Do not Repost・東龍
DONE通勤中にちまちま打ってたの、やっと出来たわよ。若っっ干のネタバレ注意?
※発端は番外の方
→https://tapnovel.com/stories/24978
※画像版
→https://galleria.emotionflow.com/45784/700193.html
ギンが嘘ついたせいで部屋の隅の埃に話しかけ続ける哀れな妖精 ──まずい事になったかもしれない。
”少し動いただけでキシキシ鳴る安宿の安い椅子”が鳴かないように意識しつつ、そんな椅子に座りながらギンは部屋の隅の異常光景を見やる。
「ふわふわくん! キミはなにをかんがえているんだい?!」
肩に乗せられる小鳥くらいの大きさの妖精が、部屋の隅に座りこんで埃の塊に話しかけている。勿論、埃は何も反応しない。パッと見、気が狂った哀れな妖精にしか見えない。
しかし、そんな哀れな様子を生み出したのは自分なので笑えない。最初はそんな様子を笑って眺めていたが、相手は謎理屈で村1つぶんの文房具を全て盗み出すようなバカだった。そんなバカを舐めていた。もう、笑えない。
数日前、妖精・ヴァガに「へやの すみの ”ふわふわ”は何?!」と訊かれ「エサあげてみろよ! なつくかもしれないぜ?!」と無責任に言ったが最後、純真無垢なバカは部屋の隅の埃にクッキーの欠片をあげたり、話しかけたりしている。
3154”少し動いただけでキシキシ鳴る安宿の安い椅子”が鳴かないように意識しつつ、そんな椅子に座りながらギンは部屋の隅の異常光景を見やる。
「ふわふわくん! キミはなにをかんがえているんだい?!」
肩に乗せられる小鳥くらいの大きさの妖精が、部屋の隅に座りこんで埃の塊に話しかけている。勿論、埃は何も反応しない。パッと見、気が狂った哀れな妖精にしか見えない。
しかし、そんな哀れな様子を生み出したのは自分なので笑えない。最初はそんな様子を笑って眺めていたが、相手は謎理屈で村1つぶんの文房具を全て盗み出すようなバカだった。そんなバカを舐めていた。もう、笑えない。
数日前、妖精・ヴァガに「へやの すみの ”ふわふわ”は何?!」と訊かれ「エサあげてみろよ! なつくかもしれないぜ?!」と無責任に言ったが最後、純真無垢なバカは部屋の隅の埃にクッキーの欠片をあげたり、話しかけたりしている。
RuemaTany42
INFOフォロワーさん先行公開 【弁ポエお料理再録本】『おれたちの最も甘い幸せを』サンプル※後日支部投稿します発行:4/28 おでかけライブin金沢20
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通販予約:4/20 一カラット2に合わせて下記のBOOTHにて行います
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Jukiya_d
PROGRESSなるべく早いうちに出したいイチ桐初えっち本の一章です!一応一章は完成形としたいですが執筆中の為今後変更の可能性もあります。ご了承下さい。
タイトル未定 如くの出られそうなイベントが年内になさそうなので恐らく通販になります。5月出たかったよぉぉ……
支部に上げた「貴方がイチバン」の加筆修正版でもあります
ここから続きをモリモリ書いていきたいと思います!頑張るぞー!! 14
キツキトウ
DONE2024/4/7怪奇中毒者は彼方《かなた》。それが私の最初の〝話〟だった。
----------
エブリスタ「三行から参加できる」用に新しく書いたもの。「終煙奇譚」シリーズの一つ。
終煙怪奇譚:「メメメ」.
.
ふるふるふると、自身のやるせなさに震える。
ふつふつふつと焦げる心の底が、じれったさに悶える。
考えども考えども浮かばない。インクの一滴すらも進みがない。苦しく、悶え、気が晴れず、言い知れぬ心地悪さに浸食される。何かが浮かびそうで浮かばない。
ごうんごうんと、そしてがたがたと震える洗濯機の群れに囲まれながら待合の椅子に腰かけ、煙草を咥え、万年筆と手帳を片手に髪を掻き上げる。持ち上げた脛を置いた片脚が貧乏揺すりをし出しそうだ。
レトロなコインランドリーで、晴れ晴れとしない鬱屈さともう少しで何かが掴み取れそうなもどかしさに浸されている。
「クソッ、締め切りまで間がないぞ」
幸か不幸か、しかし有り難さなのか。
1672.
ふるふるふると、自身のやるせなさに震える。
ふつふつふつと焦げる心の底が、じれったさに悶える。
考えども考えども浮かばない。インクの一滴すらも進みがない。苦しく、悶え、気が晴れず、言い知れぬ心地悪さに浸食される。何かが浮かびそうで浮かばない。
ごうんごうんと、そしてがたがたと震える洗濯機の群れに囲まれながら待合の椅子に腰かけ、煙草を咥え、万年筆と手帳を片手に髪を掻き上げる。持ち上げた脛を置いた片脚が貧乏揺すりをし出しそうだ。
レトロなコインランドリーで、晴れ晴れとしない鬱屈さともう少しで何かが掴み取れそうなもどかしさに浸されている。
「クソッ、締め切りまで間がないぞ」
幸か不幸か、しかし有り難さなのか。
86mayuri
DONE全文はpixivに上げています。【墜天の王 蔭 11 蜜月】長編修帝小説の一部。追憶。原作軸。翼の団時代の回想シーン。阿修羅×帝釈天
墜天の王 11 その馴れ初めは焦がれて苦く ②.
