眠れない夜 目が覚めた時、自分がどこにいるのか分からなかった。ぐるりと周囲を見渡して、そこがどこかを思い出す。デュエルの大会に出るために、青年と二人でビジネスホテルに泊まっていたのだ。大きな窓とカーテンの隙間から、見知らぬ街の灯りが漏れ出している。
隣に眠る青年を起こさないように、僕はゆっくりとした動きで寝返りを打った。暗闇の中で時計を確認すると、時刻は二時を過ぎたところだ。僕たちが眠りについてから、まだ二時間も経っていないらしい。他の宿泊客も寝入っているようで、声は聞こえてこなかった。
大きく息をつくと、僕は再び目を閉じる。明日は大会の本番だから、ここは眠っておきたかったのだ。人間は睡眠が必要不可欠だから、彼を起こすことはしたくない。彼は目覚めが悪いから、朝に起こすのが大変になるのだ。
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