取り返せない日々に、踊ろう、明日に怯えても ルノーがアレインに光を見たのは、アレインがルノーの身にへばりついた覚えのない罪を取り払って「本当のルノー」を見つけてくれたからだ。
だから、ルノーは本当のアレインを見つけたかった。
「陛下、どうされました?」
王の居住であるグランコリヌ城に自室を与えられてから数年。世界の救世主と民草に愛され、祈られるアレインの傍らにルノーはいつでも居て、だからこそ彼はアレインが光を失っていくのを肌で感じていた。
「ルノー……夜分遅くにすまない」
「構いませんとも。眠れませんか、陛下」
「ああ、少しだけ一緒に居てくれないか」
ルノーの部屋の扉を叩いた、アレインはローブを深々と被っていて、昼日中胸を張って世界の先に立つコルニアの王の姿からは考えられないほど小さく、頼りない姿に見える。その佇まいはまるで子どもだ。十数年前に遠くから見かけた、イレニア女王の小さな宝物であった頃のように。
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