肝試し「なあ、今度、肝試しに行こうぜ」
ある日の夜、ルチアーノは急にそう言った。
「肝試し!?」
僕は頓狂な声を上げてしまう。耳に入ってきた言葉に対して、聞き間違いじゃないかと思ってしまったのだ。彼が、肝試しなどというものを好むがない。
「そうだよ。君が想像しているものと同じ、一般的な肝試しだ。夏の風物詩なんだろ?」
ルチアーノは淡々と言う。よく見たら、少しにやにやしていた。彼なりに、何らかの企みがあるのだろう。
「どうして、肝試しなの? ルチアーノって、こういう世俗的なものは好きじゃないんでしょ? わざわざやらなくてもいいのに」
言い返すと、彼はにやにやと笑った。僕に詰め寄ると、からかうような声で言葉を続ける。
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