、助けたフレンを紋章研究所で匿うリンハルトのリンフレ……になる予定でした。同じネタでも別の方向からのアプローチの方が面白くなるかなと思ったのでボツにしました。 2780
2v_x2
INFOなんちゃって中世&聖歌隊の2人がほもほもする話。◆サンプル◆
受注発注するので→ 作品タイトル未定 | wacoo (わくー)(わふーのノリで)https://wacoo.booth.pm/items/3447566 9
さらさ
MAIKING実は出発点はちっこくなったロイドだったという。どうしてそうなった。エリュシオンの遺物として残っていたロイドそっくりのホムンクルス(というか多分まんま複製で幼くした)を某場所で見つけたロイドがひょんな事から体を明け渡されて子供からまたやり直す話。
ランロイにしたいけど余りに特殊すぎてどうしてみようもないけどとりあえず冒頭だけ。タイトル未定
「まだ、だ……!」
ロイドの体力も意識も、限界に近かった。そんな時だった、何処からか声がする。強い光がロイドを包む。
「どうか僕の体を使ってくれ。僕がこのまま自我をもつより君が僕の体を使った方が世界の為だろう」
そんな声が聞こえた。何の事だろう、そういえば自分は何を見て――?薄れる意識の中で先程までの事を思い返す。事の始まりはある一つの支援要請だった。
クロスベル再独立から一段落して通常業務へと戻って三ヶ月経った頃だった。エリュシオンの遺物が残っていないか調査して欲しいという匿名の支援要請が入ったのは。誰のものかはおおよそ予想がついたし、今後影響がないとも限らない。調査範囲が広いことから手分けする事となったのだが、ロイドは一人で太陽の砦の捜査に当たったのである。諸々曰く付きである事から後でツァイトも合流する手筈になっていたのだが、予想外の事が起こった。
3512ロイドの体力も意識も、限界に近かった。そんな時だった、何処からか声がする。強い光がロイドを包む。
「どうか僕の体を使ってくれ。僕がこのまま自我をもつより君が僕の体を使った方が世界の為だろう」
そんな声が聞こえた。何の事だろう、そういえば自分は何を見て――?薄れる意識の中で先程までの事を思い返す。事の始まりはある一つの支援要請だった。
クロスベル再独立から一段落して通常業務へと戻って三ヶ月経った頃だった。エリュシオンの遺物が残っていないか調査して欲しいという匿名の支援要請が入ったのは。誰のものかはおおよそ予想がついたし、今後影響がないとも限らない。調査範囲が広いことから手分けする事となったのだが、ロイドは一人で太陽の砦の捜査に当たったのである。諸々曰く付きである事から後でツァイトも合流する手筈になっていたのだが、予想外の事が起こった。
#FFFF9D
MEMO2020.04.10/大事に取っておいた中学時代の第二ボタンを海に捨てにいくふたりの冒頭メモ、タイトル未定、無自覚。
ふたりの間には出会った時から恋があったんだなぁとおもうとやっぱり終わりを決めるのも新しく作るのも知ってて(みてて)欲しいなぁって話。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮5-4(タイトル未定)。記憶が戻ったジャックとレオナの話。これにて完結。あれから三日が経った。未だにジャックは目を覚まさない。
レオナはその横で書類整理に追われていた。下から上げられた報告書に目を通し、サインをしていく。
あの時は咄嗟のことで冷静さを欠いていた。いくら目をかけているマジフト選手といえども所詮はただの一般人で、こうして王宮に置いておくのにも限界がある。そろそろ医療機関に移さなければならない。
走らせていたペンを置き、レオナはチラリとジャックを見る。そこには三日前と変わらない姿があった。
視線を戻し、ふぅと一息吐いて机に置かれていた水差しを手に取った。グラスに注いだ冷たい水を一気に呷る。すると少しだけだが頭がスッキリした。
「ジャック」
この三日間でもう何度呼んだかも分からない名前が口から出ていく。その時だった。
2250レオナはその横で書類整理に追われていた。下から上げられた報告書に目を通し、サインをしていく。
あの時は咄嗟のことで冷静さを欠いていた。いくら目をかけているマジフト選手といえども所詮はただの一般人で、こうして王宮に置いておくのにも限界がある。そろそろ医療機関に移さなければならない。
走らせていたペンを置き、レオナはチラリとジャックを見る。そこには三日前と変わらない姿があった。
視線を戻し、ふぅと一息吐いて机に置かれていた水差しを手に取った。グラスに注いだ冷たい水を一気に呷る。すると少しだけだが頭がスッキリした。
「ジャック」