天域の四季は比較的温暖でだいぶ気候も春めいて穏やかになってきたところだが。窓を開け放って就寝するにはまだ早い。日中の気温とはさすがに違うこともあり、帝釈天が腰掛けていた大きな出窓も今は閉じられている。
正面の窓の外で自由に枝を伸ばす桜の木はちょうど見頃を迎えていた。
商人の邸宅に咲く大きな桃の花も見事だったが、それよりも控えめな色合いの柔らかい薄紅は、彼の白に近い金糸のような髪色によく馴染む。そこで春の景色に溶け込みその一部となったように出窓で羽根を休める彼の中に、季節の移ろいを静かに見守る優しさを見たような気がした。
収まらない怒りをぶつけるまま、仕事を放り出して呆けていたとそう見えていた昼の自分とは、全く異なる見立てになったが。
3033天域の四季は比較的温暖でだいぶ気候も春めいて穏やかになってきたところだが。窓を開け放って就寝するにはまだ早い。日中の気温とはさすがに違うこともあり、帝釈天が腰掛けていた大きな出窓も今は閉じられている。
正面の窓の外で自由に枝を伸ばす桜の木はちょうど見頃を迎えていた。
商人の邸宅に咲く大きな桃の花も見事だったが、それよりも控えめな色合いの柔らかい薄紅は、彼の白に近い金糸のような髪色によく馴染む。そこで春の景色に溶け込みその一部となったように出窓で羽根を休める彼の中に、季節の移ろいを静かに見守る優しさを見たような気がした。
収まらない怒りをぶつけるまま、仕事を放り出して呆けていたとそう見えていた昼の自分とは、全く異なる見立てになったが。
キツキトウ
DONE2024/3/27彼は誰時。
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エブリスタ「三行から参加できる」用に新しく書いたもの。「終煙奇譚」シリーズの一つ。
終煙怪奇譚:「誰そ彼、その声は、」.
.
『それはこっちの方がいい』
また今日も声が聞こえた。
幼い頃からこうだ。何かに迷う時、危機を回避する時、失敗して泣きそうになった時は宥め、子供ながらに悪さをしてしまった時は親に見つかる前に諭すように声が出てくる事もある。ポケットから。
ただ、最終的には己で決めるので、その声に沿う事もあれば携えた小さな反抗心で沿わない事もあった。
「お前は何にする?」
「……そうだな」
夕の色も瞑色に変化しつつある街中を抜けた先、訪れた店の卓上で、品書きの羅列を眺めながら通り過ぎたいつもの声をやり過ごす。
喉が渇き、まずは茶かそれとも酒かで迷い、けれど今の状況、結局の所最後には酒をあおる事になるのだから――
『無駄だろう』
2555.
『それはこっちの方がいい』
また今日も声が聞こえた。
幼い頃からこうだ。何かに迷う時、危機を回避する時、失敗して泣きそうになった時は宥め、子供ながらに悪さをしてしまった時は親に見つかる前に諭すように声が出てくる事もある。ポケットから。
ただ、最終的には己で決めるので、その声に沿う事もあれば携えた小さな反抗心で沿わない事もあった。
「お前は何にする?」
「……そうだな」
夕の色も瞑色に変化しつつある街中を抜けた先、訪れた店の卓上で、品書きの羅列を眺めながら通り過ぎたいつもの声をやり過ごす。
喉が渇き、まずは茶かそれとも酒かで迷い、けれど今の状況、結局の所最後には酒をあおる事になるのだから――
『無駄だろう』
うずらのたまご
DONEじんちの072のはなし。試験運用かねてリスインで行きます!リプで受け付けます!
初二次元🌈がこんなお話でいいのだろうか……w
超絶不慣れの初心者ですがどうぞお手柔らかに……
おすすめの横書き、縦書きサイト?お教えください!! 6
zeppei27
DONE一次創作〜美味しいものを知っている才能あふれる男と、美味しいものを食べさせてもらうという関係を続けてきたその平凡な友人。天才が作る食事に友人が招待された、ある日のお話。
死に至る美食 早乙女佑月という男は、妙な人間だった。物心着く頃から、何が美味しいものか、最も美味しいかを瞬時に見分ける才能があった。ひょっとすると乳幼児の頃からだったかもしれない。庭の木を見てはいつ頃栗が熟れ時か、どれから収穫すべきかを鳥よりも早く見分けて周囲に頼んでいた。最初は半信半疑だった大人たちも、何回か続くと流石に信じるようになって、佑月の才能は天与のものだと一目置くようになった。
見慣れた庭や畑だけではない。山に入れば酸っぱくない山葡萄や小粒の茱萸をすぐに見つけたし、あちこちに旅行した先でも美味しいものだけにありついた。生まれた日が同じだったというだけで隣に並んで生きてきた僕は、ただ横で甘露を貪る日々だった。
5073見慣れた庭や畑だけではない。山に入れば酸っぱくない山葡萄や小粒の茱萸をすぐに見つけたし、あちこちに旅行した先でも美味しいものだけにありついた。生まれた日が同じだったというだけで隣に並んで生きてきた僕は、ただ横で甘露を貪る日々だった。
86mayuri
DONE全文はpixivに上げています。【墜天の王 蔭 11 蜜月】長編修帝小説の一部。追憶。原作軸。翼の団時代の回想シーン。阿修羅×帝釈天
墜天の王 11 その馴れ初めは焦がれて苦く.
