好感度アプリ「今日は、これを使って遊ぼうぜ」
その夜、僕が自分の部屋に足を踏み入れると、ルチアーノは楽しそうにそう言った。ベッドの上に胡座をかいていて、片手には端末を手にしている。こちらを見上げる表情は、にやにやと挑発的に歪められていた。嫌な予感を感じるような、上機嫌な笑顔だった。
「今度は、何を見つけてきたの? なんか嫌な予感がするんだけど……」
思ったままに答えると、ルチアーノはさらに楽しそうに笑う。シーツに手をついて身を乗り出すと、僕に端末を差し出してきた。
「そんなに警戒するなよ。これは、ただの好感度計測アプリなんだから。世間の若いやつらに流行ってるらしいぜ」
ここからではよく見えなくて、僕はベッドの前へと歩み寄る。端末を手にとって見てみると、アプリのホーム画面が表示されていた。カップル向けのアプリらしく、画面はピンクと白で彩られている。計測と書かれたボタンの下には、使い方へのリンクが張られていた。
3078