着せ替え 光の差し込む窓を開けると、僕はベランダへと足を踏み出した。太陽に熱された夏の空気が、風に乗って室内へと入り込んでくる。サンダルに足を突っ込むと、開いた扉を半分くらい戻しておく。こうして熱風を遮らないと、室内まで暑くなってしまうのだ。
ベランダの物干し竿には、乾いた服がぶら下げられていた。僕とルチアーノの夏の普段着と、室内で過ごすときの部屋着である。隅の方で洗濯ばさみに下げられているのは、靴下や手袋のような小物だった。
そんな普段着の間に混ざって、見慣れない衣装が干されていた。長袖の白いワイシャツと、黒のスラックスである。隣に吊り下げられているのは、うさぎの耳がついたカチューシャだ。昨日ルチアーノが僕に着せた、バニーボーイのコスプレ衣装である。
3673