「おい!帝釈天!」
引き戸を滑らせ叩きつけるように開け放った。そのせいで扉が壊れてしまうことはなかったが。高く囀る二羽の鳥の声が聞こえた気がした。驚かせたのか忙しない羽音だけを残し、その姿を確認する前にもう飛び去った後のようだった。入室の確認も取らず押し入る来訪者に部屋の主も驚かされたことだろう。
呼びかけた相手は兵糧や武具の管理のため各所からの在庫の書き出し報告を受けて確認し、調整を考えている最中のようだ。
この、ようだったというのも。言い切れないところがあるのは、彼が紐の解かれたおさえ竹のみを右手で軽く膝に乗せた状態で、外を眺めていたように見えたからだった。
尾紙まで長く広げられ軸も放り出された長い巻物は回転が止まるまで放っておかれたのか床に悠然と河川を敷き、自由に転がっているだけ。
4233「おい!帝釈天!」
引き戸を滑らせ叩きつけるように開け放った。そのせいで扉が壊れてしまうことはなかったが。高く囀る二羽の鳥の声が聞こえた気がした。驚かせたのか忙しない羽音だけを残し、その姿を確認する前にもう飛び去った後のようだった。入室の確認も取らず押し入る来訪者に部屋の主も驚かされたことだろう。
呼びかけた相手は兵糧や武具の管理のため各所からの在庫の書き出し報告を受けて確認し、調整を考えている最中のようだ。
この、ようだったというのも。言い切れないところがあるのは、彼が紐の解かれたおさえ竹のみを右手で軽く膝に乗せた状態で、外を眺めていたように見えたからだった。
尾紙まで長く広げられ軸も放り出された長い巻物は回転が止まるまで放っておかれたのか床に悠然と河川を敷き、自由に転がっているだけ。
キツキトウ
DONE2024/3/9「午前四時の胸懐」
湯気が空へと立つマグカップを傍に置き、朝露を纏う硝子窓を眺めながら、私はまた言葉を廻らせた。
----------
小説SS。
「午前四時の胸懐」.
.
貴方に会う為に私は目を開く
貴方に会う為に今日は文字を習った
貴方に会う為に今日も言葉を知る
貴方に会う為に私は自分に想いを廻らせた
貴方に会う為に自分がしたい事をみつけた
『いまはなにをしていますか? わたしは大きくなったら――』
小さな手で、可能な限り思いつく言葉で。
綴られていく文字の列を眺めた今の私は、幼い頃の自分に語られている。かさりと音を鳴らしながら折り目に沿って再び折りこむと、文字が連なるそれを茶けた封筒へと再び寝かせた。
『はやくあなたに会いたいです』
「早く貴方に会いたい」
様々な事があった中で、頑張って今日まで生き抜いた私に早く会いたい。
〝その時〟にはきっと、「色々あったけど、悪くなかったね」って言いたい。経験が刻まれたしわと笑みによるしわを眺めて「がんばったね」と言いたい。
804.
貴方に会う為に私は目を開く
貴方に会う為に今日は文字を習った
貴方に会う為に今日も言葉を知る
貴方に会う為に私は自分に想いを廻らせた
貴方に会う為に自分がしたい事をみつけた
『いまはなにをしていますか? わたしは大きくなったら――』
小さな手で、可能な限り思いつく言葉で。
綴られていく文字の列を眺めた今の私は、幼い頃の自分に語られている。かさりと音を鳴らしながら折り目に沿って再び折りこむと、文字が連なるそれを茶けた封筒へと再び寝かせた。
『はやくあなたに会いたいです』
「早く貴方に会いたい」
様々な事があった中で、頑張って今日まで生き抜いた私に早く会いたい。
〝その時〟にはきっと、「色々あったけど、悪くなかったね」って言いたい。経験が刻まれたしわと笑みによるしわを眺めて「がんばったね」と言いたい。
かがり
DOODLE(2024.2.25)追憶時系列、カプ無しのモブ視点。短い。
選択:モブ+レオ 選択ができることは、天から与えられた特権だ。常人が持ち得ない、神様に愛された故の大きな力だ。
そうして、お前は選択する。選択をしている。常々。
「セナ お前見てたら『霊感』湧いた〜〜〜! はいっ、曲!」
「ちょっとぉ、押し付けないでよねえ⁈」
また瀬名かよ、というこの場を代弁するような舌打ちは、当の本人には届かない。
それは下賜だった。
大きな力だ。「与える」か否かを選べるということは力だ。
――だから、「俺」は選択をする。
選択が、力が、お前に傷をつけられるそれが、与えられたのなら。
「お前と楽曲なんて、そんなの、楽曲を選ぶに決まってるだろ」
(王よ! 王よ!)
【終】
チェクメに向けて引き続き戦々恐々としている
339そうして、お前は選択する。選択をしている。常々。
「セナ お前見てたら『霊感』湧いた〜〜〜! はいっ、曲!」
「ちょっとぉ、押し付けないでよねえ⁈」
また瀬名かよ、というこの場を代弁するような舌打ちは、当の本人には届かない。
それは下賜だった。
大きな力だ。「与える」か否かを選べるということは力だ。
――だから、「俺」は選択をする。
選択が、力が、お前に傷をつけられるそれが、与えられたのなら。
「お前と楽曲なんて、そんなの、楽曲を選ぶに決まってるだろ」
(王よ! 王よ!)