この三日間でもう何度呼んだかも分からない名前が口から出ていく。その時だった。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮5-3(タイトル未定)。記憶の世界を漂うジャックの話。気がつけば知らない場所に立っていた。辺り一面が故郷の雪景色のように真っ白で、他の色は存在しない、おかしな空間。
「どこだ。ここ……」
記憶は、マジフト大会で箒から放り出され、地面に叩きつけられたところで途切れている。
いったいここはどこなんだ。ジャックは見覚えのない景色にきょろきょろと辺りを見渡す。
しかしこのままここに突っ立っていてもなにも変わらない。とりあえず辺りを探索してみようと、ジャックはどこかも分からない空間に足を踏み出す。
あてどなく、ただ真っすぐに足を進めるジャック。すると突然、目の前にモニターのようなものが現れた。ブォンという音を立てて、画面に映像が流れ始める。
「うおっ!?」
そこに映っていたのは、こちらを見下ろしながら戸惑ったような表情を浮かべたレオナの姿だった。この顔には見覚えがある。たしかあれは二週間ほど前、ジャックがレオナに試合に来て欲しいと跪いて懇願した時のものだ。
2472「どこだ。ここ……」
記憶は、マジフト大会で箒から放り出され、地面に叩きつけられたところで途切れている。
いったいここはどこなんだ。ジャックは見覚えのない景色にきょろきょろと辺りを見渡す。
しかしこのままここに突っ立っていてもなにも変わらない。とりあえず辺りを探索してみようと、ジャックはどこかも分からない空間に足を踏み出す。
あてどなく、ただ真っすぐに足を進めるジャック。すると突然、目の前にモニターのようなものが現れた。ブォンという音を立てて、画面に映像が流れ始める。
「うおっ!?」
そこに映っていたのは、こちらを見下ろしながら戸惑ったような表情を浮かべたレオナの姿だった。この顔には見覚えがある。たしかあれは二週間ほど前、ジャックがレオナに試合に来て欲しいと跪いて懇願した時のものだ。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮5-2(タイトル未定)。ジャックを部屋に運び込ませたレオナの話。レオナは大きく息を吐いて自室のベッドの端に腰を下ろす。横を見れば、そこにはレオナのベッドで静かに眠り続けるジャックの姿があった。
あの時、会場にやってきた医療チームにジャックを引き渡し、レオナも共に王宮へと急ぐ車の中に乗り込んだ。同乗していた医師はすぐに運ばれてきたジャックの容体を調べ始めた。まず試合のユニフォームを裂き、上半身の怪我を確認する。そして次に下半身へと移っていく。
結果、奇跡的に外傷は擦り傷程度のものしか見つからなかった。しかし、安心することはできなかった。
医師によると、ジャックは頭を強く打ちつけていることにより、なんらかの障害が残るかもしれないとのことだった。それがどんなものなのかは意識が戻ってからでないと検査ができない。
1233あの時、会場にやってきた医療チームにジャックを引き渡し、レオナも共に王宮へと急ぐ車の中に乗り込んだ。同乗していた医師はすぐに運ばれてきたジャックの容体を調べ始めた。まず試合のユニフォームを裂き、上半身の怪我を確認する。そして次に下半身へと移っていく。
結果、奇跡的に外傷は擦り傷程度のものしか見つからなかった。しかし、安心することはできなかった。
医師によると、ジャックは頭を強く打ちつけていることにより、なんらかの障害が残るかもしれないとのことだった。それがどんなものなのかは意識が戻ってからでないと検査ができない。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮5-1(タイトル未定)。ジャックが怪我をするところ。第五話
空中を飛び交う選手達の魔法が激しくぶつかり合う。炎の渦は水の壁に阻まれ、砂を巻き上げた竜巻は同じく吹きすさぶ風によって相殺される。目の前では互いに一歩も譲らない、互角とも言える試合が繰り広げられていた。
レオナはそれを国賓席から観戦する。視線は自然と一人の選手を追っていく。狼の耳と尻尾を持った選手が火の玉を潜り抜け味方チームにパスを出していた。
レオナの兄であり、夕焼けの草原の国王ファレナは、そんなレオナにこっそり耳打ちする。
「どうだ?やはり生で見る試合は面白いだろう?」
「……」
空を舞うディスクが敵チームの手に渡る。狼はすかさず後を追いかけ、得意の風魔法で進行の妨害にかかった。
「今日はあれだけ誘っても絶対に観に来なかったお前が来るって言うものだから驚いたよ」
2244空中を飛び交う選手達の魔法が激しくぶつかり合う。炎の渦は水の壁に阻まれ、砂を巻き上げた竜巻は同じく吹きすさぶ風によって相殺される。目の前では互いに一歩も譲らない、互角とも言える試合が繰り広げられていた。
レオナはそれを国賓席から観戦する。視線は自然と一人の選手を追っていく。狼の耳と尻尾を持った選手が火の玉を潜り抜け味方チームにパスを出していた。
