感化 薄暗い部屋の中で、僕は端末のモニターを見つめた。そこには、人の姿を模した創造主の姿が映っている。顔を覆う金属の仮面に、身体と一体化した巨大なDホイールは、僕たちの真の姿と同じものだ。静かに言葉を待っている神に、僕は近況を報告する。
「サーキットの構築は、想定通りに進んでいます。この様子であれば、WRGP当日にはアーククレイドルを転送できるでしょう。僕があの青年とチームを組むことは、ホセにも了承を得ています。プラシドは何をしているか分かりませんが、悪い方向には転ばないでしょう」
大まかに前置きをしてから、詳細の報告に移っていく。神から投げ掛けられる質問に、言葉を選んで答えていった。報告の基本は、私情を挟まないことだ。感情を表さないように気を付けながら、神の求める答えを探していく。
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