【終】
チェクメに向けて引き続き戦々恐々としている
キツキトウ
DONE2024/2/22書きもの/「Wisteria」
蛇と藤のやらかし回。
Q「鍵屋に握られたまま体の大きさは変えられるの?」
A「鍵屋に握られたままなら私の胴が死ぬ」
※自身の治癒が間に合えば命に別状はない。
----------
誤字脱字あって読みづらかったらすまぬ。
Wisteria(14)「Wisteria」について異種姦を含む人外×人のBL作品。
世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
又、一部別の創作作品とのリンクもあります。なるべくこの作品単体で読めるようにはしていますがご了承を。
※ポイピクの仕様上、「濁点表現」の表示が読みづらい時がありますが脳内で保管して頂けると助かります。(もしかしたら現在はポイピクさん側が小説投稿の表示を調整してくれたかもしれません。:2022/7/7現)
44801世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
又、一部別の創作作品とのリンクもあります。なるべくこの作品単体で読めるようにはしていますがご了承を。
※ポイピクの仕様上、「濁点表現」の表示が読みづらい時がありますが脳内で保管して頂けると助かります。(もしかしたら現在はポイピクさん側が小説投稿の表示を調整してくれたかもしれません。:2022/7/7現)
キツキトウ
DONE2024/2/22「神の庭の秘め事」
きっとあの場所で閉じる|誰も《人々は》、その二人が夫婦だとは思いたくもないだろう。
----------
人外×人外のNL
とある世界に棲んでいる者達の一場面の話。
※エブリスタ「三行から参加できる」用に新しく書いたもの。お題は「夫婦」。
宵々かくりよ:「神の庭の秘め事」.
.
新緑が風にそよがれさわめく。
この神の庭は乱れる事無く、今この時も眼を魅かれる神業を携えて清明とした息づく声を漂わせる。季節ごとに纏う衣は冴える萌黄の色だ。
私が一等動きやすい季節である。
「んんっ」
ぽかぽかと陽が温める縁側で伸びをする。こんな日は貴方の膝が一番心地が良いのだ。くぁっと一つ欠伸をすると、クスリとまた笑みを溢された。
「こんなに心地よく、温かなのだから仕方ないじゃない」
はしたないと怒られてしまいそうだが、今の私に怒る人間など居ない。だから存分に、陽に温められたその膝で上半身を横たえ、深みのある色合いの座を撫でる。指先の爪がこつりと音をたてた。
「貴方の創りだすこの庭を眺めながら、心地の好い膝の上で眠るのが大好きなのよ。……それに、」
3705.
新緑が風にそよがれさわめく。
この神の庭は乱れる事無く、今この時も眼を魅かれる神業を携えて清明とした息づく声を漂わせる。季節ごとに纏う衣は冴える萌黄の色だ。
私が一等動きやすい季節である。
「んんっ」
ぽかぽかと陽が温める縁側で伸びをする。こんな日は貴方の膝が一番心地が良いのだ。くぁっと一つ欠伸をすると、クスリとまた笑みを溢された。
「こんなに心地よく、温かなのだから仕方ないじゃない」
はしたないと怒られてしまいそうだが、今の私に怒る人間など居ない。だから存分に、陽に温められたその膝で上半身を横たえ、深みのある色合いの座を撫でる。指先の爪がこつりと音をたてた。
「貴方の創りだすこの庭を眺めながら、心地の好い膝の上で眠るのが大好きなのよ。……それに、」
企画倉庫
DOODLE第三イベントログイン前夜の話です!命家兄弟妹の話。少しだけ傷の言及があります。(腕が千切れる、目が潰れる、など)
選ばなかった過去と選べなかった世界と選んだ兄。
思ウ春抗イ選ブ若イ人「紅君、灰ちゃん。俺はブライに行くことにした」
寮の一室に呼ばれた弟は、敬愛する兄から発された言葉も、それに対する親愛の妹の頷きも、何一つ理解が出来なかった。
「ああ。白兄さんは多分、そうするだろうと思っていた。最近沈んでいたが、今はとても良い顔つきだ」
「灰ちゃんにはバレていたか。我儘な兄で済まない」
「何、兄さんの我儘なんて妹である私の我儘に比べれば、可愛いものさ」
朗らかに話し出す兄と妹は、そういえばいつから「俺」と「私」になったのだろう。今までは「賢兄」と「愛妹」だったはずだ。だから自分は「愚弟」なのだ。何故二人は変化してしまったのだろう、変化を受け入れてしまったのだろう。ガタガタと情けなく震える体に、紅と呼ばれた青年は「何故」と震える声を吐き出した。顔つきの違う兄と妹の、ただそれだけは自分と同じ空色の瞳が此方を覗く。
3947寮の一室に呼ばれた弟は、敬愛する兄から発された言葉も、それに対する親愛の妹の頷きも、何一つ理解が出来なかった。
「ああ。白兄さんは多分、そうするだろうと思っていた。最近沈んでいたが、今はとても良い顔つきだ」
「灰ちゃんにはバレていたか。我儘な兄で済まない」
「何、兄さんの我儘なんて妹である私の我儘に比べれば、可愛いものさ」
朗らかに話し出す兄と妹は、そういえばいつから「俺」と「私」になったのだろう。今までは「賢兄」と「愛妹」だったはずだ。だから自分は「愚弟」なのだ。何故二人は変化してしまったのだろう、変化を受け入れてしまったのだろう。ガタガタと情けなく震える体に、紅と呼ばれた青年は「何故」と震える声を吐き出した。顔つきの違う兄と妹の、ただそれだけは自分と同じ空色の瞳が此方を覗く。
4n5uki
PAST昨年の10月に勢いで書いた一時創作です。自分用に供養します。小説を書き始めたばかりの作品のため拙い表現が多数あります。
星空が溶かす君との甘い星空を僕は体が弱かった。だからずっとベッドの上にいて、そこでおもちゃで遊んだり本を読んだり、お母さんとおしゃべりしたりして毎日を過ごしていた。
僕の部屋からは海が見える。
毎日のように海がいつも同じような律動を繰り返して、でもたまに鳥が飛んで変化が見えたり。
そんな景色をぼんやりと眺めながら時を過ごしていく。
ある日のこと家におばあちゃんがやってきた。僕は暖かくて優しいおばあちゃんが大好きだ。
そんなおばあちゃんはいつも興味深い話をしてくれる。
近所の人から桃をもらったおかえしに、ピーチパイやピーチティーを作って一緒にお茶会をしたこと、
バーゲンセールでとっても素敵なお洋服を手に入れたこと、
部屋に入ってきた虫を追い出そうとしたら入れ代わりに鳥が入ってきたこと。
3013僕の部屋からは海が見える。
毎日のように海がいつも同じような律動を繰り返して、でもたまに鳥が飛んで変化が見えたり。
そんな景色をぼんやりと眺めながら時を過ごしていく。
ある日のこと家におばあちゃんがやってきた。僕は暖かくて優しいおばあちゃんが大好きだ。
そんなおばあちゃんはいつも興味深い話をしてくれる。
近所の人から桃をもらったおかえしに、ピーチパイやピーチティーを作って一緒にお茶会をしたこと、
バーゲンセールでとっても素敵なお洋服を手に入れたこと、
部屋に入ってきた虫を追い出そうとしたら入れ代わりに鳥が入ってきたこと。
キツキトウ
DONE2024/2/9「君の結末は箱の中」
誰かの物語を見た誰か。
観測者次第で中身も結末は変わる。「貴方のしたい事は何ですか?」
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小説SS。
「君の結末は箱の中」.