レオナの兄であり、夕焼けの草原の国王ファレナは、そんなレオナにこっそり耳打ちする。
「どうだ?やはり生で見る試合は面白いだろう?」
「……」
空を舞うディスクが敵チームの手に渡る。狼はすかさず後を追いかけ、得意の風魔法で進行の妨害にかかった。
「今日はあれだけ誘っても絶対に観に来なかったお前が来るって言うものだから驚いたよ」
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4-5(タイトル未定)。雪の石をレオナにプレゼントするジャックの話。いつもと同じ中庭。一人佇むジャックは、背後から近づいてくる足音に勢いよく振り返った。
「レオナさん」
側に歩み寄ることさえ待ちきれずレオナの元に駆け寄ると、レオナはそのジャックの行動に驚いたように少しだけ目を見開いていた。
「どうした」
心地いい低音に顔がにやけそうになる。ジャックは逸る気持ちを抑えながらポケットに手を入れた。
「実は、今日は渡したいものがあって」
「渡したい物?」
そう言って取り出したのは、先日ラギーと観光した時に買ったあの瓶だった。可愛らしい袋に入ったそれをレオナに向かって差し出す。
喜んでくれるだろうか。期待を込めた眼差しでレオナを見つめると、袋とジャックを交互に見ていたレオナがそっと手を伸ばしてきた。すらりと伸びた指先が袋を取り上げる。
2108「レオナさん」
側に歩み寄ることさえ待ちきれずレオナの元に駆け寄ると、レオナはそのジャックの行動に驚いたように少しだけ目を見開いていた。
「どうした」
心地いい低音に顔がにやけそうになる。ジャックは逸る気持ちを抑えながらポケットに手を入れた。
「実は、今日は渡したいものがあって」
「渡したい物?」
そう言って取り出したのは、先日ラギーと観光した時に買ったあの瓶だった。可愛らしい袋に入ったそれをレオナに向かって差し出す。
喜んでくれるだろうか。期待を込めた眼差しでレオナを見つめると、袋とジャックを交互に見ていたレオナがそっと手を伸ばしてきた。すらりと伸びた指先が袋を取り上げる。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4ー4(タイトル未定)。レオナとの馴れ初めを話すジャックの話。湖と最寄り駅を繋ぐバスは木々に囲まれた山道を走っていた。まだ日が高いこともあり、乗客の姿はほとんどない。
ジャックとラギーは一番後ろの広い席に腰を下ろし、隣の空いているスペースには先ほど買った大量のお土産を置いていた。駅まではまだしばらくかかる。
窓側の席で静かに携帯をいじっていたラギーだったが、突然あっ、となにかを思いついたかのように声を上げた。
「そういえば、ジャック君にもプレゼントを贈りたい相手がいるんスねぇ。さっきは好きな人なんかいないって言ってたのに」
なんの脈略もなくいきなり投げかけられたその言葉に、ジャックは驚く。
「なんですか、いきなり」
「だって最後に買ったあの石、あれって誰かにプレゼントするんでしょう?あんなの仕事仲間にあげるもんでもないし、家族にってわけでもなさそうだったし」
2172ジャックとラギーは一番後ろの広い席に腰を下ろし、隣の空いているスペースには先ほど買った大量のお土産を置いていた。駅まではまだしばらくかかる。
窓側の席で静かに携帯をいじっていたラギーだったが、突然あっ、となにかを思いついたかのように声を上げた。
「そういえば、ジャック君にもプレゼントを贈りたい相手がいるんスねぇ。さっきは好きな人なんかいないって言ってたのに」
なんの脈略もなくいきなり投げかけられたその言葉に、ジャックは驚く。
「なんですか、いきなり」
「だって最後に買ったあの石、あれって誰かにプレゼントするんでしょう?あんなの仕事仲間にあげるもんでもないし、家族にってわけでもなさそうだったし」
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4話ー3(タイトル未定)。ラギーとジャックでお土産屋さんにいるところ。水上からの景色を堪能し、再び湖周辺の探索に戻って写真を撮っていた二人は、最後にペンションに隣接しているお土産屋へとやってきた。
天井では大きなプロペラが回り、柔らかな温もりを感じる照明が店内を明るく照らす。植物のインテリアで飾られた木製の棚には多くのお土産品が陳列されていた。
ジャックはまず弟妹用にとお菓子コーナーをぶらつくことにした。正直定番のお土産品ばかりだろうと思っていたのだが、どうやらここは近くの牧場と提携しているらしく、牧場オリジナルの商品が数多く揃えられていた。
足を進め、店の中央の一際目立つところに積んである箱に手を伸ばす。初めて見るパッケージだ。横には中身のサンプルが置いてあり、ジャックはそれに目をやった。
