子供扱い その日、ルチアーノはご機嫌斜めだった。ドスドスと足音を立てながらリビングに上がると、ドスンと音を立ててソファに腰を落とす。見せつけるような仕草で足を組むと、今度は大きく鼻を鳴らした。彼らしいと言ったら彼らしい、怒りを露にした態度である。それでも指摘することができなかったのは、原因が僕にあったからだ。
机の上に買い物袋を置くと、僕はルチアーノに視線を向ける。溜め息が漏れそうになるのを、すんでのところで押し込めた。僕が疲労を見せたりしたら、ルチアーノはさらに機嫌を損ねるだろう。これ以上関係が拗れることは、何としてでも避けたかった。
とはいえ、このまま放っておくのは、もっと都合が悪いだろう。決して口に出したりはしないが、こういう時のルチアーノは僕の反応を窺っているのである。知らんぷりをして過ごしたら、後が怖くて仕方がない。
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