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久しぶりに貴方の顔をみた。
朝も昼も夜も。私が大人になって歩き始めてからみえなくなってしまった貴方の顔。
ずっとみたくて仕方なかったのに、いつか、そのうち、生き続ければまたみれると思って歩み続けてきた。
進めばその内みつかると言われて、歩き続けた。
子供の頃はあれほどみれたのに。
疲れきって、歩みを止めたくなって、俯いて、どうしようもなく泣きたくなって、死にたくなって。
得たくもないものを得ながら、見たくないものを見ながら、居たくない場所に居ながら。
途方もなく疲れてしまったから、だから思い切って歩みを止めてみた。
今目の前に、貴方の顔がある。それをみて私はとても驚いた。
「やっと、自分がしたい事が見つけられた」
620.
久しぶりに貴方の顔をみた。
朝も昼も夜も。私が大人になって歩き始めてからみえなくなってしまった貴方の顔。
ずっとみたくて仕方なかったのに、いつか、そのうち、生き続ければまたみれると思って歩み続けてきた。
進めばその内みつかると言われて、歩き続けた。
子供の頃はあれほどみれたのに。
疲れきって、歩みを止めたくなって、俯いて、どうしようもなく泣きたくなって、死にたくなって。
得たくもないものを得ながら、見たくないものを見ながら、居たくない場所に居ながら。
途方もなく疲れてしまったから、だから思い切って歩みを止めてみた。
今目の前に、貴方の顔がある。それをみて私はとても驚いた。
「やっと、自分がしたい事が見つけられた」
キツキトウ
DONE2024/2/9へびがもやもやしたり、ふじがもふもふしたりする冬の日の零れ話。
Wisteria:零れ話(5)●「Wisteria:零れ話」について。
本編閑話タイトル其々のおまけのような話、補足や本編その後、とても短い話・隙間話や納めきれなかったお話達。時系列は都度変わります。大体本編と同じ様にいちゃついてるだけの他愛のない話。
以下は本編と同じ注意書き。
○「Wisteria」に含まれるもの:創作BL・異類婚姻譚・人外×人・R-18・異種姦・ファンタジー・なんでも許せる人向け
異種姦を含む人外×人のBL作品。
世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
○R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
11276本編閑話タイトル其々のおまけのような話、補足や本編その後、とても短い話・隙間話や納めきれなかったお話達。時系列は都度変わります。大体本編と同じ様にいちゃついてるだけの他愛のない話。
以下は本編と同じ注意書き。
○「Wisteria」に含まれるもの:創作BL・異類婚姻譚・人外×人・R-18・異種姦・ファンタジー・なんでも許せる人向け
異種姦を含む人外×人のBL作品。
世界観は現実世界・現代日本ではなく、とある世界で起きたお話。
○R-18、異種恋愛、異種姦等々人によっては「閲覧注意」がつきそうな表現が多々ある作品なので、基本的にはいちゃいちゃしてるだけですが……何でも許せる方のみお進み下さい。
なかりせ
DONE一人一人称、K富の人間が書きましたが恋愛描写なし、診療所メンツとほのぼのが主です。ちょっと怪談チックなお話が書きたくてタグをお借りします。季節外れですが夏のお話です。恐怖・暴力描写はありません。
一人先生は幽霊や魂をどのように切り分けて接することができるのだろう……。引っ張られそうになった時に踏みとどまれるのは、帰る場所・呼ぶ人がいるからってことが書きたかった。
炎と息吹―200X年 8月XX日
とても暑い日だった。オレはたまたま行きあった患者を治療し、病院から帰るところだった。
***
「では、また後日伺いますので」
一人は一礼して病室を出る。踏みしめるリノリウムの床はひんやりとした空気を抱えており、外のじりじりとした熱射もここまでは届かない。夏の長い日がようやく傾きだし、まだ暑さが残っているだろうビル街を歩くと思うと憂鬱であったが、目の前で倒れた急病人を助けられたことで一人の心は風が通り抜けるようにすっきりとしていた。
N県からふたつほど県境を越えたところにあるこの都市に来たのは、以前手当をした患者の経過を見るためであった。その用事を終えたときはまだ昼前であったが、帰路に着こうと大通りに出たところで急病人に行きあったのだった。
7481とても暑い日だった。オレはたまたま行きあった患者を治療し、病院から帰るところだった。
***
「では、また後日伺いますので」
一人は一礼して病室を出る。踏みしめるリノリウムの床はひんやりとした空気を抱えており、外のじりじりとした熱射もここまでは届かない。夏の長い日がようやく傾きだし、まだ暑さが残っているだろうビル街を歩くと思うと憂鬱であったが、目の前で倒れた急病人を助けられたことで一人の心は風が通り抜けるようにすっきりとしていた。