1716天井では大きなプロペラが回り、柔らかな温もりを感じる照明が店内を明るく照らす。植物のインテリアで飾られた木製の棚には多くのお土産品が陳列されていた。
ジャックはまず弟妹用にとお菓子コーナーをぶらつくことにした。正直定番のお土産品ばかりだろうと思っていたのだが、どうやらここは近くの牧場と提携しているらしく、牧場オリジナルの商品が数多く揃えられていた。
足を進め、店の中央の一際目立つところに積んである箱に手を伸ばす。初めて見るパッケージだ。横には中身のサンプルが置いてあり、ジャックはそれに目をやった。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4話-2(タイトル未定)。二人で観光しているところ。さんさんと降り注ぐ太陽の光を浴びて金色に輝く水面。よく手入れの行き届いた青々とした芝生。涼やかな風は頬を撫で、木の葉を揺らし過ぎ去っていく。
「へぇー、けっこう良い感じのとこッスね」
ラギーをそう言いながら手に持った携帯で写真を撮っていく。あとで資料として使うためだ。
広い芝生は夏にはキャンプ場として使われ、近くにはバーベキュー用の炊事場まで準備されている。奥の方にはコテージもあり、団体での宿泊も可能だ。
湖の脇にはレストラン付きのペンションが建てられ、ちょっとしたお土産品もここで買うことができる。
「静かでいいところですね」
今時珍しく、右を見ても左を見ても、周りにあるのは自然だけだ。木々の揺れる音が心地いい。
2013「へぇー、けっこう良い感じのとこッスね」
ラギーをそう言いながら手に持った携帯で写真を撮っていく。あとで資料として使うためだ。
広い芝生は夏にはキャンプ場として使われ、近くにはバーベキュー用の炊事場まで準備されている。奥の方にはコテージもあり、団体での宿泊も可能だ。
湖の脇にはレストラン付きのペンションが建てられ、ちょっとしたお土産品もここで買うことができる。
「静かでいいところですね」
今時珍しく、右を見ても左を見ても、周りにあるのは自然だけだ。木々の揺れる音が心地いい。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4話ー1(タイトル未定)ラギーとジャックが落ち合うところ。第四話
飛行機到着予定まであと十分。ジャックは腕時計から目を外し、到着口上部にある電光掲示板を見上げていた。天気は快晴。画面には定刻通りの運航時間が映し出されている。
ロビーには迎えに来た人や出発前に買い物に勤しむ人、重たそうな荷物を抱えて到着ゲートから出てくる人々であふれていた。
ジャックは同じように到着を待ち、ゲート付近で立ち止まっている人達の間を抜け、その横に設置されているベンチへと向かう。つい先ほど別の飛行機が到着したおかげか、そこは思ったより空いていた。ジャックは少し奥まったところにあるベンチの角に腰を下ろす。
ポケットに入れていた携帯を取り出し画面を点けると、予定時刻まで残り八分になっていた。そこから画像のアプリを開き、あらかじめ撮っていた電車の時刻表を出す。これなら全て予定通りに進められそうだ。
1364飛行機到着予定まであと十分。ジャックは腕時計から目を外し、到着口上部にある電光掲示板を見上げていた。天気は快晴。画面には定刻通りの運航時間が映し出されている。
ロビーには迎えに来た人や出発前に買い物に勤しむ人、重たそうな荷物を抱えて到着ゲートから出てくる人々であふれていた。
ジャックは同じように到着を待ち、ゲート付近で立ち止まっている人達の間を抜け、その横に設置されているベンチへと向かう。つい先ほど別の飛行機が到着したおかげか、そこは思ったより空いていた。ジャックは少し奥まったところにあるベンチの角に腰を下ろす。
ポケットに入れていた携帯を取り出し画面を点けると、予定時刻まで残り八分になっていた。そこから画像のアプリを開き、あらかじめ撮っていた電車の時刻表を出す。これなら全て予定通りに進められそうだ。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮3話ー4(タイトル未定)。四度目の再会。マジフトについて話す二人。篝火を見上げる後ろ姿。周りには誰もいないことを確認し、ジャックはその背中に声をかける。
「レオナさん」
ジャックの声に反応し小さな耳がピルルと動いた。ゆっくりと振り返るレオナに、ジャックは小走りで駆け寄る。
「少しお話でもどうですか?」
すっかり二人にとって馴染み深くなった誘い文句に、レオナはわざと考える素振りを見せ、やがて小さく頷いた。
「少しだけならいいだろう」
「ありがとうございます」
仕方がないという素振りを見せながらも浮かべられた笑みに、ジャックは同じように笑い返す。そして火に照らされたレオナの横に並び立ち、燃える炎を見上げた。
「レオナさんはマジフトやったことはありますか?」
