いけないこと3「今日は、いけないことをしようぜ」
夜も更け、これからベッドに入ろうと言う頃になって、不意にルチアーノはそう言った。
「いけないこと?」
僕は尋ね返す。彼が言う『いけないこと』がどんなものなのか、僕には見当が付かなかったのだ。『いけないことをしよう』という誘いなら、僕も何度かしている。夜中にアイスを食べたり、コンビニに行ったりというかわいいものばかりだ。でも、ルチアーノが口にすると、それは急に不穏な響きを帯びてしまう。
「そう。『いけないこと』だ。君は、そういうのが好きなんだろ?」
にやにやと笑いながらルチアーノは言う。明らかに何かを企んでいる態度に、警戒心を含んだ返事になってしまった。
「ルチアーノの言う『いけないこと』って、本物の犯罪行為でしょ。さすがに、そういうのはやりたくないよ」
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