N県からふたつほど県境を越えたところにあるこの都市に来たのは、以前手当をした患者の経過を見るためであった。その用事を終えたときはまだ昼前であったが、帰路に着こうと大通りに出たところで急病人に行きあったのだった。
yukihori0610
MOURNINGニキひい【ブリュレを暴く】話題が若干センシティブなのでワンクッション。
2人が初夜を迎えるにあたって左右をどうするか議論する話です。
※🍳に当たり前のように過去の女がいます 7
かがり
DONE(2024.2.1)例のCDの人を探し当てた司くんの話
司レオは本当に気持ち程度
しあわせな男:モブ+司(司レオ) 人を傷つけ貶めて、そのまま晒しあげて逃げ去るような、そんな残酷なことをしでかした人間が、幸せになんてなれるものか。
もしもそんな物語があったとして、俺だったら「加害者に甘すぎて胸糞が悪い」と酷評することだろう。けれども、そんな風に、ともすれば後ろ指を指され糾弾されるような所業を為した自分はと言えば、驚くべきことに幸せになってしまった。
あの輝かしくも苦々しい青春以上の幸福なんて、この先の人生には存在し得ないものだとばかり思っていた。
堕落と後悔から逃げ延びた先で、思いがけずに出会えた人が居た。
そうしてもうじき、俺には繋ぐべき手がひとつ増える。
もしも突然、過去の報いに追いつかれて、例えば死に至ったとして、「まあ仕方ない」と納得してしまうだろうくらいには幸せだ。遺していく家族には申し訳が立たないが。
3567もしもそんな物語があったとして、俺だったら「加害者に甘すぎて胸糞が悪い」と酷評することだろう。けれども、そんな風に、ともすれば後ろ指を指され糾弾されるような所業を為した自分はと言えば、驚くべきことに幸せになってしまった。
あの輝かしくも苦々しい青春以上の幸福なんて、この先の人生には存在し得ないものだとばかり思っていた。
堕落と後悔から逃げ延びた先で、思いがけずに出会えた人が居た。
そうしてもうじき、俺には繋ぐべき手がひとつ増える。
もしも突然、過去の報いに追いつかれて、例えば死に至ったとして、「まあ仕方ない」と納得してしまうだろうくらいには幸せだ。遺していく家族には申し訳が立たないが。
zeppei27
DONE第五人格のポストマンが、手紙に複雑で重い感情を抱く日常話です。人畜無害な人間が胸の内に想像を絶するどろどろと煮詰まった感情を抱えている、というのは良いものだなあと改めて思いました。
My favorite things. 手紙というものはなかなか難しい。紙でできたそれを、毎朝毎夕運んできた身の上として、ビクター・グランツは手紙に対して一端の意見を持っていた。ただ紙に何か書き、封をすれば良いというものではない。手紙には、手紙を手紙たらしめる要素がいくつもあるのだ。
ストーブの上で熱々にした薬缶が笛を吹いたので、火からおろして鍋にそそぐ。ここからが勝負どころだ。考え事は棚に上げておこう。薄紫色の封筒を椅子に置いた郵便鞄から取り出し、そうっと湯気の上で躍らせた。この時間は花が開くのを待つ気持ちに似ている。焦らず、ただじっと自然に任せるのはもどかしいが、十分見返りがある。
その証拠に、菫色のインクをにじませることなく、手紙はぱくりとその口を開いた。花の匂いが漂う。手紙の差出人がウィラ・ナイエルであることを考えれば当然の話だ。上流階級という概念に血肉を与えたような彼女は、人間よりも花に似た気高さがあった。
2720ストーブの上で熱々にした薬缶が笛を吹いたので、火からおろして鍋にそそぐ。ここからが勝負どころだ。考え事は棚に上げておこう。薄紫色の封筒を椅子に置いた郵便鞄から取り出し、そうっと湯気の上で躍らせた。この時間は花が開くのを待つ気持ちに似ている。焦らず、ただじっと自然に任せるのはもどかしいが、十分見返りがある。
その証拠に、菫色のインクをにじませることなく、手紙はぱくりとその口を開いた。花の匂いが漂う。手紙の差出人がウィラ・ナイエルであることを考えれば当然の話だ。上流階級という概念に血肉を与えたような彼女は、人間よりも花に似た気高さがあった。
キツキトウ
DONE2024/1/24見えるから、それがシンとは限らない。
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「世界に知らされず、世界が知ろうともせず、世界が知らない」世界の話。そんな話はこの世の日常の中でさえ転がっている。世界を知らないのは何方なのだろうか。
エブリスタの企画「三行から参加できる」用に新しく書いたものに「終煙怪奇譚」として書き足したもの。お題は「犬」。
終煙怪奇譚:「井の中のシン、大海知らず」.
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「……」
今日も見える。
神社の境内。御使い達が御座すその台座。その片側では今日もあれがちょこんと鎮座している。……本来の像は何処行ったんだ?