「……少しだけな。でもお前と違ってただのお遊びレベルだ。たいした腕じゃない」
1774「レオナさん」
ジャックの声に反応し小さな耳がピルルと動いた。ゆっくりと振り返るレオナに、ジャックは小走りで駆け寄る。
「少しお話でもどうですか?」
すっかり二人にとって馴染み深くなった誘い文句に、レオナはわざと考える素振りを見せ、やがて小さく頷いた。
「少しだけならいいだろう」
「ありがとうございます」
仕方がないという素振りを見せながらも浮かべられた笑みに、ジャックは同じように笑い返す。そして火に照らされたレオナの横に並び立ち、燃える炎を見上げた。
「レオナさんはマジフトやったことはありますか?」
「……少しだけな。でもお前と違ってただのお遊びレベルだ。たいした腕じゃない」
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮3話ー3(タイトル未定)。三度目の再会。他愛もない話をする二人。「またお前は……。ここでなにやってんだ」
そう背後からかけられた声に、ジャックは勢いよく振り返った。星空を浮かべる中庭だけが、この人と会える唯一の場所だ。持ち上がった尻尾が大きく左右に揺れる。
「またお会いできて嬉しいです。よかったら少しお話しませんか?」
ジャックは長い耳を少しだけ伏せながら控え目に首を傾げる。男は腕を組みながらジャックを見ていたが、やがてふぅと息を吐いて腕を解いた。
「少しだけならな」
「ありがとうございます!」
近づいてくる足音にさえ、体が過敏に反応してしまう。ジャリジャリと砂は踏み潰され、ザッと土は蹴られる。一歩、また一歩と少しずつ近づいてくるその音に、ジャックの胸は早くなっていった。
3723そう背後からかけられた声に、ジャックは勢いよく振り返った。星空を浮かべる中庭だけが、この人と会える唯一の場所だ。持ち上がった尻尾が大きく左右に揺れる。
「またお会いできて嬉しいです。よかったら少しお話しませんか?」
ジャックは長い耳を少しだけ伏せながら控え目に首を傾げる。男は腕を組みながらジャックを見ていたが、やがてふぅと息を吐いて腕を解いた。
「少しだけならな」
「ありがとうございます!」
近づいてくる足音にさえ、体が過敏に反応してしまう。ジャリジャリと砂は踏み潰され、ザッと土は蹴られる。一歩、また一歩と少しずつ近づいてくるその音に、ジャックの胸は早くなっていった。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮3話-2(タイトル未定)。レオナとの二度目の再会。ジャックは再び宴から逃げ出し、誰もいない中庭で星空を見上げていた。今日は数日前の試合で夕焼けの草原チームが勝利を収めたおかげで、いつにも増して宴に熱が入っている。
どうにか隙をみつけてここに駆け込んだジャックは、意味もなくぼんやりと空に浮かんだ星を眺めていた。そんな時だった。またあの声が聞こえてきたのは。
「今回の主役がなにこんなところで油売ってんだ?」
聞き覚えのある低音にパッと後ろを振り返ると、前回の宴で同じように中庭に避難してきた時に出会った獅子がそこに立っていた。また簡単な装飾品と絹の長衣を身に纏っている。
「ここでなら、またあなたに会えると思って」
本心ではあったが、どこか浮ついた声が口から出ていく。まさかまた会えるなんて。無意識で尻尾が大きく左右に揺れる。
1950どうにか隙をみつけてここに駆け込んだジャックは、意味もなくぼんやりと空に浮かんだ星を眺めていた。そんな時だった。またあの声が聞こえてきたのは。
「今回の主役がなにこんなところで油売ってんだ?」
聞き覚えのある低音にパッと後ろを振り返ると、前回の宴で同じように中庭に避難してきた時に出会った獅子がそこに立っていた。また簡単な装飾品と絹の長衣を身に纏っている。
「ここでなら、またあなたに会えると思って」
本心ではあったが、どこか浮ついた声が口から出ていく。まさかまた会えるなんて。無意識で尻尾が大きく左右に揺れる。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮3話ー1(タイトル未定)。ジャックが卒業してから三年、レオナと再会する。第三話
一つ先輩のラギーの背中を送り出し、自身もナイトレイヴンカレッジを卒業して早三年。ジャックは寮対抗マジフト大会での雄姿を見初められ、夕焼けの草原のプロチームに所属していた。
夕焼けの草原では国をあげてマジフトチームを応援しているらしく、数か月に一度、選手達を労う宴が開かれている。参加できるのはチームの二軍までであり、ジャックもようやく最近参加できるようになった。
初めて王宮に足を踏み入れた時の衝撃は今でも忘れられない。右を見ても左を見ても、周りには黄金だらけ。見るからに高そうな壺や装飾品に囲まれる空間はとても居心地が悪かった。今でも何かの拍子にぶつかってしまわないかそわそわしてしまう。
