寝顔 その2 目を開けると、部屋の中は真っ暗だった。時計の針は夜中の二時を指している。どうやら、目が覚めてしまったようだ。
心配になって、隣に眠る少年に視線を向ける。夜中に目を覚ました時には、彼が泣いていることが多いのだ。一緒の時間を過ごすうちに、彼の様子を窺う癖がついてしまった。
ルチアーノは、すやすやと寝息を立てていた。しばらく様子を窺うが、泣いている様子はない。穏やかな表情で、お腹を上下させている。
その姿を眺めながら、不意にあること思った。今なら、ルチアーノの寝顔を見ることができるのではないか。というのも、僕はあまりルチアーノの寝顔を見たことがなかったのだ。僕は眠りが深くて、朝は必ず起こされる側になってしまう。夜中に目を覚ますことが無いわけではないけど、そういう時は大抵ルチアーノも起きているのだ。
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