(あれ……犬だよな……)
吽と口を紡ぎ、どやっと誇らしげな犬が鎮座している。真っ白くてふわふわですらっとした到底石像とは思えない犬が其処に居る。
此処は幸住神社だ。そして御使いは狛犬である。犬ではない。ただ、この道を通る度に、犬を見かける度に、(その毛並みを撫でてみたい)と思ってしまっていた。
私は犬好きである。
「あ、早く行かないと」
急いで行かねば遅刻する。
書店員として今日もお勤めに行かねば。給与前で金欠なのである。
急ごうとしたその端で。
2725.
「……」
今日も見える。
神社の境内。御使い達が御座すその台座。その片側では今日もあれがちょこんと鎮座している。……本来の像は何処行ったんだ?
(あれ……犬だよな……)
吽と口を紡ぎ、どやっと誇らしげな犬が鎮座している。真っ白くてふわふわですらっとした到底石像とは思えない犬が其処に居る。
此処は幸住神社だ。そして御使いは狛犬である。犬ではない。ただ、この道を通る度に、犬を見かける度に、(その毛並みを撫でてみたい)と思ってしまっていた。
私は犬好きである。
「あ、早く行かないと」
急いで行かねば遅刻する。
書店員として今日もお勤めに行かねば。給与前で金欠なのである。
急ごうとしたその端で。
結月(ゆづき)
DONEワンドロの#キラ受け版深夜の真剣創作60分一本勝負に参加させて頂きました。絆創膏とあってこれが真っ先に浮かびました。
絆創膏絆創膏(シンキラ)
カタカタと早いタッチでキーボードを叩く音と、ぱらりと書類を捲る音が執務室に響き渡る。
今日は真面目に仕事をしているキラに、シンは聞こえないように息を吐く。
いつもこうならこんなに仕事残る事ないのに。
出来るのにやろうとしないのはキラの悪い所だ。
アスランもシンに何度も言ってきたが、初めはどうせこの人の妬みかなんかだろうと思っていたが、真面目にきっちり仕事をこなしていたのは初めだけで、すっかりこの環境に慣れてから力を抜くことを覚えてしまったのか、ギリギリまでやらない事が増えてきた。
1度集中するときっかりこなすだけに勿体ない。
何度もジュール隊長に怒られているキラを見て何度助けたか。
まぁでも今日は久しぶりに定時で上がれそうだ。
1159カタカタと早いタッチでキーボードを叩く音と、ぱらりと書類を捲る音が執務室に響き渡る。
今日は真面目に仕事をしているキラに、シンは聞こえないように息を吐く。
いつもこうならこんなに仕事残る事ないのに。
出来るのにやろうとしないのはキラの悪い所だ。
アスランもシンに何度も言ってきたが、初めはどうせこの人の妬みかなんかだろうと思っていたが、真面目にきっちり仕事をこなしていたのは初めだけで、すっかりこの環境に慣れてから力を抜くことを覚えてしまったのか、ギリギリまでやらない事が増えてきた。
1度集中するときっかりこなすだけに勿体ない。
何度もジュール隊長に怒られているキラを見て何度助けたか。
まぁでも今日は久しぶりに定時で上がれそうだ。
キツキトウ
DONE2024/1/12「キツネ色」
「今日はあれに再挑戦をしようと思うのです」
「おお!」「頑張れよ!」
他愛もない一場面の会話。
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小説SS。
「キツネ色」.
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今日は沢山じゃが芋を貰ったのだ。
よしと気合を入れると、揃えた食材を卓に置いてまずは下拵えからと流し台までゆく。あの人は今どの辺りだろうか。
綺麗に洗ったじゃが芋を四~六等分に切り分け、鍋へ入れては被るくらいの水を入れる。少々の塩を加えたら、中火から弱火で軟らかく竹串が通るまで茹でていく。
頭の中で茹で上がったそれをついバターや塩でつまみ食いしたくなる。想像すると誘惑に負けそうになるが、そこをぐっとこらえて茹でている間に玉ねぎをみじん切りにした。
玉ねぎをバターで炒めている間に、燻るバターのまろやかな香りに混じって茹ったじゃが芋の匂いも立ち始めた。固さを確認してはざるにあげて水気を切る。炒めている玉ねぎにひき肉を加え、味付をして炒めているその間に冷蔵庫で休んでもらう事にした。
1405.
今日は沢山じゃが芋を貰ったのだ。
よしと気合を入れると、揃えた食材を卓に置いてまずは下拵えからと流し台までゆく。あの人は今どの辺りだろうか。
綺麗に洗ったじゃが芋を四~六等分に切り分け、鍋へ入れては被るくらいの水を入れる。少々の塩を加えたら、中火から弱火で軟らかく竹串が通るまで茹でていく。
頭の中で茹で上がったそれをついバターや塩でつまみ食いしたくなる。想像すると誘惑に負けそうになるが、そこをぐっとこらえて茹でている間に玉ねぎをみじん切りにした。
玉ねぎをバターで炒めている間に、燻るバターのまろやかな香りに混じって茹ったじゃが芋の匂いも立ち始めた。固さを確認してはざるにあげて水気を切る。炒めている玉ねぎにひき肉を加え、味付をして炒めているその間に冷蔵庫で休んでもらう事にした。
キツキトウ
DONE2024/1/12「朝に炊き立てのご飯を食べる」
布団に潜り、考えていたら何時の間にか眠りについていた。今が何時かも知らないままぼぅとしていたら、身体の底から生きる音が聞こえてきて。
だから久しぶりにご飯を炊いてみた。そしておかずには昆布の佃煮と卵を選んだ。……明日は塩鮭を焼いてみようかな?
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小説SS。
「朝に炊き立てのご飯を食べる」.