ジャックは話しかけてきたどこぞの紳士との会話を終え、会場内に目を走らせる。すると視界の端で国王陛下と何やら話し込んでいるチームの監督を見つけた。にこやかな表情から、二人が盛り上がっていることがうかがえる。
1957一つ先輩のラギーの背中を送り出し、自身もナイトレイヴンカレッジを卒業して早三年。ジャックは寮対抗マジフト大会での雄姿を見初められ、夕焼けの草原のプロチームに所属していた。
夕焼けの草原では国をあげてマジフトチームを応援しているらしく、数か月に一度、選手達を労う宴が開かれている。参加できるのはチームの二軍までであり、ジャックもようやく最近参加できるようになった。
初めて王宮に足を踏み入れた時の衝撃は今でも忘れられない。右を見ても左を見ても、周りには黄金だらけ。見るからに高そうな壺や装飾品に囲まれる空間はとても居心地が悪かった。今でも何かの拍子にぶつかってしまわないかそわそわしてしまう。
ジャックは話しかけてきたどこぞの紳士との会話を終え、会場内に目を走らせる。すると視界の端で国王陛下と何やら話し込んでいるチームの監督を見つけた。にこやかな表情から、二人が盛り上がっていることがうかがえる。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮2話ー4(タイトル未定)。ジャックが目を覚ましたことを聞き、レオナが卒業を迎えるところまで。立ち合いから明けた次の日昼過ぎ、クルーウェルからジャックが無事に目を覚ましたと連絡が入った。ベッドに横になったまま、その簡素な報告を聞く。
二言、三言でやりとりを済ませ、レオナは電話を切った。携帯の画面には初期のままから変わらない壁紙が映し出されている。表示された分数を表す数字が変わったところでレオナは携帯を持った手をそのままベッドに投げ出した。
静かだ。なにもかもが静かで穏やかだ。
本来ならばこんなはずではなかった。いつものように温かな眼差しを向けるジャックに迎えられ、時間が許す限りレオナの部屋で共に過ごし、二人だけの時間を共有する。そのはずだった。
それが、今はレオナただ一人だ。いや、これからも。
ジャックとのやりとりは、レオナからの『これから帰る』というメッセージで終わっている。これから先、この先が綴られることはない。これは仕方のないことだ。
1686二言、三言でやりとりを済ませ、レオナは電話を切った。携帯の画面には初期のままから変わらない壁紙が映し出されている。表示された分数を表す数字が変わったところでレオナは携帯を持った手をそのままベッドに投げ出した。
静かだ。なにもかもが静かで穏やかだ。
本来ならばこんなはずではなかった。いつものように温かな眼差しを向けるジャックに迎えられ、時間が許す限りレオナの部屋で共に過ごし、二人だけの時間を共有する。そのはずだった。
それが、今はレオナただ一人だ。いや、これからも。
ジャックとのやりとりは、レオナからの『これから帰る』というメッセージで終わっている。これから先、この先が綴られることはない。これは仕方のないことだ。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮2話ー3(タイトル未定)。レオナの痕跡、そしてジャックの記憶を消すところ。真っ先にやったのはジャックのスマホから連絡先を消すことだった。クルーウェル立ち合いのもと、ジャックのスマホを操作して一つ一つ保存されていたやり取りと消していく。
メッセージアプリはラギーから情報が洩れる可能性があったため、ラギーのアカウントごと削除した。後でまた入れ直しておけば問題はないだろう。
久しく使っていないメールも、ご丁寧にレオナだけフォルダが分けられており、簡単に削除することができた。
できる限りのことを保健室で済ませ、レオナは次にジャックの部屋へ向かった。部屋に残された痕跡を消すためだ。二年生とはいえ相部屋は変わらない。魔法で鍵を開け、自身にも簡単な目くらましの魔法をかける。あとは下手に大きな音さえ出さなければ寝入っているルームメイトが起きることもないだろう。
2252メッセージアプリはラギーから情報が洩れる可能性があったため、ラギーのアカウントごと削除した。後でまた入れ直しておけば問題はないだろう。
久しく使っていないメールも、ご丁寧にレオナだけフォルダが分けられており、簡単に削除することができた。
できる限りのことを保健室で済ませ、レオナは次にジャックの部屋へ向かった。部屋に残された痕跡を消すためだ。二年生とはいえ相部屋は変わらない。魔法で鍵を開け、自身にも簡単な目くらましの魔法をかける。あとは下手に大きな音さえ出さなければ寝入っているルームメイトが起きることもないだろう。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮2話ー2(タイトル未定)。レオナとクルーウェルのやりとり。ランプの明かりが手元を照らす。カサリ。夜の帳が下りきった保健室に紙がめくれる音がした。クルーウェルは本に羅列された文字を目で追い、ページをめくっていく。
