勇者ダイがパプニカの城に住み始めた頃に。
「うちの国の三代前の王が、近所に住んでる魔物に国宝の宝石を強奪されちゃってね」
などと軽いノリで語ったのは、女王レオナだった。
「貴方ならチョット喧嘩したら取り返せちゃうんじゃないかしら」
まったく軽いノリだったが、ラーハルトは重々しく頭を下げた。
「では奥方様のために、その宝玉を奪還いたしましょう」
ダイだって、レオナが出来もしない仕事を無理強いしているのではないとは承知しているが。容易いことでも面倒ごとには違いないので、部下に苦笑を投げかけた。
「なんか、ごめんよ。おれが行ってもいいんだけど……」
王配という立場上、おいそれとは外出と武力行使ができなくなったダイに対して、ラーハルトは尚も身を折った。
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