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こつん――、こつん――、こつん。
背後から、小さく乾いた音がする。
ハッとして振り向くと、月だけが照らす暗い空から何かが落ちてくる。それはきらきらと光る何かで――。
辺りが暗いのに、それがきらりと光るから。だからそれを見つける事が出来た。
身を屈め、真黒な地面に点々と転がる粒を一つ摘まんでみた。それに温度はなく、けれど白く淡く光る粒は月の光にも等しく思えた。鉱物のように煌めき続けている。
「……ああ、月から落ちてきているんだ。月が涙を流してる」
自嘲で駆けていく息が白い。月の舟の下で、また一粒音がした。
前に向きなおりそして俯く。濡れた瞳に溜まった粒がまた一つ落下してはさよならをしていく。
足元の水面から離れると、雲間を照らした粒を握ってそっと橋から離れた。
525.
こつん――、こつん――、こつん。
背後から、小さく乾いた音がする。
ハッとして振り向くと、月だけが照らす暗い空から何かが落ちてくる。それはきらきらと光る何かで――。
辺りが暗いのに、それがきらりと光るから。だからそれを見つける事が出来た。
身を屈め、真黒な地面に点々と転がる粒を一つ摘まんでみた。それに温度はなく、けれど白く淡く光る粒は月の光にも等しく思えた。鉱物のように煌めき続けている。
「……ああ、月から落ちてきているんだ。月が涙を流してる」
自嘲で駆けていく息が白い。月の舟の下で、また一粒音がした。
前に向きなおりそして俯く。濡れた瞳に溜まった粒がまた一つ落下してはさよならをしていく。
足元の水面から離れると、雲間を照らした粒を握ってそっと橋から離れた。
マカロニサラダ
DONE創作ブロマンス、幽霊の友達が、これを見たらわかる‼️よろしくお願いします。・キャラ設定画像
・メインストーリーの概要
・時系列(おまけ)エンドはメインのIFルートとして考えてください。
⚠︎交通事故・動物の死体の描写あり
梓月視点で進みます(俺=梓月)
何かあれば →https://x.com/lifewithaghost?s=21 29
マカロニサラダ
DONE【IFルート短編】共に三途の川を渡ることになった、梓月とD君です。これ単体でも読めます。幸せは無いです。
何がきっかけだったか、幽霊となった友人と暮らしているうち、自らも死を選ぶことにした。
その後、見えた景色は、自分が乗っている木製の手漕ぎ舟と先の見えぬ長い川だった。日本では有名な話だ。三途の川だとすぐに分かった。三途の川とは、死後の魂が辿り着く場所であり、川が辿り着く奥深い場所にある地獄と、川岸に咲く花々に囲まれた美しい極楽浄土がある。
ここから先は独りか、と呟けば、聞き慣れた声が後ろから聞こえる。
「僕もいる」
振り返ってみれば、友人であるD君の顔が見えた。彼が事故に遭った時の、黒く濁った白い学ランの姿だ。恵まれた背丈のおかげで溺れていない。
けれど、明らかに息苦しそうな様子に早く乗るよう声をかけて手を貸した。
2043その後、見えた景色は、自分が乗っている木製の手漕ぎ舟と先の見えぬ長い川だった。日本では有名な話だ。三途の川だとすぐに分かった。三途の川とは、死後の魂が辿り着く場所であり、川が辿り着く奥深い場所にある地獄と、川岸に咲く花々に囲まれた美しい極楽浄土がある。
ここから先は独りか、と呟けば、聞き慣れた声が後ろから聞こえる。
「僕もいる」
振り返ってみれば、友人であるD君の顔が見えた。彼が事故に遭った時の、黒く濁った白い学ランの姿だ。恵まれた背丈のおかげで溺れていない。
けれど、明らかに息苦しそうな様子に早く乗るよう声をかけて手を貸した。
かがり
DONE(2023.12.31)「ご報告」する司くんとKnightsメンバーの話です。
ずっとちまちま書いていた小話を、1年の総括として……また来年も書いていきたいです。
ご報告があります!:司レオ「ご報告があります」
それは、Knightsの新入りたちとのレッスンを終えて彼らを帰した後に、俺とナッちゃんと新たな『王さま』の3人で、さぁ円卓会議だと意気込んでみせた直後のことだった。
やっと今の体制にも慣れてきたものの、いつだって少しの寂しさがある。明日は2人が帰国するねぇ、なんて、この場には居ないメンバーについて話を振れば、おずおずと手が挙がり、彼――ス〜ちゃんは先のとおり、重々しく口を開いたのだった。
思い詰めたように緊張を帯びた声色に、俺は思わず、直近の懸念事項から心当たりを探してしまう。少なくとも、取り返しがつかなかったり、もしくは、そうなり兼ねない事柄は、何も無かったはずだ。
「どうしたの? 司ちゃん」
6218それは、Knightsの新入りたちとのレッスンを終えて彼らを帰した後に、俺とナッちゃんと新たな『王さま』の3人で、さぁ円卓会議だと意気込んでみせた直後のことだった。
やっと今の体制にも慣れてきたものの、いつだって少しの寂しさがある。明日は2人が帰国するねぇ、なんて、この場には居ないメンバーについて話を振れば、おずおずと手が挙がり、彼――ス〜ちゃんは先のとおり、重々しく口を開いたのだった。
思い詰めたように緊張を帯びた声色に、俺は思わず、直近の懸念事項から心当たりを探してしまう。少なくとも、取り返しがつかなかったり、もしくは、そうなり兼ねない事柄は、何も無かったはずだ。
「どうしたの? 司ちゃん」