依然としてジャックに異常は見られない。しかしこればかりは何が起こるか分からないため、クルーウェルは不測の事態に備え、今日は保健室に泊まることにした。
カサリ、カサリとページが読み進められていく。物音一つしない校舎は沈黙を保っている。しかし、突如としてその均衡は破られた。
突然、勢いよく保健室のドアが開かれる。だが、ここにはクルーウェル以外誰もいないはずだ。廊下から近づいてくる足音なども耳にしていない。もしかしたら学園内にいるゴーストの可能性も考えられるが、彼らはわざわざドアを開ける必要はない。
2441依然としてジャックに異常は見られない。しかしこればかりは何が起こるか分からないため、クルーウェルは不測の事態に備え、今日は保健室に泊まることにした。
カサリ、カサリとページが読み進められていく。物音一つしない校舎は沈黙を保っている。しかし、突如としてその均衡は破られた。
突然、勢いよく保健室のドアが開かれる。だが、ここにはクルーウェル以外誰もいないはずだ。廊下から近づいてくる足音なども耳にしていない。もしかしたら学園内にいるゴーストの可能性も考えられるが、彼らはわざわざドアを開ける必要はない。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮2話-1(タイトル未定)。ジャックの状態をクルーウェルから聞かさせるラギーの話。第二話
真っ白な壁にカーテンで仕切られたベッド。夕方にさしかかった保健室は、一つのベッドを除いて利用する生徒の姿はない。
シンと静まりかえった室内で、クルーウェルはベッド脇の丸椅子に腰かけながら、こんこんと眠り続ける生徒を見つめていた。
ふと、クルーウェルは廊下から聞こえてきた忙しない足音にゆっくりと立ち上がる。その音はどんどん大きくなり、やがて保健室の前で止まった。そして、勢いよくドアが開かれる。
「先生!ジャック君が倒れたって聞いたんスけど!」
「バッドボーイ。廊下は走るんじゃない」
窘めるクルーウェルの声を他所に、サバナクローの寮長であるラギーはまっすぐにベッドへと歩み寄る。真っ白で清潔感がある、けれどどこか消毒液くささを感じるベッド。そこに、ジャックは眠っていた。
2818真っ白な壁にカーテンで仕切られたベッド。夕方にさしかかった保健室は、一つのベッドを除いて利用する生徒の姿はない。
シンと静まりかえった室内で、クルーウェルはベッド脇の丸椅子に腰かけながら、こんこんと眠り続ける生徒を見つめていた。
ふと、クルーウェルは廊下から聞こえてきた忙しない足音にゆっくりと立ち上がる。その音はどんどん大きくなり、やがて保健室の前で止まった。そして、勢いよくドアが開かれる。
「先生!ジャック君が倒れたって聞いたんスけど!」
「バッドボーイ。廊下は走るんじゃない」
窘めるクルーウェルの声を他所に、サバナクローの寮長であるラギーはまっすぐにベッドへと歩み寄る。真っ白で清潔感がある、けれどどこか消毒液くささを感じるベッド。そこに、ジャックは眠っていた。
いこめ
PROGRESS監ジェイ小説の進捗です。小説から一部抜粋。短くてすみません!
タイトル未定。
一万〜一万五千文字位の小説になる予定です。
あらすじ
「俺の話を聞いてくれませんか。ただそれだけでいいんです」監督生からの相談は、非常に単純なものだった。別世界から来たという監督生に興味を持っていたジェイドは、監督生との"お話会"を通して、彼の内面に触れていくことになるのだった。「お話会……ですか」
「ええ。これから続けていくなら、何か呼称があった方が分かりやすくていいかと思いまして。契約、とだけでは、少々堅苦しいでしょう?」
首を傾げる監督生。ジェイドが提案したのは、自分たちが交わした契約に呼び名を付けることだった。
「それは良い提案だと思うんですけど、その呼び方、ちょっと子供っぽくないですか」
「そうですか? 決して、監督生さんが子供っぽいから、というような思いで名付けた訳ではありませんよ」
ジェイドは鏡のように、監督生の動きを真似して首を傾げる。その言葉が本当であれ嘘であれ、監督生の反応を楽しんでいることには間違いなかった。
「僕達が話を聞くのですから、むしろ、監督生さんから監督生さんのことを教わっている、という風な解釈の仕方もできますね。よろしくお願いします、先生」
「なんか嫌ですねその言い方! 絶対からかってるじゃないですか」
ジェイドは監督生のツッコミを受けると、満足したようにくすりと笑った。
「ふふ、冗談です。では、アイスブレイクはこの辺にして、本題に入りましょうか」
今のはジェイドなりの雰囲気作りだったらしい。全くもってそうとは思えない 565
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮1話(タイトル未定)。ジャックが気を失って倒れるまで。第一話
学校にある植物園。その一角で、ジャックは趣味であるサボテンを育てていた。手に持ったジョウロの中で、水が歩調に合わせちゃぷちゃぷ揺れる。
三段に並んだ植木鉢に、園のガラス天井から透けた温かな日差しが降り注ぐ。ジャックはジョウロで乾いた土に水をかけていく。初めはきれいに吸い込まれずに土の上を漂っていた水だが、しだいに時間をかけてゆっくり奥へと染み込んでいった。色濃く染まった土を見届け、ジャックは次の植木鉢に移る。
学校側が貸してくれているこの場所のおかげでサボテン達の発育が良い。ジャックは大、小さまざまな大きさのそれらに、一つ一つ丁寧に水を与えていく。
ふと、その中の一つに小さな蕾がついているのを見つけ、ジャックは顔を綻ばせた。そのサボテンはレオナから贈られたものだった。進級と同時に贈られた、まあるく細い綿毛のような棘を持ったサボテン。
2516学校にある植物園。その一角で、ジャックは趣味であるサボテンを育てていた。手に持ったジョウロの中で、水が歩調に合わせちゃぷちゃぷ揺れる。
三段に並んだ植木鉢に、園のガラス天井から透けた温かな日差しが降り注ぐ。ジャックはジョウロで乾いた土に水をかけていく。初めはきれいに吸い込まれずに土の上を漂っていた水だが、しだいに時間をかけてゆっくり奥へと染み込んでいった。色濃く染まった土を見届け、ジャックは次の植木鉢に移る。
学校側が貸してくれているこの場所のおかげでサボテン達の発育が良い。ジャックは大、小さまざまな大きさのそれらに、一つ一つ丁寧に水を与えていく。
ふと、その中の一つに小さな蕾がついているのを見つけ、ジャックは顔を綻ばせた。そのサボテンはレオナから贈られたものだった。進級と同時に贈られた、まあるく細い綿毛のような棘を持ったサボテン。
harkas_
MAIKINGタイトル未定、白鳩戦でフォーリンラブが解けなかったリングアベルが襲い受けする話。導入途中(R-18になる予定)どこか遠くから、誰かを呼ぶ声が聞こえる。トーンが高く、良く言えば耳に残る声。ティズ、ティズと泣きじゃくるようなその声が自分を呼んでいるのだと唐突に理解する。あれ、僕はどうしていたんだ?思考にもやがかかった様にはっきりとしない。動物の毛が焼けた様な匂いと、べったりとまとわりつく鉄の匂いにここが戦場であった事を思い出した。指の先、足の先、それぞれがある事を、動く事を確認して、それから息を吐く。上手く出来なくて少しむせて、それからゆっくりと重たい瞼を開いた。
「イデア…そんなに…揺すらないで…」
僕を呼んでいたのはイデア。僕は彼女にずっと揺さぶられていたようだ。軋む身体を懸命に起こすと、半泣きの彼女に抱きつかれた。
「ティズ!気がついたのね!」
そう言ってわんわんと泣きじゃくる。その様子からすると、僕は蘇生されたのだろう。あの大きな鳥の骨がベールを被った様な魔物に何らかの魔法をかけられたところまではぼんやりと思い出したが、その後の事がさっぱりだ。倒せたのか、倒されたのか。いや、そんな事より。
「イデア、君1人だけ?」
問い詰める様に言うと彼女ははっとして、
「だ、大丈夫、アニエスは近くの川ま 1100
岩藤美流
MAIKINGタイトル未定 続きが欠けるかわからないので もしかしたら供養になるかもしれないアズイデちゃん内容的には恋に無自覚なあずにゃんが自主規制する話 そんなにえっちなものではないですそこは恐らく、行ったこともないイデアさんの部屋だ。よくタブレットで撮影したものを見せてくれていた。新しいグッズが手に入ったとか、オルトさんが綺麗に片付けてくれたとか、そういう、僕にとってはどうでもいい報告を重ねていたから、本物は知らなくても密やかな香りまでわかるような気がする。
イデアさんからはいつも独特の香りがした。香り、というほどのものではないかもしれない、それほど微かなものだ。それは不快なものではなくて、むしろ僕にとっては落ち着くものだ。何の香りなのか、彼自身は香水など使わないだろうし、しかし石鹸の類でも無い。例えるなら、薄暗い蛸壺の中に一人眠る時のような、穏やかで静かな、優しい夜を思い出す、そんな香りだった。
イデアさんはあのいつだって散らかっているベッドを何故だか整えていて、その上に乗って僕を待っている。僕は、吸い寄せられるように彼に触れた。温かい髪、熱い程に上気した頬。金色の瞳は僅かに濡れ、揺れている。表情は不安げだから、安心させるように彼を抱きしめて、その額にキスをした。
それは子供にするようなものだったのだけれど。僕はもっと彼に触れたくなった。唇を瞼に、頬に重ね、 4929